リファラル採用を活性化するクラウドサービス「Refcome(リフカム)」を運営する株式会社リフカムが、2017年の12月25日に『Referral Recruiting AWARD 2017』を発表。
上記イベントは、リファラル採用に取り組む7社の企業を表彰していますが、今回はその中で株式会社はなまる(以下、はなまる)が取り組むリファラル採用についてご紹介。
はなまるがリファラル採用をはじめたきっかけや実施した施策など、今後リファラル採用の導入をおこなう上で参考となる話が満載でした。
【人物紹介】永井 美也子| 株式会社はなまる 研修人事部 採用担当(兼)LWB推進部 チーム87mama
2009年5月16日に入社。副店長、店長、営業部スーパーバイザーを経て、2015年2月1日採用担当に。必殺技は場の空気を一瞬で凍らすこと。趣味は食う寝る働く。4児の母としても奮闘中。
はなまるがリファラル採用に取り組むようになった背景
ーリファラル採用を導入しようと思ったきっかけを教えてください。
永井氏:まず、「採用コストを軽減しよう」と思ったことがきっかけのひとつです。
現在、正社員・アルバイト採用のために、多くのコストをかけています。ただ、どんどん増え続ける採用コストに疑問を感じるようになったんです。
私も現場を経験して現在のポジションにいるので、「うどん1杯130円の世界で、この採用コストはうどん何杯分なんだろう?」みたいな。
それから、「そこまでコストをかけずに採用できる方法はないか」と考えはじめたんです。
また、はなまるでは2018年末までに女性の幹部社員比率を30%にすることを目標に掲げて動いています。そのために、もっともっと正社員の採用に力を入れていく必要があります。
どのように採用をしていくか考えた末に、はなまるで働いてくださっているパート・アルバイトの方々の約70%が女性なので、その方々を採用していこうという話になりました。
すでに、はなまるの業務内容やカルチャーを知っている方を採用したほうが、戦力化しやすいですからね。
それがリファラル採用に興味を持ちはじめたきっかけです。
ーアルバイトから正社員になられる方は多いのでしょうか?
永井氏:現在、はなまるの店舗は、直営店が300店舗、フランチャイズが100店舗の計400店舗になります。昨年の実績では、その中から32名が正社員になっています。
しかし、正社員候補となる方に声をかけて、人事部に推薦を上げる動きをとってくれるエリア・店舗・スーパーバイザーの方には偏りがありました。全員がアクションしてくれるわけではなく、すごくバラつきがあります。
「正社員の推薦をお願いします」とお願いして、分かりましたと言ってもらってもいきなりできるものではありません。できない人にやってもらうためには、やりやすくするための武器が必要です。
例えば、正社員採用を促すための文面を作成したり、わかりやすい紹介フローを作るといった仕組みが重要です。
こういった仕組みをつくるために何か良い方法はないかと考えていた時に、『Refcome(リフカム)』に出会ったんです。
まずはトライアルで活用させていただいたのですが、その期間に3人採用できたんですよ。いきなり実績が出て、すぐに本格導入を決めました。
「まずは成功実績をつくる」はなまるを知ってもらう強化月間を開始
ーRefcomeを導入していく中で、意識されたことはありますか?
永井氏:まずはどのように社内に周知していくかですね。
私だけではわからない部分も多かったので、リフカムの方に協力いただき、仕組みや体制を一緒につくっていきました。
リフカムの方と定期的にミーティングを実施し、その都度作戦や施策を決め、実施していきます。
例えば、周知するための文面作成、システム活用のための説明資料作成、「何名が招待してくれました」という細かい進捗報告、また、当たり前ですが「ありがとう」と必ず最後にお礼を伝えることなど、周知に向けてさまざまな施策を実施していきました。
ー人事として周囲を巻き込むときに意識していることはありますか?
永井氏:「協力してあげよう」と思ってもらうために、普段から積極的にコミュニケーションをとるようにしています。
耳の痛い話もありますが、あえてこちらから聞き、少しでも解消できるように動いています。
一方、私は現場経験もありますので、現場側の気持ちもすごく良く分かるんです。ただ、採用側としては必要な人員数を確保しないといけない。でも質も落とせない。使える予算にも限りがある。毎日必死です。
ですので、こちらの事情もある程度話をして、できるだけお互いが理解できる状態をつくることが重要です。
また、ときには、採用担当としてやりたいと思うことがあったら、頭下げようが嫌な顔されようが、そこに突き進むしかないと思っています。
私はそれですごく忍耐力がつきました。修行させられてる感じですね(笑)。
今回の場合は、採用担当だけではなく、営業部をはじめ、全社を巻き込んでいくので、そのあたりの調整は本当に大切ですよね。
「上が分かってくれない」「現場が分かってくれない」と感じている人事の方は多いと思います。それはどこの会社さんも一緒で、みんなが抱えている問題のように感じます。
ーたしかに、そういった声は多く聞きますね。
永井氏:また、積極的に動いてくれそうな人を味方につけて、そこから広げていって成功事例をつくることもひとつの手です。
本当はもっと上手いやり方はきっとあると思うのですが、私は伝え方が下手で、よく分からないけどがむしゃらに突っ走っていくタイプです。
いつもそのような手法になってしまうのですが、味方を増やし行動し続けることで、「また永井が何かやってるな」と私のスタイルを理解し、協力してくれる方を増やしていきたいと思います。
ー御社では今、どのような取り組みをされているのでしょうか?
永井氏:リファラル採用を推進させるために「はなまるをもっと知ってもらうための強化月間」というものをつくろうと考えています。
例えば、スーパーバイザーが各店舗を訪れたときに「この人に声を掛けたい」と思ったら、採用募集のカードを渡してもらう。そうすると、渡す側もそこまで説明しなくてすみますし、もらう側も特別感があって嬉しいじゃないですか。
その時に社員になる気持ちが無くても目に留まるデザインにしておけば、財布などに入れてくれて、何かのきっかけで見返してくれたり、何気ないときに想起してくれたりすると思うんですよ。
また、家に置いといてくれれば、家族が「なにこれ?」って見てくれるかもしれません。正社員でなくても、学生さんや母親の方が見てアルバイト・パート採用につながることも狙っています。
この強化月間を成功させる秘訣は、成功事例を1つでも早くつくることです。そして、成功事例をつくるために、こちら側も積極的に介入して一緒にやっていこうと考えています。
まずはスモールスタートで、一緒に実績をつくってくれるスーパーバイザーを選定して動いていきます。
ーまずは特定の店舗と一緒に成功事例をつくると。
永井氏:そうですね。そうやって実績をつくっていき、その担当者を表彰に導いていくイメージです。そうすると「こういう動きをとると評価されるんだ」と周囲が変わっていくと思うんです。
ーまず成功させて、注目を集めるというところが戦略的には大事ですね。
採用トレンドが変わっているからこそ、新しいチャレンジをしていきたい
ー永井さんが今後仕掛けていきたいことはございますか?
永井氏:採用市場に目を向けると、リファラル採用もそうですし、説明会を動画で配信するなど、今までやらなかった動きが増えてきているように感じています。
求人媒体に掲載し、応募があって面接をするといった、「採用はこうやるものだ」という“当たり前”が変わってきています。
ーたしかに採用領域でも新しい動きがどんどん出ていますね。
永井氏:今までなかったものをどんどん取り入れて新しい発見があるといいですよね。リファラル採用も推進していくことで、新しい採用のかたちとして定着させていきたいと思っています。
そうすることで、もっと自社の採用が進化していくかもしれません。常識に縛られずに少しでも良いと感じるものがあれば、積極的にチャレンジしていきたいですね。