新卒で銀行に入社し、そこから人材紹介のエージェント、企業人事というキャリアを歩んできた内藤さんが選んだ次のステージは、保育×IoT・ICT支援を実施しているユニファ株式会社。
2018年2月に入社し、3ヶ月で内定者13名、入社者9名という実績を出されており、どのようにして、内藤さんは3ヶ月でそこまでの採用実績を生み出してきたのか。
そこには、内藤さんの人事としての熱い想いやスタンス、圧倒的な主体性・行動量などがありました。
今回は、内藤さんがユニファの人事として3ヶ月間で実践してきた詳細やノウハウを、同社の人事責任者である橋本さんと一緒にインタビューさせていただき、記事にまとめました。
【人物紹介】内藤 侑子 | ユニファ株式会社 事業管理部 人事総務課
【人物紹介】橋本 祐造 | ユニファ株式会社 人事責任者
目次
内藤さんがユニファに入社した理由
-まずは、内藤さんがユニファに入社した背景を教えてください。
内藤さん:私がユニファに入社する一番のきっかけは、橋本に出会ったことですね。
私は、銀行員を経て、人材紹介のエージェント、企業人事というキャリアを歩んできていますが、その中で2つ自分のやりたいことが明確になっていきました。
1つ目は、「個人の持っている可能性や価値が最大化するような社会をつくること」、そして2つ目は、「人事としても、社員一人ひとりの自己実現にコミットすること」でした。
ただ、特に2つ目については、人事として全くの経験・スキル不足で、その難易度の高さに悩んでいました。
知り合いに相談していたところ、「一回会ってもらいたい人がいる」と言われて、それが橋本だったんです。
実際に橋本と会って話をして、橋本の人事として大切にしている価値観や、人生のスタンスなどを聞いたんです。
すべての想いが強烈で、ふと、「きれいごとかもしれないけど、本当にみんなを幸せにしたいんだ」と橋本が言った瞬間に号泣したんです。
-号泣ですか?
内藤さん:人事の仕事は、経営や組織など、会社が掲げる目標の達成のために尽力することが第一です。
ただ、どうしてもそこに引っ張られがちで、一人ひとりの自己実現に向き合ってサポートしていくことが疎かになってしまうように感じています。
社員の一人ひとりの自己実現や満足度の向上は、会社にとってのメリットにもなります。社員が充実して働いて、会社の業績が好調になり、ユーザーに喜ばれ、社員もさらに意欲が増す。
そのような良い関係性をもっともっと突き詰めてやっていきたいって思ったときに、「この人のもとでならやれる」と確信したんです。
もう絶対にできると思ったし、さらに、橋本がいる会社がユニファだったから、というのは最終的に大きな決め手ですね。
ユニファの事業では、新しい家族コミュニケーションや保育のあり方を通じて、個々の人生がもっと豊かになる新しい社会を作れると確信しました。
まだそのようなサービスは世の中には多くありません。自分の作りたい社会のビジョンとも一致していたし、そしてそんな会社で橋本と一緒に組織や事業をつくっていけるなんて、こんな面白い環境には二度と出会えないと思いました。
「ここで飛び込まなかったら絶対後悔する!」って思ったんです。「ここで一歩を踏み出すことが、私の次の将来をつくる」と、最終的に決断をしました。
入社1ヶ月目|上司がインフルエンザでいない状況からスタート
-入社当時を振り返って、入社1ヶ月目はどのようなことをされたのでしょうか?
内藤さん:そうですね、私は2018年の2月に入社したのですが、まず入社日で印象的だったのは、橋本がインフルエンザで休んでいなかったことですね。
その日は橋本の誕生日で、「私の入社が誕生日プレゼントだな」なんて思っていたら、本人がいない、みたいな(笑)。そんな感じでスタートしました。
橋本さん:あのときは、本当に申し訳なかったですね・・・(笑)。
採用に関わるメンバーをランチに誘って「その人」を知る
-入社して上司がいないとなると、何をすべきなのかわからないですよね。
内藤さん:いや、逆にそれが結構良かったなと思っていて、社内のメンバーに自分から主体的にコミュニケーションが取れるきっかけになったんです。
部署ごとにどんな採用計画があって、誰がそのキーマンなのかを考えながら、まずは採用で動いてる人たちに積極的に話をかけに行き、ランチの設定をする。初日はそんなことを結構やっていました。
そこから2週間くらいは毎日ランチ三昧なんですが(笑)、それはやってすごく良かったなと思っています
-ランチではどのようなことを聞いているんですか?
内藤さん:まずは、「その人を知る」ことが第一です。今までの経歴や、どうしてユニファに入社したのかを意識的に聞くようにしています。
特に、採用業務という観点でその人の仕事を知ることと、その人の感情を知るということを意識しています。
現場の社員がどんな思いで仕事をやっていて、どんなときにやりがいを感じているのか。やはり、実際の現場の人たちの「生の声」の方が、求職者の方たちにも伝わると思います。
本当は、「私はこんな想いでやっています」と、自分の話もしたかったのですが、みんなの話を聞いてるだけで時間が過ぎちゃいました(笑)。
ひたすらエージェントに会って、自分を知ってもらう
-ランチ以外では、他にどのようなことをされたのですか?
内藤さん:人材紹介のエージェントに連絡して会うことを、1ヶ月間ぎゅーっと濃縮してやっていました。1ヶ月で大体30社くらい会いました。
そこでは、最新の求人情報の共有もおこなうのですが、あまり仕事の話はせずに、私が今までどんな経験をしてきて、どんな思いでユニファに入ったのかをひたすら話し続けていました。
-仕事の話はあまりされないんですね。
内藤さん:やはり人と人との付き合いになるので、まず私を知ってもらって、「内藤さんと一緒にやりたい」と思ってもらえるような関係性づくりを意識的にやっています。
「私がここまで熱量を燃やしているのがユニファです。面白くないですか」みたいな。そうやってユニファのファンになってもらえたら良いなと思っています。
橋本さんとの面談に同席する
内藤さん:あとは、橋本の面談に同席していました。
-同席されてみて、いかがでしたか?
内藤さん:「求職者の面接」と「社内の個人面談」の両方に同席したのですが、カメレオンみたいに見せる顔が変わるんです。個人によって対応の仕方が全く異なるんです。
たとえば、求職者との面接時は、その人の人生相談まで乗ることもしばしばあるので、限られた時間の中で積極的にアドバイスをするんです。
一方で社内の個人面談のときは180度変わります。橋本の方からのアドバイスは絶対しないんです。「寄り添う」がほぼ100%です。
私は、社内の個人面談では、「人事として何かしらの解決策を提示しないといけないんだ」と勝手に思い込んでいました。でも、同席してみたら、橋本の方から自分のアイデアやアドバイスを全くしないんですよね。
橋本さん:本当にその人の立場に寄り添って、その人なりに話す中で何か解決できるような発言が出たら、それをそっと押してあげるみたいな。それで良いと思います。私が「そうじゃない」と仮に思ったとしても、本人が言ったことを尊重して、そっと押します。
内藤さん:最初すっごく感動しました。
面接時と社内面談とでの、寄り添うスタンスが全く違った。一緒に組織をつくっていく、社員と一緒に会社をつくっていくってこういうことなんだな、と強烈に体感しました。
2ヶ月目|月に50件くらいの面接をこなす
-では次に、入社して2ヶ月目についてお伺いできればと思います。
内藤さん:2ヶ月目は「ひな鳥の巣立ち」のフェーズで、面接に完全に一人で入るようになりました。2ヶ月目の3月は、トータルで50件くらいの面接を1人でおこないました。
-月50件の面談を入社2ヶ月目で1人でされたんですね。
内藤さん:ほぼ面接で席にいない状況でしたね。まずは3ヶ月でわかりやすい成果を出したかったんです。「わかりやすい成果=採用実績」と設定して、まずは採用の実績を出すことを目標にとことん面接していきました。
正直、一人で面接をやっていくと、最初のうちは自社の説明がうまくできなかったりするのですが、やりながら上達していきました。
ユニファならではの視点や、ユニファらしさをどう伝えていくのかを日々試行錯誤していきながら、多くの求職者の方と話して質問を受ける中で、自社理解をどんどん深めていきました。
そういった意味では、ユニファのことを自分事化して、ユニファの課題を自分の課題として伝えられる。そのようなスキルを身につけるためにとことん面接に出たという目的もあります。
-ちなみに、内藤さんが求職者のやりとりで意識していることはございますか?
内藤さん:求職者のやりとりは、とにかく橋本の真似をしています。「求職者と向き合って寄り添って溶け合う」ことを意識しています。
その人の大事にしたい価値観に触れる。その人がやっていきたいことにしっかりと耳を傾ける。その人が今課題に感じてる部分を否定せずに寄り添う。そういったスタンスでやっています。
その中で、一旦ユニファなしでその人の将来を考えるようにしています。ユニファをとっぱらって考えたときに、どういう人生を送りたいのか、どんな将来を夢見ているのかに触れたいんです。
ユニファ関係なしでその人のことを考えていったほうが、本音が見えるんじゃないかと思っていて、ときには「ユニファじゃないほうが良いかも・・・」という場合もあります。
-その時はどうするんですか?
内藤さん:「だったらこういう会社のほうが良いかもしれませんね」と言います。
ただ、その方の魅力や良いところも合わせてしっかりとお伝えいたします。「あなたには自覚がないかもしれませんが、こういう強みがあるので、ひょっとしたらこっちのほうが力を発揮できるかもしれませんね」と。
そういったところをすごく大事にしようと思っているのですが、うまくいかないことも多く、ときにはフィードバックに対し、あからさまにがっかりされるときもあります。そこはまだ修行中ですね。
-そこまで寄り添ってもらえると、求職者の満足度も高いと思います。
内藤さん:「そんなこと言われたの初めてです」「こんな面接受けたことなかったです」と、ありがたいことにそういった声をいただけるようになってきています。
また、それに付随して、エージェントの方にも「すごく良い人だけどもったいない」というフィードバックを結構しています。
「私はここを強みに感じたけれど、自分の中で経験の棚卸しができていなかったので、そこをアドバイスすると良いと思います」という感じです。
「これは是非キャリアカウンセラーの方に伝えてほしい」というコミュニケーションをエージェントの方ととることで、「ユニファだったら大事な候補者を紹介しても安心だな」って思ってもらいたいんです。
-それ、非常に大事な観点ですね。
内藤さん:私自身がエージェントをしていたときに、「30分で面接終わっちゃいました」っていうときは結構ヒヤヒヤします。候補者のモチベーションも下がっちゃいますし、それが続くと紹介しにくくなるじゃないですか。
3ヶ月目|「自分の時間が足りない」課題にぶち当たる
-では、入社3ヶ月目についてお聞かせください。
内藤さん:3ヶ月目は、自分の課題が浮き彫りになっていったタイミングだと思っています。
会社の業績が好調で採用ニーズが増えてきたため、採用目標が増えていったんです。
そうすると、打ち手を増やさないといけないのですが、そこに対して考えたり、手を動かしたりする時間がなく、どうやって時間をつくるのかが3ヶ月目のテーマになりました。
また、1、2ヶ月目は採用に注力してきましたが、社内コミュニティの活性化にも取り組む必要がありました。入社してくれた方々のエンゲージメントをどう高めていくために何ができるのかなど、考えていました。
採用プラス組織という課題に向き合う期間が3ヶ月目でした。
-どんどんやることが増えてきた感じですね。
内藤さん:そうですね。特にやはり入社後の立ち上がりは非常に重要なので、エンゲージメントを高めるための入社後オリエンテーションは毎週のようにやっています。
-入社後オリエンテーションはどのようなことをされるのですか?
内藤さん:私が大事にしているのは3点あります。
まず「ユニファに入社してくれてありがとうございます」という感謝の気持ちを伝えることです。
そこから次に、「一緒に会社をつくっていきましょう」というスタンスを伝えていきます。ただ、私たちはベンチャー企業です。全てが思い通りに行くわけがないんです。
絶対に入社したら何かしらの壁にぶちあたるはずですが、そこで重要になるのは安心感だと思います。「一緒に会社をつくっていく仲間なので、何かあったら何でも受け止めるから言ってください」と、伝えています。
これからに対する期待もあれば、不安も必ずあります。その不安に対していかに心理的安全性をつくるかが大切です。
そして最後に、「私たちがなぜこの事業をやっているのか」という、ミッション・ビジョンと、大切しているバリュー(行動指針)を猛烈に語ります。
ただ、私が伝えるだけでは足りず、特に代表の土岐の想いを直接伝える場が絶対必要だと思っていて、「トッキーランチ」というものをはじめたんです。新入社員と土岐がランチをする会です。
以前は最終面接に土岐が出て、入社前からコミュニケーションが取れていたのですが、最近はそういった時間をつくることができなくなってきたんです。
そうすると、土岐との距離感が遠くなってしまうので、まずは土岐と普通に雑談ベースでランチをしてもらい、そこで心理的距離を縮めてもらおうと思ったんです。
そこで、土岐がどういった想いでユニファをつくって、どんな苦労があって、どうやって乗り越えてきたのかなど、生々しい話をしてもらっています。
-時間をつくるために意識されたことはありますか?
内藤さん:たとえば、「1日の面接やアポイント数を3件までにする」など、拘束時間を減らすように意識して動いていました。
ただ、新しい求人もどんどん立ち上がり、入社者も増えてきたため、入社周りのオペレーションも増えていきました。
そうすると、求人票作成や入社者の書類対応など、結局は作業に追われてしまい、戦略を考える時間がつくれない。今でも大きな課題ですね。
そこから、1日の中で「手を動かす時間」と「考える時間」を1週間単位で設計してモデルをつくったんです。必要な時間を全部書き出して、それを週単位で埋めてみたのですが、どう考えても溢れてしまって足りないんです。
そこで初めて、やっと自分の業務の棚卸しと必要な工数がざっくり見えてきたんです。時間が足りなければ、他のリソースを活用しないといけないと思い、そのタイミングで初めて橋本にも相談したんです。橋本はずっと前から提案してくれていたんですけど。
-橋本さんは、この時期の内藤さんをどのように見ていたのですか。
橋本さん:とりあえずどこまで突き抜けるか見ていました。体力的にはきついと思うのですが、すごく頑張っていたし、一回どこかで息切れしたタイミングで声をかけようと考えていました。
そしたら、風邪をひいて体調を崩したときがあったんです。
内藤さん:私の強みはやる気と体力だったのですが、それが歳に負けたんだと思います(笑)。風邪をこじらせて、ガラガラ声で過ごしてましたね。
それが結果として、自分の限度が見えたので、時間の使い方をもう1回振り返るきっかけになりました。あそこで一回息切れて良かったと思っています。
橋本さん:私は、よくメンバーの顔を見ています。今は頑張りたいときか、声をかけたほうがいいのか。どちらかを見極めています。
その上で、基本的なラインから外れると、「それは違う」と必ず言うようにしています。私は、「接点に命をかける」ことを重視していて、絶対に欠かせないところだと思っています。
社外向けの対応、社内向けの対応、どちらにしてもその接点を大事にしていない場面が見られたら、その瞬間に会議室に呼びます。
内藤さん:顔を見るというところだと、自分の表情って案外気づかなかったりするので、そういったところを察知してもらえるのは正直ありがたいですね。相談すると、「顔見てて思ったんだよね」って言うんですよ。
「個人の価値最大化」ができる組織づくりにコミットしていきたい
-3ヶ月経って、採用実績はどのくらいだったのですか?
内藤さん:3ヶ月で内定者が13名。入社者が9名です。ただ、採用目標数はどんどん増えているので、まだまだやらないといけないことは多いですね。
-3ヶ月で1人でそこまで採用するのはすごいですね!
橋本さん:採用は私と内藤の2人でやっていますが、おかげさまで今はほとんど内藤がメインでやっていて、私は人事・評価制度まわりに注力できています。
-最後に、内藤さんの人事に対する想いや今後の展望についてお聞かせください。
内藤さん:そもそも「個人の価値をどれだけ最大化させていけるか」が、自分が働く上でのモットーになっているんです。そのため環境や組織づくりができるようになりたいです。
ユニファでは、個人の価値を最大化しながら社会の仕組みを変える事業をつくり、さらに自社のメンバーの自己実現もしていく。その両方を成し遂げたいという欲張りな人事観を持っています。
そのための仕組みづくりや、社内の巻き込み方など、みんなが活き活きと働くために何ができるのか。そういう組織をつくっていくために、どういった施策が人事としてできるのかを考えながら、課題と向き合っているところです。
私の中で「こういう組織をつくりたい」というものがあって、個人の強みを伸ばしていくために、信じて任せられて、失敗を恐れずに挑戦できる。そういった上司や仲間がいる。
本当に皆が安心してのびのびと自分のやりたいことにチャレンジできる、組織をつくっていきたいですね。