AIを活用したSaaSソリューションを提供するAnyMind Groupが手がける採用管理システム「TalentMind」(読み=タレントマインド)の機能や特徴、効果についてご紹介。
TalentMindは、採用候補者の特性に関して、履歴書だけでなく「SNS上の情報」や「コンピテンシーテスト」をもとにAIが分析、スコア化までしてくれるということが大きな特徴のひとつです。
「履歴書だけでは、面接すべきかどうか判断が難しい」
「大量の応募者の中から、優先順位をつけて効率的に面接がしたい」
そのような課題・悩みに対し、力を発揮してくれます。現在はタイでサービス展開をしていますが、日本でのローンチも間近とのこと。
今回は、実際にタイでTalentMindの責任者として活躍されている、同社の近藤さんに、TalentMindの魅力についてお伺いしました。
なんと近藤さんは、大学在学中にAnyMind Groupに入社。その後、若干22歳でTalentMindを立ち上げています。
近藤 聖 |AnyMind Group Head of TalentMind
2016年に大学を中退し20歳でAnyMind Groupに入社。ベトナム支社の立ち上げメンバーとして新規開拓、広告の運用までの一連の業務を担当。グローバルトップセールスとして四半期MVPを受賞。後に新規事業の責任者としてTalentMindの事業開発に従事。現在は採用をはじめマーケティングや営業など、TalentMind部門内の全業務を統括。
目次
大学を休学してTalentMindを立ち上げた、近藤さんの経歴
大学入学後、インターンに明け暮れた日々
-近藤さんは、22歳という若さでTalentMindの責任者をされていますが、その経歴をまずは教えてください。
近藤氏:私はもともとそこまで勉強ができたわけではなく、ものすごく勉強を頑張ってなんとか神戸大学に入学できた感じでした。ただ、いざ大学に行ってみると、授業が自分にとって勉強になる実感がなく、つまらなかったんです。
大学卒業後のステージを考えたときに、一般的には就職してビジネスの世界に足を踏み入れることを想定していたのですが、「サッカーの練習をしないといけないのに、なんで野球の練習をしてるんだろう」みたいな感じで、大学での勉強がビジネスの世界で通用するのか疑問に思ったんです。
それから、「早くビジネスの場を体験したい」と、大学1年生の夏くらいから企業でインターンをするようになりました。
2年生になると、「神戸大学起業家育成ゼミナール」というものに参加し、一から事業をつくる経験をさせてもらいました。
神戸大学OBの経営者がメンターのような感じで学生について、ビジネスプランを練って実際に事業立ち上げをさせるという内容です。
そこで、「自分の経験で何か活かせるものはないか」と考えたときに、何も出てこなくて・・・(笑)。唯一、勉強を頑張って神戸大学に入学できた経験しかないなと。価値提供できるとしたらそこしかないと考えた結果、「塾の生徒へのコンサル」をやることにしたんです。
-塾生へのコンサルですか?
近藤氏:はい。コンサルと言うと少し大げさなのですが、受験生に対して、自分が実践してきた勉強法を伝授するといった内容です。塾に対して営業をおこない、“近藤コース”のようなものをつくっていただき、そこで自分のノウハウを塾生に伝えていくということを事業化して実践していました。
その後、大学2年生の2月、春休みになったと同時にフィリピンに3ヶ月間の留学に行きました。ただ、そこでは何もせずに遊んで過ごしてしまい、「ちょっとやばいな」と思って、帰国してキャリーケースを持ったまま東京に行きました。
特にあてもなく友人の家に泊まったり、シェアハウスを探したりしながら、東京でのインターン先を見つけ、働き始めました。そこからしばらくの間、東京でインターンをフルコミットする生活を続けていました。
しかし、「このままでは東京の優秀な学生と差別化できない」と感じ、「東京の学生でもあまり経験できないようなところに行こうと。海外で働きたい」という想いが強くなっていったんです。
そうして、海外でチャレンジできる企業はないか探していたところ、今の会社であるAnyMind Groupと出会ったんです。
AnyMind Groupとの出会い
-AnyMind Groupとは、どのように出会ったのですか?
近藤氏:実は私は“ベンチャー企業オタク”で、当時は本当に多くのベンチャー企業を調べていたのですが、その中でAnyMind Groupにビビッときたポイントがあったんです。
その当時はまだ設立して4ヶ月目の会社だったのですが、すでにシンガポールとタイにオフィスがあり、プレスリリースを見るとベトナムと台湾とインドネシアにも進出する予定だと。
資本金は開示されておらず、さらに資金調達をした形跡もないのに、わずか4ヶ月のうちに5拠点でビジネス展開している資金があるということは、すでにシンガポールとタイで完全に黒字化していて、新規拠点に投資できるくらいにビジネスが成功しているのではと思ったんです。
-めちゃくちゃ調べてますね(笑)。
近藤氏:この会社は絶対に伸びると思って、絶対にこの会社に入るって決めて、それから代表の十河(そごう)に直接アプローチしようと行動に移しました。
とりあえず、コーポレートサイトにメールを送って、十河のFacebookとtwitterを検索して、フォローしてメッセージを送って、、、ただそれでも気づいてもらえなかったんです。
他に何か接点を持てるプラットフォームがないか探していたところ、LinkedInに行き着いたんです。そこで、十河にコンタクトをとるためだけにLinkedInのアカウントをつくってコンタクト申請をしたところ、すぐに返信がきたんです。
十河いわく、「LinkedInは完全にビジネスのつながりだけのSNSなので、ビジネスで何かあるのかな?」と思って承諾したらしいです(笑)。
承諾がきた瞬間に、速攻で長文のメッセージを送りました。そこからなんとか面談にこぎつけることができ、入社することができました。それが20歳の9月のときです。
-入社後はどのような業務をされたのでしょうか?
近藤氏:ベトナム配属になり、全く英語が話せなかったのですが、ベトナム人のマネージャーと2人でいきなり支社の立ち上げを任されました。
現地の日系企業やグローバル企業に対し、Web広告の提案や運用をしていくのですが、そこまで知見があるわけではないので、本社にいるメンバーに聞いたり、本を読んだりしながら、もう必死に業務をこなしていきました。
「候補者データをスコア化」できる、TalentMindとは?
なぜ、TalentMindは誕生したのか?
-TalentMindが誕生するまでの経緯をお聞かせください。
近藤氏:十河がベトナムに出張で来たときに呼び出されて、「新規事業やりたいんだけどどう?」と言われて、「やりたいです」と。それで、新規事業をタイで立ち上げることになったんです。
「人材領域を攻めたい」ということだけが決まっていた状態でしたが、詳細は決まっていませんでした。そんな中、AnyMind Groupの採用状況を見たときに、1年間で200人ぐらい採用していたんです。
最終面接は基本全て十河が担当していたのですが、多くの応募があって、履歴書が送られてきて、その中から選択して面接をして、、、管理が煩雑になっていったんです。
また、履歴書と面接時のギャップが大きい候補者も本当に多くて、効率的なスクリーニングができないことも問題でした。なかには、「履歴書の内容の1割しか事実がない」なんて方もいました。
そういった課題を自社で抱えていて、そこを解消するためにTalentMindの構想が立ち上がったんです。
TalentMindの特徴|SNSなどから候補者データをスコアリング
-TalentMindの機能について教えてください。
近藤氏:TalentMindは、採用プロセスの効率化を目的とした採用管理ツールになります。
人事担当者は、採用候補者の一元管理はもちろん、AIを活用して求職者のスクリーニング、マッチングができることが特徴です。
現在「TalentMind Screening」を提供しており、今後は「TalentMind Analytics」を皮切りに、「TalentMind Sourcing」「TalentMind Matching」という3つの機能も実装する予定です。
今回は、TalentMind ScreeningとTalentMind Analyticについて、紹介させてください。
TalentMind Screening
近藤氏:こちらがTalentMindの大きな特徴になるのですが、AIを活用して、候補者のSNS情報や履歴書、コンピテンシーテストの結果などから、候補者をスコアリングすることができます。
手順としては応募してくださった候補者の方に、SNS連携の手続きと、17問からなるコンピテンシーテストを受験していただく旨のメールを送ります。対応後、最後に履歴書を添付してもらって終了です。
SNSからどのような情報を取得しているのか。たとえば、Facebook上で友だちは何人いるのか、どのようなつながりがあるのか。どういう人からどんな内容のコメントがきているのか。普段どんなコンテンツを発信・シェアしているのか。そのときに誰からどのくらい「いいね!」がきているのか。どの国にどのくらいチェックインしたことがあるのか。
そのような情報を通してスコアリングしていきます。
[SNS情報からスコアリングされたデータ]
[応募者情報画面でもスコアが見れる]
履歴書以外のデータをもとにスコアリングすることで、事前に候補者のインサイトを把握することができ、優先順位をつけて効率よく面接に呼び込むことができるようになります。
TalentMind Analytics
近藤氏:こちらは、組織内でパフォーマンスを発揮している従業員の能力や性格を分析することができる機能です。
たとえば、HR NOTE編集部で、「編集長である根本さんのような人材を採用したい」となったときに、自分を分析して、そのデータと類似した候補者を抽出して面接をしていくイメージです。
部門ごとに求められるスキルやカルチャーのマッチングが可能になり、エンジニアモデル、デザイナーモデル、セールスモデルなど、独自の採用モデルを築くことができます。
[パーソナリティ インサイト]
[ジョブ ポジション画面もひと目で把握可能]
TalentMind導入による効果とは?
-TalentMindを活用することで、具体的にどのような変化があるのでしょうか?
近藤氏:まず、数多くの応募に対し、「誰と会いたいか」というプライオリティ付けをすることができます。応募が来たタイミングで、良い候補者がいれば速攻で面接をセットアップしたいじゃないですか。
それがTalentMindであれば、すでにスコアリングされた状態で候補者一覧が画面上に並んでいるので、「誰がアツい」かがわかります。
ものすごく優秀な方が応募してくださっていたのに、見落としていたかもしれない。そのようなことがなくなるので、求める人材を獲得しやすくなりました。
-実際にスコアが高い方と面接されて、その精度はいかかでしたか?
近藤氏:TalentMindのスコアが高かった候補者に実際に会ってみると、そこまで大きなズレがなく、良い印象であるケースは多いです。
先ほども申し上げたように、今まで面接をする中では、本当に「履歴書の内容とまったく違う」というケースが多くて、効率的な面接ができなかったんです。盛りに盛られた内容の履歴書ばかりでした。
SNSだとそのあたりのリアルを発見できるため、候補者の個性を事前に見抜けるようになったのは非常に大きいですね。
最終的には100%の予測を実現したいと考えていますが、そこはまだこれからで、もっともっと精度をあげていきたいと思います。
また今後は、入社後のパフォーマンスなども計測できるようにして、その結果を機械学習し、スクリーニングのアルゴリズムの改善に活かせるようにしたいと考えています。
-タイの現地企業での採用事情はどのようなものでしょうか。
近藤氏:
日本同様に、求人媒体や人材紹介を活用している企業が多い印象ですね。また、タイの採用マーケットを見ると、今は買い手市場になっていると感じています。
そのため、一つの求人に対して多くの応募がくるのですが、どのようにスクリーニングしていくかが大きな課題となっています。また多くの企業で、候補者の管理がすごくずさんになっている部分はあると思います。
そもそも誰が今どの選考フェーズで、そのデータがどこあるのか。そういったことが日常茶飯事です。採用担当者も半ばあきらめていて、結構いきあたりばったりで対応している感は否めません。
履歴書をプリントアウトしてファイリングしている、「ペーパー管理」の会社も数多くあります。
-導入してみて各企業からどのような声がありますか?
近藤氏:まず、採用管理システムとして基本的な部分にはなりますが、簡単にデータをまとめられ、しかもずっとWEB上に保存できて、振り返りのときに検索しやすいようにもなっているのは、好評の声をいただいています。
また、TalentMindの特徴でもある、「候補者の個性を見抜く」ために非常に役に立っている、とのフィードバックなどもいただいています。
候補者のスクリーニングに関して、「こうやって判断しよう、優先順位をつけよう」と、各社それぞれのロジックがあると思います。しかし、タイだとそのあたりがゆるい印象があります。
そこを、書類応募の段階であらゆる観点からスクリーニングでき、さらにスコア化して優先順位づけをして、ある程度そこでふるいにかけられる。この部分を気に入って導入いただいている企業様が多くいます。
さらに、従来のペーパー管理から、データ管理になったことで、人事だけでなく経営者・事業部長もWEB上で候補者データを閲覧できます。
なので、「営業を採用したいけど、この方が気になる。選考状況はどうなっているんだろう」と、人事以外のメンバーが思い立った時すぐに積極的に候補者を探し、そこから人事部と連携して動くことも容易にできます。
会社全体として、TalentMindを一つの採用プラットフォームとして活用できることも大きなポイントですね。
TalentMindを「人事の働き方改革」に役立てたい
-TalentMindの今後の展望について教えてください。
近藤氏:今はタイのみでの展開ですが、日本での引き合いも多くなってきたので、日本での導入準備を進めているところです。今後は、日本におけるTalentMindのシェアを伸ばしていきたいですね。
また、個人的な想いとしては、採用管理システムのマーケットを国内外問わず俯瞰して見たときに、もっと各プロダクト同士がAPI連携(※)をして、人事業務を効率化する動きがあっても良いのではないかと思っています。
API(Application Programming Interface)とは、「プロダクトの機能とその仕様書」を意味し、WEB上にAPIを公開することによって、誰でも外部から利用することができます。APIを活用することで、他社間の異なるプロダクト同士でも機能連携が可能になり、サービスの向上につなげることができます。
TalentMindのビジネスを拡大していくと同時に、各プロダクトがAPIをどんどん公開して、どんどん連携することで、より良いHRのプロダクトが生まれる。そのようなマーケットになれば良いなと思っています。
-今後、日本におけるTalentMindの展開が楽しみですね。
近藤氏:ありがとうございます。
TalentMindを活用してもらい、履歴書さばきにかかっていた時間を、よりやるべき業務へとシフトしてもらいたいですね。
人事の方は、ルーチン業務に時間をかけるのではなく、もっと既存社員や新入社員に対して、トレーニングを実施したり、1on1を実施したり、より適切な人事評価制度をつくったりするための時間をつくっていくべきだと思います。
それが最終的に、離職率の低下や会社へのロイヤリティーの強化につながっていくと考えています。
会社にとって必要な従業員を、しっかりと長い間チームとして仲間として活躍してもらい、業績をどんどん上げていく。そのような仕組みづくりが大切です。
将来的には、TalentMindが「人事に関わるあらゆる人たちの働き方改革」に貢献できるようになりたいですね。