エンジニアにこそ、まっすぐにビジョンを伝えよーKaizen Platformの"掛け算"型、採用広報術 | 人事部から企業成長を応援するメディアHR NOTE

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エンジニアにこそ、まっすぐにビジョンを伝えよーKaizen Platformの”掛け算”型、採用広報術

「エンジニアがとれない」
「どっかにいいエンジニアいない?」
「いやぁ、ほんと、エンジニアってどうやったら採用できるんだろう」

採用広報の仕事をしていると、週に一度はこんな声を直接耳にします。

IT・WEB業界で課題とされている圧倒的なエンジニア不足。絶対数が少ないのは言わずもがなですが、皆さんは果たして、どのようにしてエンジニアに「自社の魅力をアピール」していますか?

今回、ご紹介するのはCTOと人事が連携し、エンジニアを半期で、3名、採用することに成功した株式会社Kaizen Platform

その内訳も「人材紹介以外での採用」という、是非とも真似したい事例をご紹介します。話を伺ったのは、同社CTOの渡部拓也氏。

【人物紹介】渡部 拓也 | 株式会社Kaizen Platform CTO

2004年一橋大学商学部卒業。同年NTTコミュニケーションズ株式会社に入社、その後、株式会社グラファイトやニフティ株式会社などでエンジニアとして数々のプロジェクトに参画し、クライアント/サーバ型システムの構築やインターネットサービスの開発に携わる。2010年にグリー株式会社Native Game事業本部で開発と事業の責任者を務める。2014年スマートニュース株式会社で広告プロダクトマネージャを務め、2016年10月にKaizen platform, Inc.参画、CTOに就任。

本記事をお送りするのは、株式会社PR TableでPRコンサルタントとして、企業のコーポレート・ブランディング課題の改善から採用広報まで、あらゆるお手伝いをしている後藤亮輔です。どうぞ宜しくお願いします。

【採用担当者必見】人手不足で採用に注力しなければならない
今こそ知っておきたい「リファラル採用」のすべて

本講演では、2023年3月に著書『戦わない採用』を出版した株式会社TalentXの鈴木氏より、社員が自社を紹介したくなる仕組み作りや、従業員満足度向上施策についてお話いただきます。採用コストを抑えながら、カルチャーマッチした人材を採用できるリファラル採用のメリットだけでなく、それを実践するための組織作りの方法まで詳しくご紹介します。

 ▶視聴予約はこちら:https://hrnote.jp/dx-action-summit-2023/

数年後、採用は回らなくなる。だから今、投資をした

後藤:まず、採用広報を強化させた背景について、お伺いしてもいいですか?


渡部
:そもそも、スタートアップということで、目先の採用に必死でした、私も人事も。でも、それだと中長期的な戦略が何も練れない。

それに僕たちのサービスも大きく変わってきている中で、Kaizen Platformが一番露出していた当時のサービスイメージが強く定着してしまっていて、僕が毎回、面接で「いや、今は違うんだよ、Kaizenって会社はね・・・」と説明していました。

週に8人、1時間ずつ使っていたとなると・・・あまり考えたくありませんよね(笑)。あと、うちの会社の組織体だと採用担当を専任で雇うのは数年後だなっていう感覚があったので。

つまりは、僕が抱えている「目下の課題」と、「中長期的な採用におけるネック」の両方を解消したいと思ったからです。


後藤
:採用広報に人員、そして費用を割く決断ができる企業もほとんどいないのかなと思うのですが、そこの理解があったわけですね、御社には。


渡部
:別に内部の人だけでやる必要ってないので、むしろ外部の力をお借りすればいいだけの話です。

メルカリさんのように発信のリソースが取れればいいけど、取れなければ別にわざわざ自分たちで作る必要はない、というところでPR Tableさんを活用してやろうと。

いずれにせよ、採用広報を強化しないと情報の積み上げができない。オーガニックな流入を増やさなければ、今はよくとも将来的に会社を創ってくれる人材の確保が難しいと考えたわけです。


後藤
:「長期的な資産を作る」という考え、意外と持つことが難しいと思いますが、そこには経営者の理解がなければ難しいですよね?


渡部
:その通りですね。人事が、というより特にスタートアップとかベンチャー界隈だと、経営者の思想も正直あると思いますね。

「いいから目の前の採用!」、「この人が欲しいっていうものを充足させてくれ!」というニュアンスのほうが、台所事情的には大きいと思うんです。特にスタートアップともなると。

そうするとやっぱり短期的なほうに目が向きますが、代表の須藤は理解があった。ただ、採用広報における予算をどうやって獲得するかっていう話は別です。

「そういう事はすごく大事だよね」と理解を示してもらえた。だったらそれに対する施策にも同意を得ることが必須です。

「何のために」「どうやるのか」「短期的じゃなくて中長期的にこういうふうな世界観を作る」というポイントをロジックを組んでしっかりと伝え、予算を確保しました。

あと、「これくらいの結果を出します」っていう概算も出すことで、経営陣に判断がしやすいような情報が出したことで、実施することができましたね。

採用はビジネスを作ることと同じ。予算をとる、上手く使う

渡部:CTOも人事でもそうなんですが、ビジネスを作るのと基本的に同じ考えです。

なぜこれをやるのか」「そのためにどうしてこの予算が必要なのか」という話ができれば、短期的であろうが、中長期的であろうが、経営者に打診自体は出来るわけですから。

まさに稟議をとるということですね。ここに関しては人事主導になって、短期的な戦略中長期的な戦略の両方を立てもらい、「年間でどうやっていきます」っていう戦略を詰めてもらいましたね。

勘違いされている方も多いと思うのですが、採用広報は採用のための施策ですから、切り離して考えてはいけない。採用活動の中のやらなきゃいけないTo Doだと思います。


後藤
:短期的な施策で採り続けていたら予算はいくらあっても足りない。中長期的な数字面を意識しての施策を提示し、合意を得たと。


渡部
:はい。コストを下げるっていうのは経営の目線なんですが、一方で、僕の面接時間、そして人事の仕事をいかに“リストラするか”という観点もありまして(笑)

自分たちがアクションしなくても、自然に運用されているということ、自然と稼働されているものが増えれば、その分浮いた時間は別のことに注力するために使えるわけなので。


後藤
:少しだけ、資料を覗くことって可能でしょうか?


渡部
:いいですよ、これです。人事が社内のドキュメント管理ツール上で課題と企画をまとめ、その後経営陣に提案という形で予算を獲得しました。

人事と一緒に戦略を立てるうちに、中期施策はどうかという点は、2~3年後にこういう姿にしたいと提示しました。

採用広報は”掛け算”するもの。組み合わせると、効いた!

渡部:具体的にまず、何をしたか?となると、indeedとのコラボ施策です。

indeedに求人を乗せて、広告を回す。そこから自社の採用ページに飛ぶので、そこに採用広報向けに作ったコンテンツを置き、弊社が実現したい未来像への共感とエンゲージメントを高めていくというところですね。


後藤
:結果はどうでしたか?


渡部
:応募は増えましたね。HPで2年間で21件だった応募が、2018年1〜3月の期間で35件という効果を得ました。もちろん、これはindeedの活用が大きかったと思うのですが、ポイントは承諾率です。

正直、1月~3月は内定の数は結構出たのですが、辞退も多く、かなり苦戦しました。ただ、4月からのクオーターになると内定をお出ししたら、今までよりスムーズに承諾してくれるようになりましたね。

採用広報のためにコンテンツを作り、応募段階で必ず目に触れるところに置き、面接のご案内と共にお送りしたところ、エンゲージメントが高まったのではないかと感じています。


後藤
:いい感じにサイクルが回り始めていますね。話は少し変わるのですが、リファラルの比率はどうでした?前述の資料に書いてあるものだと、「チャネルが限られている」と書かれていましたので。


渡部
:変わりましたね。たとえば昨年度だと、僕の知り合いが5人とか入ってたり。あとは他のメンバー経由で3人とかでしたが、頑張ってるのは僕とその人だけでした。

協力者が限定されているっていうことは組織的にも課題だったのですが、メンバーからの社員紹介が多くなりました、特にエンジニア。

エンジニアはPR Tableを使った採用広報とは別に、最近はチームでブログを頑張っていたりとかするんです。

技術の話はエンジニアにやってもらわないとだめなので、そっちははてなブログを使って、メンバーで投稿をおこなっています。

エンジニアは人、ビジョンやメッセージを真っ直ぐに伝えるべし!

後藤:意外と、自分の会社のことをうまく説明できない方が多いんですよね。個々人が何をやっているかは話せても、会社がどこを目指しているかを話せる人は少ない。「●●年に上場目指してます!」とかは言えたとしても。


渡部
:思いますね。弊社の場合、新しい概念を形にしたサービスであるがゆえに、わかりにくい側面もあります。

それにおっしゃる通り、会社がどこを目指しているかはわかってはいるけど、口頭で説明することって意外と難しかったりする。テキスト、もしくは資料にまとまっていることって、意外と大事なんですよね。

実際、プロダクト開発側の人間が登壇した際、弊社の須藤がビジョンを語っているストーリーを紹介したら、「え?そんなビジョンの会社だったの?ABテストのツール屋さんじゃなかったんだ!」というフィードバックをもらったと聞いています。

そしたら、「新しい働き方と雇用の創出をしたいという本気の姿勢、共感する。ちょっと話聞きたいんだけど」、みたいなお問い合わせが社員の知人から2~3件ありました。で、実際に選考を受けていただいたケースもあります。


後藤
:それは、いいエピソード。


渡部
:「あれ?ちょっと思ってた会社と違うけど、リアルの方がいい」という反応を受ける社員にもよい影響がでますからね。

今回の採用広報では最も大事にしていた、Kaizen Platformを的確に知ってもらう部分が、結果につながったと思います。小さなきっかけですけど、ゼロを “1” にできたことに価値があると思っています。


後藤
:今のエピソードを聞いていると、エンジニアも心踊るポイントって、同じなんですよね。でも、なぜか皆さん臆病になっている。そこのギャップって何なのでしょう?


渡部
:非エンジニアの人たち(人事も含む)が「エンジニアのことは根本的にわかることなんでできない」と決めつけてしまっているところは1つあると思います。

その結果、自社のエンジニアの仕事の凄さとか面白さを伝えられていないんじゃないかと思います。これはエンジニアに限らず、どの職種を魅力づけする上でも同じですよね。

「エンジニアのおかげで、自分の生活や自分の仕事がこんなふうに楽になったよ」「早くなったよ」という、彼らの価値であり成果を理解して、伝えてあげればいいと思うんです。

私たちも自社のエンジニアのおかげで、救われるユーザーのひとりでもあるわけですから。

だから、エンジニアリングのことをわかってなくても最悪良いと思うんです。ただ新しいテクノロジーに対してや、分からないことに対して、分からないと言えるとか、素直なパーソナリティは大事ですね。

また、「IT/Web業界にいるのであれば、新しいサービスはツール、テクノロジーに興味をもって簡単にキャッチアップする」くらいの気概も大切だと思います。

全部押し並べて出来る人は、きっといない。エンジニアの採用、採用広報にフォーカスするのだとすると、やはり現場で活躍している社員、自分の専門領域外の人たちとコミュニケーションとって、いかに巻き込めるかが肝だと思いますよ。

巻き込んだ上で、人事は「会社としてエンジニアに向けて何を発信するのか?」「逆に現場のエンジニアは何を発信すべきなのか」といった戦略は自身で立てて、うまく現場とコミュニケーションをとっていくことがエンジニアの採用広報をうまくワークさせる1つのポイントかなという気はしますね。

うちの人事がまさにそれですね、僕は何度も巻き込まれましたから(笑)

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今、知っておきたいテーマについて豪華ゲストが生解説!

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