「他社が真似できない仕組みで勝つ」フィードフォースが仕掛ける『エンゲージメント採用』とは? | 人事部から企業成長を応援するメディアHR NOTE

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「他社が真似できない仕組みで勝つ」フィードフォースが仕掛ける『エンゲージメント採用』とは?

  • 採用
  • 採用戦略・要員計画

※本記事は、インタビューを実施したうえで記事化しております。

今回は、ネットマーケティング・テクノロジーサービスを提供している、株式会社フィードフォースが仕掛ける「エンゲージメント採用」についてご紹介。

フィードフォースでは、新卒一括採用を廃止するなど、既存の概念を捨て、新しい採用の仕組みづくりにチャレンジされています。

では、エンゲージメント採用とはどのようなものなのか。その実施背景や具体的手法や考え方について、人事部の渡邉さんにインタビューさせていただきました。

渡邉 康晴| 株式会社フィードフォース 人事部 マネージャー

新卒でスカウト・ヘッドハンティング企業に就職。スカウトエージェントとして3年間で1000名以上とキャリア面談、クライアントの経営課題を解決する人材採用を支援。その後、富士通系企業にて人事としてのキャリアをスタートさせ、2014年にフィードフォース人事部立ち上げメンバーとして入社。

本質的なマッチングを目指す「エンゲージメント採用」とは?

-まずはエンゲージメント採用の概要についてお伺いしたいです。


渡邉氏
:いままでの新卒・中途採用の常識や概念を捨て、本質的にマッチングした採用の実現を目指すことが、エンゲージメント採用になります。

具体的には、「新卒採用は大卒生だけ」「中途採用はスキルがないといけない」などとこだわらずに採用対象を広げ、候補者のポテンシャルやカルチャーフィットを重視して採用活動をしていきます。

ですので、新卒一括採用も廃止しました。エンゲージメント採用の応募要件は「フィードフォースのミッションに共感する」「30歳未満」の2つだけです。既卒者・第二新卒者・就職活動の時期がすれた方なども自由に応募いただけます。


-そもそも、エンゲージメント採用を実施するに至った理由は何だったのでしょうか。


渡邉氏
:もともとのスタートは、2017年の夏に採用プロジェクトチームを立ち上げて、今後の採用について議論したことですね。

弊社は総合職とエンジニアの採用がメインなのですが、そこで出てきた話は大きく2つです。「採用の戦い方を変えよう」と、「採用のPDCAを早くまわしたい」ということです。

1つ目は、「採用競争が激しいので戦う場所を変えたい」という声があって、特にエンジニアの採用の難易度が年々上がってきています。そこで、採用手法なのか、採用ターゲットなのか、「どうにかして激戦区から抜け出せないか」という話になりました。

2つ目は、当時実施していた新卒採用をブラッシュアップしようとした際に、PDCAが1年単位でしかまわせないことに気付いたんです。母集団形成、会社説明会、面接、口説き、内定者フォロー。それぞれのフェーズにおける反省を活かすには翌年になってしまいます。

その結果、「翌年には、また状況がガランと変わっているので、結局反省が活かせない」。変化の激しいITの業界にいて、農業のような年単位でのPDCAサイクルはどう考えても合わないと感じていました。

「そもそも新卒採用だけのフィールドで勝負すべきなのか」「1ヵ月、2ヵ月単位でPDCAをまわしていきたい」そういった議論が進んでいって、具体的に形になってきたという経緯ですね。


-採用プロジェクトチームを立ち上げたのはどういった背景があったのでしょうか?


渡邉氏
:それは、採用における課題感として「採用を成功させるためには、人事だけが頑張っても難しい」ということがわかってきたからですね。

やはり、現場の意見や現場の力をガッツリ活用しないと採用はうまくいきません。これまでも協力はしてもらっていたのですが、どちらかというと「人事がお願いして動く」という感じでした。

そうなると、「コミット感」が弱くなるので、アイデア出しから現場が採用にコミットする形をつくりたかったので、プロジェクトチームを立ち上げました。


-採用プロジェクトチームの選抜方法などはあるのでしょうか。


渡邉氏
:選抜はしておりません。シンプルに立候補オンリーです。本人のやる気が1番大事なので、そのようにしています。立候補してくれるかちょっとヒヤヒヤしましたが、集まってくれてよかったです(笑)。

現在は私含めて8人のチームとなっていて、エンジニアが2人、セールスが4人、広報が1人、人事が1人という構成になっています。

「フィードフォースを良くしていきたい、良い人材に集まってもらいたい」という思いが強いメンバーが集まっているように感じています。

エンゲージメント採用から生まれた「e-Navigator」と「work plus」

-実際に、エンゲージメント採用をどのように実施しているのかお伺いしたいです。


渡邉氏
:エンゲージメント採用において、職種はエンジニア採用、総合職採用と大きく2つに分けて実施しています。

エンジニア採用は求人広告や紹介を一切使わずに、エンジニア学習支援プログラムe-Navigator」を入り口として採用活動を展開しています。

総合職に関しては、大手の就職サイトなどは使わずに、新卒・若手向けの紹介会社やマッチングサイトを活用しています。

エンゲージメント採用以外のスキルが求められる即戦力の採用は、今まで通りのやり方で実施しています。


-エンゲージメント採用を実施する上で、ポテンシャル、カルチャーマッチを重視する背景はどのようなものでしょうか?


渡邉氏
:特にエンジニア採用で顕著だったのですが、今まではどちらかというとスキル重視の採用をしていたんです。

新卒採用においても「大学3年生のこの時点で、このくらいのスキルがあること」みたいな。しかも、相当な高いスキルを求めていました。そうすると、エンジニア志望の学生の中でも対象がかなり限られて、そのような人材は当然他社も欲しいはずなので、ものすごくバッティングします。

そこを、「これからは大学3年生のこの時期に別にスキルが無くても、入社後の成長角度が高ければ問題なし」としたんです。

「じゃあ、そのためのポテンシャルを重視して見ていこう」とガラッと変えていくことになりました。

そして、入社後に育成をしていくうえで「上手く育ってくれる」、あるいは「社内のメンバーが気持ちよく育てることができる」。そういう環境をつくらないといけません。

そのためにカルチャーマッチが重要になります。自社の文化、価値観、考え方にマッチすればするほどエンゲージメントは高まり、明らかに成長速度は早まります。

また、カルチャーにマッチしている人材は、事業や仕事が変わってもすぐに対応・活躍できる確率が高いと思います。

よく海に浮かぶ氷山のように三角形の図を書いてあらわしているのですが、海水面に出ているのがスキル、これは目に見えてわかります。ただ、これは別にあとからも身につけられるものが多くあります。

大事なのは、その水面下にある「人柄」や「行動特性(コンピテンシー)」です。そういった「目に見えにくいけれど、その人の多くを占める部分」を見ていこうと議論しました。

そして、カルチャーマッチ採用をするうえで重要なのは、あらかじめ候補者の方々にもフィードフォースのミッションやカルチャーを知ってもらうことです。

しかし、フィードフォースの認知度はまだそこまで高くはありません。それであれば、「自社のカルチャーをもっともっと発信していこう!」と、「働く」が豊かになるメディアwork plus」が生まれました。

エンジニア学習支援プログラム「e-Navigator」とは?

-先ほどもお話にあった、御社のエンジニア採用を支える「e-Navigator」の概要と特徴について教えてください。


渡邉氏
:「e-Navigator」は、若年層向けエンジニア学習支援プログラムです。

受講者には「Ruby on RailsというWebアプリケーションフレームワークで日程調整アプリをつくる」という課題をおこなっていただきます。

プログラム受講は無料で、リモートで参加できるため受講者のペースで学習を進めることが可能です。弊社エンジニアのレビューやフィードバックを受けながら取り組んでいただきます。

エンジニアとしてスキルをつけて就職したい方を後押しすることが主な目的で、自社の採用色は一切出していません

プログラムを通して、フィードフォースに興味を持ってくださる方がいた際にだけ、応募をしていただいています。


-課題はどのくらいで終了するものなのですか?


渡邉氏
:期間は設けておりませんが、目安としてだいたい20時間前後だと思います。わりと慣れている方だと10時間ちょっとできるイメージです。

そして、課題が修了すると、自分のつくった日程調整アプリを使って私と面談調整をします。私がファーストユーザーになります。

その面談は選考ではなく、フィードバック面談です。この時点で弊社に興味がなくても別に問題ありません。調整後は、フィードバック担当だったエンジニアが直接またはSkypeなどでフィードバックをしていきます。

そしてお祝いで、「技術書」を差し上げています。そこまでやってはじめて、「フィードフォースに興味はありますか」という話をします。興味があればその後、選考の案内をする。興味がなければそれで終了という感じです。


-e-Navigatorへの応募はどのくらい集まったのですか?


渡邉氏
:2017年の12月中旬ぐらいからリリースしたのですが、そこまで大きな告知はしていないにも関わらず、2018年2月26日時点で111名の方がe-Navigator を受講してくださっています。

スキル感としては、初級者から中級者ぐらいの方が多い印象です。初級者の方だと「Railsをこれから勉強しようとしてます」というレベル感。

中級者であれば、「他の言語は経験があるけれど、Railsはまだ実務経験がなく、最近勉強しています」といった感じです。


-100人の応募から選考にはどのくらい進んでいるのでしょうか?

 

渡邉氏:開始2ヵ月の時点ですでに5名の方がプログラムを修了されています。2名が他社へWebエンジニアとして転職、1名がこれからフィードバック面談をおこなう、そして2名がフィードフォースへの選考に進んでくださっています。

そして、私たちもびっくりしたのですが、フィードフォースの選考に進んだ2名はそのまま内定まで至ったんです。


-それはすごいですね!なぜ受講者の方々は、フィードフォースの選考に進もうと思ってくれるのでしょうか?


渡邉氏
:それは、e-Navigatorを通して丁寧にコードレビューをするからだと思います。

「コードレビューの文化が無い会社」って実は結構あるのですが、フィードフォースは非常に丁寧にコードレビューをおこなう文化があります。レビューを受けてコードの品質を上げていくことが当たり前の社風となっています。

そのため、受講者はコードについてわからないことがあれば、e-Navigatorを通して弊社エンジニアが優しくヒントを教えてくれます。そういった過程を経験できることが新鮮なんだと思います。

「こうすると周りの人がわかりやすいよ」「このくらい区切って出したほうがレビューする側としてやりやすいよ」と、レビューを通して“チームで働くお作法”みたいなものが身につくんです。

これは1人でやっていても身につかないものなので、非常にプラスとなる経験だと思います。

「チーム開発」のノウハウは、チームで開発した経験がないと身につきません。コードレビューを通して、その一部を知ることができるのは大きいと思います。

e-Navigatorを受講していく中で、「先輩のエンジニアがこうやって教えてくれるんだ」「こんな感じでコードレビューって進めるんだ」ということを経験でき、それがきっかけで「フィードフォースってどんな会社なんだろう」と興味を持ってくれます。

以下は、e-Navigatorを受講した方々の感想です。

  • ここまで丁寧にレビューしていただけるとは思いませんでした。レビュー文化など、働く雰囲気をイメージすることができました。
  • 楽しくて、1週間熱中して取り組めました。レビュアーの方も自分の熱意に応えてくださいました。
  • これまで Rails は独学で勉強していたので、チーム開発という観点からもアドバイスをいただけました。チーム開発やそれに必要なGitの使い方を実践することができて良かったです。
  • コードも GitHub も、「これで大丈夫なんだろうか…?」と不安だったので、何かと教えていただけて大変勉強になりました!


-ちなみに、他社に転職されている方も2名いますが、御社にとってそれは全然問題ないのでしょうか?


渡邉氏
:はい。IT業界全体でエンジニアの数が足りていないので、業界全体を盛り上げることに貢献できるのであれば、全然問題ありません。

ですので、サイトにも記載しているのですが「ご自身が書いたコードですので、就職活動時のアピール材料の1つとしていただければと思います」と言っています。

自社文化の理解促進に貢献するメディア「work plus」

-次に、「自社のカルチャー発信する」ためにつくられた「work plus」についてお伺いしたいです。


渡邉氏
:「work plus」は、フィードフォースのカルチャーを多くの方々に知っていただくことを目的に、自社のミッションである「働くを豊かに」をテーマとして情報発信しているメディアです。

最初は、メディアではなく、「フィードフォース採用ブログ」のようなものを考えていたんです。

ただ、知名度が無い会社の広報・採用情報を「そもそも知りたいだろうか」と思ったんです。「自分だったら見ないな」って。

また、「広報・採用のため」という目的のブログを立ち上げて、「兼任メンバーが多い中で継続できるのだろうか」と疑問に感じたんです。

「採用のため」という短期的な目的ではなく、もっと大きな目的を掲げないと、中長期的には続かないのではないかと思いました。

そういった流れがあっていろいろ考え直して、自社の情報だけでなく、「働くを豊かに」をテーマに多くの人に役立つメディアをつくろうとなりました。


-どういったコンテンツが掲載されているのでしょうか。


渡邉氏
:コンテンツは1ヵ月に5本~10本くらいを目処に採用プロジェクトチームが兼任で作成しています。

コンテンツの内容は、たとえば

といったものがあります。SaaS×ITを活用して個人の「働く」が豊かになるためのコンテンツ作成を意識しています。

またときには、社員のインタビュー記事も掲載していきます。たとえば、「研究一筋だった私が白衣を脱ぎ捨ててITベンチャーで働く理由」という記事。新卒2年目の社員で、理系の大学院でフラスコ振っていた人間がなぜフィードフォースに入社したのか。その背景をインタビューしています。


-work plusを活用して、今のところどのような変化がありましたか?


渡邉氏
:目に見えた変化・効果はまだまだこれからといったところです。

あるとすれば、弊社の応募者の方がwork plusを見てくださって、フィードフォースの理解促進ができているという点です。

たとえば、「こういうやり方でコミュニケーションを促進しているのが良いと思いました」「社風がわかるきっかけになりました」という声をいただくことが多くなりましたね。


-work plusを通して、今後仕掛けていきたいことはございますか?


渡邉氏
work plusでとれるデータを採用に活かしたいですね。

他社の求人広告などに出稿していても、「どんな属性の人がどのくらい訪れていて、何をクリックしているのか」といった正確なデータがとれないんです。

work plusのアクセスがある程度増えて、そこから採用ページへ誘導できれば、「どの記事から、どのくらいのアクセスがくるのか」「どういう属性の方がくるのか」「どの職種が応募してくれるのか」など、そういったデータをとることができると思います。

そこから、「この記事を読んでいる方に、この内容のターゲティング広告を打つ」といった、新しい母集団へのアプローチも可能です。

さらに、「こういう記事を月何本書けば、これぐらいの応募数が見込める」と、年単位ではなく、月単位で高速PDCAをまわせるようになります。

今は、そのような種まきをしているところですね。

他社が真似できないフィードフォース独自の仕組みをつくりたい

-最後に、今後の展望などをお聞かせください。


渡邉氏
:まずは、e-Navigatorをコミュニティ化していきたいですね。受講して終わりではなく定期的な勉強会を実施するなど、長期的な交流の場をつくりたいです。

「受講生や卒業生が集まったイベントの開催」「卒業生がe-Navigatorの講師をやる」となど、さまざまなことができると思うんです。e-Navigatorのブランド自体をリアルの場も含めて高めていきたいです。

また、先ほどお話したデータの活用。自社でしっかりとデータを取れる仕組みをつくって活かしていきたいです。これまでできていなかった、「マーケティングする採用活動」を実現したいですね。

フィードフォースの強みが活かされていて、他社が真似できない。そういった仕組みがつくれたらいいですね。

 

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