「デザイナーを採用したいけど、求人サイトや紹介では採用できない」そのように感じている人事担当者の方もいらっしゃるのではないでしょうか。
近年、サービスの中で重要とされているのが、UI/UXです。サービスを通してどのような体験をユーザーにしてもらうかで、サービス内容が同じだとしても、ユーザーからの反応は大きく異なります。
そのUI/UXに携わっているのが、デザイナーです。そのため、デザイナー採用が注目されています。
今回は「デザイナー採用」について、
- デザイナー採用を取り巻く現状
- デザイナーの採用ステップ
- デザイナーの採用手法
などについてご紹介します。ぜひ最後までご覧ください。
目次
1.デザイナー採用を取り巻く現状
「デザイナー採用は難しい」と言われていますが、その理由には様々なものがあります。まずはデザイナー採用に関する現状をおさらいして、デザイナー採用がなぜ難しいのかを解説していきます。
1-1.デザイナー需要が増加
世界的な有名企業がデザイナーの採用割合を増やしています。下記のデータは、デザインに特化したクロスプラットフォーム・コラボレーションツールFigmaの共同ファウンダーでCEOのDylan Field氏が集めた情報です。
Dylan Field氏によると、2012年前後と比べて、2017年のデザイナーの割合が大きく変化しているようです。たとえば、IBMは2012時点では、デザイナーとエンジニアの割合は1:72でしたが、2017年には1:8にまでデザイナーの割合が増えています。
【参考文献】過去5年間でデザイナーの採用目標が倍増――大手6社のデータに見るデザイン人材の動向
1-2.UXの設計まで広がるデザイナーの役割
デザイナー採用が多くの企業から注目されている理由は、デザイナーの役割が広がっているからです。
従来のデザイナーの役割は、見た目や表面の美しさなどのビジュアル面の設計でした。しかし、現在のデザイナーの役割は、UX(ユーザー体験)の設計やブランディングなどにまで広がっています。特に優れたUXの設計は、重要視されています。
近年、SaaS型サービス(クラウドで提供されるソフトウェア)が多くリリースされていますが、サービスを導入するだけではなく、ユーザーにどのような「経験」を提供するかが重要です。そのため、UXの設計が重要視されています。
このようなUXの設計やブランディングなどをおこなうため、多くの企業もデザイナー採用に注目しており、年々デザイナーの有効求人倍率も上がっています。
2.デザイナー採用が難しい原因
それでは、デザイナー採用が難しい原因は何でしょうか?ここでは3つご紹介します。
①競争率が高い
そもそも、デザイナーの数が増えているといいつつも、デザイナーの人口はまだまだ多くありません。
経済産業省特許庁が発表した「デザイン制作ハンドブック2020」によると、15歳以上のデザイナーは2015年時点で約19万人。デザイン業の従業者数は2016年時点で約4.1万人で、全産業に占める割合は約0.07%と非常に少ないです。
この希少な人材を各企業が取り合うと考えると、その競争率の高さが分かります。
②働き方が多様化している
デザイナーとして働く際には、必ずしも出社が必要なわけではなく、自由な働き方が可能です。そのため、フリーランスとして働くデザイナーも数多くいます。
もちろん、同じデザイナーとしての採用でも、その会社の働き方が求職者の希望とマッチしていなかったら応募に至りません。
他社よりも、またフリーランスとして働くよりも魅力的なポイントがあることが必要になります。
③従来の手法が通用し辛い
デザイナーはスキルがあれば多くの需要があるため、転職エージェントや求人サイトなどのサービスを介さずに直接希望する会社に応募し転職するというケースも多いです。
そのため、求人広告や人材紹介など、従来の採用手法をとっても効果が見込めないこともあります。
3.デザイナー採用には新卒or中途?
デザイナーの採用を検討している方は、そもそも新卒が良いのか、中途が良いのか迷われている方も多いのではないでしょうか。
本章では、新卒、中途でデザイナーを採用するメリット・デメリットを解説します。
デザイナーを新卒で採用するメリット・デメリット
メリット
デザイナーを新卒で採用するメリットは主に2つあります。
1つ目は、将来のコア人材になる可能性があることです。新卒で入社する方は自社の経営方針や理念に共感して入社する方が多いです。そのため、企業に対する忠誠心が高く、しっかりと仕事にコミットするため、育成をすれば将来社内のコア人材として活躍する可能性が高いのです。
2つ目は、採用コストや給与などのコストが低いことです。新卒一括採用により中途社員に比べ、1人当たり低いコストで採用することが可能です。また、給与やボーナスも低いためコストをかけずにデザイナーの採用をすることができるでしょう。
デメリット
デメリットは、育成にかかるコストや時間がかかることです。中途で入社する方に比べ、デザイナーの仕事に関する知識やスキルが低いことがほとんどです。そのため、育成に時間がかかったり、研修費などのコストがかかったりします。
いかに、学生時代にデザイナーとしての経験を積んでいて、なおかつ企業に対する共感も得ている学生を採用できるかがポイントになってくるでしょう。
デザイナーを中途で採用するメリット・デメリット
メリット
デザイナーを中途で採用するメリットは即戦力人材を採用できることです。また、これまでにデザイナーの経験を積んでいる方を採用することにより、即戦力人材として活躍してくれることに加え、育成にかかるコストや時間も削減できます。
急にデザイナーが必要になった場合には即戦力となる中途の採用がカギになるでしょう。
デメリット
デメリットは、早期の離職に繋がる可能性があることです。デザイナーは比較的転職頻度が多い特徴があります。採用の際にも会社への理解や関心が低くても採用をしてしまう場合も多いです。そうすると、「思っていた仕事内容と違った」「仕事内容は良いが会社の雰囲気に合わない」などのミスマッチが生じ、早期離職に繋がってしまうのです。
しっかりと周りとのコミュニケーションがとれ、会社に対する理解も高いデザイナーを中途では採用できるかがポイントになるでしょう。
即戦力となる人材が今欲しいのか、それとも将来的にデザイナーとして中核を担う人材が欲しいのかなど様々なことを考えたうえでデザイナーの採用を行うようにしましょう。
4.デザイナーの採用ステップ
では一体デザイナーを採用するためにはどのようなステップを踏めばいいのでしょうか。デザイナーの採用は以下の5つのステップが重要になります。
- 採用計画を立てる
- 採用したいデザイナーの要件設定
- 採用手法の検討
- 広報活動
- 選考・内定
ひとつひとつポイントを踏まえながら解説します。
1.採用計画を立てる
採用計画は採用活動における指針を示します。採用のスケジュールや採用人数、予算など採用に関する大枠部分を決めます。人事担当者だけでなく、経営者や現場担当者へのヒアリングも行うと、よりデザイナーに寄り添った採用計画になるでしょう。
また、採用の目的を明確にしておくことにより入社後のミスマッチやトラブルを防ぐことができるでしょう。
2.採用したいデザイナーの要件設定
「どのようなデザイナーを採用したいか」を詳細に設定します。この要件設定をしっかりと行わないと入社後のミスマッチに繋がる可能性があるので非常に重要なステップです。
主に設定しておくとよいデザイナーの要件は以下の6つです。
- 年齢
- 仕事内容
- 求める経験やスキル
- ポジション
- 年収イメージ
- 人物像
また、必要な要件をすべて満たすデザイナーは稀です。なので、要件のなかで優先順位を付け、最低でもどこまで満たしていれば採用していいのかを判断できるようにしましょう。
3.採用手法の検討
次の章で詳しく解説しますが、デザイナーの採用手法は様々です。採用手法の選定は採用したいターゲットによって変えることをおすすめします。
例えば、自社にデザイナーがいない場合、デザイナーに関する知見が少ないので、人材紹介などのエージェントを使用することが望ましいと言えます。また、自社にデザイナーがいて、知見がある場合は、求人広告などの媒体を使用することが望ましいでしょう。
採用したいターゲットに合った採用手法で効率よく母集団形成できるようにしましょう。
4.広報活動
採用手法が決まったら社外に対し求人を発信します。広報の方法も求人広告や自社のSNS発信など様々です。採用手法と同様に、採用したいターゲットに合わせて決めるようにしましょう
発信する内容はデザイナーにとって魅力に感じるような情報にしましょう。自社の強みやデザイナーの働く環境、一緒に働くデザイナーなどあらかじめ発信する内容を決めておくと良いでしょう。
5.選考・内定
採用計画や要件設定を参考に選考を行い、内定出しをしましょう。
選考は人事担当者だけでなく、実際に現場で働くデザイナーも行い、入社後のミスマッチの防止や本当に優秀なデザイナーを採用できるようにしましょう。
①ポートフォリオを提出してもらう
ポートフォリオは履歴書のようなものであり、今までの経歴や携わった仕事などをより詳細に把握できるので、デザイナーのスキルを判断しやすくなります。
②採用前に業務の一部を依頼する
採用する前に実際の業務の一部を任せることにより、デザイナーのスキルを把握します。
5.デザイナーの採用手法
デザイナーの採用手法はさまざまあります。ここでは、近年注目されているデザイナーの採用手法をご紹介します。
5-1.エージェント
まずは、デザイナーを即日採用可能な人材紹介サービスをご紹介します。紹介サービスは、即戦力となる人材を雇用する際に効果的な手法でしょう。
しかし、転職を希望するデザイナーが皆エージェントを利用しているわけではありません。デザイナーの採用を試みる際には、いくつかの手法を組み合わせておこなうのがおすすめです。
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5-2.リファラル採用
デザイナーやエンジニアのように横のつながりが強い職種には、リファラル採用が効果的です。
リファラル採用をおこなうときの注意点は、「協力してくれる従業員に、採用したい人物像を明確に伝える」ことです。
デザイナーといっても、パッケージデザインなのか、グラフィックデザインなのかで採用する人が大きく変わってきます。
そのため、リファラル採用を従業員にお願いするときは、どのようなスキルのデザイナーを紹介したらいいかイメージが沸くように、具体例を出して伝える必要があります。
▼リファラル採用についてはこちらの記事もご覧ください。
5-3.逆求人イベント
デザインを学んでいる美術大学や専門大学の学生が集まって、ブースを構え、人事担当者に自身の作品をプレゼンするといった逆求人イベントが今注目されています。
逆求人イベントの特徴は、学生の作品に対する想いを聞くことができることです。実際に作品に触れて、そのあと作品に対する想いを聞くことで、エントリーシートやプロフィールでは伝わりづらい応募者のことまでわかります。
今回は、逆求人イベントの中でも、優秀な学生デザイナーが集まり、その場でスカウトができるイベント「ビビビット展」についてご紹介。
ここでは、2019年2月に関西で開催されたビビビット展の様子をご紹介します。
ビビビット展とは、株式会社ビビビットが開催する学生デザイナー採用イベントです。株式会社ビビビットは、7万人以上のデザイナーが登録するダイレクトリクルーティングサービス「ViViViT」を運営しているため、全国の優秀な学生デザイナーを集めることができます。
ビビビット展は、ViViViTに登録している学生デザイナーの中から、厳正なスキル審査を通して選抜された優秀なデザイナーが集まり、自身の作品を展示しています。ビビビット展は、「グラフィック部門」「UI部門」「ゲームUI部門」「3DCG部門」の4つの部門にわかれて、各部門10名ぐらいの学生が参加します。
【最新の開催情報はこちら】https://www.vivivit.com/events/vivivit-ten
ビビビット展の様子
▲グラフィック部門のデザイナーブース
▲UI部門のデザイナーブース
▲ゲームUI部門のデザイナーブース
▲3DCG部門のデザイナーブース
デザイナーブースでは、出展者の学生と話すことができます。作品や将来のキャリアに関する話をして、「自社に来てほしい!」と感じたら、その場でスカウトすることができます。
参加企業の感想
当日は作品に対する思い入れや熱意を聞きたかったので、会場では作品の一推しポイントがどこか、制作過程について聞かせていただきました。学生の方からも積極的に作品の説明をしてくださるので、私達から質問をするだけでなく、対話を通じて皆さんの作品についてより深く理解することができました。 お会いした学生の方々は、作品やポートフォリオの完成度が高いことはもちろん、それを説明するプレゼン能力も高くて驚きました。Web上でやりとりをするよりも、やはり直接本人から説明をしていただく方が、作品を深くみることができますね。
作品に対する思いや熱意・考え方を直接聞いて、ぜひ一緒に働いてみたい!と思う方にも出会えました。 会場では学生の皆さんがそれぞれのブースに名刺を置かれているので、その時その場にいない学生の方にも追って連絡することもできます。スカウトした方と後日改めてお話しして、現在選考に進んでいる方もいらっしゃいます。
A社 人事担当者
実際に参加してみると、作品を直接見たり触ったりすることで、使用している素材の質や細部にわたる色使いなど、Webでは表現しきれないところについて質問することができました。 また、学生の方が作品を制作したきっかけやこだわりポイントなどを熱く語ってくださり、ただ作品を見るだけでは伝わらないその方の人間性を垣間見ることができました。
通常の面談という形だと、我々も学生の方も無意識にかしこまってしまう気がしていて……。今回は、自分の作品にかける思いを、いちデザイナーとして私たちに伝えようとしてくださっているように感じました。
B社 デザイナー
2019年2月に関西で開催された際の様子を簡単なイベントレポートでご紹介しました。今回のレポートは2019年に開催されたものに関してですが、現在はオンラインでもイベントを開催していますので、チェックしてみてください。
6.デザイナー採用はフリーランスの活用も視野に
中途採用においてデザイナーを採用しようと検討している場合には、フリーランスの活用も視野に入れると良いでしょう。フリーランスは会社に所属することなく、個人のスキルや経験によって案件を獲得し、デザイナーとして活動しているので、一般的に中途採用として応募してくる方よりも能力の高い人材を獲得することができる可能性があります。
また、フリーランスを活用するメリットはプロジェクト単位など欲しい時に欲しい人材を活用できるところにあります。正社員として採用してしまうと給与などのコストもかかってしまいます。
しかし、フリーランスの活用には社内にノウハウが蓄積されないというデメリットもあります。継続的な雇用ではないので、フリーランスとの契約終了後にはノウハウは社内に蓄積されません。なので、長期的に考えるとデメリットも生じるので即戦力人材をフリーランスのみに頼るのはおすすめしません。
7.まとめ
デザイナーの重要度が上がっている近年、従来のような”待ち”の採用では、優秀なデザイナーを採用することが難しいでしょう。
新しい手法がさまざま出てくる中、今回ご紹介した「エージェント」「リファラル採用」「逆求人イベント」などを検討してみてはいかがでしょうか。