東京オリンピック間近!飲食店の人手不足はどうなる!? |HR NOTE

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東京オリンピック間近!飲食店の人手不足はどうなる!?

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  • アルバイト・パート採用手法

近年、飲食業界が盛り上がっています。

日本フードサービス協会の平成30年7月度レポート(平成 29 年外食産業市場規模推計について)によると、2017年の飲食業界の市場規模は、25兆 6,561億円となり、2016年に比べて0.8%増加したそうです。そして、2020年のオリンピックを前に更なる盛り上がりが期待されています。

しかし、市場が拡大する一方で、飲食業界には深刻な課題が存在します。

本記事では、飲食業界の動向と課題、その対策まで詳しく解説していきます!

1|飲食業界の動向

飲食業界の中では、レストランやファストフード店を含む営業給食の市場規模が全体の約7割を占めます

飲食業界の市場規模は、人口の減少や高齢化による食需要の縮小、節約志向の高まりによる低価格化の進行、コンビニエンスストアや食品スーパー等の中食市場の拡大の影響を受け、1996年頃から減少傾向で推移してきました。

しかし「一人外食」や「リピート利用」が増加したことで、2011年頃から再び拡大し始めました。また、フランチャイズビジネスの拡大によりチェーン店が増え、売り上げが増加したことも市場の拡大につながっています。

飲食業界の今後については、2020年に開催される東京オリンピックの影響を大きく受けると言われています。東京オリンピックのために日本を訪れる外国人が急増し、飲食店の需要が高まると考えられるためです。

この急激な訪日外国人の増加にともなって、飲食店、特にファミリーレストランや回転寿司などの大型店舗への人気が高まると考えられます。結果的に、飲食業界全体の市場規模は拡大するのではないでしょうか。

1-1. 圧倒的採用難の状況

市場が拡大している飲食業界ですが、人材を確保するための採用活動が難しいのが現在の状況です。というのも、そもそも飲食業界は、新卒・中途採用の市場において不人気であり、応募が集まらないためです。

学生を対象にした就職人気企業ランキングでは、飲食業界は30年間上位に出ておらず、一般に人気がない業界として印象が付いてしまっています。

さらに、現在の日本では飲食業界だけでなく、製造業界やIT業界など全ての業界で人手不足が生じています。どの業界の企業も採用活動を積極的におこなうため、労働力の奪い合いが生じているのです。

その中で飲食店の採用担当者は、1年を通して安定的に店を営業するために従業員を確保しなければいけません。ライバル企業が多くいる中での採用活動は、非常に困難だと言えます。

アルバイト採用においても、2020年のオリンピックに向けて飲食店の需要が高まるため、今以上に求人数が増加し採用が激化することが想定されます。

【飲食業界が採用難である原因】
▲新卒・中途採用市場において人気がない
▲オリンピックの影響でアルバイト採用が激化している

1-2. 慢性的な人手不足の原因

飲食店が常に安定して店を営業するためには、十分な数の従業員が必要です。従業員が足りなければうまく店が回らず、接客や料理の質が落ち、結果として店の売り上げの減少につながる可能性があるためです。

しかし、現在の飲食業界では十分な数どころか、人手が不足している飲食店が増えており「採用難」に加えて「人手不足」が深刻な問題となっています。

飲食業界で人手不足が深刻となっている原因は、従業員の入れ替わりが激しいこと、つまり従業員の「定着率の悪さ」にあります。従業員の定着率の悪さは、飲食業界に特有の労働環境と雇用形態が関係しています。

過重労働

飲食店の労働環境は、勤務時間が長いうえに業務量が多いことが特徴的です。飲食店での主な仕事であるホールとキッチンはどちらも立ち仕事であり、事務仕事に比べて体力を消耗します。

また、最近では、コンビニのように24時間営業する飲食店もあります。立ち仕事に加えて長時間労働が重なることで、体力的に厳しい人は短期間で辞めてしまうのです。

アルバイト・パートが多い

そして、飲食業界は正社員に対してアルバイト・パートの人数が多いことも特徴の一つです。「アルバイト・パート」として働くのは、基本的に学生や主婦であり、どうしても勤務時間がライフイベントに依存してしまいます。

学生は授業がある日中、主婦であれば早朝や深夜にシフトに入ることは難しいでしょう。学生アルバイトやパート主婦が多い店舗は、時間帯によって「人手不足」が生じることがあるのです。

また学生は、進級・卒業を機にアルバイト先を変えたり、辞める場合があります。その時点で店側は、新たなアルバイトを雇っていなければ「人手不足」となってしまうのです。

【飲食業界が人手不足である原因】
▲従業員の定着率が悪い
▲業界特有の労働環境と雇用形態に問題がある

 

2|飲食業界の繁忙期・閑散期は?

飲食業界には、繁忙期閑散期があります。飲食業界の繁忙期は、休暇や季節のイベントに大きく影響されることが特徴です。

たとえば年末年始は忘年会・新年会シーズンであり、会場として飲食店が利用されるため混雑します。また、ゴールデンウィーク、夏休み・お盆の時期は、旅行客の影響を受けて飲食店の利用客は増加します。

繁忙期には店舗を回すために通常より従業員を増やさなければならず、さらに採用が難しくなる時期と言えます。

一方で閑散期は客数が落ちつくため、普段より少ない従業員で店を切り盛りできることがあります。この時期は従業員をを増やす必要がないため、採用活動に力を入れなくても良いでしょう。

このように、飲食業界は繁忙期と閑散期で混雑状況に大きな差があるため、時期に合わせて採用活動をおこなうことが戦略として必須です。

【繁忙期と採用活動の関係】
繁忙期に採用が難しくなる

時期に合わせて採用活動をするべき!

3|人手不足解消法

 

慢性的な人手不足に悩まされる飲食業界ですが、近年では人手不足を解消するためにさまざまな取り組みがおこなわれています。具体的に「人材の確保」と「従業員の定着率の向上」という2つの課題に対する施策が打ち出されています。

【飲食業界の人手不足解消法】
◎採用に関する施策を打つことで人員を確保する
◎働き方に関する施策を打つことで従業員の定着率が向上する

3-1.採用に関する施策

人材の確保」について、採用に関する施策を打つことで実現できると考えられます。すでに大手外食チェーン店やファストフード店では採用の動きが変化してきており、人材の確保につながった事例もあります。

外国人の活用

「人材の確保」について、人材の幅を広げ「外国人」を積極的に雇用する店舗が増加しています。しかし、外国人とシニア層を雇用するためには、いくつかの課題が存在します。

【外国人採用における課題】
▲外国人を雇用するための制限・条件が多い

日本に滞在する外国人の中には、日本語を流暢に話すことができ日本人とのコミュニケーションに問題がない方や優秀な留学生が多くいます。そういった外国人は、人手が足りない飲食店にとって貴重な人材だと言えます。

しかし、外国人を雇用をするためには多くの条件を満たす必要があります

たとえば、外国人が日本の飲食店で働くためには27種ある在留資格のうち「技能」を保有することが必須です。このような制限・条件があることで、なかなか採用に踏み切れない飲食店は多くあります

そのような飲食店でも、外国人の雇用に特化した人材紹介サービスを利用することで、少ない負担で外国人を雇用することが可能になります

外国人労働者の受け入れについては、以下の記事に詳しく書かれています。

シニア層の活用

人材の幅を広げる施策として「シニア層」を活用することも考えられます。

シニア層を雇用することについて、病気や怪我、体力が持つかどうかなどの身体面での不安を感じるかもしれません。

しかし、シニア層の方々でも無理なく働けるよう店舗側が柔軟に対応することで、身体的な不安は解消できるのではないでしょうか。

最近では、アルバイト求人サイトの求人には「60代歓迎」という言葉が見られたり、検索条件にも「シニア応援」という条件が追加できるようになっています。

実際に大手ファストフード店「モスバーガー」は2014年ごろからシニア層の活用に力を入れており、一部の店舗では従業員のうち60歳以上のシニア層が20%を占めるそうです。

このように、特にアルバイト採用市場でシニア層を積極的に採用しようという動きが高まっています。

アルバイト求人サイトの活用

人材の確保、特にアルバイトを募集する方法として「アルバイト求人サイト」に求人を出すという方法があります。アルバイト求人サイトは非常に多くの求職者が見るため、求職者からの応募が来やすくなります。

【アルバイト求人サイトに求人を出すメリット】
◎短期間で多くの人に求人情報を見てもらうことができ、費用対効果が高い

人手不足を防ぐためには、人が入れ替わる時期や繁忙期に入る前に求人を出すとよいでしょう。アルバイト求人サイトの種類は多くあり、それぞれ特徴があるため、予算などの条件に合った媒体を利用することがおすすめです。

アルバイト求人サイトを利用するメリットについては以下の記事に詳しく書かれています。ぜひ参考にしてみてください。

3-2.働き方に関する施策

採用方法を改善し人員の確保に成功しても、働き始めてから続かなければ意味がありません。そこで、「従業員の定着率の向上」のために飲食業界では働き方についてもさまざまな施策が打たれてはじめています。

営業時間の短縮

飲食業界では、業界特有の労働環境、特に長時間労働が問題視されています。そこで、大手外食チェーン店を中心に「営業時間の短縮」をする店舗が増加しています。

実際に、大手ファミリーレストランの「ロイヤルホスト」が24時間営業を完全にやめたほか、「すかいらーくグループ」や「日本マクドナルド」でも24時間営業の店舗を減らす対応がとられたそうです。

時間帯・曜日のの選択

また、従来の飲食業界の求人では「週3日~」「1日4時間以上勤務」「曜日固定」など、時間帯と曜日が決まっている内容が多く見られました。

しかし、最近では「1日1時間からOK!」「土日のみでもかまいせん」というように「短時間勤務」や「少ない出勤日数」でも働ける店舗が増えています。

時間帯と曜日の制限を減らすことで、主婦や学生など限られた層でも安心して応募できるでしょう。

賃金引上げ

また、飲食業界では社員を含め従業員の「賃金引上げ」をおこなう企業が増えています。実際に、2017年の社員平均月給は、前年に比べて5,572円上昇しました。アルバイトの賃上げ率も、2017年に過去最高値の2.28%を記録しました。

このように多くの企業が賃金引上げをおこない、従業員のモチベーションを高めて長く働いてもらおうと取り組んでいるのです。人件費や、既存の従業員の時給も考慮して最適な自給を設定することが望ましいと言えます。

ITの導入

近年では、労働時間の短縮や賃金引上げをおこなうだけでなく、「システムやIT機器の導入」をおこなうことで従業員の負担を軽減しようという動きも出てきています。

実際に、ウェブでの予約が可能であったり、注文や会計をタブレットを設置している飲食店はかなり増えています。

また、タイムカードでの打刻や手書きでのシフト作成など、アナログな方法でおこなっていた勤怠管理の業務を自動化、簡略化するシステムを導入することで、従業員の働き方が改善されたという例もあります。

初期費用や維持費はかかりますが、積極的にシステムやIT機器を導入していくことで定着率の向上につながると考えられます。

4|まとめ

いかかでしたか?2020年のオリンピックを迎えたとき、急増する観光客に対し柔軟に対応できるだけの人手を確保する必要があります。そのために、飲食業界の変革が求められます。

しかし現状、飲食業界には深刻な人手不足の問題があり、その問題に対してさまざまな対策がとられています。その対策は、労働環境を改善するための業務時間短縮や賃金引上げ、業務のIT化があげられます。

こうした取り組みは、現在は大手外食チェーン店を中心に進められていますが、今後は小規模の飲食店にも広がっていくのではないでしょうか。

2020年のオリンピックを迎えたとき、急増する観光客に対し柔軟に対応できるだけの人員を確保する必要があります、そのために、飲食業界全体が変わることが求められます。

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