成長期の企業に多い『ボッチ人事』|企業と自身の成長のために悩みや課題を乗り越える方法とは |HR NOTE

成長期の企業に多い『ボッチ人事』|企業と自身の成長のために悩みや課題を乗り越える方法とは |HR NOTE

成長期の企業に多い『ボッチ人事』|企業と自身の成長のために悩みや課題を乗り越える方法とは

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※本記事は、インタビューを実施したうえで記事化しております。

企業を成長させていくフェーズにおいて、規模拡大に向けた採用の強化や、社員の定着率を上げるための人事制度の見直しなど、重要なタスクの遂行が人事担当者に求められます。

企業の規模によっては、成長をさせていくフェーズには、人事担当者を複数名も準備ができないような場面があるかと思います。

ましてや、このようなフェーズになって初めて人事担当者を採用したり、未経験者が人事担当者になったりと、1人で人事を担当することが多いのではないでしょうか。

企業にとって重要な役割ではあるものの、周りのメンバーからはなにかしらの孤独感を感じてしまいがちな『ボッチ人事』。

そんな『ボッチ人事』をこれまでに何度も経験されてきた、ユニファ株式会社の人事責任者である橋本氏に、ボッチ人事が感じる悩みや課題をうかがい、どのようにして乗り越えてこられたのかをご紹介します。

橋本 祐造(はしもと ゆうぞう)|ユニファ株式会社 人事責任者

1978年生まれ。2002年に早稲田大学卒業後、NHKに入局。営業職として約3年間従事。その後、人材コンサルティング会社を経て、GMOインターネット株式会社にてグループ人事部として活躍。以来、いくつかの会社で人材採用の戦略や方針、実行および人材育成プログラムの策定に携わる。現在はユニファ株式会社 人事責任者として従事。働くモットーは「人が最大限の力を発揮することができる組織づくり、社会システムづくりに一生を通じて携わること」
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  • 自社のビジョン、理念を浸透させたいと考えている
  • 未来に向けた戦略を考えたいが時間がない、またサポートしてくれる人材がいない
  • 会社の価値や可能性を高めるために考える時間がとれず、目の前のタスクに忙殺されている
  • 理念と行動に一貫性を持たせたカルチャーや制度を構築したい
  • 同じ目線で向き合って対等に考える存在が欲しい

 

ボッチ人事の流れ

-これまでに数社のスタートアップで人事を経験されてきたなかで、橋本さんはどのような『ボッチ人事』経験をされてきたのでしょうか?

橋本氏:前職、前前職は入社をしたタイミングでは人事担当者がいない状態で、いわゆる『ボッチ人事』でした。

いずれの会社においても、最初は採用に困っている状況での入社だったので、採用を手伝うところからはじめました。採用がうまくいきだすと「組織のフォローをしなくてはいけない」ということで従業員のフォローを進めていきました。

その後、人事制度の設計をしていくのですが、企業の基盤をつくりだすと、辞める人もでてくるので「労務系をしっかりさせよう」となり、社労士の方や、外部の弁護士の方と連携をしながら対応をしていきます。

その後に取り組むのは福利厚生の部分になります。このような流れで人事業務を全て同時並行で進めていました。制度から労務、もしくは制度から福利厚生を手がける時に業務の量としては手が回らなくなるので、部下を1人つけるなどして『ボッチ人事』が終了していきます。

ボッチ人事は相談に乗るのに乗ってもらえない

橋本さん2

-ボッチ人事の時に困っていたことや悩みなどはありましたか?

橋本氏:基本的にやることが多すぎて、今目の前にあることしか考えられなかったです。

後、起こった問題への対処しかできないので、問題が起きる前の何かしらの原因と対処が後手になることがほとんどでした。

面談日程の調整、面談への同席など、全て同時並行で進めていく必要があるので、やることがいっぱいになります。そのような状況の中でどんどん心が疲弊していってしまって、人事という職業柄もあって、人から相談を受けることが多いんですが、自分の相談には誰ものってくれないんです。

-たしかに。人事って相談を受ける側ですもんね。

橋本氏:そうすると、自分の相談を誰かにしようと思ったときには、面接が終わる時間が遅いこともあって、みんな家に帰っているんですよね。

私の場合は本当にありがたいことに妻が話を聞いてくれるので、悩み、心配ごと、不安なども、そこで全部解消できたんですが、もし妻がいなかったらどうしてたんでしょうね。社内で相談をするのはおそらく難しい思うので、毎日飲みに出かけていたかもしれません。

-そこには、どんな悩みがでてくるんですか?

橋本氏:それこそ「何で私だけがこんなに大変なんですか」といった質問が増えてきます。会社からは、業績が上がったら自分の給料も上げてくれる、それから自分の仲間も増やしてくれるっていうふうに言われてるんだけど、一向にその日が見えてこないんだけどという悩みがありました。

-経営者にもよるかと思いますが、ボッチ人事の評価ってどのようにされていくのでしょうか?

橋本氏:人事の評価は少し難しいところがあって、誰でもできる仕事だと思われているのがほとんどです。「人事業務ってオペレーションを回すことでしょう、だったら別にオペレーションを回すのが得意な人であれば誰でもできるんじゃないの」って。

-営業は数字を出したら評価につながりますが、人事だと難しいですね。

橋本氏:そうなんです。最初にそこの価値を見出すために、どうするかといったところは真剣に考えました。でも単純な話ですよ。

私だから採用ができる、私が動けば組織がまとまる、というポジションに立てば必然的に価値は高まりますよね。これは、1人でもチームでも一緒のことなんですよね。1人だから自分がやりたいようにできるというのはメリットかもしれませんが。

1人でやり続けることで、自分が決めたことがそのまま会社のルールになり指針になるので、それは結構嬉しいことで、やりがいはありますよね。

上手くいったときは間違いなく自分の成果になるので、大変だけど喜びは倍かなと感じますよね。なのでボッチ人事は若いときに経験することをおすすめしたいですね(笑)。

いつも周りから心配されて、「そろそろ部下とった方がいいんじゃないか」って、思っていただけるようになれば、私がやっている業務や活動が、経営陣にとって価値があるものだと思われたということなのかなって。

もし、そこに価値がないんであれば「お前もっとやれよ」の話になると思うんです。経営陣から「もっと大事なところに時間を使って欲しいから、もう1人他の人が必要なんじゃないの」って言ってもらえると嬉しいですよね。

自分の思い描くビジョンに立ち返る

橋本さん1

-ボッチ人事だと、自分の業務に対する客観的なフィードバックをもらえないことが多いと思いますが、このような場合どのようにして自身を振り返っていたのでしょうか

橋本氏:以前からやっていて現在も続けているのですが、毎週金曜日か土曜日の朝に個人的な週次レビューをやっていました。

1週間を数字で振り返るだけでなく、「これがイケてた」「あれはイマイチだった」と、感情面で振り返るということをしていました。

そのときに大事なのが「本来自分はこれがしたかったんだ」という思いです。その思いに対して「何でできなかったのか」「こうすればいいのか」「来週これやってみよう」っていう計画を立てるんです。

それを週末の時間があるときにちょっと見ながらニヤニヤして、月曜日は朝からテンションが高い状態で迎えられるようにしていました。

これは誰しもができるわけじゃないんですが、自分のビジョンに常に立ち返ることが非常に重要だと思います。私の場合は大学3年のときに「人が最大限の力を発揮できる組織づくり、社会システムづくりをする」といったビジョンを立てて、そこから自分の気持ちは1ミリもずれていないので、迷ったときには常にこのビジョンに立ち戻るようにしています。

人事として社員を知る

橋本さん

-ボッチ人事として、人事制度やフォロー制度をつくっていく上で、橋本さんが大事にしていることはありますか?

橋本氏:まず1番最初にやるべきなのは、1日に1回、1週間に1回でもいいから全社員の顔を見るということです。

具体的には、全従業員が入ってくる扉が見渡せる席に席替えさせてもらって、出社してくる全員の表情、声のトーン、歩き方を見るんです。それを毎日見ていたら、あの社員は元気なのか、元気じゃないのかという変化に必ず気付きます。

変化に気づけば「髪切った?」「お腹空いた?」「何か疲れてる?」と声をかけてあげて、まずは社員と同じ土俵に乗ることが大事です。

また、面談では、2人きりで話ができるようにしています。何でも話していいよと、僕はあなたのことを全部受け止めるから何でも話していいよと伝えてあげます。

今の現状や、先の状況をどのように見ているのかを聞いてあげると、自然体で話をしてくれますね。人は誰もが褒められると嬉しいものなので、ちゃんと言葉で褒めてあげることが大事です。「わっ、それいいですね」ってちゃんと言ってあげると、心を開いてくれると思います。

「お前は、こうすべきなんだ」「この会社はこうすべきなんだ」「お前のスタンスはこうなんだ」といった面談をしている人もいるかもしれませんが、社員からしてみれば「お前はお前だし、俺は俺だろう」ってなってしまうので全然ダメですよね。

社員をマネージメントをすると考えるのではなく、むしろどうやって人の潜在能力を引き出すことができるかを考えるのが人事の役割だと思っています。

経営者の正義と、会社にとっての正義

-経営者とのコミュニケーションが上手く進まないと、採用や制度設計にズレが生じると思います。橋本さんが経営者と付き合う際に大事にしていたことはありますか?

橋本氏:経営者との付き合い方に関しては、「向きあう」「寄り添う」「溶け合う」この3つがすごく大事です。

最初は一見すると怖そうな経営者や、ずっと怒鳴ってる経営者もいると思います。でもその裏側には、経営者なりの正義があるんです。

そして、そんな経営者に対して「怖いな、なんかムカつくな」って思うことは、実は自分にとっての正義なんです。しかしこれは、相手にとっての正義ではないんですよね。

相手の正義を正義として認めてあげることが人事として1番大事だと思っています。その上で私の正義や経営者の正義ではなく、この会社にとっての正義がどこにあるのか、その正義をどういうふうに貫き通したらいいのかを経営者と考えていくことが大事だと思っています。

お互いの正義が正しいと言い出してしまうと、どうしても喧嘩になってしまいます。相手をちゃんと受け止めてあげることが人としての付き合い方だと思います。経営者を人として認め、人として考え方を受け入れてあげて、会社が目指すビジョンやミッションはどこにあるのかを改めて見直したり考えることが大事かなと思います。

人事は社会と組織を変革できる

-ボッチ人事が企業の成長を支えていく人材になるために、どういうスタンスで人事の業務に取り組んでいけばいいのかをお聞かせください。

橋本氏:企業の経営資源の中には「ヒト」「モノ」「カネ」「情報」がありますが、「ヒト」以外の「モノ」「カネ」「情報」は全部ヒトがつくり出しているものなんです。

人事は、その経営資源の中で一番重要である、社会や組織を変革していくキーファクターである「ヒト」を確実に仕留めているんです。

その「ヒト」には2つの領域があります。『1人ひとりの人生や生活における「ヒト」』と『組織における「ヒト」』。

すなわち、人事は「ヒト」の人生の選択とその人がもたらす組織の命運を決めることができるんです。それぞれの組織の命運と、1人ひとりの人生に向き合って、寄り添って、溶け合うことができる素晴らしい仕事だと思っています。

私は、人事という職種が、世の中に数ある仕事の中で、そういうことができる唯一の仕事だと思っているので、人事をされている方はプライドを持って胸を張っていいと思うんですよね。

だから、人事としてのあなたのビジョンを持って、1日1分、1週間に5分でいいので、未来の自分がありたい姿、組織のあるべき姿に対して思いをはせていくことができれば、辛いことや悩みも乗り越えていくことができます。

もし、ビジョンが見つからないのであれば、本からでも、人との会話からでもいいので、ビジョンを探すことをおすすめします。ビジョンを見つけることが、『ボッチ人事』として企業の成長と自身の成長ができる方法だと思っています。

さいごに

いかがでしたか。

『ボッチ人事』企業の規模や年間の採用人数に応じては多くあるシチュエーションだと感じています。たとえ、2~3名で人事を担当しているような組織であっても、それぞれの業務内容はバラバラで、孤独感を感じている方も多いのではないでしょうか。

橋本さんのように、企業が目指すビジョンをしっかりと捉え、そのために必要なアプローチをすることや、自身のビジョンのために、業務に取り組むというのは、『ボッチ人事』だからこそできる経験なのかもしれません。

『ボッチ人事』だけでなく、初めて人事のキャリアを経験する方や、数年人事を担当している方も、自分の人事としてのビジョンを一度見直してみてはいかがでしょうか。

 

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