2017年12月7日、働き方の事例を表彰する『Work Story Award』が開催されました。
さまざまな働き方改革の取り組みを、「ストーリー」としてまとめ、結果だけでなく、取り組む背景やそこにある想い、アプローチ方法など、具体的で再現性ある事例を多くの方に届けていくことを目的としたイベントです。
現場のメンバーから聞く、「こうできたらいいのに!」「こう変わったらいいのに!」を会社の人事部から変えていく。そんな社内改革のヒントが満載です。
目次
『Work Story Award』とは
“働き方を選択できる社会づくり”の実現を目指す一般社団法人at Will Workが、開催する同イベント。
働き方改革に関する取り組みは今年に始まったものではありません。
多くの人や企業がすでに取り組み、さらによくしようと試行錯誤を重ねており、今までにもたくさんの事例が公開されています。
ただ、それでも「自社で取り組むにはイメージが湧く事例が少ない」「ハードルが高すぎる」「あの人だからできるんだ」と思ってしまうこともあります。
『Work Story Award』では、結果だけを見るのではなく、その取り組みが成されたストーリーに注目。きっかけや過程を含めて審査し、働き方改革の事例を表彰していきます。
5年間限定のアワードとして、「1年間に20のストーリー、5年間で合計100のストーリーをみんなで見つける」という趣旨のもと開催され、2017年12月が第1回目となりました。
一般社団法人 at Will Work
“働き方を選択できる社会づくり”の実現に向けて、ノウハウの蓄積・体系化・共有を通じ、企業・人・団体の働き方事例の共有プラットフォームとして、2016年5月20日に発足。現在『Work Story Award』や『働き方を考えるカンファレンス』などを開催している。
詳しくはこちら▶at Will Workについて
アワード概要|5年間で100のストーリーを選出
このアワードは5年間限定。5年後には“働き方”の多様性は今よりずっと進んでいるはず。
変化のスピードを早める一助として、1年間に20のストーリー、5年間で合計100のストーリーをみんなでみつける、という想いがこめられています。
対象 | 日本で実施されているもの。 個人・チーム・部署/部門・企業・企業間は問わない。 |
部門 | 1年間に20のストーリーを選出。 |
対象となる ストーリー |
「働き方改革」により、未来を変える働き方を実現するためのストーリーを募集。「働き方改革」を導入する前の課題(経営課題、事業課題、組織課題など)と、その課題を解決し、理想の状態を実現するための『ストーリー』を、セットとして応募。 |
応募形式|2017年は10のテーマから応募を受付
メインとなる応募テーマ1つに対して、1つのストーリーを応募することができます。1企業・団体で複数のストーリーの応募も可能ですが、1つのストーリーを複数テーマに応募することは不可です。
今年は、下記10のテーマにて応募しています。
テクノロジー・AI | テレワークやクラウドサービスの利用はもちろん、世の中にある”テクノロジー”を活用して、働き方の向上に挑戦したストーリー |
健康 | 社員やメンバーの健康状態の向上から考えられた働き方のストーリー |
働きがい、モチベーション | モチベーションとは何か、の定義はもちろん誰のモチベーションを変えたのかがわかるストーリー |
チームワーク、コラボレーション、組織活性 | 組織の中で、組織を超えて、仕事とは個人ではなくチームで取り組むもの。チームの力を最大化したストーリー |
人材育成 | 人の育成が働き方、環境を変えていく。個人の力を、チームの力をどう伸ばしていくかに挑戦したストーリー |
イノベーション(既成概念を壊す新しい価値観) | 今までのやり方を超えて、自分たちの定義の中で“新しい”取り組みに挑戦したストーリー |
人事評価と仕組み | 働き方をよくするため人事、そして評価の仕組みを変えたストーリー |
可視化、データから判断する | データを元に判断し、新しい仕組みや制度、文化を創ったストーリー |
採用・人材獲得 | 組織を創るのは人。そのための採用とはどうあるべきか。 採用を向上させるために挑戦をしたストーリー |
WILL | 上記のどれにも当てはまらない、でも“こうしたい”というWILLによって働き方が変わっていったストーリー |
表彰について|テーマ部門だけではなく特別賞も!
選考される20のストーリーは、審査基準に基づき、選考委員・ゲスト審査員・グループ審査員などの視点で選出されます。大きく3種類のアワードがあり、ダブル受賞もありました。
1.テーマ部門受賞
上記にも記載した、各テーマごとに、審査員により定量審査+定性審査を踏まえて、受賞ストーリーを決定。
- テクノロジー・AI
- 健康
- 働きがい、モチベーション
- チームワーク、コラボレーション、組織活性
- 人材育成
- イノベーション(既成概念を壊す新しい価値観)
- 人事評価と仕組み
- 可視化、データから判断する
- 採用・人材獲得
- WILL
2.ゲスト審査員特別賞
ゲスト審査員による選考では、各分野のスペシャリストの視点により、カテゴリにとらわれない選考を実施し受賞ストーリーを決定。
- 日本社会を救うで賞
- ママのやりがい探究賞
- 元気がすべての基本で賞
- 未来のウェルビーイング賞
- これぞ本質だ賞
ゲスト審査員
小室 淑恵 氏 | 株式会社ワーク・ライフバランス 代表取締役社長
中原 淳 氏 | 東京大学 大学総合教育研究センター 准教授
藤沢 久美 氏 | シンクタンク・ソフィアバンク 代表
松島 倫明 氏 | NHK 出版 放送・学芸図書編集部 編集長
八木 洋介 氏 | 株式会社people first 代表取締役/株式会社ICMG 取締役
3.グループ審査員特別賞
審査員がこれからの日本をつくる“働く”として、社会性、インパクト、新規性、未来性などを考慮して受賞ストーリーを決定。
- 日本を代表する人事マネージャー10名が選ぶWork Story賞
- 20代の大学生が選ぶWork Story賞 Presented by OfferBox
- 次代の働き方を創るWork Story賞 Presented by パーソルキャリア株式会社
- ロックなWork Story賞 Presented by Tokyo Work Design Week
- きょうそう<共創・競争>力のあるWork Story賞 Presented by PHP総研
審査基準|1次審査(書類審査)→最終審査を経て選出
応募されたストーリーは、1次審査(書類審査)→最終審査を経て選出されます。
これからの日本をつくる”働く”を社会・未来に提示するワークストーリーを高く評価。具体的な審査ポイントは以下です。
- 具体性
- 実現可能性
- 展開性・汎用性
- リアリティ
- 画期性・独創性
- 経営貢献度
- 社会的なインパクト(影響力)
『Work Story Award』の様子をご紹介!
今回、『Work Story Award』への応募総数は、なんと168ストーリー!
一次審査に通過したストーリーは、58社61ストーリーでした。
受賞された方々の熱いコメントと合わせて、ご紹介させていただきます。
※審査会の結果、2017年はテーマ部門で2つ該当なしと判断し今年の選定は18ストーリーとなりました。
詳しい受賞ストーリーはこちらで見れます!
PR Table▶https://www.pr-table.com/feature/work-story-award
テーマ部門受賞
1.テクノロジー・AI
- 受賞団体
株式会社スタディスト
- 概要
全社員が、一斉に終日テレワークの日を導入。1年で社員数4倍に。 - 選定理由
一斉にやることに意味があり、今の企業がテレワーク化できない課題のヒントとなる。
2. 健康
※審査会の結果、2017年は該当なし
3. 働きがい、モチベーション
- 受賞団体
株式会社エムワン
- 概要
地方中小企業の人材不足への打ち手が、”有給取得率100%の推進”。社員のやりたい事リスト共有するなど工夫し、売上UP、有給取得率UP、定着率UPを実現。 - 選定理由
58人の中小企業で、この取り組みによって採用が大きく改善したこと。一からひとつひとつ変えていけるというところ汎用性を評価。
4. チームワーク、コラボレーション、組織活性
- 受賞団体
大塚倉庫株式会社 - 概要
全国26営業所へのコミュニケーションの壁があるなか、ライブTV会議システム「Office One」を導入するなど、全事業所を「一つのオフィス」へ。 - 選定理由
徹底してやるのがチームをつくるという意味で良い。何でもやれるものはやってみようと全社員を巻き込む熱い精神が感じられた。
5. 人材育成
- 受賞団体
アイアール株式会社 - 概要
建設業界の深刻な人材不足、経験不足からのモチベーション低下を改善するための徹底した『若手技術者育成プロジェクト』。結果入社人数も増加。 - 選定理由
建設業という業界的にも働き方の取り組みが難しい業界での課題解決ができる。他業界でも同様事象に対しヒントとなる事例だった。
6. イノベーション(既成概念を壊す新しい価値観)
- 受賞団体
株式会社MUGENUP - 概要
クリエイターの待遇悪化の改善のため、イラスト制作を分業制に改革、テレワークで日本中・世界中のクリエイターとの連携体制を確立。業務の質と速さを担保する業務管理ルーツも開発。 - 選定理由
イラスト発注するテレワークは一般的だが、ここまで分解するのがマニアックであり面白い。究極のクラウドソーシング。
7. 人事評価と仕組み
※審査会の結果、2017年は該当なし
8. 可視化、データから判断する
- 受賞団体
株式会社日立製作所 研究開発グループ - 概要
「組織のハピネス度」の可視化に着目。名刺型ウェアラブル開発で身体リズム統計からイキイキ働ける瞬間をフィードバック。組織連携も進め、組織内相互理解を推進。 - 選定理由
人間の感情やコミュニケーションなどの生態的なデータの可視化を、いち早く企業や組織の中で活かすという視点を評価。
9. 採用・人材獲得
- 受賞団体
森興産株式会社 - 概要
外国籍社員は希望の3割しか就職できない現状に切り込み、漫画を使ったビジネスマナー説明書などを作成するなど、外国籍社員と働くことの壁を取り払う。外国人雇用・活性化を実現。 - 選定理由
スマートにやるというよりも地道な人情の取り組み。マネージャーがポイントで、他の企業も真似しやすい点を評価。
10. WILL
- 受賞団体
Trist - 概要
ワーママ、介護世代の長時間通勤の壁を打破。地方に東京本社企業のサテライトオフィスを設けることで潜在的労働力の創出。テレワーカーのトレーニングやマインドセットも実施。 - 選定理由
行政や大企業も巻き込んでいる点。女性×地方×テレワークの視点が入っていて、地元のローカルの力も組織されていることが高評価。
ゲスト審査員特別賞
日本社会を救うで賞
- 受賞団体
アイアール株式会社
※テーマ部門賞[人材育成]とダブル受賞
ママのやりがい探究賞
- 受賞団体
株式会社ルカコ - 概要
お小遣い5万円で起業。ママが働きやすい勤務時間を追求し、40名以上の雇用を創出。 - 選定理由
安心安全で働ける空間を準備するとともに、ママにもやりがい、ストレッチ課題を求めていく向上力を高く評価。
元気がすべての基本で賞
- 受賞団体
DeNA・スマイル健康プロジェクト - 概要
社内アンケートで見えた社員の不健康率を改善。不健康がもたらす経済的損失を数値化し経営問題としてのプロジェクトを発足。社員の半数以上が意識改善され、現在はハワイ観光局とも企画作りを実施。 - 選定理由
自社のみならず地域の企業を巻き込んだ点を評価。自社においても定性定量共に成果が確認できている。
未来のウェルビーイング賞
- 受賞団体
株式会社日立製作所 研究開発グループ
※テーマ部門賞[可視化・データから判断する]とダブル受賞
これぞ本質だ賞
- 受賞団体
グラフィックカタリスト・ビオトープ - 概要
大企業が抱える若者の閉塞感とキャリアパスの喪失に対し、「プロセスデザイン」という新メソッドの創出。社員の社会活動も創出。 - 選定理由
富士通という大きな会社でトップが受け入れ、認め、社内そして特に社外でも活動ができるところを高く評価。
グループ審査員特別賞
日本を代表する人事マネージャー10名が選ぶWork Story賞
- 受賞団体
株式会社CRAZY 人事部 - 概要
ライフプレゼンテーションというコミュニケーション法を継続し、社員自身のカルチャーフィットとギャップを効率的見直す。 - 選定理由
自分の生きる意味、価値、人生で成し遂げたいこと。これを考え、感じる機会を具体的に創出している点を高く評価。
20代の大学生が選ぶWork Story賞 Presented by OfferBox
- 受賞団体
Sansan 株式会社 - 概要
社内口コミから制度へ。「コーチング」という人材育成手法を制度化し、希望するコーチングと現業とのギャップの解消。 - 選定理由
誰もが抱き一歩踏み出せないことへ挑戦した点と、定量定性でもって効果検証がなされ一定の成果にまで導いた点を評価。
次代の働き方を創るWork Story賞
Presented by パーソルキャリア株式会社
- 受賞団体
Trist
※テーマ部門賞[人材育成]とダブル受賞
ロックなWork Story賞
Presented by Tokyo Work Design Week
- 受賞団体
株式会社ジンズ JINS MEME Gr - 概要
コミュニケーション活性だけではない「集中」のオフィス価値を創造。良質なストレスからの集中を設計。 - 選定理由
働き方の課題設定を”交流”に視点を置くプロジェクトが占める中であえて”集中”に視点を置いた点。自社製品とも相まって、組織開発だけでなく、ブランディングとしても活用している点を評価。
きょうそう<共創・競争>力のあるWork Story賞
Presented by PHP総研
- 受賞団体
大塚倉庫株式会社
※テーマ部門賞[チームワーク、コラボレーション、組織活性]とダブル受賞
さいごに
いかがでしたでしょうか。
実際にアワードを目の前で拝見し、ひとつひとつのプロジェクトが熱い想い・意志がきっかけとなりカタチになっていくのだと実感しました。その想いと想いが繋がっていくことで、「働き方」が変わっていく。
このストーリーに触れることで、たくさんの方の「働き方」を変えていくきっかけに少しでも関われれば嬉しく思います。
また、今後も加速する『働き方改革』を背景に、at will workの取り組みにも注目していきたいと思います!