導入している企業がどんどん増えてきている社内SNS。
米国Gartner社の1,000社以上の企業を対象にした調査によると、70%の企業が社内SNSを導入している中で、「導入が成功した」と思っている企業はわずか10%という結果が出ています。
「社内SNSを導入したけどうまくいかない」「従業員に使われず失敗した」というケースは日本の企業にも起こっています。どのように社内SNSを使えば、うまくいくのでしょうか。
株式会社スタメン 執行役員の森山裕平さんに、社内SNSをうまく活用するポイント、より効果的な使い方について伺いました。
【人物紹介】森山 裕平 | 株式会社スタメン 執行役員 カスタマーサクセス部 部長
社内SNSでできること
ー近年、社内SNSを導入している企業が増えています。社内SNSでは、どのようなことができるのでしょうか?
森山さん:大きく分けると3つあります。
双方向の情報発信
森山さん:1つ目は、双方向から情報発信ができる点です。
今までよく使われていた掲示板やメールなどは、一方通行のコミュニケーションでした。しかし、社内SNSは、気軽に情報を発信できたり、相手が発信した情報に対してリアクションが取りやすかったりします。
そのため、コミュニティ形成がしやすいところが社内SNSの良いところです。
社内SNSを使うことにより、各部署の情報発信やナレッジの共有が活発になることで、スピーディーに会社のことや他部署のことを把握できます。
また、その場で質問したり、意見を交わしたりすることで、他部署の人との交流もできます。これにより、拠点間の情報格差を埋めることができるだけではなく、新たな気づきや接点が生まれることも社内SNSの特徴ですね。
ミッション・ビジョン・バリューの浸透
森山さん:2つ目は、ミッション・ビジョン・バリューを浸透させることができる点です。
一般的に、経営陣と従業員は距離があり、直接交流する機会はあまりないかと思います。しかし、社内SNSであれば、経営陣からの情報発信やメッセージを気軽に受け取ることができます。
経営陣と従業員の距離を縮めるツールとして、日常的に利用するSNSと組み合わせることはとても効果的です。
ミッション・ビジョン・バリューの浸透には、時間と接触量の両方が必要です。ある従業員の行動が行動指針にマッチしている場合は、社内SNSで称賛するなどして、接触涼を増やすことで会社の考えを浸透させることができます。
風通しの良い職場環境づくり
森山さん:3つ目は、風通しが良く、オープンな職場環境をつくることができる点です。
社内SNSを活用することで、情報共有が活発になり、社内のコミュニケーションを円滑になります。
これまで、メールなどのクローズドなやり取りがおこなわれていた環境と比べると、風通しがよく、オープンな緩急に変わるのではないでしょうか。
これにより、社員のモチベーションUPにつながり、エンゲージメントの向上にもつながるでしょう。
運用上の失敗例や課題
—社内SNSを運用する上でよくある失敗例や課題などはありますか?
森山さん:社内SNSを活用している企業様からは、「従業員の中でも利用層が固定化する」といった声をいただくことが多いです。この課題は、社内SNSの親しみやすさがゆえの課題ともいえます。
社内SNSは、「いいね」ボタンがあることで、コメント率の低下を招き、本来の目的である「コミュニケーションの発生」から遠い状態になってしまうケースがあります。
弊社が運営しているTUNAGも、リリース当初は賛同や称賛、感謝などを表現する機能として「いいね」ボタンを設けていました。
ところが、「いいね」をしていない人が目立ってしまい、「リアクションをしていない人」に焦点があたってしまったのです。そのため、「いいね」をしないといけない空気感ができていました。
また、気軽にリアクションができる「いいね」ボタンは、簡単に押せるため、心理的なハードルをあまり感じません。
そのため、投稿に対して「いいね」ばかりがつき、コメントなどのコミュニケーションが生まれない状態になりました。
社内SNSをうまく活用するためのポイント
—それではどうしたら、社内SNSを成功させられるのでしょうか。ポイントがあれば教えてください。
森山さん:こちらも、大きく分けると3つあります。
ポイント①|従業員にどのようなメリットがあるのかを伝える
森山さん:1つ目は、従業員にとって、どのようなメリットがあるかを伝えることです。
導入して「さぁ、社員の皆さん使ってください!」と一方的に投げてしまっては、使われないでしょう。
【社内SNSのメリット】
- 他の部署の社員が、業務に関連するノウハウを共有することで学びになる
- 同期のメンバーが他支店で活躍しているのを見て刺激を受ける
- 自身の投稿に対して社長や経営陣がコメントを通じてフィードバックをくれる
このように「学びを得ることができる」「経営陣と距離が近くなる」などといった、従業員が「使いたいな」と思えるような社内SNSのメリットを伝えなければ、使ってもらえないでしょう。
ポイント②|導入する目的を明確にする
森山さん:2つ目は、導入する目的を明確にすることです。
社内SNSを導入することで、従業員同士のコミュニケーションのきっかけをつくることができます。ですが、気をつけていただきたいのは、「コミュニケーションを生むこと“だけ”を目的にしてはいけない」ということです。
ただ雑談が続くだけだったり、業務と関係のないやり取りだけで活用されていると、コミュニケーションは生まれていたとしても、企業が望んでいるコミュニケーションの形ではないでしょう。
社内SNSを通して、「どのような課題を解決するためにコミュニケーションを生み出したいのか」「どのようなコミュニケーションを取ってほしいのか」を導入するときに定めておくことが重要です。
具体的には、「社内の成功事例を知り、普段の業務に取り入れてもらう」「子育てや介護など、共通点のある従業員と接点が持つことで従業員の悩みの解消につなげたい」などがあります。
コミュニケーションの先に、どのような未来があるのかを想定したうえで進めていくことが重要です。
ポイント③|「社内SNSって楽しい」と思える状態をつくる
森山さん:3つ目は、ポジティブ気持ちで活用される状態をつくることです。
「楽しさ」がないとSNSは続きません。せっかく投稿しても、「誰も見ていない」「反応がない」という状態だと、活用しようとするモチベーションが下がってしまいます。
最初は管理職や若手社員などを巻き込んで、盛り上げていく仕組みをつくることも重要です。場合によっては、社内ポイントなどの仕組みと合わせたり、ゲーム性を持たせることで盛り上げることもできるでしょう。
「自分も使ってみたい」「使ってみたら、楽しかった」という感じてもらえるようなストーリーを考えて、活用を促していくことが継続的に活用してもらえるコツだと思います。
社内SNSの効果的な使い方
—社内SNSをさらに効果的に使う施策があれば教えてください。
森山さん:弊社のTUNAGのお話になりますが、社内制度と社内SNSを融合させている点です。社内制度を社内SNSで見える化をしています。
たとえば、賞賛文化をつくり出す「サンクスメッセージ」や、新入社員や中途社員の入社時に実施する「ウェルカムランチ」など、社内制度や施策を用意し、その制度の利用時にタイムラインに「投稿」していきます。
社内制度を投稿のベースにすることで、投稿することにハードルを感じている人が投稿しやすい環境をつくることができます。
たとえば、自己研鑽のための書籍購入補助制度があったとします。TUNAG上でその制度を活用すると、自動でタイムラインに「投稿されてしまう」んですね。
自分からわざわざ「こんな本を勉強のために買いました!」と投稿するのって、気が引けるじゃないですか。しかし、自動で投稿されるので、そのようなことは心配しなくて大丈夫です。
この自動投稿によって、社内制度自体の利用率も上がりますし、制度の利用がきっかけでコミュニケーションも生まれます。
「その本を貸してほしい!」というコメントがつき、他の従業員への刺激になるなどの相乗効果を生んでいきます。
—TUNAGは、一歩先をいくSNSといえそうですね。
森山さん:ありがとうございます。
今、どの企業様でも、従業員のみなさんのために、有給休暇制度や、人事評価制度、社内報などさまざまな仕組みや制度を運用されていると思います。
その仕組みや制度を、従業員のみなさんを巻き込みながら運用し、改善していくことをTUNAGは支援しています。さらに、その運用の先に、エンゲージメントの向上につながるような改善案などをご提案しています。
「社内SNSがうまく活用されていない」「会社のメッセージが伝わらない」「情報共有がうまくいかない」などのお悩みの人事担当者や、社内SNSを導入するか迷っているという人事担当者がいらしゃればば、ぜひお問い合わせください。
スタメンのTUNAGについて詳しく知りたい方は
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