人事が知っておくべき 「メンタルヘルス対応の流れ」とその「予防策」 | 人事部から企業成長を応援するメディアHR NOTE

人事が知っておくべき 「メンタルヘルス対応の流れ」とその「予防策」 | 人事部から企業成長を応援するメディアHR NOTE

人事が知っておくべき 「メンタルヘルス対応の流れ」とその「予防策」

  • 労務
  • 労働安全衛生

※本記事は、主催企業や登壇者/登壇企業に内容を確認のうえ、掲載しております。

医師人材サービスを手がける株式会社エムステージが主催する、企業の人事・労務担当者対象のセミナー『メンタルヘルスの休職復職のために、人事が知っておくべきこと』を取材。

本セミナーでは、社会保険労務士の舘野氏が講師となり、近年増加傾向にあるメンタルヘルスをめぐる労働問題、人事が休職・復職時にチェックすべき項目は何か、そして産業医と協働してどのように休職・復職対応に取り組むべきかについてお話をされました。

今回はその中で、メンタルヘルス対応の入り口となる「メンタルヘルス対応の流れ」と「メンタルヘルス疾患の予防策」についてご紹介します。

【人事労務必見】メンタルヘルス対策の必要性と具体的方法|資料を無料ダウンロード
「社員のメンタルケアを効果的におこなう方法をご紹介」
詳しく知りたい方はこちら ⇒ https://hrnote.jp/document/?did=121643
舘野様
人物紹介:舘野 聡子(たての さとこ)|株式会社ISOCIA 代表取締役/特定社会保険労務士/シニア産業カウンセラー/メンタルヘルス法務主任者
民間企業に勤務後、社労士事務所に勤務。その後「ハラスメント対策」中心のコンサル会社にて電話相談および問題解決のためのコンサルティング、研修業務に従事。産業医業務を行う企業で、予防のためのメンタルヘルス対策とメンタル疾患の人へのカウンセリングに従事。2015年に社労士として独立開業、エムステージでは産業医紹介事業の立ち上げにかかわる。

【社労士監修】HR関連法改正トレンドBOOK 2024年版

2023年は一部企業を対象に人的資本開示が義務化されたほか、HR関連での法改正に動きが見られました。
2024年では新たな制度の適用や既存のルールの変更・拡大がおこなわれます。
人事担当者として知っておきたいHR関連の法改正に関する情報ですが、その範囲は幅広く、忙しい業務の中でなかなか網羅的に把握することは難しいのではないでしょうか。

  • 忙しい中でも要点をまとめて情報収集をしたい
  • 社労士が監修した正確な情報を知りたい
  • HR関連の法改正を把握しておきたい

という方はぜひご確認ください!

\4月24日限定開催!/
人事×ChatGPTの具体的な活用術術を紹介!

ChatGPTをはじめとする生成AIを業務に取り入れることで、業務時間の圧縮や業務量の削減が期待されます。今回は、人事の方が今日から使えるChatGPT活用術として、実際に使えるプロンプトを交えた実践的なノウハウもご紹介します。

▷こんな方におすすめ!

  • 人事業務の担当者の人手が足りず困っていて業務効率を上げたい
  • ChatGPTに興味はあるけれど、どんなことに使えばよいか分からない
  • 業務にChatGPTを取り入れたいが、イメージしているような回答が出てこない
  • ▼当日の視聴予約はこちらから!▼
    https://seminar.hrnote.jp/post/95

1. そもそもメンタルヘルスとは何か?

shutterstock_165220091

1-1. メンタルヘルス対応は労務リスク対応である

舘野氏

近年の労働問題に関わる過労死、過労自殺、メンタルヘルス疾患の発生状況は増えてきているように感じています。

その中でまず言いたいことは、「メンタルヘルス対応=労務リスク対応」であるということです。メンタルヘルス対応を怠ることで、大きな労務問題につながる可能性があります。そうならないために、メンタルヘルスケアをどう進めていけばいいのかお話させていただきます。

そもそもメンタルヘルス不調とは何を指すのか。これは厚生労働省が定義を設けています。「精神及び行動の障害に分類される精神障害や自殺のみならず、ストレスや強い悩み、不安など、労働者の心身の健康、社会生活及び生活の質に影響を与える可能性のある精神的及び行動上の問題を幅広く含むものをいう」とされています。

メンタルヘルス疾患で多いのはうつ病で、それ以外にも双極性障害適応障害統合失調症などがメンタルヘルスの病名でよく出てくるものです。また、そういった病名が付くものだけでなく、職場で何らかの強いストレスを感じていて問題が起こっている状態のこともメンタルヘルス不調にあてはまります。

ですので、病名が付いていないからメンタルヘルス対策をしなくても良いということでは決してありません。ちなみに、このようなメンタルヘルス不調を抱える可能性がどのくらいあるのか。労働者健康状況調査によれば、「ストレスを感じていますか」という質問に対して、およそ5割~6割の人が「職場で毎日ストレスを感じている」と回答しています。

また、職場が原因で精神障害が発生した人の数も年々右肩上がりで増えています。もう全然止まらない、改善しないということが日本でかなり大きな問題になってきています。

1-2. メンタルヘルスに影響を与えるのは「長時間労働」と「ハラスメント」

舘野氏

では、企業として組織として何をしなければいけないのか。メンタルヘルスに影響を与える要因として、厚生労働省が挙げているのが「長時間労働」と「ハラスメント」です。長時間労働が続くと精神疾患を発症する。職場にハラスメントがあると精神疾患を発症する。そういうことを厚生労働省は話しています。

メンタルヘルス対策としては、長時間労働に陥らないための業務管理・勤怠管理をしなければいけないということ。ハラスメントの防止については、パワーハラスメント、セクシャルハラスメントがあった際に、それを放置するようなことがあってはならない、きちんと対応することが求められます。

2. メンタルヘルス対応に向けた「流れの把握」と「予防策」

2-1. まずはメンタルヘルス対応の流れを把握しよう

舘野氏

メンタルヘルス対応をどのようにしていけば良いのか。重要なのはメンタルヘルス対応の流れを把握することです。

まず、「何かおかしいな。夜眠れないな。寝てもすぐに起きちゃうな。食事がなかなか摂れない、なんか食欲がない。疲れが取れない」と、従業員が体調不良を感じる段階があります。

そこから、従業員が自発的に相談したり、管理監督者がその変化に気づいたりして、病院を受診する流れになります。そこで良くならないようであれば、休職の申し出により休養に入ります。

療養中、病院の指定する服薬と休養を取って徐々に回復していきます。そこからが休職から復職のフェーズです。休職者から復職の申し出があり、主治医の診断書と産業医の意見書をもとに、会社が復職を判断します。職場、事業主が復職を判断するのです。主治医ではありません。「産業医の先生が言ったからOK、主治医が言ったからOK」ではありません。その意見を参考に事業主が判断をすることになっています。

職場復帰のプログラムがあれば、それに従って復職をします。そして、復職後に問題が発生していないかフォローアップしていきます。復職からだいたい半年から、場合によっては1年くらいフォローしていくケースもあります。

図7

 

2-2. メンタルヘルスケアの基本的な考え方

舘野氏

メンタルヘルスケアの基本的な考え方として、「労働者の心の健康の保持増進のための指針」というものがあります。国が事業所におけるメンタルヘルス対策の在り方を包括的に指示しているもので、「メンタルヘルス指針」とも言われています。

その指針の中には、以下のような内容が記載されています。

  • 事業者が事業所におけるメンタルヘルスケアを積極的に推進する
  • 事業者は心の健康づくり計画や規程を策定し利用する

必ずやらないといけないというよりは、あくまでも推奨になります。ただ、このような対応を実施することで、メンタルヘルスにおける1次予防、2次予防、3次予防を円滑におこなうことができます。

1次予防は、メンタルヘルスを未然に防止する。起こさないというイメージです。そのためにストレスチェック制度を活用します。ストレスチェック制度は、メンタルヘルス疾患になる前に手を打とうという目的で設定されたものなのです。

2次予防は、不調者がいたら早期に発見し適切な措置をおこなうというフェーズです。従業員が自発的に気づけるようなセルフチェック機能、管理監督者などによる相談対応、家族の気づきなど、早期に発見できるような仕組みづくりが求められます。

3次予防が職場復帰支援になります。メンタルヘルス不調となり、休業した従業員の職場復帰支援をおこなうための手引きをしていきます。

図5

未然防止、早期発見、職場復帰支援。この3つの予防を円滑に進めるために指針はつくられています。そして先程のメンタルヘルス対応の流れというのを見ていくと、以下のようになります。

図8

体調不良を感じる前が1次予防になります。体調不良を感じてからが2次予防。その後が3次予防という流れですが、1次予防が一番大事です。2次予防のフェーズでも、「不調だな」と思った人をケアできれば、まだそこまで大きな問題にならない可能性が高いです。

しかし、3次予防の部分。休職してしまうと、今度はそこからさまざまな対応をしなければいけません。やはり一番良いのは起こさないこと、発生させないことです。

2-3. 2次予防でできること

舘野氏

2次予防の話になりますが、「休職したい」と言う従業員は、自分の体調不良について誰にも相談しない人がほとんどだと感じています。メンタルヘルスの病気かもしれないと自分で思っても、「それで会社でなにか影響を受けるんじゃないか」「仕事が続けられなくなるんじゃないか」と、そういったことを不安に感じて相談をしません。

管理職も周りも、様子がおかしいなと思ってもその時は何も言わないんです。それで休職することになると「あの人、何かしら不調を抱えていると思ってました」という声がたくさんでてくるんです。でもその前には誰も動かないんです。ですので、人事にも全く相談が行かないし、産業医面談にもつながりません。そのため、いきなり「休職したいんです」と、主治医の診断書を持ってくることになってしまうのです。

この間、全く何もケアができていません。そのために2次予防で、「体調不良があったら自発的に自分からでも相談してきて欲しい」「こういう相談の仕方があるんだよ」ということを知ってもらえるよう努力する必要があります。管理監督者もメンタルヘルス疾患の傾向がわからない方が多いので、いつもと違う部下の様子に気づけるようになってほしいと思っています。

そうすれば、人事、産業保健スタッフに相談ができ、面接をして産業医の先生から「じゃあ、こういうところに行ってごらん」と病院を紹介してもらえ、受診したら休職することなく治療しながら継続勤務したり、回復したりできるかもしれません。

また、大事なのは研修をすることです。メンタルヘルス指針の中にも、管理監督者の知識として「こういう研修をしてください」という内容が書いてあります。部下の遅刻、早退、欠勤が増え、突然休む。残業、休日出勤が不釣り合いに増える。特にうつ病の方は、判断力や思考力が落ちているので、残業時間が長くなる傾向があります。

そのような、「いつもと違う部下の様子」に気づくことが重要で、そのための知識を身につけてもらいたいですね。

図9

そして、このようなシグナルに気づいたら、どこに相談すれば良いのか、どこにつなぐのべきなのかを、職場に周知していってもらいたいです。

2-4. 不利益な取り扱いをしてはいけない

舘野氏

メンタルヘルス指針の中に、「心の健康に関する情報を理由とした、不利益な取り扱いの禁止」という項目があります。何を言っているかというと、労働者の心の健康に関する情報を把握した場合において、それをもとに労働者に対して不利益な取り扱いをしてはいけないという内容です。

たとえば、「高ストレス者と判定され、面接指導を受けた」「過去にうつ病と診断された」といったことを理由に、「あの人、今の仕事は無理なんじゃないか?」と勝手に違う仕事に配置転換させたり、解雇させたり、雇用契約の更新をしなかったりと、そのような対応をしてはいけません。

ある病気が原因でパフォーマンスが上がらないのであれば、手続きに従いそのような対応ができますが、現場で何も問題がないのに、その情報を入手しただけで不利益な取り扱いをするのは禁止されています。

※次回は、メンタルヘルス疾患により休職した従業員の職場復帰支援について、各対応ステップをご紹介していきます。

【セミナー概要】

  • テーマ:「メンタルヘルスの休職復職のために、人事が知っておくべきこと」
  • 主催株式会社エムステージ
  • 日時:2017年7月21日(金)15:00~17:30
  • 会場:アットビジネスセンター東京駅 406号室

--------------------

\【2024年最新版】HR関連法改正トレンドBOOK/

▼無料ダウンロードはこちら▼
https://hrnote.jp/document/?did=148030

ChatGPTで変わる人事業務【実践編】

昨今のHR領域では、いかにAI・データの活用をおこなえるかが課題となっており、ChatGPTの登場により、ますます注目度が高まりました。
一方でChatGPTを業務に取り入れていきたいと考えている方の中には、

  • ChatGPTではどのような業務に取り入れられるのかわからない
  • 興味はあるものの、具体的にどの場面で活用できるのかわからない

などと考える方がいるのではないでしょうか。

本資料では、「ChatGPTの導入によって人事業務にどのような変化がでるのか」についてわかりやすく解説しています。
人事業務×ChatGPT活用について知りたい方は、ぜひご確認ください!

人事業務に役立つ最新情報をお届け!メールマガジン登録(無料)

HR NOTEメールマガジンでは、人事/HRの担当者として知っておきたい各社の取組事例やリリース情報、最新Newsから今すぐ使える実践ノウハウまで毎日配信しています。

メルマガのイメージ

関連記事

ボーナスは年末調整の対象になる?税金や還付金について解説

ボーナスは年末調整の対象になる?税金や還付金について解説

年末調整は、1年間の給与総額に基づいて所得税額を再計算し、毎月の源泉徴収税額との過不足分を再計算する手続きです。年末調整の対象は毎月の給料だけではありません。賞与やボーナスも年末調整の対象となるため、正しい手続き方法を知 […]

  • 労務
  • 給与計算
2024.04.19
HR NOTE 編集部
年末調整に交通費や通勤手当は含まれる?注意点を徹底解説

年末調整に交通費や通勤手当は含まれる?注意点を徹底解説

企業は毎年度末、従業員から源泉徴収した所得税額に過不足がないかどうか確認する年末調整をおこないます。 所得税は給与収入をベースに算出した課税所得額に基づいて計算されるため、毎月従業員に支払っている交通費や通勤手当を給与収 […]

  • 労務
  • 給与計算
2024.04.19
HR NOTE 編集部
年末調整のひとり親控除を徹底解説!対象者や書き方、寡婦控除との違いも解説

年末調整のひとり親控除を徹底解説!対象者や書き方、寡婦控除との違いも解説

会社勤めをしているひとり親の人は、年末調整でひとり親控除を受けることができます。ひとり親控除には、所定の手続きが必要なため、要件や書類の書き方などをしっかりチェックしておきましょう。今回は、年末調整のひとり親控除の対象者 […]

  • 労務
  • 給与計算
2024.04.19
HR NOTE 編集部
退職金は年末調整の対象に含まれる?退職所得の計算方法や確定申告が必要なケースを解説

退職金は年末調整の対象に含まれる?退職所得の計算方法や確定申告が必要なケースを解説

退職金は年末調整の対象となる所得には含まれませんが、所得税の課税対象ではあります。当記事では、なぜ退職金が年末調整の対象にならないのか、退職金に対する所得税の課税金額の計算方法、そして、退職金に対して確定申告が必要になる […]

  • 労務
  • 給与計算
2024.04.19
HR NOTE 編集部
年末調整の続柄の書き方一覧!世帯主との関係や確定申告の場合の書き方も解説

年末調整の続柄の書き方一覧!世帯主との関係や確定申告の場合の書き方も解説

年末調整の書類には「あなたとの続柄」を記載する箇所がいくつかあります。続柄の意味や書き方を正しく理解していないと、間違った申告をおこなってしまう可能性があります。また、確定申告での続柄の記載方法は少々異なるため注意が必要 […]

  • 労務
  • 給与計算
2024.04.19
HR NOTE 編集部

人事注目のタグ