「労務の価値を高めたい」メルカリ『攻めの労務』が描く新しい労務像とは? | 人事部から企業成長を応援するメディアHR NOTE

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「労務の価値を高めたい」メルカリ『攻めの労務』が描く新しい労務像とは?

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※本記事は、インタビューを実施したうえで記事化しております。

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株式会社メルカリの労務である横井さんに、普段あまり語られない「労務の仕事内容」「労務が抱える悩み」「労務の魅力」「今後の労務」などをお話いただきました。

今回は、労務がどのような悩みを抱えているのか、HRTechサービスには興味があるのか、今後なりたい労務像などについてまとめています。是非、ご参考となれば幸いです。

横井様

横井 良典(よこい よしのり)|株式会社メルカリ コーポレートプランニンググループ

大学卒業後、人材サービス、社労士事務所、アパレル企業で10年以上に渡り、人事労務業務を担当。10人以下の企業から数千人規模の企業までの各フェーズ、他業種における労務課題に向き合う。2016年6月、メルカリ入社。労務を担当。東京都社会保険労務士会・勤務社労士/産業カウンセラー協会・産業カウンセラー

 

労務の悩み|孤独だし「ミスができない」「普通にできて当たり前」という状況でプレッシャーが大きい

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―労務の方々の間ではどのような悩みや課題があるのでしょうか。

横井氏:スタートアップやまだ規模がそこまで大きくない会社だと、労務担当が兼務をしていたり、会社に1人しかいなかったりという状況で、社外に社労士の方はいますが、他に相談できる人がいないんです

労務経験がない、浅い方だと、「社労士の方の言っていることが、本当に自分の会社にとって正しいのか判断がつかない」「社外の社労士の方と対等に話をするための知識が不足しているので、もっと知識を身に付けたい」といった声をよく聞きます。だからこそ、労務の同士のつながりがもっと広がればいいなと思いますね。

 

―相談したいことは、どのようなことが多いのでしょうか。

横井氏:色んな質問がありますね。「良い勤怠システム探しているけど知りませんか」「今使っている給与システムって使いやすいですか」「良い社労士さんいませんか」などは良く相談されますね。

ただ、労務の話になると、デリケートな情報が多いので、社外の人間と共有することが難しいんです。どうしても一般的な話になりがちです。

あとは、労務はルーチン業務をまじめにコツコツとおこなう場面が多いのですが、どうしても「それが普通にできて当然でしょ」と見られがちです。

しかし、給与振込や保険手続きなど、社員1人1人の情報に間違いがあってはいけない、普通にできて当たり前という状況でプレッシャーを抱えてしまう方は多いと思います。

少しでもミスがあれば、重大なトラブルにつながりやすいですし、プロフェッショナルな立場なのでものすごく怒られます。こういった悩みの共有、修羅場体験の共有もおこなっていければと思います。

HRTechサービスには興味があり、みんなで一緒に良いシステムをつくっていきたい

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―現在では給与、労務、勤怠の領域でもHRTechといわれるようなクラウドサービスが出てきていますが、そのあたりの温度感はいかがでしょうか。

横井氏:新しいシステムに興味はあります。会社の規模や業界にもよりますが、特にスタートアップ企業やIT企業などは、新しいツールに関しては非常に高いアンテナを張っている印象ですね。

個人的には、サービスを提供している会社を巻き込んで労務の集まりをつくって、一緒により良いサービスをつくっていきたいなと思っています。

 

―それができれば、よりユーザー目線のサービスができていいですね。

横井氏:労務担当者がシステムの入れ替えや導入を計画するとなれば、どうしても給与や勤怠は、要件定義がすごく大変で、心理的、時間的コストの負担が大きいんですよね。

そこを労務担当者同士が議論して、システム会社さんと良いと思うものを一緒につくっていければおもしろいと思います。


―そういうコミュニティがあって、「あのシステム使いやすいよ」という話を聞くと「じゃあ、やってみようかな」となるかもしれませんね。

横井氏:「あの会社と同じ設定でお願いします」って言えたら、ものすごくいいですよね。

また、HRTechサービスやAIに代替されるような仕事をコツコツやり続けるのではなく、いかに自分たちの今の仕事を自動化して無くしていき、従業員のメンタルヘルスやもっと働きやすい環境になるのかという新しいことを考える方向にシフトしていったほうが良い。

労務がやるべきことは変わっていくと思いますし、変えていきたいと思います。

目指すべき世界観|業界・他社に先駆ける取り組みを通して、社会に良い影響を与えたい

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「労務4.0」社会に良い影響を与えるような取り組みを目指す

―労務自体としての「攻め」に関してお考えの部分はありますでしょうか。

横井氏:まずは労務という堅いイメージ、作業をしているだけといったイメージを変えていきたいという想いがあります。

そのために、労務の人はなかなか社外に出る機会が少ないので、労務の担当者を集めた交流の場や、相談し合えるような環境を創っていきたいです。そこで実際に、ミートアップや勉強会を開催し、議論の場をつくるようにしています。

どちらかというと守りのイメージが強い労務が、「攻め」の姿勢を取るためには、会社が何を実現したいのか、そこに労務として何ができるのかを考える必要があります。

ただ、そこにコミットできる人材はまだ少ないと思います。そこで、勉強会などをおこない、「『労務4.0』になりたいよね」という話をよくしています。

人事研究の世界的権威のD.ウルリッチという学者の人事のフレームワークを参照しているのですが、労務2.0がいわゆる普通の作業をまわしているようなイメージで、労務3.0が会社の戦略的パートナーという感じです。そして労務4.0が変革エージェントという立ち位置になります。

 

―「労務3.0」が会社の戦略的パートナーということですが、具体的にどのようなことをしていくのでしょうか。

横井氏会社が実現したい世界観を労務として一緒につくりあげていくことが、労務3.0になるかと思います。

たとえば、メルカリがおこなっている障がい者アスリートの採用。メルカリと同じように「世界を目指している」プロアスリートや競技団体の支援をしていきたいという想いをどう実現していくのか、障がい者の方にとってどのような雇用が幸せにつながるのか。

お互いにとってどのような形が良いのかを考えた上で障がい者アスリートの雇用に至りました。そのようなことを一緒に創りあげていくイメージですね。


―「労務4.0」変革エージェントになるために、横井さんのお考えをお聞かせください。

横井氏:変革エージェントということですが、業界・他社に先駆ける取り組みや、社会を変えていくようなことをおこなっていきたいと考えています。

メルカリには「Go Bold–大胆にやろう」というバリューがあるのですが、それに沿って、社会への提言や社会を牽引するような動きをしていきたい、そのようなチームをつくっていきたいと思っています。

産休育休の給与を100%保障するなどの人事制度をまとめた「merci box」のような活動も、メルカリから実施、発信していくことで社会に何かしら影響を与えていけるように感じています。

言い続けること、発信し続けることで、社会がより良い方向に変わっていけばいいと思います。

労務という職種の価値を高めていきたい

―横井さんは労務業務のどのようなところにやりがいを感じているのでしょうか。

横井氏:私の中で、1人1人が仕事を楽しみ、自分で選んで主体的に仕事をしている実感を持てる環境をつくりたいという想いがもともとあります。

さまざまなバックグラウンドを持った人たちが、その環境で生き生きと働けるようにサポートし、楽しんで仕事に取組んでいるところを見る。こういった形で、その人の人生に寄り添えるのはやりがいを感じますし、好きだなと思っています。


―ありがとうございます。最後に横井さんの想いや今後の展望などをお伺いさせてください。

横井氏:繰り返しになってしまいますが、社内に労務のことが分かる人間が必要だということをしっかり伝えていきたいです。

どうしても「労務は何やっているかよく分からない」と感じている方が多いと思います。何をしているかよく分からない仕事に魅力は感じられないと思いますし、その仕事に就こうと思う人はなかなか出てきません。

「労務という仕事は楽しいんだよ」「やりがいがあるんだよ」ということを、発信していきたいです。

労務という仕事に興味を持ってくれる人が増えていって欲しいですし、労務という職種の価値を高めていきたいですね。

最後に

いかがでしたでしょうか。

普段あまり見えない労務の考え、想い、悩みなどを知ることができ、新たな気づきや学びをいただきました。労務のあり方も今後大きく変わってくるかもしれません。

今まで労務について深く知らなかった方にとって、労務の仕事内容について少しでも興味を持っていただけると幸いです。

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