freee人事労務が取り組む「マジ価値人事業務」と「カルチャー浸透方法」とは? | 人事部から企業成長を応援するメディアHR NOTE

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freee人事労務が取り組む「マジ価値人事業務」と「カルチャー浸透方法」とは?

  • 組織
  • 企業文化・組織風土

※本記事は、主催企業や登壇者/登壇企業に内容を確認のうえ、掲載しております。

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「全ての人事部門のリーダーもテクノロジーリーダーとして、ITに関して理解を深めていこう」という想いで立ち上がったイベント『人事 to ITカイギ』。

テーマは「脱レガシー!次世代の人事・労務・採用」。

今回はその中で、freee株式会社で新しい人事・総務の姿の実現にチャレンジしている、古塚氏の登壇内容をご紹介します。「人事労務としてどのようなことにチャレンジしているのか」「組織文化の浸透のためにおこなっていること」などに関して、freeeの独自の取り組みやそのノウハウをお話されています。

freee人事労務が取り組む「マジ価値人事業務」と「カルチャー浸透方法」とは?

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古塚さん

古塚 大輔(ふるつか だいすけ)|freee株式会社 メンバーサクセスチーム マネージャー

早稲田大学法学部卒業。東洋ビジネスエンジニアリング株式会社で人事労務・新卒採用・人材育成業務を経験後、デロイトトーマツコンサルティング株式会社にジョイン。基幹人事制度構築、人事業務改善、人事システム導入、企業統合のPMOなど従事。2015年7月に初の人事専任メンバーとしてfreee株式会社に入社。2015年10月よりメンバーサクセスチームのジャーマネとして、新しい人事・総務の姿の実現にチャレンジ中。

「本質的(マジ)で価値のある」人事になるために意識していること

古塚氏:今日は、「『マジ価値』人事労務へのチャレンジ」「組織カルチャーづくりへのアプローチ」に関して、弊社の取り組みをご紹介していきます。

私は、「メンバーサクセスチーム」という、いわゆる総務人事に所属しています。freeeは自由・自立といったカルチャーがあるのですが、そこに「管理」というニュアンスを出すとメンバーの雑音になると考え、メンバーをバックアップする、サクセスさせるという目的をチーム名にしようと話し合って今の名前になっています。

まず、「『マジ価値』人事労務へのチャレンジ」ついて説明します。freeeの人事労務にとっての「マジ価値」とは、メンバーサクセス実現に向けてやるべきことを確実・正確にそして効率的におこない、付加価値業務や自身の成長により多くの労力を割くことと定義しています。

その実現に向けて、お互いの強い信頼感、共感、メンバーがワクワクできる高揚感などが必要だと考え、そのために人事として何ができるのか取組んでいます。その一環として、メンバーサクセスポリシーというものを定義しています。「考え方をしっかりと浸透させていこう」「成長を実現させてワクワクしてもらおう」「横のつながりをつくり信頼関係を深めていこう」というような内容です。

このようなポリシーがあると、やること、やらないことに対しての説得力が高まります。「これ何でやらないんですか」「これどうしてやるんですか」と質問されたときに、メンバーサクセスポリシーがあると説明がしやすくもなります。

テクノロジーを導入したら、労務領域の工数が0.5人/月で済むようになった

古塚氏:メンバーサクセスの実現のためには、「守り」の部分である人事労務が機能していないと意味がありません。確実に正確に効率的に事務処理をおこなえるように整備し、守りの部分を高度化することで、攻めの部分に注力する。こういう仕組みができることで「マジ価値」をより推進していけると思います。

少ないリソースで確実に正確に事務処理をおこない、付加価値の高い業務にシフトしていくためにはテクノロジーの活用が有効です。たいていのスタートアップ企業は、弊社も含め人事労務業務に多くのリソースをさくことができません。そうなると、ルーティン業務の工数を極小化していく必要がありますが、そこにテクノロジーを導入します。

実際にfreeeでは数多くのシステムを導入していますが、その結果、紙の「書類」がほぼなくなりました。テクノロジーを導入するだけで工数が劇的に変わる実感があります。たとえば、労務領域を任せている女性の場合だと、給与計算、勤怠、社会保険の手続き、保育所に出す就業証明書など、今のところ0.5人/月で済んでいます。彼女は残りの0.5は、入社前のメンバーの意欲を高めるための、freeeのカルチャーに関する情報提供を積極的におこなうなど、人事労務の枠から発展して業務をしています。その他、育児支援の体系化へのチャレンジや、外部の勉強会にもたくさん出てもらって、成長してもらっています。

freeeのカルチャーづくりの源泉は、5つの価値基準を浸透させているから

古塚氏:freeeがどのような「組織カルチャーづくり」をしているか。freeeのカルチャーについて、従業員からはこのような声をよく聞きます。

  • フラット
  • ファミリー感
  • 透明性がある
  • 本質好き、無駄嫌い
  • 何でも楽しい(遊び心がある)

たとえば「フラット」に関しては、「ジャーマネ」という制度があります。芸能界のタレントのように、会社ではなくメンバーが主役であるという考えで、ジャーマネは上下ではなく、メンバーをサポートする立場になります。実際に上下関係をなくすためにニックネームで呼び合うようにしています。

また、「本質好き・無駄嫌い」であれば、「たとえユーザーであってもその言葉が正しいかは一度立ち止まってマジ価値を考える意識を持とう」といった話が飛び交っています。また「今日着る洋服を考える時間がもったいないから、Tシャツを配ろう」という考え方もあります。

freeeのこのようなカルチャーの源泉には「価値基準」があると考えており、その浸透にかなり力を入れています。

たとえば、弊社作成の水が入ったペットボトルがあるのですが、そのラベルに5つの価値基準が書いてあります。「本質的(マジ)で価値ある」「理想ドリブン」「アウトプット→思考」「Hack Everything」「あえて、共有する」。そして、このペットボトルを採用の場面で応募者の方にお渡ししています。そうすると、5つの価値基準をあらかじめ認識していただけるので、入社後もすんなりとカルチャーに馴染んでくれます。

FireShot Capture 003 - freee株式会社 - https___corp.freee.co.jp_

 

価値基準・カルチャー浸透のために意識している3つのこと

古塚氏:価値基準・カルチャー浸透のために意識していることが3つあります。

  1. 戦力の逐次投入はNG。どんどん戦力を投資すべし
  2. 間違ってても独自解釈でもOK。価値基準、行動指針を積極的に使ってもらう
  3. タッチポイント、目に入れる機会をたくさんつくる

戦力の投資でいくと、弊社はエース級のメンバーを「価値基準委員会」に投入しています。執行役員、2人がジャーマネ、新入社員のホープなど、300人規模の会社で7名投入しています。しかも、週に1回定例ミーティングをしています。

価値基準、行動指針をどんどん使ってもらうということに関しては、「あなたにとって価値基準の解釈はどのようなものですか」ということを聞く、「価値基準1on1」ということをしています。正解・不正解はなく、「あなたはそのようなお考えをお持ちなのですね」というように、みんなで認め合うスタンスをとっています。

タッチポイントを増加するというのは、先程のペットボトル以外にも年賀状、ポスターなどで、価値基準が目につく機会を増やします。そうすると、freeeでの生活を通じて徐々に意識に刷り込まれていくのではないかと思います。

最後に

いかがでしたでしょうか。

freeeの従業員を支える人事労務として、ただ日々の業務をこなすだけでなく、メンバーサクセスポリシーといった「自分たちの価値をどう生み出すか、そのために何ができるのか、何をすべきか」ということを考えて、新しいチャレンジに取り組まれています。

そのためにテクノロジーの活用やカルチャーの浸透に関してお話されていましたが、それ以外にもまだまだ会社のために労務からできることはあると思います。「攻めの人事」としてfreeeがおこなっていることは参考となるのではないでしょうか。

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