孫子とメルカリに学ぶ最強の採用戦略|採用コストを最小限に抑えるたった一つの方法 | 人事部から企業成長を応援するメディアHR NOTE

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孫子とメルカリに学ぶ最強の採用戦略|採用コストを最小限に抑えるたった一つの方法

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※本記事は、インタビューを実施したうえで記事化しております。

こんにちは!株式会社HARESの西村です。

リファラル採用における社員エンゲージメント可視化の重要性」をお伝えした前回に引き続き、今回は「社員エンゲージメントの高め方」についてお話をさせていただきます。

ちょうど先週、『働き方を考えるカンファレンス2017』という500名超の人が集うイベントで登壇する機会をいただき、「日本人は本当に働きすぎなのか?」というディープなテーマに対して、経済学者の竹中平蔵さんをはじめ、働き方にまつわる論客の皆様とパネルディスカッションをさせていただきました。

自分が登壇させていただいただけではなく、他のトークセッションにも参加したり、控え室で他の登壇者の方々と「働き方にまつわる楽屋トーク」をしたり、朝から晩までとことん「働き方」について考える1日だったのですが、 「『戦わずして勝つ』ことが最強の採用戦略である」という結論にいたったので、そのお話をしたいと思います。

▶︎連載「採用の本質」記事一覧はこちら

なぜメルカリは超低コストで超優秀な人材を採用できているのか?

数々のセッションの中でも、特に興味深かったのが、「マネジメント」のセッションです。
「マネジメント」のセッションでは、以下の方々が登壇され、さまざまな視点で「これからのマネジメントのあり方」についてディスカッションがされました。

【パネラー】
島田由香氏(ユニリーバ・ジャパン・ホールディングス株式会社 取締役 人事総務本部長)
小泉文明氏(株式会社メルカリ 取締役)
青砥瑞人氏(DAncing Einstein Co., Ltd. Founder & CEO)
【モデレーター】
徳谷智史氏(エッグフォワード株式会社 代表取締役社長)

マネジメントという概念自体がもう古い。マネージャーはファシリテーターであるべき
モチベーションは『上げる』ものではなく『上がる』もの
人事施策は、すべてビジョンからはじめよ

など、金言が多すぎてメモを取るのが大変だったくらいなのですが、採用にまつわる話で、中でも多くのオーディエンスが驚いていたのが「採用活動のエージェント依存度はとても低く、ほとんどがリファラル採用や直接応募。一人当たりの採用単価が圧倒的な低コストなんです」というメルカリ小泉さんのお話でした。

メルカリさんのように、極めて採用基準の高い会社で採用単価が圧倒的に低いというのは、ごく控えめに言って「ありえない」レベルです。エンジニア中心の採用の場合、少なくとも採用単価100万円以上をかけて採用しているケースも散見されます。

ではなぜ、メルカリさんは超低コストで採用を成功できているのでしょうか。

「戦わずして勝つ」ことが最強の採用戦略

本題に入る前に、前提となる考え方を整理してみましょう。採用戦略を、超シンプルな数式にすると、以下の通りになります。

採用人数=必要な社員数ー現在の社員数+退職者数

当たり前のことですが、退職者数の多い会社ほど、たくさんの人数を採用しなくてはなりませんし、その分採用コストが高くついてしまいます。

また、せっかく採用した人がすぐに辞めてしまっては、採用コストのみならず、育成コストも無駄になってしまい、組織に与えるネガティブな影響は計り知れません。

百戦百勝は、善の善なる者に非るなり。
戦わずして人の兵を屈するは、善の善なる者なり
」(孫氏/兵法)

これは「孫子」に書かれた言葉ですが、「戦わずして勝つ」ことは、「戦って勝つ」よりも、優れた戦略であるとされています。

採用戦略も全くもって同じです。「優秀な人を採用すること」はもちろん大切ですが、「優秀な人に会社を辞めずに活躍し続けてもらうこと」の方がずっと大切なのです。

高い離職率のまま、ひたすらに採用を頑張り続けるのは、「穴が空いたバケツに水を注ぎ続ける」ようなものです。しかもその水は、水道水のような「タダ同然」の水じゃありません。「穴が空いたバケツ」に、高級ミネラルウォーターを注ぎ続けるほど、悲しいことはありません。

「採用コスト」を減らし「人材投資」を増やせ!

いかに「戦わずして勝つ」か。その鍵を握るのが「人材投資」です。人材投資の中には、ハード・ソフトの両面がありますが、メルカリさんにおいては、その両方が綿密に設計され、丁寧に運用され続けています。

ソフト面の根幹をなすのは「バリュー」です。
メルカリさんでは、「Go Bold – 大胆にやろう」、「All for One – 全ては成功のために」、「Be Professional – プロフェッショナルであれ」という3つのバリューを創業間もない頃から言語化されています。それを社内/社外、オフライン/オンライン問わず、何度も何度も発信・発言し続け、評価制度にまでしっかり組み込み、多大なる時間とコストを投資して、バリューを徹頭徹尾浸透させています。

※余談ですが、先日参加した少人数の人事向けイベントで「『Go Bold』って知ってますか?」と聞いたところほぼ100%が「知っている」と答えたのが非常に印象的でした。社外にまで色濃く浸透しているバリューって、メルカリさんの他にはないかもしれません。

また、ハード面では、産休・育休8カ月分の給与を100%保証する人事制度「merci box」を昨年2月から導入しています。

これについてメルカリ小泉さんは「単なる福利厚生ではない。経営戦略としてやっています。」と明言されていましたが、「心理的な安心があってこそ、大胆な挑戦ができる」という考え方から、会社が可能な限り仕事以外の不安を取り除いてあげることによって、社員が本当の意味で「Go Bold」な働き方を実現できるはず、という考えから「merci box」は生まれているのです。紙幅の関係でその全てを書き綴ることはできませんが、ハード/ソフト両面において、メルカリさんは相当な時間とコストを「人材」に投資されています

その結果、社員のエンゲージメントが高まり、離職率が下がるだけでなく、生産性も高まります。その上で、繰り返し繰り返し、社内外で何度も何度も、あの手この手で採用広報をおこなうことで採用ブランドが高まり、結果的にリファラル採用や直接応募経由の採用のシェアが高まり、劇的に低い採用コストが実現できるのです。

もちろん「メルカリは一日にして成らず」ですし、目の前の採用目標にきちんと向き合うことは、採用担当者の当然の務めです。ただし、与えられた採用目標をひたすらに追いかけ続けるのではなく、

戦わずして勝つ方法」はないか?

自社にあった「人材投資」のあり方とは?

 

と、目の前の採用実務から離れて「ストーリーとしての採用戦略」を考えてみると、新しい道が拓けていくはずです。

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