こんにちは!株式会社HARESの西村創一朗です。
1月から連載をスタートさせていただき、早くも2ヶ月目に突入しました。ありがたい限りです。
前回、ダイレクトリクルーティングの成功条件のひとつは「おもてなし」では、「待ちの採用スタンス」から「攻めの採用スタンス」に切り替え、「おもてなし」の心で求職者の方と向き合うことの大切さをお伝えしましたが、今回は中でもホットなテーマである「リファラル採用」をテーマに解説します。
目次
【豪華ゲスト多数登壇!】変化に負けない「強い組織」を育むためにHRが果たすべき役割を考える大型カンファレンス『HR NOTE CONFERENCE 2024』
「人的資本経営」「ウェルビーイング」「DEI」といったトレンドワードが、HR領域だけでなく社会全体に拡がり始めた昨今。自社組織に漠然と"停滞感"を感じ、「うちは取り残されていないだろうか?」「何かやらないといけないのでは・・・」といった不安や悩みを抱える人事・経営者の皆様も多いのではないでしょうか。
本カンファレンスでは、HR領域の有識者の皆様に、様々な組織課題を解決するためのアプローチ方法について解説いただきます。強い組織を育む企業が実践している事例には、組織強化に必要な考え方や人事が果たすべき役割について学べるポイントが多くあります。ぜひ有識者の皆様と一緒に、組織を強化する「共通原理」について考えてみていただければと思います。
業界・企業規模を問わず注目を集めるリファラル採用
リファラル採用とは、社員の知人・友人を紹介・推薦してもらうことによっておこなう採用手法のことを指します。
社員のフィルターを介しているため、自社の価値観や組織文化にマッチした人材が採用できること、転職市場にはなかなか出会えないニッチなスキルを持った人材が採用でき、かつ離職率が低いため、非常にROI(投資対効果)の高い採用手法として注目を集めています。
【リファラル採用のメリット】
- 自社の価値観や組織文化にマッチしやすい
- 転職市場にはなかなか出会えない人材に出会える
- 離職率が低い
- 採用コストを抑えることができる
筆者がリファラル採用に興味を持ち、リファラル採用に関する情報・ナレッジ共有コミュニティ「リファラボ」を立ち上げてから早1年半。当初はまだマイノリティで、一部のスタートアップや外資系企業を除き、日本では認知度が低い採用手法でした。
ところが、今やベンチャー・中小・大企業など規模を問わず、業界や職種を問わずあらゆる企業でリファラル採用の導入・検討が進んでいます。先日登壇の機会をいただいた「リファラル採用勉強会」では、社員4名のスタートアップから、社員数千名を超える大手上場企業に至るまで、約80社の企業が参加されていました。
ただ「リファラル採用順調です!」という企業はまだまだ圧倒的少数で、むしろ「はじめてみたものの、全然進まないんです…」とか「どこから手をつけて良いのかわかりません」という声がまだまだ多いのが実情です。
これは一体なぜでしょうか。
リファラル採用成功の方程式は「社員数×社員協力率×一人当たり紹介人数」
リファラル採用は、人事だけではなく、人事部以外の全社員を巻き込まなくてはなりません。HRアワードを受賞した、面白法人カヤックの「ぜんいん人事部」が象徴的です。リファラル採用においては、いかに社員から良い人材を紹介してもらうかがポイントになるのですが、方程式は極めてシンプルです。
上記の図のように、「社員数×社員協力率×一人当たり紹介人数」によって、リファラル採用の紹介人数が決まります。会社によってまちまちではありますが、概ね3人紹介があれば、1人採用決定に至る驚異の採用率の高さが、リファラル採用の魅力の一つです。
ゆえに、リファラル採用の成否は「社員協力率をいかに高めるか?」「一人当たり紹介人数をいかに増やすか?」の2点にかかっています。特にリファラル採用の初期段階においては、「社員協力率をいかに高めるか?」が最重要ポイントになります。
まずはエンゲージメントの高い社員から巻き込もう
「リファラル採用はじめました!是非、みなさんの知人や友人をご紹介してくださいね!」と告知を打ったものの、社員が全然協力してくれず、全く紹介が上がってこない。こんなケースも少なくありません。他ならぬ、筆者自身が前職でリファラル採用プロジェクトを立ち上げた当初もそうでした。
それもそのはず。多くの社員にとっては、採用活動なんて「他人事」なんです。自分の目の前の仕事に真剣に向き合うので精一杯の中、義務でも何でもない採用活動に協力する理由がありません。
ただ、社員の中には会社に貢献したい、役に立ちたい、何より会社が好きで誇りを持って働いている、エンゲージメントの高い社員が、必ずいます。どんな企業にも、多かれ少なかれ、必ずいます。
リファラル採用においては、こうしたエンゲージメントの高い社員をいかに巻き込んでいくかが非常に重要です。そもそも会社のことを好きでない、むしろ自分が転職したいと思っているようなエンゲージメントの低い社員に対しては、いくら「紹介してください!」と言ったところで暖簾に腕押し。紹介が見込めるはずがありません。
一方で、エンゲージメントの高い社員も、単に「リファラル採用はじめました」とメールを送ったり、ポスターを掲示したりする「空中戦」だけでは不十分です。役員や部長、マネージャーに協力を仰ぎ組織ごと巻き込んだり、1対1でミーティングをしたり、という「地上戦」をおこない、熱量を持って動かしていくことが重要になります。
エンゲージメントを「見える化」できるたった2つの質問
ただ、従業員が数十人、数百人、数千人いると、一体誰がエンゲージメントが高いのか、いったいどの組織がエンゲージメントが高いのかが分からなければ、具体的に誰を、どの組織を巻き込んで行けば良いのかが見えてきません。
そこでまず筆者が着手したのが「社員のエンゲージメントの見える化」でした。色々調査研究を進める中で、『eNPS』という、社員のエンゲージメントを可視化する調査手法があることを知り、『eNPS』を用いてエンゲージメントの高い個人や組織を見える化することに挑戦したのです。
『eNPS』は下記のようにたった2問の問いでリサーチが完了する手法です。
- 自社で働くことを友人・知人に薦めたいか?(0〜10点の11段階で回答)
- 「そのスコアをつけた理由は?」
30秒から1分程度で回答が完了するため、現場に負荷をかけることなく、かつ正確な回答を得ることができます。
「9~10点と回答した人を推奨者」、「7~8点は中立者」、「6点以下を批判者」と分類し、推奨者の割合から批判者の割合を引いたスコアがその組織のeNPSのスコアとなります。
eNPSの実施によって、見える化できたことは次の3つでした。
1つは、世の中一般の企業に比べてeNPSのスコアが高い、つまり「友達に勧めたい」と思っている人の比率が高かったという事実。これが分かっただけでも、リファラル採用を推進する意義を感じたので、非常に大きな自信となりました。
もう1つは、エンゲージメントの高い社員や組織が分かったことで、具体的にどの社員や組織にアプローチをおこない、巻き込んで行けば良いかの筋道が立てられました。
最後は、入社して3ヶ月未満の社員のエンゲージメントが高いということでした。「前職と比較してこんなところが良い!だから勧めたい」という気持ちが新鮮な状態のうちに巻き込むことが重要であることが分かったのです。
さいごに
繰り返しになりますが、リファラル採用は社員の協力なくして成功はあり得ません。そして、社員に「紹介したい」という気持ちがなければ、社員の協力は得られません。
極論、エンゲージメントの高い社員がゼロであれば、今会社として取り組むべきは「リファラル採用」ではなく、「社員エンゲージメントの向上」そのものでしょう。ただ、裏を返せば、どんな不人気業界・不人気企業でも、「紹介したい」という気持ちを持ったエンゲージメントの高い社員が一人でもいれば、その社員を起点にリファラル採用成功に向けた突破口が必ず開けるはずです。
リファラル採用の成功に向けて、まずは「エンゲージメントの見える化」にチャレンジすることからはじめてみてはいかがでしょうか。
次回は、「エンゲージメントを見える化した上で、具体的にどんな打ち手を打っていけば良いのか?」について解説します。
【豪華ゲスト多数登壇!】変化に負けない「強い組織」を育むためにHRが果たすべき役割を考える大型カンファレンス『HR NOTE CONFERENCE 2024』
「人的資本経営」「ウェルビーイング」「DEI」といったトレンドワードが、HR領域だけでなく社会全体に拡がり始めた昨今。自社組織に漠然と"停滞感"を感じ、「うちは取り残されていないだろうか?」「何かやらないといけないのでは・・・」といった不安や悩みを抱える人事・経営者の皆様も多いのではないでしょうか。
本カンファレンスでは、HR領域の有識者の皆様に、様々な組織課題を解決するためのアプローチ方法について解説いただきます。強い組織を育む企業が実践している事例には、組織強化に必要な考え方や人事が果たすべき役割について学べるポイントが多くあります。ぜひ有識者の皆様と一緒に、組織を強化する「共通原理」について考えてみていただければと思います。