【シート付】「転職者が活躍し、定着するため」に人事と事業部がやるべき6つのこと | 人事部から企業成長を応援するメディアHR NOTE

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【シート付】「転職者が活躍し、定着するため」に人事と事業部がやるべき6つのこと

  • 組織
  • ワークスタイル

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※本記事は、インタビューを実施したうえで記事化しております。

今回、株式会社カリーグズ代表の福田 航太氏にインタビュー。

福田氏は自身の人事時代の経験から「入社後の活躍と定着まで」のサポートをセットにした採用支援をおこなっており、そこに至った背景や、実践の上でのポイントをお話いただきましたので、内容を記事にしてまとめました。

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福田 航太|株式会社カリーグズ

2008年リクルートに新卒入社。その後2013年にDeNAに中途入社。ゲーム事業の採用責任者を務め、後に広告の営業責任者を経験。2016年3月に株式会社カリーグズを創業し、「入社後の活躍と定着まで」を支援する採用コンサルティングや紹介事業などをおこなう。

「入社後の活躍と定着」に課題意識を持った背景とは?

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会社や事業部にとっては、採用することがゴールではない

―「入社後の活躍と定着」に課題意識を持った背景をお伺いできればと思います。

福田氏:採用担当時代、自分が課せられたKPIを達成するために必死に採用活動をしているとき、事業部の方から指摘されたことがあったんです。「採用することが目的になってない?」って。目線にギャップがあることに気づいて、反省しました。

会社や事業部にとっては「採用すること」はゴールではなく「転職者が活躍し、継続的に成果を上げてもらうこと」が重要なのに、目の前の採用目標数に目を奪われ、入社後のサポートは事業部任せになってしまっていました。

一方、独立してからさまざまな会社の採用を支援する中で気づいたのですが、やはり目の前の採用活動しか見えてない人事の方は多いですし、そもそも転職者に対して人事がどんなサポートをすれば良いかというナレッジ自体が溜まっている企業が少ないと感じました。つまり、「意識」「スキル」ともにあるべき姿とギャップが発生しています。

そのギャップを埋める支援が外部からできれば、本質的な事業貢献になると思いました。

転職者が活躍・定着するために人事がやるべき6つのこと

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―入社して活躍・定着するためには具体的にどのようなことが必要なのでしょうか。

福田氏:まずは、活躍と定着のための課題設定を以下の3つに分けます。

  • 【活躍】転職者が100%のパフォーマンスを出すには
  • 【定着】転職者のパフォーマンスが正しく評価されるには
  • 【継続】チャレンジングなミッションを与え続けるには

パフォーマンスがしっかり出せて、それが評価されて、次のチャレンジングなミッションが与えられるというサイクルが回っていれば特殊な理由が無ければ社員も辞めないだろうし、会社の成長にも十分貢献しているだろうし、お互いにとって良い状態でしょう、という前提のもと話を進めさせていただきます。

【活躍】転職者が100%以上のパフォーマンスを出すには

福田氏まず、転職者のWillと適性を考慮したアサインを行うことが必要です(上記表①)
面接官は、面接の時やオファー面談時に候補者が「何が得意で何が苦手なのか、また何がしたくて転職活動をしているのか」などの情報を聞いていますが、その情報がアサイン決定者に伝わっていないことはよく起きてしまっています。ここでミスマッチが発生するとパフォーマンスが発揮できないところか、早期退職のリスクも高まります。もし、転職者にとって希望通りのアサインではない場合、なぜそのアサインになったのかの意味付けと説明も必要になります。

次に、アサインされた環境でスムーズに成果を出すために、環境や人間関係を整えてあげることが必要です(上記表②)
企業にとっても転職者にとっても、前職で出したパフォーマンスを超えるような成果を出すことを期待しているはずです。そのためには、仕事を進める上での環境や人間環境を、少なくとも前職と同程度には整えてあげることが必要です。特に人間環境に関して、大きな会社ほど、他部署含めた「周りをうまく巻き込めるか」は成果を出す上で非常に重要な要素になってきますが、入社したての人が社内の人間関係を熟知し、誰に何を頼めば物事がスムーズに進むかを探り当て、実行に移せるようになるまでには多大な時間がかかります。そこを人事がサポートしてあげることで、パフォーマンスを出すまでの期間を飛躍的に縮めることが可能になります。

【定着】転職者のパフォーマンスが正しく評価されるには

福田氏まず、ミッションと期待することを正しく伝えることが必要です(上記表③)。
自分が所属する部署のミッションは何で、その中でも自分のミッションは何か、できれば入社前に伝えることで事前準備も出来るようになりますし、入社前の漠然とした不安な気持ちも解消されます。ときに、上長が実際の現場の仕事を十分に理解していないことで、「入社してみたら事前に聞いていた仕事内容と現場の仕事内容が異なる」なんてケースも発生することがあるので、入社後の早いタイミングでミスマッチが起きていないかの確認も必要です。

次に、自己評価と他者評価のすり合わせをおこなうがことが必要です(上記表④)。
転職者が「自分としては十分にパフォーマンスを発揮しているつもり」だが周りはそのように受け止めていないケースもあったり、またその逆もあったりします。 初動を間違えてしまうと後々の軌道修正が大変になるので、これも早めのすり合わせが必要です。

【継続】チャレンジングなミッションを与え続けるには

福田氏まず、仕事内容を正しく振り返ることが必要です(上記表⑤)
任された仕事に対して成果を出せたのか、出せなかったのか。事業と自分が成長し続けるために、何が重要な課題設定なのか。上長と転職者が、納得行くまですり合わせることが重要です。

その後、次のチャレンジングな目標設定とジョブアサインをおこなう(上記表⑥)
同じ仕事をやり続ければ誰でも飽きますし、よりチャレンジングな環境が外にあれば、優秀な人ほど必要とされるので、社内に残る意味も薄くなってしまいます。上記で実施した振り返りをもとにして、よりチャレンジングな目標設定とジョブアサインをおこなうことが重要です。

どのタイミングで誰とどんなコミュニケーションするかを、仕組み化する

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福田氏:これまで話したことを確実に、効率的に実行するために、事業部と役割分担をしながら仕組み化してしまいます。

アサイン前~入社半年後まで、押さえておきたいポイント

アサイン前

人事から事業部に、転職者のWillや人柄、スキルセットやアサイン上の注意点を伝えます。

アサイン決定後

伝えた内容と実際のアサインにミスマッチが発生していないか、人事が確認をおこないます。懸念点などあれば伝えます。

入社前

人事が、転職者と事業部の接点を持つ場をセッテイングします。そこでは具体的に次のことをおこないます。

  • 転職者に実際に働く場所を見てもらう、雰囲気を含めて体験してもらう
  • 上長やチームのキーマンと相互理解のため、できればランチか飲み会で距離を近づける
  • 組織のミッションや、転職者のミッションを伝える

入社後1週間後

人事が転職者とコミュニケーションする場を設け、不満やズレがないかを確認し、問題あれば上長にレポーティングもしくは改善要望をおこないます。確認するのは次のポイントです。

  • 転職者にとって聞いていたミッション通りの仕事が与えられているか
  • 仕事環境で、やり辛いことなど発生していないか
  • 仕事を進める上で誰に何を聞けばよいか、明確になっているか

入社後1ヶ月後

入社1週間後と同様に、人事が転職者とコミュニケーションをする場を設けます。
前回の項目の確認を同様におこなうことに加えて、パフォーマンスを上げるために必要なことをより深掘りして確認します。

  • 周りをうまく巻き込めているか
  • 成果を出すためにすべきことが明確になっているか

入社後3ヶ月後

まず、上長及びチームメンバーから人事に転職者の評価を伝えます。その後、本人から現在のパフォーマンスについての自己評価を聞きます。
周りからの評価と自己評価にギャップがある場合、まずは上長に共有後、誰がギャップを本人に伝え、どのようにすり合わせをおこなっていくかの計画を考えます。

入社後半年後

  • 上長と転職者でコミュニケーションする場を設けます。半年間の出来たこと、できなかったことを振り返り次の半年の目標設定をおこないます。
  • 上記を元に次のやりがいのあるチャレンジングなミッションやジョブアサインを人事と上長で一緒に考えます。場合によっては他部署への異動含めて、人事が主導権を持って検討を進めます。

外部から支援できること

―カリーグズは、企業の取り組みに対してどのような支援をおこなっているのですか。

福田氏:先程の仕組みを実際に導入するには、

  • ①人事のリソースが十分に確保できること
  • ②転職者の本音を引き出す面談スキル

の2つが必要になりますが、すぐに対応できる企業ばかりではないと思います。

  • 限られたリソースの中でも実施可能な仕組みになるように、どう自社向けにカスタマイズするか、を一緒に考える
  • 当社の方で人事側の実行部分をまるっと請け負う
  • スムーズに仕組みを導入するために面談に同席する

など、企業の状況に合わせて必要なサポートを都度判断しておこなっています。

外部の立場の者が転職者との面談を担当することについての懸念点を示される企業もいらっしゃいますが、第三者としての立場の人だからこそ、転職者にとっては本音を話しやすいシーンも多々あります。上長や人事が相手だと、弱音をはいてマイナス評価されたらどうしようとか、そういうバイアスもかかり本音が話せないシーンもありますので。

後は、施策として成否を分けるポイントとして、何よりも重要なのは「事業部の方と密にコミュニケーションができるか」なので、ここに関しては人事の方の協力が必要になります。

入社後の活躍にコミットすれば自然と事業部との距離が近づき、採用もうまくいくようになる

―他に重要な要素はありますか。

福田氏:自分が採用担当の時、入社後の活躍までを課題意識として持つようになったら、自然と採用も急にうまくいくようになったんです。その時の私はその現象の理由を客観的に捉えることはできなかったのですが、先日Rettyの奥田さんが「その企業の採用が成功するかどうかは、人事がどれだけ事業部を巻き込めるかどうか、だと思う」というを話されているのを聞いて、気づきが生まれました。

入社後のことにまで採用担当が介入していくと、自然と事業部とのコミュニケーションが増え、距離が縮まります。そうすると事業部からの採用活動への協力も仰ぎやすくなりますし、目線が合うことで一体感も生まれやすくなります。事業部の人たちが気持ちよく協力してくれるようになると、採用PRが出来る機会が増えたり、魅力的なmeetupイベントが開催できるようになったりと、採用活動が進化したのだと思います。

―福田さんの今後の目標や想いをお聞かせください。

福田氏:採用に関わるお仕事をしているので、関わった転職者全員が、入社後に大活躍をして欲しいです。

就職活動が成功だったと言えるかどうかは、「どこの会社を選ぶか」以上に「成功したと言えるまでやりきる」ことのほうが重要だと思っています。それを転職者だけに任せるのは無責任だし、怠慢だとも思います。採用担当も紹介会社も、入社後に興味を失うのではなく、採用後に活躍してもらうまで、気持ちの面でも行動面でもコミットするのが当たり前になっていけばよいなと思います。

また、さまざまな企業がダイレクトリクルーティングやリファーラルリクルーティング、採用広報などを積極的におこなうようになってきており、今やそれが当たり前になってきています。人事の方々のレベルはここ数年でどんどん上がってきているように感じます。その中で紹介会社が今まで通りのことをやっていても、存在価値はどんどん下がっていくだけでしょう。紹介会社も新たな価値提供をしていかないといけません。

その中で、第三者な立場であることを活かして、入社後のサポートをおこなうことができれば、他経由の転職者よりも「入社後のパフォーマンスが高い」最高の採用チャネルになれるはずだと思っています。

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