従業員が経費精算や交通費精算をおこなう際に、申請忘れや、期限遅れなどの事象が発生することが良くあります。
また、「交通費の合計金額を間違えている」「定期圏内の区間が含まれている」といった記入ミスも多く、経費精算の担当者は細かいところまで念入りに確認しなければなりません。その結果、ミスが見つかり申請書を差し戻すこともあります。このような申請ミスへの対応は、担当者の業務負担を増加させて残業時間の増加や慢性的な人手不足につながっているのです。
不要な業務をなくし、効率化できる方法の一つに「経費精算システムの導入」があります。
経費精算システムは、交通経路や金額は自動で入力されるだけでなく、記入ミスがあるとアラートがでるため、経費精算の担当者の確認にかかる手間を大幅に削減できるでしょう。
本記事では、交通費精算・経費精算システム導入のメリットと具体的なシステムを6つご紹介します。
1|交通費精算とは
交通費精算とは、営業活動などで使った交通費を精算することを意味します。具体的には、社員が移動する際に使用した電車やバス、タクシーなどの運賃、ガソリン代、駐車場代などの費用です。また、出張などで遠方まで移動した際にかかる、宿泊費や飛行機代なども旅費交通費という勘定科目で、経費として処理することができます。
「交通費精算の担当者」が経費精算をおこなう際は、「申請者」である従業員が提出した申請書に掲載されている計算があっているか、領収書とあっているか、購入したものが経費として扱って良いものかどうかを確認するなど細かく確認しなければなりません。
万が一、計算ミスがあれば、会社の財務状況を見誤るだけでなく、法人税の税額も変わってしまい、脱税につながる恐れもあります。
しかし申請者は「申請ミスがあった場合の影響」についてを知らず「自分の手元に正しい金額が戻ってくれば良い」と考えているため、申請時に細かなミスが起こるのです。
間違いがあるたびに交通費精算の担当者は申請を差し戻して、申請者が修正し、再度申請し、経費精算の担当者が承認しなければなりません。そういった背景から、交通費精算は非常に工数がかさむ業務だと言えます。
2|交通費精算をおこなう担当者の悩み
交通費精算の申請は各従業員がおこないます。
特に営業など外回りをして交通費などを精算する場合は、経費精算はほぼ毎日おこなう業務です。
これらの申請を管理する交通費精算の担当者は、どのような悩みを抱えているのでしょうか?
2-1|期限内に経費の申請書が提出されない
申請する従業員にとって経費申請は重要な作業です。
しかし、「申請が遅れても催促がくるし、ちょっとくらい遅れても大丈夫だろう」などと考えている従業員がいるかもしれません。
そのような意識があると、期限内に経費の申請書が提出されないことが多くなります。
その結果、経費精算の担当者は処理を急がなければならない、急な対応をしなければならないなど負荷が増えてしまいます。
経費は年度内に精算しなければならない、月末の締めまでに精算をしなければならないなど、財務にかかわる申請期限のルールがあります。
しかし、申請者のほとんどは、期限の意識が弱く、本来おこなうべき業務に必死であるため、申請が遅れてしまうことが頻繁にあります。
また、経費精算においては、申請者だけでなく、申請後の「承認者」も存在します。
しかし、承認者も本来の業務が忙しく、承認が遅い、チェックを十分にせずに承認をしミスが生じるといったことも起こりがちです。
その結果、経費承認を期限内におこなうことができないというケースも十分に発生します。
2-2|交通費の申請を最短、最安経路で申請してくれない
経費申請で一番多いのが交通費の精算です。
営業担当であれば、ほぼ毎日申請をおこなう人もいます。
手書きでの申請となると、出発駅と到着駅は明確ですが、そのルートが問題になります。
特に都市部では、複数のルートがあり、どのルートが最短か、どのルートが最も安いかなどを調べずに、精算する人が多くいます。
会社の不要な支出を減らすという意味でも、最も安いルートを使うことをルールにしているところが多くありますが、そのルール通りの対応をしてくれない社員が多いのも現実です。
交通費を管理する側は、申請されたルートが最も安いのか、最短なのかをチェックする必要があります。
営業担当は数多くの企業に訪問するため、すべてのルートをチェックするとなると膨大な手間がかかってしまいます。
2-3|申請書の記入ミスが多い
「経費精算の担当者」にとっては、申請書の記入ミスを見逃すわけにはいきません。
なぜなら、精算を間違えていると財務情報の不備となり、極端なことをいうと決算などでの収益などの数値を変えかねないためです。
しかし現実は、申請者の記入ミスが非常に多く、差し戻しをする機会が多くなっています。
申請者は通常業務の片手間におこな話なければならず、申請内容の確認が甘くなるため、申請者のミスを減らすことは容易ではありません。また承認者も同じで、ほとんどの承認者は細かいところまで確認していないのが現実です。
そのため、経費精算の担当者は細かいところまで確認する必要があります。確認して記入ミスを発見した場合は、再度申請をしてもらわなければなりません。ですが、業務で忙しいところに再申請の依頼は言い出しにくく、精神的にもストレスを抱えやすいです。このように経理担当者は、経費申請を処理するうえで生じる、多くの苦悩を抱えています。
その問題を解決するのが、経費精算システムです。経費精算システムは、経費申請の不備を減らし、会社のルールにのっとった申請を補助してくれるツールです。
3|経費精算システム導入のメリット
経費精算の担当者の悩みは大きく分類すると「申請の期限を守ってもらえない」「交通ルートの申請が適切ではない」「記入ミスが多い」の3つです。
これらの悩みを解消してくれるツールの一つに経費精算システムがあります。では、経費精算システムを導入することでどのようなメリットがあるのでしょうか?
3-1|外出の隙間時間に申請できるので、提出忘れがない
申請を忘れる大きな理由は、「会社に帰ってから申請をする」ことにあります。
多忙な日々をおくる従業員は会社に帰ると会社でしなければならない仕事が待っています。
その仕事が優先されるため、結果的に経費申請を忘れてしまい、申請期限を過ぎてしまいます。
経費精算システムの多くは、スマホやタブレットで簡単に経費申請ができます。
そのため、移動時間など外出の隙間時間に申請することができます。経費を使ってすぐに申請をおこなうことができるので、日付の間違いも起こりません。
また領収書はスマホなどで写真を撮影し、その画像データを使うことができるので、その都度紙の領収書を申請書に貼る必要がなくなり、すべてをスマホ上で完結し、紙で出力する必要もありません。
3-2|経路を入力するだけで、交通費が自動反映される
交通費のチェックは経費精算の担当者を悩ませる大きな要因でした。経路自体があっているのか、最も安いルートを通っているのか、すべてのルートを確認するのは非常に大変です。
経費精算システムであれば、例えば「駅すぱあと」や「ジョルダン」のような交通経路を自動検索してくれるツールと連携しているものが多く、出発地と到着地を入力すると自動で経路を出してくれます。
初期値を最安ルートにしておけば、最も安いルートでの交通費を自動で計算してくれます。
そのため、計算ミスも起きず、経路の入力ミスも防ぐことができます。自動で交通費が算出されるので、内容を細かく確認する必要はありません。
3-3|システムが記入ミスの確認をおこなうので、担当者の確認工数を削減できる
申請の記入ミスがあった場合、どれだけ軽微であっても差し戻して再申請、承認作業が必要になります。
例えば、本来記入すべきところに記入がされていなかったり、選択するべき分類が間違えていたりと記入ミスはいたるところで発生するのです。
本来の業務に忙しい人は片手間に経費精算をおこなうので記入ミスにあまり意識がいきません。経費精算システムを使えば、「規定違反チェック」という機能によって記入ミスを減らすことができます。
本来記入すべきところに記入がない、記入してはいけないところに記入がされているなど不備がないかを確認します。不備があった場合は、どこに不備があるかを教えてくれます。
そのため申請者が申請する前に気がつき、修正することができるので、承認者が細かくチェックする必要がありません。またミスが減ることで差し戻しや再申請、承認の手間を省くことができます。
4|経費精算システムを選ぶ前に知っておくべきこととは
前述のとおり、経費精算システムの導入は、経理担当者の業務負担を軽減して、交通費精算の申請から承認までを円滑に進められるようになります。その反面、システムの機能や特性について理解していないと、「自社の業務フローに合わないシステムを導入してしまった」や「想定よりも業務を効率化できない」といった事態になりかねません。
本章では、経費精算システムを選ぶ前に知っておくべきことについて解説します。
4-1|経費精算システムの機能は製品によって様々ある
経費精算システムには様々な機能があり、製品によって備わっている機能が異なります。そのため、よく調べないで導入してしまうと、「これもできると思っていたのに」と後になって痒いところに手が届かない事態になりかねません。
交通費精算において、特に重要な機能は以下のとおりです。
- 交通系ICカードやクレジットカードと連携できる
- 利用した駅などから経路を自動設定できる
- 領収書の自動読み取り機能(OCR機能)が備わっている
- 承認者へ確認依頼の通知を飛ばすことができる
- 承認された申請書は電子データで保管される(電子帳簿保存法対応)
- 申請内容は変更できない、または変更や削除の履歴を残すことができる(電子帳簿保存法対応)
- 領収書にタイムスタンプを押すことができる(電子帳簿保存法対応)
このほかにも、他システムへの連携や回覧・承認者の設定など、自社の運用方法に合わせた機能が必要になるでしょう。事前に「システムを導入して何がしたいのか」や「今困っていることは何か」、「自社の業務フローはどうなっているのか」をまとめておくことが大切です。
4-2|クラウド型とオンプレミス型、どちらが良いのか
経費精算システムには、オンプレミス型とクラウド型の2種類存在します。
オンプレミス型とは、自社の運用フローに合わせて要件定義をして、自社の開発部門もしくは受託会社に開発してもらったシステムのことです。
それに対してクラウド型は、サービス提供者が開発したシステムに対して月々の利用料を支払って利用するシステムを指します。
オンプレミス型は、自社オリジナルで開発してもらうため、必要な機能を揃えることができ、自社内のネットワーク環境のみで利用するなどセキュリティも強固にすることが可能です。ですが、開発に多くの費用と時間がかかるだけでなく、開発後も保守し続けなければならなず、知見のある人材を社内に用意する必要があるでしょう。
クラウド型は、月額費用も比較的安価で契約後すぐに利用でき、データもクラウド保存されるため、災害にあった場合も復旧できる見込みがあります。その反面、機能のカスタマイズ性は低く、機能の実装依頼をしても、実現するとは限りません。
5|交通費精算・経費精算システムのご紹介
ここまで、経費精算システムが経費精算の担当者の負担を軽くする有効なツールであることについて解説しました。
ここからは、経費精算・交通費精算システムのサービスを6つご紹介します。
ジンジャー経費
【サービスの特徴】
- 精算業務の効率化 「駅すぱあと」と乗換案内連携しているので、通勤費や旅費交通費などの精算業務を効率化できる。
- 手入力作業の工数削減 申請時に自動で仕訳がされることで、面倒な仕訳や手入力の工数をゼロにすることができる。
- 隙間時間で経費精算が可能 アプリから経費精算が可能なため、従業員は隙間時間を利用して、経費申請をおこなうことができる。
【料金】
- 月額料金:500円/ユーザー
サービス名:ジンジャー経費 提供会社:jinjer株式会社 URL:https://hcm-jinjer.com/keihiseisan/
キンコン(kincone)
【サービスの特徴】
- IC定期券で勤怠管理 通勤で使っているIC定期券をタッチすることで出勤、退勤の打刻ができ、勤怠情報のためにIDカードを作る必要が無い。
- 交通費精算が簡単に 利用した交通機関の情報を同時に読みとるので、交通費の精算にかかる時間を大幅に削減できる。発着駅の入力をする必要がないので、入力ミスも削減できる。
- 初期費用が不要で、導入もスピーディ カードリーダーだけで運用を開始できる。ほとんどの人が持っているiOS端末もしくはNFC対応のAndroid端末があれば良いので、導入コストを最小限に抑えることができる。
【料金】
- 無料トライアル期間あり
- ベーシックプラン 初期費用:0円月額料金:1人あたり200円(最低利用人数1人)
- kitone連携プラン 初期費用:0円 月額料金:1人あたり250円
サービス名:キンコン(kincone) 提供会社:株式会社ソウルウェア URL:http://www.kincone.com
rakumoケイヒ
【サービスの特徴】
- NAVITIMEの運賃・乗換情報と連携 交通情報を調べることができるNAVITIMEと連携しており、出発駅と到着駅を入力するだけで運賃と乗換ルートが示されるため、入力の手間を削減できる。
- rakumoカレンダーと連携し、外出予定の登録と交通費の自動計算ができる rakumoカレンダーと連携しており、予定登録時に出発地や到着地を入力すると、経費精算書の交通費を自動で登録してくれるため、交通費の申請作業の手間を削減できる。
- 電子帳簿保存法に適用している 例えば新幹線の乗車履歴を示す座席券など、交通費申請書に貼り付けて提出していた領収書類をスマホのカメラで撮影するだけで、法律でも認められた証明書として利用することができる。そのため、領収書で財布がパンパンになる、領収書をなくして申請できなくなること防げる。
【料金】
- 無料トライアル期間あり
- ケイヒプラン 月額料金:1人あたり300円
- rakumoケイヒパックケイヒプランにカレンダーとワークフロー登録機能を一括購入した場合 月額料金:1人あたり600円(一括購入しなかった場合は700円)
サービス名:rakumoケイヒ 提供会社:rakumo株式会社 URL:http://www.rakumo.com/product/gsuite/expense
Business Navitime 交通費パッケージ
【サービスの特徴】
- 経路検索と経費精算が一体 NAVITIMEの経路検索結果が使った交通経路、交通費として登録でき、交通費の正確性を担保できる。そのため、運賃などをチェックする必要がなく、交通費申請の手間が削減できる。
- 電車以外の経路検索も可能で最短ルートで目的地に到着 電車の経路検査だけでなく、最適な乗換車両や出入口、徒歩ルートまで表示してくれるので、無駄な移動がなくなり、最短経路で目的地まで到着できる。
- Googleカレンダーとの連携 Googleカレンダーに登録した予定を読み込み、計画作成に使えるだけでなく、保存した1日の計画にあわせて交通費精算を自動でおこなうことができるため、交通費精算の手間を削減できる。
【料金】
- 初期費用:25万円
- 月額料金:10,000円(~20人) 20,000円(~40人) 30,000円(~60人) 40,000円(~80人) 47,500円(~100人)
- 100人以上は都度問合せください。
サービス名:Business Navitime 交通費パッケージ 提供会社:株式会社ナビタイムジャパン URL:http://www.pr.navitime.biz
駅すぱあと通勤費web
【サービスの特徴】
- 交通費の削減が可能 自宅から会社までのルートを見直すことによって定期代が安くなるなど全社的に交通費を削減することができる。
- 社内規定に則った申請を自動化 バスや自動車の利用条件を設定することができる。支給内容を規定に沿って運用することができるため、公平性を配慮した通勤費の支給が可能になる。
- 6ヶ月定期への変更が簡単 定期の使用期間の途中での支給単位の変更が可能。1ヶ月定期を6ヶ月定期に切り替えることで約10%の経費を削減することができる。
【料金】
- 無料トライアルあり
- その他の料金は都度ご相談ください。
サービス名:駅すぱあと通勤費web 提供会社:ヴァル研究所 URL:https://ekiworld.net/service/business/tukinweb/index.html
6|まとめ
経費申請は、申請する側も、承認、管理する側も手間がかかるので、申請を紙やエクセルでおこなうと、管理がとても大変です。
また、記入ミスなどがあったときの修正も手間になります。
経費申請は本来おこなう業務とは少し違うため油断しがちです。
その結果記入ミスが発生する、交通費が最短ルートになっていないなど修正しなければならない事態に陥ってしまいます。差し戻しをする経費精算の担当者もチェックに手間がかかってしまいます。
このような経費精算を効率的におこなう一つの手段として経費精算システムをご紹介しました。
経費精算システムでは、入力の手間を削減する、記入ミスが発生するとアラートをだし、交通経路を自動で入力するなど申請者にとってかなり業務効率化をすすめてくれるシステムになっており、すべて電子化をすることができるため、申請完了後の管理もしやすくなっています。
また、交通経路が自動で入力されるので交通費を細かくチェックする必要がないので、経費精算の担当者にとっても手間を削減できるなどメリットがあります。
これを機に経費精算システムの活用を検討してみてはいかがでしょうか?