タイで仕事をする際にチーム全体で成果を出すためにも、お互いが理解し円滑な人間関係を構築することは非常に重要です。
しかし、「タイ人従業員の方からホンネを直接語ってもらうことはなかなか難しい」と感じている方も多いのではないでしょうか。
「みんな何を考えているんだろう」「モチベーションを下げるような言動をとっていないだろうか」と、不安になることもあるかもしれません。
前回、日系企業で働くタイ人の方の取材企画に引き続き、今回は欧州出身のEさんに日本国内の企業で働いてみた感想を聞いてみました。
今回の取材では「日本人は時間にルーズ」といった話があがりました。
日本人は時間に対してしっかりしていると思われがちですが、Eさんはなぜそのような印象を抱いたのでしょうか。
※あくまで一つの意見としてご参考にしていただけますと幸いです。
Eさん
日本人は時間にルーズ? Eさんが感じた日本人の時間に対する考え方
ーEさん、こんにちは。まずは簡単に自己紹介をお願いします。
Eさん:こんにちは。私は高校生に日本語の勉強を始め、高校卒業後もさらに勉強を続けたいと思い、奨学金を利用して1年間、日本の大学に留学しました。
大学では日本語をはじめ、日本の文化についても研究していました。
その後、再び帰国し母国の大学を卒業したものの日本で仕事したいと思い、日本企業で働くことを決めたんです。
現在は農業に関わる仕事に携わっており、ハウスでトマトを栽培しています。私はそのハウスの管理者として、トマトの栽培などをITシステムを使って管理しています。
ー日本の企業に入社する際に期待していたことはなにかありますか?
Eさん:いま働いている企業は日本の中でも、グローバル企業というイメージがありました。
栽培技術もすべてオランダから取り入れていて、その企業で働く従業員からも「日本の農業を変えたい」という話を聞いており、興味がありました。
実際に他の国の方も働いているので、入社時は多様な価値観を受け入れられると思っていたんです。
ー入社後、期待は期待通りの環境でしたか?
Eさん:正直、かなり期待とは違いましたね、、、。
まだ小規模の企業なので事業も新しく、会社の制度もしっかりしていません。
なので少し自由な社風ではありますが、休暇や労働時間に対してもルーズになっています。
残業が当たり前だと思っていて、新人の僕がそれについて意見すると、「甘い」「まだ何もわかっていないだろ」と言われてしまいます。
またその会社で働いている従業員の年齢層も若く、いまの会社の現状を変えようと考えている人は少ないですね。
ー 大変ですね、、、。 日本人と働いてみて難しいと感じたことはありますか?
Eさん:いっぱいありますね。今感じていることは大き3つあって、まず一つめは「上下関係」。
目上の方と話す際に必要な敬語や、「日本特有のお作法」がむずかしいですよね。
「日本はこうだよ」と言われるのですが、それにいちいち対応するのが難しいです。
そういったマナーに関してちょっと頑固な人が多いですね。笑
あともう一つは「時間にルーズ」。効率的に仕事をする上で良くないと思います。
ー時間にルーズ?日本人は時間に厳しいという印象はあるような気がしますが?
Eさん:例えば、会議が16時から18時までと決まっているにもかかわらず、平気でその時間を超えることがあります。
それは上層部も気にしていないことが多いので、結局会社全体が時間に対してルーズになっていて、仕事の終わる時間が遅くても皆さん気にしていないですね。
ー確かに日本では遅刻などには厳しいにもかかわらず、残業や会議の終了時間にはそこまで厳しくないかもしれません。
Eさん:あと3つ目は会社の雰囲気ですね。欧州の職場ではもっとカジュアルに同僚と喋ることができますが、日本では「仕事中でしょ!」と叱られます。
またあるときは仕事をしながらお菓子を食べていたときも叱られましたね。
ヨーロッパの職場は日本企業よりもカジュアルですし、個人的にはそちらの方が働きやすいですね、、、笑
それ以降、仕事中はお菓子を食べることも、会話することも禁止となってしまって、、、。
何のために禁止にするんでしょうね。結局、仕事が終わればいいのに禁止にする理由がわからないです。
日本の企業に物申す!日本の職場、ココが変だよ!
―日本で働く際に「ここが変だな」と思うなどありますか?
Eさん:仕事上のコミュニケーションに関して、たまに伝え方があいまいだと感じます。
例えば仕事を頼む際にも、直接自分に言ってくるわけでもなく、あいまいな表現で仕事を頼まれます。
その際に責任範囲がよくわからずに、「自分の仕事じゃない」と思ってそのままにしていたら、1週間後「まだやっていないの?」と怒られることがありました。
「これはEの仕事でしょ?当たり前でしょ?」と言われたのですが、しっかりと責任範囲を明確にしてもらわないと、どこまでが自分の仕事かわからないときがあります。
-「会社の仕事はなんでもやる」という風潮は他の国と比べて少し独特かもしれません。
Eさん:僕の会社では、自分の役割は決められておらず、どんな仕事でもやらなければなりません。
例えば、私は英語が話せるため、英語にかかわる仕事をどんどん任されてしまいます。
結果的に自分の仕事が増えてしまい、「自分の時間がない」と上司に相談したら、「それはEの責任でしょ」と。
責任範囲以外の仕事も任されて効率が悪いと言われるのは少し違うと思うんですよね。
―逆に日本企業で働いてみて、いいと思ったポイントなどありますか?
Eさん:今の会社ではやりたいことは実際に出来ている実感はあります。
ハードな環境になれてきたからこそ、成長出来ている部分はあると感じていますね。
日本の企業が欧米の企業の間で大きく違う点は、先ほど言ったような自分の専門以外の仕事も任される点です。
欧米のような企業では、自分の専門分野だけを任され、その仕事だけに集中する働き方が一般的です。
そのため専門的なスキルや知識を持っていないと基本的には仕事を任せてもらえません。
一方で日本企業は、一通り1人でこなせるように育成しますよね。
たとえ自分の専門分野ではない仕事でも、経験させてくれる環境が日本企業にはあると思います。
なんでも仕事を請け負いすぎるのもよくないですが、母国で働いていたら経験出来なかったことを経験できている点に関してはよかったと思います。
―こうなったら外国人にとっても働きやすくなるなど、意見はありますか?
Eさん:休みが気軽に取れるようになれば、少し変わるかもしれませんね。
従業員が更に休みをとることで、生活の質は向上し、従業員も幸せになると思います。
今の会社はあまり休みを取りませんし、休んだら会社の人に何か言われるので、「休む=悪」という考えを変えていく必要があると思います。
―「休む=悪」ではないという考えは確かに大事ですね。
Eさん:またうちの会社はグローバル企業と謳っていますが、そこで働く人は外国人に対してまだまだオープンではないような気がします。
そこで働く方々は「外国人に対しても柔軟な考えができるよ」と言っていますが、「ヨーロッパでは〇〇なんです」というと「ここは日本だから。それは自己中だよ」と返答がきます。
あと「海外にいる日本人」と「日本にいる日本人」は全然違うなと思いますね。
海外にいる日本人は仕事の成果に対しては厳しいけど、それ以外に関してはそうでもない。
でも日本にいる日本人は全てに対して厳しいですよね。笑
―それは前回の取材でも似たようなことをおっしゃられていました。
Eさん:会社が開催するBBQなどの集まりも定期的に開催されるのですが、そのときもあまりいい思い出がなかったですね。
お酒の席で仕事について自分のホンネを少し話した際に、すごい批判されたり、馬鹿にされたりと、嫌な思いをすることがあったんですね。
さっき言ったように日本企業で働くメリットはあるのですが、やはり欧州出身である私には「自分の人生にとって仕事が全てではない」という考えがあります。
会社が全てではないし、私は「自分のために仕事をする」という認識に近いですね。
不満が色々と漏れてしまいましたが、今後もいまの会社で頑張るつもりです。
ヨーロッパと日本の間で働き方のギャップはありますが、いい経験だと思って引き続きがんばります。
まとめ
今回取材に協力いただいた方はタイ人の方ではありませんでしたが、欧州出身の方から見た日本企業の姿や、違和感を感じているポイントはタイの方と少し共通しているようにも感じました。
また日本は時間に厳しいという認識は多くの方が持っている一方で、会議や仕事が終わる時間に対してはそこまで意識していない傾向にあるかもしれません。
今後、日本企業のグローバル化が進むに連れて、日本企業を客観的に捉えるスキルも必要になるのではないでしょうか。
その際には是非今回の記事を参考にしてみてください。