タイで仕事をする上で、チーム全体で成果を出すためにも、お互いが理解し円滑な人間関係を構築することは非常に重要です。
しかし、「タイ人従業員の方からホンネを直接語ってもらうことはなかなか難しい」と感じている方も多いのではないでしょうか。
「みんな何を考えているんだろう」「モチベーションを下げるような言動をとっていないだろうか」と、不安になることもあるかもしれません。
そこで今回は、タイの日系企業で営業として働く20代女性Cさんに、実際に日系企業で働いてみた感想を赤裸々に語っていただきました。
※あくまで一つの意見としてご参考にしていただけますと幸いです。
C さん 20代後半 女性
高校時代、日本で短期留学を経験し、それをきっかけに高校卒業後は日本の大学に入学。
大学卒業後はタイに帰国し、現地の日系企業に就職。現在は営業を担当し、日本人と一緒に働く毎日を送る。
【豪華ゲスト多数登壇!】変化に負けない「強い組織」を育むためにHRが果たすべき役割を考える大型カンファレンス『HR NOTE CONFERENCE 2024』
「人的資本経営」「ウェルビーイング」「DEI」といったトレンドワードが、HR領域だけでなく社会全体に拡がり始めた昨今。自社組織に漠然と"停滞感"を感じ、「うちは取り残されていないだろうか?」「何かやらないといけないのでは・・・」といった不安や悩みを抱える人事・経営者の皆様も多いのではないでしょうか。
本カンファレンスでは、HR領域の有識者の皆様に、様々な組織課題を解決するためのアプローチ方法について解説いただきます。強い組織を育む企業が実践している事例には、組織強化に必要な考え方や人事が果たすべき役割について学べるポイントが多くあります。ぜひ有識者の皆様と一緒に、組織を強化する「共通原理」について考えてみていただければと思います。
「家族との時間が大事なので」
日本の大学に通い、卒業後はタイの日系企業に就職
-Cさんは就職される前に日本の大学に通っていたとのことですが、留学当初の日本の印象はどうでしたか?
大学生当時は、日本人と少し「壁」を感じていました。
もちろん人によりますが、東南アジアに対して少し偏見というか、先入観があるのかなと思っていました。
例えば欧米出身と東南アジア出身の方に対する接し方が少し違う印象があったからですね。
-なんと、学校外でも同じような経験を?
アルバイトとして焼肉屋のホールで働いていましたが、お客さんから「日本人の店員さん呼んで!」と言われまして、、
「日本人全員がそうだ」とは思いませんが、その方は外国人スタッフである私に接客して欲しくなかったようです。
ただ、当時のアルバイトを振り返ると、日本語の能力が足りなかったくらいで、仕事は楽しかったです。
その店の店長も外国人従業員が抱える言語の課題などは理解してもらっていたので働きやすかったと思います。
-外国人雇用が急務である日本にとって、それは解決すべき課題ですね。大学卒業後はすぐタイに帰国されたんですか?
卒業してタイにすぐに戻りました。正直にいうと、日本少し飽きちゃったんですよね。笑
また私は両親からすれば大事な娘であって、両親からも「帰ってきてほしい」と言われていたのでタイに帰国することにしました。
-やはり、家族との時間は一番大事ということですか?
タイでは家族との時間はすごく大事ですね。
日本の大学を卒業してから、そのまま日本企業に就職する人は少ないと思います。
私の周りでも大体9割ぐらいのタイ人は日本の大学卒業後はタイへ帰国します。
そのまま日本に残る方もいますが、2年ほど経つと「帰りたい」と不満を漏らしていましたね。
タイの日系企業に就職。
「コミュニケーションが足りない」と不満を漏らすCさん
-タイに帰国して日本の企業で仕事をしようと思った理由は何でしょうか?
日系企業で仕事をしようと思ったのは日本語が使えるからです。
せっかく日本語が喋れるようになったので、それをさらに伸ばしていきたいなと思っていました。
言語は話さないとどんどん忘れていきますからね。
-なぜ日本語をずっと話したいと思ったのですか?
やはり日本語が好きだからです。タイ人にとって日本語はクールに聞こえます。
英語を話せるタイ人は多いですが、日本語を喋れるタイ人はまだ少ないため、希少な存在になることができます。
そういう理由もあって日本語をずっと学んでいきたいという思いはあります。
-今も日本語を使ってお仕事をされていますか?
日本人は社内に7名いるので、社内で彼らとコミュニケーションをとる時に使います。
現在では、タイ人や他の国のお客さんの方が多く、日本語よりも英語を使うことが多いですね。笑
-日系企業に入社する前に期待していたことはありますか?
日本はプロジェクトの進めるときなど、計画性が非常に高いと思います。
そのような環境を経験することで、計画性のある仕事の進め方を習得し、結果として仕事のスピードが早くなるのではないかと期待していました。
また日本企業では何かトラブルがあった時などに、その原因をかなり深くまで追求してから対応しますが、タイでは逆に中途半端に対応してしまうことがあるのではないかなと。笑
その濃淡は企業によりますが、そのような印象が入社前にはありました。
-実際に入社して期待通りでしたか?
仕事の計画性などは期待していた通りでした。
しっかりと計画性のある仕事の進め方をされている方が多くて良かったのですが、逆に足りないなと感じている部分は、社内のコミュニケーションです。
-社内のコミュニケーションですか。具体的にいいますと?
今は日本人とタイ人と一緒に働いているのですが、時に日本人同士だけで話すようになったり、またタイ人はタイ人同士話していたりと、日本人とタイ人同士ではあまり情報交換していないなと感じています。
タイ人と日本人の間での情報交換やコミュニケーションが少ないため、時に仕事のやりづらさを感じます。
また組織内の決定権は全て日本の方が握っていて、日本人同士で話し合って決めているので、その結果をあまりタイのスタッフに共有していないということもしばしばあります。
勝手に変わってしまっていることもあるので、それを知らない我々タイスタッフは時に困惑することがあります。
些細な情報交換でも、仕事をスムーズに行う上では非常に重要だと思います。
-なるほど、、僕も仕事中全く喋らないです。すみません。
日本人の方は言わなくても伝わると考えているかもしれませんが、言わないとわからないことも多くあります。
一方で、自社でいいなと思うところは、毎朝5~10分ほどの会議があるんですね。
そこで仕事に対して感じている課題感などについてシェアするんです。
そういうコミュニケーションが取れる機会があると、自分の業務の状況を理解してもらえるだけでなく、他の人の仕事内容についても理解できるので、毎朝の10分でもそのような時間を設けることは重要になります。
-それすごくいいですね。その10分だけでもお互いの考え方が共有できそうです。
でも日本人の方は本音を言わないんですよね。
例えば仕事でこれをしてほしいなどがあれば言えばいいんですけど、日本の方は他人に対して敬意を払うので、なかなかはっきりものを言えないですよね。
タイ人からすれば、言葉足らずで納得できないこともよくありますね。
言ってくれることが少ない
-すみません。僕も「ストレートに言うと傷つくのでは」って思ってます。
仕事であればストレートに言った方がいいと思います。また仕事以外でのコミュニケーションも違和感をを持つときがあります。
例えば仕事外のコミュニケーションにおいて、日本人の方はお客様や社外の人と飲みにいくことが多いですよね。
逆にタイのスタッフは同僚と一緒にランチに行ったり、仕事終わりに飲みに行ったりすることが多いと思います。
また日本の方は飲み会の幹事もしてくれません。笑
仕事以外でもコミュニケーションの機会があればいいなと思いますね。
-他に「ここが変だよ」と思うことはありますか?
日本人はお客さんの対応が早いですよね。でもその対応の仕方が、依頼の内容も聞いていないのに「はい。わかりました。やります。」というような受け答えがたまにあります。
タイ人はすぐに「やりたくない」「できない」と言っちゃいますね。
顧客に対して尽くすことは日本人の良い点とは思いますが、「できる限りやります!」と言って結局できないこともちらほら、、、。
最初から「できない」という日本人の方はすごく少ないと思います。
「やります」と即答する
-な、なるほど、、、。他のタイ企業で働く友人から聞いてここが違うなと思うことはありますか?
タイの企業で働く友達から聞いていて、日系企業が違うなと思う点は、会社内の雰囲気が違うのかなと思います。
日系企業は基本的に静かですね。タイ企業はもっとワイワイやっているイメージがありますし、仕事中でもお菓子を配ったり食べたりします。笑
友達も日系企業で働いているのですが、そのワイワイ感はないと言ってました、、笑
-確かに、僕もタイ人スタッフからたくさんお菓子もらいます。めっちゃおいしい。
最後に、お互いが働きやすくなるために「こうなればいいな」と思うことはありますか?
例えば仕事の頼み方も変えてみてはどうでしょうか。
タイ人の同僚同士はみんな「友人」のような感覚なので、誰かが困っていたらもちろん助けますよね。
日本人の方は仕事を任せる時に命令しているような感じがします。一方でタイ人同士であると、友人にお願いするような感覚で仕事を任せています。
なので仕事を依頼する際にも、命令のような口調ではなくて、お願いするような感じで仕事を任せてみるのもいいかもしれません。
「困っているので助けてください」という感じでお願いしてくれれば、タイのスタッフも快く受け取ってくれると思いますよ。
-それすごくいい意見ですね!今後意識していきます。本日はお時間いただきありがとうございました!
やる気になる
まとめ
「日本人の感覚からそれを受け入れるのは難しい、、!」と思うようなものから「確かに、、やってしまっているかもしれない」と思うような意見までたくさん語っていただきました。
皆さんは日々の業務を振り返り何か心当たりはございましたか?
一概にタイ人従業員の意見を100%丸呑みすることが正解とは言い切れませんが、彼らの背景を理解することで、より円滑な人間関係の構築ができるかもしれません。
ぜひ今回の記事を従業員同士の相互理解などにお役立ていただければ幸いです。
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「人的資本経営」「ウェルビーイング」「DEI」といったトレンドワードが、HR領域だけでなく社会全体に拡がり始めた昨今。自社組織に漠然と"停滞感"を感じ、「うちは取り残されていないだろうか?」「何かやらないといけないのでは・・・」といった不安や悩みを抱える人事・経営者の皆様も多いのではないでしょうか。
本カンファレンスでは、HR領域の有識者の皆様に、様々な組織課題を解決するためのアプローチ方法について解説いただきます。強い組織を育む企業が実践している事例には、組織強化に必要な考え方や人事が果たすべき役割について学べるポイントが多くあります。ぜひ有識者の皆様と一緒に、組織を強化する「共通原理」について考えてみていただければと思います。