人手不足が続く「飲食業界」で、その解消手段として注目されているのが「外国人雇用」です。そして、拡大するインバウンドは、2019ラグビーW杯・2020東京オリンピックを控え、さらなる拡大基調にあります。
今、飲食業界の救世主になるのが「外国人雇用」です。
上のグラフは、雇用動向を示す重要指標である「有効求人倍率」の推移です。赤い四角は、全56業種合計の倍率で、2015年(平成27年)に2倍を超えました。
ピンクの棒グラフが「飲食物調理の職業」、水色が「接客・給仕の職業」です。この2業態の倍率と全体を比較しますと、両業態とも非常に高いことを見てとれます。
2017年7月の倍率をみますと、飲食物調理が5.08倍、接客・給仕が何と9.11倍となっています。つまり、接客・給仕の場合、9社で1人を争奪する図式です。飲食業の「人手不足」を数字で確認すると、その深刻さを実感できるでしょう。
ちなみに、この月の「接客・給仕」は 運輸・郵便事務の職業(10.54倍)、保安の職業(10.22倍)に次ぐ、56業態中3位の高倍率です。こうした「人手不足」を解決する方策として最近注目されているのが「外国人労働者の雇用」です。
ただ、「外国人労働者の雇用」は、「在留資格」をはじめとする入管法の法律問題から、現場での言葉・文化の違いから来るコミュニケーション問題など、様々なクリアしなければならない要件があります。
では、「外国人労働者の雇用」に関してのポイントと注意点を分かりやすく解説いたします。
目次
1.外国人の就労には「資格」が必要
外国人の滞在には、入管法上の法的資格である「在留資格」が必要です。在留資格には、27種あり、就労出来ない資格もあります。
黄色ベタの「永住者」「日本人の配偶者等」「永住者の配偶者等」「定住者」の4資格は、就労の職種の制限はありませんので、「飲食物調理」「接客・給仕」のいずれにも就労が可能です。
「料理人」として就労させるためには、赤ベタの「技能」資格が必要になります。この場合の「技能」とは、『料理の調理又は食品の製造に係る技能で外国において考案され我が国において特殊なものを要する業務に従事する者』の規定があり、そば・寿司等の日本料理店での就労は許可されません。
ただし、農林水産省が推進する『日本料理海外普及人材育成事業』の要件を満たしていればその限りではありません。
平成27国勢調査就業状態等基本集計(総務省統計局)によりますと、80万人の外国人のうち、約1割の73000人が、飲食店の料理人として従事しています。
人数的には、中国、韓国・朝鮮料理が多く、飲食店従事者の63%を占めています。就労割合の視点ではインド料理が最も高く、17.6%。次いでタイ料理が13.7%と続いています。
「接客・給仕」に関しては明確な資格規定はありません。「就労不可」の「留学」であっても、「資格外活動許可」を得ていれば、就労することが可能になります。ただし、就労時間や就労場所に制限があるので注意が必要です。
平成28年5月1日現在の留学生数は239,287人です。
では、この留学生を飲食スタッフとして就労させるにはどうすればいいのでしょうか。留意点とポイントを解説いたします。
2.在留カードの在留資格と、パスポートの資格外活動許可証確認は必須
採用に当たっては、まず在留カードを確認してください。在留カードは、従来の旅券になされる各種許可の証印等に代わって許可の要式行為となるため「許可証」としての性格を有しています。
応募してきた外国人に対しては、まず「在留カード」の提示を求めてください。特別永住者の方を除き、在留カードを持っていない場合は、原則として就労できません。
提示があった場合は、まず表面の基本情報を確認です。
- 氏名
- 生年月日
- 性別
- 国籍・地域
- 住居地
- 在留資格
- 就労制限の有無
- 在留期間
ポイントになるのが、6.の在留資格と7.の就労制限の有無です。
6.の在留資格が「留学」だった場合、7.の就労制限の有無は「就労不可」になっています。ここで在留カード裏面の「資格外活動許可欄」を確認してください。
「就労不可」であっても、裏面の「資格外活動許可欄」に次の記載がある方は、就労が可能です。ただし、就労時間や就労場所に制限があるので注意が必要です。
- 記入① 「許可(原則週28時間以内・風俗営業等の従事を除く)」
- 記入② 「許可(資格外活動許可書に記載された範囲内の活動)」
(②については資格外活動許可書を確認してください。)
7.の就労制限の有無欄に「一部就労制限」がある場合は、その内容を確認してください。
- 記入① 「就労制限なし」の記載がある場合→就労内容に制限はありません。
- 記入② 「在留資格に基づく就労活動のみ可」→在留資格業務内容を確認してください。
- 記入③ 「指定書記載機関での在留資格に基づく就労活動のみ可」(在留資格「技能実習」)
(この場合『日本料理海外普及人材育成事業』の要件も確認してください)
- 記入④ 「指定書により指定された就労活動のみ可」(在留資格「特定活動」)
以上が最初の面接時での重要チェック事項「在留カード」確認です。
「在留カード」の確認を怠り、不法就労させたり、不法就労をあっせんした場合は、事業主も処罰の対象になりますので注意してください。「不法就労助長罪」 は、3年以下の懲役、または300万円以下の罰金になります。
外国人雇用の際に、当該外国人が不法就労者であることを知らなかったとしても、「在留カード」を確認していない等の過失がある場合には、処罰を免れません。ハローワークへの届出をしなかったり、虚偽の届出をした場合は30万円以下の罰金です。
「在留カード」の「資格」と「就労制限」チェックが終りましたら、応募者がどんな職種を希望しているのか、事業主がどんな部署に就労させたいかの擦り合わせです。
3.給仕・接客の単純労働に対しては「就労許可」がおりない
飲食店で有効倍率が高い「給仕・接客」や「厨房洗い場」に関して、外国人の就労許可はおりません。外食産業でよく見掛ける外国人の「給仕・接客」の就労は、全てアルバイト対応です。
アルバイトといっても、「資格外活動許可」を受けていなければ雇用できません。「資格外活動許可」の有無は「在留カード」の裏面で必ず確認してください。この表記のない「留学生」を雇用した場合は、罪に問われるので注意してください。
労働時間は週28時間以内です。他企業とかけ持ちしている場合でも、その合計が28時間を超えると、本人は在留資格の更新を行えなくなり、雇用していた企業も処罰の対象となりますので注意してください。
留学先の教育機関(日本語学校、専門学校など)が夏休み等の長期休暇の期間中は、1日8時間、週40時間まで働かせることが可能です。
アルバイト雇用の留学生にも労働基準法や最低賃金法など、基本的には日本人と同じ法律が適用されます。すなわち、留学生であっても労働契約を交わさなければなりません。
要件を満たせば保険の加入も必須です。有給休暇も必要ですし、最低賃金も下回ってはなりません。一度雇えば、よほどの理由がない限り、解雇できない点も日本人と同様です。
雇用後の労働条件のトラブルを避けるためにも、契約書や労働条件通知書類は、留学生が読んで理解できる言語で作成するのが理想的です。社訓・マニュアル等の言語整備も大切です。
言語ハードルはかなり高いので、スムーズに業務を進行させるためにも社訓・マニュアル等の言語整備も検討する必要があります。
一度整備すると、継続的に同一国からの雇用がラクになります。
4.外国人調理師・料理人雇用は「技能資格」が条件
在留カードの「資格」が「技能」であれば「調理師」「料理人(コック、パティシエ等)」としての雇用です。この場合の「技能」とは、外国料理や食品製造に関する技能で、接客や会計業務は該当しません。
「技能」は、10年以上の外国専門料理の実務経験による「個人的な技能」です。つまり、雇用側が「外国料理」の「専門店」であることが条件です。以下の「料理」は認められません。
- 日本料理
- 温めるだけの調理
- メニューがラーメンと餃子だけとかの簡単メニュー店
(本格的なコースメニューを出せるくらいのメニュー数や内容が必要です)
料理人等の実務経験は10年、タイ人料理人は5年の実務経験が必要です。外国の教育機関で当該料理の調理または食品の製造にかかる科目を専攻した期間を含みます。
10年間分の在職証明書が必要です。在職証明書は、以下の項目が記載されているものが必要となります。
- 本人の氏名
- 生年月日
- 在職期間(○○年○月○日〜○○年○月○日までの記載)
- 職務内容
- 所属先の名称・所在地・電話番号
- 発行者の職位・氏名記載のもの
- ネパールの場合は店のPANナンバー(営業番号)
タイ人料理人の実務経験は5年です。タイ労働省が発行する「初級以上のタイ料理人としての技能水準に関する証明書」の発行を受けていることが条件です。
また、申請を行った日の直前の1年間にタイにおいてタイ料理人として妥当な報酬を受けていることも要件になります。応募での雇用だけではなく、現地で専門のシェフを探して、日本に呼び寄せたい場合はどうすればいいのでしょうか。
5.シェフ・料理人の 現地採用〜日本招聘 は計画的に
この場合の課題もビザの取得です。最初に行うのが雇用契約です。次に雇用側が入国管理局に対しビザの申請を行います。シェフは料理人ですので、申請するビザは「技能」です。
10年以上の実務経験をもつ熟練職人が前提ですから、前勤務先等からの証明書を取得してください。修行中の方を「通訳」や「事務員」にしてビザをとることは基本的には出来ません。
申請に際しては、十分な「実務経験」と前勤務先等からの証明書が必要です。犯罪歴や、過去の不法滞在チェックも大事です。この段階で一つでも問題がある場合はビザ取得が困難になります。
雇用側の経営基盤もビザ取得の審査対象になります。事業者が過去に不正な申請をした場合はNGです。経営状態も考慮されます。
例えば、
- 赤字経営が続いている
- 加入すべき労働保険や社会保険に加入していない
- 極端に低い給与しか払っていない
- 帳簿書類が適切に管理されていない
このような場合は、ビザの許可が下りづらくなります。雇用側がきちんと外国人労働者を管理できることが前提になっています。
これから事業を始めるという場合は、実績提示ができませんので詳細な事業計画書が必要です。そこで、当該外国人を呼びよせる理由と、その必要性について入管側に説明しなければなりません。
上記の問題をクリアして、初めてビザの取得が可能になります。申請から許可までの期間は1か月程度です。審査が長引いたり、追加書類の提出が必要になった場合には3ヶ月以上かかる場合もありますので、しっかりとした事業計画・採用計画を立ててください。
一度不許可になってしまうと、再申請は厳しく審査されがちです。最初の申請でスムーズに許可をもらうことがとても重要ですので、専門的な知識がある専門の行政書士に相談されることをおすすめいたします。
「技能資格」を所持しての応募。現地で雇用契約を結んで、日本招聘をした場合の外国人料理人。いずれも、寿司・そば・料亭・・・・などの日本料理関連の飲食店への就労は不可です。
では、「日本料理店」での外国人の調理・料理人の雇用はできないのでしょうか。海外での「日本料理店」展開を視野に入れた場合、外国人料理人を育成雇用し、帰国後のリーダーとして活躍して欲しいと考えている事業主も多いはずです。
「日本料理店」での外国人の調理・料理人の雇用資格は「技能」ではなく、「特定活動」資格です。
6.日本料理へ就労が、調理師養成施設留学生も可能に
2014年、働きながら日本料理を学ぶための在留資格の要件緩和が認められました。これにより、外国人の日本料理店での就労が可能になりました。
要件である、
- 日本の調理師学校を卒業し調理師免許を取得していること
- 卒業後、日本料理店で修業を行うこと
を前提に、「留学ビザ」が「特定活動ビザ」へ変更されます。
人材育成の対象とする日本料理(調理に関する技能を要する日本料理)
- 日本料理店(日本標準産業分類 細分類番号7621)
- 料亭(細分類番号7622)
- そば・うどん店(細分類番号7631)
- すし店(細分類番号7641)
- お好み焼・焼きそば・たこ焼き店(細分類番号7692)
- 及び他に分類されないその他の飲食店(細分類番号7699)
に該当する事業所で提供される料理又は飲食料品であって、日本食及び食文化の海外普及に寄与すると認められるもの
在留期間は「2年間」。その後は帰国することが前提ですが、2年経過後に海外の支店等で外国人を継続的に雇用することも可能です。報酬は、日本人と同等額以上。雇用人数は1事業所あたり2名までに制限されています。
「調理師学校」と外国人を雇用する予定の「日本料理店」は事前に共同で農林水産省へ実習計画を提出し認定を受ける必要があります。
実習計画事項
- 日本料理の知識及び技能を修得するための計画及び施設に関する事項
- 在留中の住居の確保に関する事項
- 日本料理の指導員及び生活指導員の任命に関する事項
- 報酬及び労働・社会保険への加入等を担保する財産的基盤に関する事項
- 外国人調理師との面接及び外国人調理師からの生活・労働等に係る相談への対応
並びに監査の実施に関する事項 - 外国人調理師の帰国旅費の確保その他の帰国担保措置に関する事項
- 特定日本料理調理活動の継続が不可能となった場合の措置に関する事項
申請人の要件
- 調理における技能を有し,素行が善良であると認められること
- 特定伝統料理を修得する意思及び帰国後,特定伝統料理を世界へ発信する意思を有すること
- 特定調理活動に日本人が従事する場合に受ける報酬と同等額以上の報酬を受けること
※特定伝統料理の海外への普及が前提です。
受入れ機関の要件
- 申請人が以下の内容について海外の所属機関との間で合意し,その内容を明らかにした書面を交換していること
- 海外の所属機関の業務の一環として派遣されること
- 帰国後、海外の所属機関の業務に復職すること
- 特定調理活動について、受入れ機関と雇用契約を締結すること
- 修得期間を2年以内とすること
- 1事業所当たりの受入れ人数を2人以内とすること
- 過去3年間に外国人の受入れ又は就労に係る不正行為を行ったことがないこと
など
以上が農林水産省が推進している『日本料理海外普及 人材育成事業実施要領』の概要です。
日本料理で海外展開を視野に入れている事業主様は、このシステムを活用して、帰国後の良きパートナーになるように外国人調理師を育成することも選択肢として考えてください。
特定日本料理調理活動を終了した外国人調理師に関する情報は、「日本食レストラン海外普及機構」(JRO)に提供されます。JROは、特定日本料理調理活動を終了した外国人調理師の情報を海外の支部、会員事業者に伝達することにより、当該外国人調理師の現地店舗での採用等、日本食及び食文化の普及活動の機会を提供します。
日本料理で海外展開を考えている企業にとっては、有益なシステムといえるかもしれません。
※料理人以外の「経理」「宣伝・営業」部門での外国人雇用も可能です。この場合の資格は「人文知識・国際業務」になります。
7.国際化時代対応に外国人スキルを活かす
外国人を雇う場合の最大メリットは「言語」です。外国人が多数来日している現在、通訳を雇いたい企業はたくさんあります。
ここで気を付けなければならないのは飲食店に客として外国人が来店するケースです。メニューの読み方や食べ方などの説明に通訳が必要になります。
ここで、通訳として外国人を活用したいと思う方も多いですが、入国管理局では「No」なのです。これは通訳というより給仕に該当する判断なのです。
では、観光地や国際会議での通訳と同じように、外国人のお客様と会話をしたりする比重が高くなる店舗の動線を創出した接客業務はどうなのでしょうか。つまり、外国人が来店するきっかけ=販促業務をまかせるのです。
2016年の訪日観光客は2400万人を超えました。10年前の3倍を超える伸長率です。飲食業界にとっても非常に大きなマーケットが観光客のお腹と舌です。このお客様を上手に取り込めれば、店舗売上は確実に右肩上がりになります。
観光客は観光地で最高の思い出を作りたいはずなので評価の高い観光スポットや飲食店に行きたいはずです。しかし、残念ながら日本の飲食店は言葉が分からないので、そのような観光客に積極的にアピールできる機会を所持していません。
そこで、外国人を雇用することで「外国語+営業」で、観光客を自店にアテンドするのです。これは、接客ではありません。
例えば、スマホを活用してのフェイスブック。ここで外国語で情報を発信するのです。今は誰もがスマホで新しい情報を探しています。そうした観光客へ情報発信する部門として、外国人を雇用するのです。
これは「人文知識・国際業務」資格となります。その延長線上に、店内でのメニュー提案・解説等のアテンドを置けば、「人文知識・国際業務」資格への変更が可能になります。大学卒業資格があれば問題はありません。日本の専門学校卒業でも申請は可能です。
例えば、広報、宣伝又は海外取引業務、商品開発その他これらに類似する業務に従事する場合は、3年以上の実務経験が必要です。ただし、大学を卒業している者が翻訳、通訳又は語学の指導に係る業務に従事する場合には実務経験は不要であり、新卒者でも許可取得は可能です。
【申請者が準備提出する書類】
- 在留資格変更許可申請書(申請人等作成用1、2)、顔写真…1部
- パスポート(旅券)、在留カード…入管で提示
- 履歴書…1部
- 卒業証明書(または卒業見込証明書)、必要な場合は成績証明書…1部
- 申請理由書…適宜
【会社が準備提出書類】
- 在留資格変更許可申請書(所属機関等作成用1、2)…1部
- 雇用契約書または採用内定通知書(職務内容、雇用期間、地位、報酬などを明記)…1部
- 法人登記事項証明(発行後3カ月以内のもの)…1部
- 決算報告書(損益計算書)…1部
- 給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表(税務署受理印のある写し)
- 会社案内…1部
- 雇用理由書…適宜
「人文知識・国際業務」資格を所持した外国人スタッフを雇用することで、「販促+言語+営業」がシステム化できますと、2019年のラグビーW杯・2020年東京オリンピックの国際イベントに大きく寄与します。
特にラグビーW杯は、札幌市・岩手県釜石市・埼玉県熊谷市・東京都・神奈川県横浜市・静岡県・愛知県豊田市・大阪府東大阪市・神戸市・福岡県福岡市・熊本県熊本市・大分県…と、全国で展開されるためビジネスチャンスは大きく広がります。
「販促+言語+営業」の延長線上に「通訳・接客」を据えます。つまり、外国人による「接客=アテンド」をマーケティングに内包させる「外国人雇用」は、これからの飲食産業の雇用形態を変えるかもしれません。
以上、目次の1〜7まで、飲食店での外国人雇用のポイントと注意点を解説してきました。
では、最後に飲食店での外人雇用のメリット・デメリットを整理しながら、現場でのコミュニケーション活動をどうすれば価値貢献につながるのかを解説いたします。
8.「言語」と「文化」の差異をプラスに変換する
メリット・デメリットの双方に大きく関わるのが「言語」と「文化」です。
外国人労働者を雇用するメリット
完璧な言語対応ができる
外国人雇用の最大のメリットが言語対応です。同国人との接客や接遇にあたって、言葉の使い方による微妙なニュアンスの違いを聞き取り、お客様の外国人とスムーズなコミュニケーションが図れます。
深い文化の理解がある
母国と日本、二つの文化を理解した人材が訪日外国人観光客に対して接遇・接客することによって、より満足度の高いおもてなしをすることが可能になります。
外国人スタッフの母国でのネットワーク活用、ヒアリングができる
外国人スタッフを雇用することで、外国人スタッフの母国へのネットワークに容易にアクセス可能になります。インバウンド対応としては、通常の友人関係も非常に有用になります。
組織の活性化、日本人スタッフの外国人慣れを創出できる
外国人スタッフを雇用することで、日本人スタッフに刺激を与え、組織の活性化します。また、日本人スタッフの外国人慣れを促します。雇用した外国人スタッフの接遇・接客を見て学ぶことで、訪日外国人観光客に対するノウハウが蓄積できます。
優秀人材の社内確保ができる
高度な技術・技能を持つ外国人を雇用することにより、優秀な人材を社内に確保できます。また、異文化の人材を導入することで日本人にはない発想を期待でき、企業活動の活性化につながります。
勤務意欲が高い
個人差はありますが、わざわざ海外から日本に来て仕事をしている分、日本人に比べてやる気がある人が多いと言えます。特に先進国以外の国から来ている外国人は日本の収入の多さを魅力と感じている場合が多く、割増料金となるような残業・深夜勤務についても喜んで受けてくれる傾向があります。
自国コミュニティーによるスタッフ補填ができる
知り合いをどんどん紹介してくれるケースもあり、人手が足りない場合はこうした横の繋がりを活かしたスタッフ補填が可能になります。
メニューの幅が広がる
外国人スタッフから世界各国の文化・料理・調味料・食材を知る機会が生まれ、メニュー幅に広がりを持たせることができます。
外国人労働者を雇用するデメリット
スタッフ間での円滑なコミュニケーションができない場合がある
日本語ネイティブレベルの日本語を読み書きできる人は極めて少なく、日本人スタッフとのコミュニケーションや、あうんの呼吸での指示出し・実行などがスムーズにいかないこともあります。
文化・習慣の違いからの軋轢が生まれる
日本の文化・習慣と、外国人スタッフの母国の文化・習慣が相容れない場合にトラブルが生じる可能性があります。
外国人雇用にかかわる法令・制度が煩雑になる
外国人を雇用するにあたって関連する法令・制度についての知識やノウハウがなく、トラブルに発展する可能性があります。
採用コストや受け入れ体制整備コストがかさむ
日本人を採用する場合と異なり、外国人スタッフの採用は余計なコストや新たなノウハウの蓄積が必要になる場面も数多くあります。また、外国人スタッフはバックグラウンドにある文化や習慣が、日本人のそれとは全く異なるため、それを踏まえた就業規則の変更や制度の見直しなどの手間がかかります。
既存日本人スタッフからの反発や、マネジメントの困難さをまねきかねない
外国人を重用することでの日本人スタッフからの反発が出る可能性があります。また、全く違う文化の中で働く外国人スタッフはストレスフルになりがちで、マネジメントに失敗すると、コストをかけて雇用した外国人スタッフがあっさり辞めてしまう可能性もあります。
遅刻や無断欠勤についての意識が低い
文化や価値観の違いから、時間に対して日本人ほど厳格な意識を持っている外国人は多くないでしょう。また、非常にドライな考えを持っている人も多く、他に良い条件のアルバイト先を見つけるとすぐに移ってしまう場合もあります。
以上が、外国人雇用のメリットとデメリットのリスト一覧です。こうしたメリットを更なるメリットにし、デメリットを解決することが外国人スタッフを強化することにつながります。
今まで外国人スタッフの雇用上の留意点を解説してきましたが、採用時の届出だけがゴールではありません。むしろ、外国人を採用後の戦力化が、事業の業績を左右します。
外国人のほとんどは、慣れない日本語の壁にぶつかり、文化の違いによるカルチャーショックも受けるはずです。しかし、彼らはそれを学び、習得するために日本に来ています。
「文化が違うから」と敬遠をしないで、こまめにスタッフコミュニケーションを取ることが大事です。いつもよりゆっくり話す。わかりやすい言葉を使う。粘り強く伝える。このような配慮は必要ですが、「外国人だから」との特別扱いは必要ありません。
うまく出来たところはしっかりほめてください。また、理解をしようとしない場合は、きちんと注意をすることも大事です。外国人を短期間で戦力化するためには、前向きなコミュニケーションに加え、「期待している」「一緒に学ぼう」という姿勢を経営者だけでなく、スタッフ全員が意識して実行することです。
そうしたコミュニケーションを続けることで、モチベーションは確実にアップします。それは、大きな戦力となり、日本人スタッフと外国人スタッフのパワーは相加効果ではなく、相乗効果となり、店舗パワーを大きく飛躍させてくれるはずです。
9.まとめ
では、いままでの外国人雇用について簡単にまとめます。もう一度再確認をすることで外国人雇用を上手に進めてください。
外国人の就労には「資格」が必要です。
- 調理・料理人は「技能」資格
- 経理・広告・営業は「人文知識・国際業務」資格
- 給仕・接客の単純業務は「留学生」のアルバイト対応です。在留カード裏面の「資格外活動」許可の確認が必須です。
外国人調理師・料理人雇用は「技能資格」が条件です。
- 「技能」は、10年以上の外国専門料理の実務経験による「個人的な技能」です。タイ料理は5年。
- 現地採用は事前調査をきちんとして対応して下さい。
日本料理店での就労は調理師養成施設留学生で可能になりました。
- 在留期間は2年です。
- 雇用人数は1事業所2名までです。
外国語を武器にした業務採用なら「人文知識・国際業務」
- 「外国語」+「販促」+「営業」での資格獲得。
留学生の雇用は週28時間までです。