最近、企業のかたちや働き方が流動的になってきている中で、社員の能動性や自発的に学習する力が不可欠になってきているかと思います。
一方で、「うちにはそんな積極的な社員がいない」「どのような取り組みをしていいか分からない」「企業風土として自発的な空気がない」といった方も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、株式会社Schooの叶内さん、株式会社DeNAの風早さんをお招きし、「自発的に学ぶ社員を育成する組織づくり」をテーマにディスカッションしていただきました。
- 自発的に学ぶ社員を増やすためのポイントが知りたい。
- 成功している企業の取り組みを参考にしたい。
- 受け身な社員を態度変容させるポイントを知りたい。
- 社員の意思を受け止める組織を作るために考えるべきことを知りたい。
といった人事担当者や経営者、マネージャー層の皆様は、ぜひ参考にしていただければと思います。
※本記事は、2021年6月15日(火)13:00~14:00に実施されたイベント内容をもとに再編成したものです。
登壇者紹介
叶内 怜|株式会社Schoo 法人事業責任者
2003年にエン・ジャパン株式会社に入社。営業として様々な業界を担当し、チームマネジメントに従事。web業界に転身しwebマーケティングのアカウントプランナーやメディア事業の責任者として事業推進を実施。その後、コンサルティングファームを経て2021年1月にSchoo入社。現在は営業/CS部門責任者と法人事業責任者を兼務。
風早 亮|株式会社DeNA ヒューマンリソース本部 副本部長 兼 人材開発部 部長
2007年に新卒でITベンチャー企業に入社後、翌年にDeNAに中途入社(第二新卒)。入社後はタイアップ広告の企画営業を担当。その後、ゲーム事業に領域を移し、パートナーとのアライアンスを担当。2015年に社長賞受賞、マネジメントも経験。2018年にHRへ異動し、新卒採用部部長に就任。同年、DeNAの次世代経営メンバーを育成するネクストボードに選出。2020年4月より、HR全体を統括する副本部長として現在に至る。
モデレーター
西村 創一朗|株式会社HARES 代表取締役
新卒でリクルートキャリアに入社後、法人営業・新規事業開発・中途採用などを歴任。在職中の2015年に「二兎を追って二兎を得られる世の中を創る」をミッションに株式会社HARES(ヘアーズ)を創業後、2017年に独立。今回のテーマである「オンボーディング」を含め採用・人事領域を中心に多数の企業のアドバイザーを務めるほか、人事系イベントのモデレーター/ファシリテーターとしても活躍。著書に『複業の教科書』(ディスカヴァー・トゥエンティワン刊)がある。
「学び続ける」にこだわるオンライン研修サービス
「研修を実施しても、その場限りの学習で終わってしまう」「社員が主体的に学んでくれない」といった悩みを抱えている人事担当者や経営者の方も多いのではないでしょうか。
社員が自ら学ぶような企業文化を作ることは難しいことです。しかし、変わり続ける外部環境の変化に対応するためには、各社員自らが知識やスキルを常にアップデートし、学び続ける組織になる必要があります。
Schooでは、オンライン研修に併せて学びのマインドを醸成する「自己啓発学習」を併せて提供しており、「365日コンテンツが更新される」「ライブ形式でインタラクティブな授業」といった社員が自発的に学びたくなるコンテンツを提供しています。
1.Schoo叶内さんに聞く、自発的学習ができる組織づくりの重要性
Schooの叶内と申します。営業とカスタマーサクセス部門の責任者と法人事業全体の責任者を兼務しています。
弊社は、「世の中から卒業をなくす」というミッションを掲げ、インターネット上で受講できる授業を提供しています。また、企業向けの社員研修や自己啓発学習のサービスや、大学を始めとした高等教育機関向けのDX支援をおこなっております。
大切なのは、「成長するための機会提供」
企業を取り巻く環境は変化しています。
今までは大きな変化がない時代だったので、既存の価値の改善や磨き込みという確実な手法が求められていました。必要な知識はすでに決まっているため、人材育成の手法は研修という形がほとんどでした。
しかし、これからは今までの価値がどんどんコモディティー化、陳腐化していく変化の時代になるため、非連続的な成長や発想力が大切です。
成長するための機会の創造や提供、ここに自発的学習のヒントが隠されているのではないかなと思っております。
自発的学習の効果は大。しかし現場では課題に。
また、弊社の取引先の企業の経営者や人事担当者の方からは、最近になって人材育成に関する多くの課題を抱えているといった声もいただいております。
- コニカミノルタジャパン様:業務が複雑化していて、多様化する働き方に学びの提供が追い付いていない
- KDDI様:社員の危機意識が不足している
- 丸井グループ様:社員が能動的に学び、成長し続ける環境が必要
その中で、こちらの図をご覧ください。
会社の中での価値観ややり方を変えることができている人のうち、自発的に学んでいる人は23.8%、そうでない人は7.2%という結果から、自発的学習をおこなう人のほうが柔軟な対応ができることが分かります。
そして、もっと差が大きいのは右側で、70.4%の方が会社の研修よりも自発的学習が効果的だと感じています。
人事の方々が工数と時間をかけて用意している研修よりも、自発的に学べる環境づくりをする方が効果的なのです。
自発的学習をしている人は約1/3。時間があっても学ばないのでは?
しかし、注意しなければならないことは、自発的に学んでいない人が67%もいるとされていることです。
つまり、自分で学ぶことのできる人は、全体の3分の1ぐらいしかいないというのが実態です。
また、自発的に学んでいない理由としては、「なんとなく先延ばしにしてしまっている」あるいは、「時間がないから」という結果が上位に挙がっています。
さらに、「仕事に関連した学び行動を取らなかった理由は何ですか」という問いに対して、1番多かった項目は、「あてはまるものはない」という回答でした。
おそらく、このような方は時間があっても学ばないし、学ぶ理由もないからなんとなく学んでいない、という現状なのかなと推測しています。
“学ぶまでのハードル”をいかに下げるかが重要
それでは、自発的に学ぶ人を増やすためにはどうしたら良いでしょうか。
先ほどの結果を見る限り、学ぶことに対する必要性が弱いと感じている人が多いと予想できるので、まずは、学ぶきっかけを作ってあげる中で、学ぶハードルをいかに下げるかが重要だと考えています。
ここで、いくつか自発的な学習を生み出した事例をご紹介させていただきます。
①サントリー|教え合いの環境づくり
サントリーさんは、チームコミュニケーションが活性化する勉強会を実施しています。
特徴的なのは、「TERAKOYA」という学びの社内ポータルサイトを使用して、内容を問わず、従業員の教え合いの場を提供していることです。
そのため、社員一人ひとりが講師になれる環境が整っていて、自分の持っているノウハウを出すという文化が根付いています。
②コニカミノルタジャパン|「学びの共有」のハードルを下げる
コニカミノルタジャパンさんは、社内SNSを活用した学習コミュニティーの形成が特徴的です。
「学びを共有してね」だけだと難しいので、受講レポートを課す際、人事の方がフォーマットやテンプレートを作り、レポート作成のハードルを下げています。
③丸井グループ|採用から徹底したメッセージを発信
丸井グループさんは、特に育成を大事にされている企業さまです。
与える研修ではなく、成長力のある人材を育てるところに注力しており、採用段階からメッセージングが一貫されています。
「学びは自ら取りに行くもの」と常に社員の方々に伝えているため、社内公募の際など、今では80%以上の方が手を挙げています。
2.DeNAの風早さんに聞く、自発的学習ができる組織づくりの実践事例
DeNAの風早です。3年前にHRに異動し、副本部長と人材開発部の部長を兼務しています。
今日は、社員の自走力を高める取り組みについてご紹介させていただきます。
DeNAは自走する球体型組織
そもそもDeNAは、自発的に学ぶ組織だと思っています。
インターネット業界は競争が激しく、生き残るためには自己研鑽が不可欠です。弊社もこれまで主力事業を転々としてきました。その中で自走する文化が根付いたのではないかと考えています。
また、DeNAは「球体型組織」であるとも考えております。
一般的なピラミッド型ではなく、立場や年次に関係なく「自分はDeNAを代表する一員だ」という意識をもって仕事をする風潮のため、一人ひとりの責任感が求められ、自発的に学ぶ文化が定着してきたのだと思います。
採用という名の仲間探し
ここで、組織づくりで大事にしている3つのポイントを簡単に紹介していきます。
まず、「採用という名の仲間探し」です。
- 自発的に学ぶことが好きか
- 自分で考えて発することが好きか
- 逆境も楽しみながらやり抜く力があるか
DeNAでは、これらを採用活動における重要なファクターとして考えており、その人がどういうタイプなのか、学び続ける気持ちがあるのか、などに注目するようにしています。
そのため、新卒採用ではメンター制度を早くから導入し、学生一人ひとりの価値観やモチベーションの源泉を深堀りしています。
成功確率5割のチャレンジアサイン
続いて、「成功確率5割のチャレンジアサイン」です。
「人は仕事で育つ」という考え方を重視しているため、座学の研修は最小限にして、強い思いを持ったメンバーには未経験でも大きな仕事を任せています。
できるかどうか分からないような挑戦をすることで、自分自身で学んでいかないと目標を達成できない状況が生まれます。
難易度は高いですが、挑戦を楽しみながら自発的に学ぶという姿勢が求められる設計になっています。
大胆な人事異動で大黒柱を引っこ抜く
最後のポイントが、「大胆な人事異動で大黒柱を引っこ抜く」です。各事業部で活躍するメンバーを意図的に異動させることがよくあります。
その場合、チームは一時的に混乱しますが、メンバーがオーナーシップを持つことで、次第に新たなリーダーが生まれるようになります。
誰でも主役になれるようなフラットな組織環境をつくることによって、必然的に自発的学習が求められることが大きなポイントだと思います。
自社オリジナルのプロジェクトとコミュニティで社内コミュニケーションを活性化
次に、DeNAでおこなっている具体的な施策をご紹介すると、「DeNA University」というプロジェクトがあります。社員同士が学びを教え合う場として、社員が自発的に立ち上げました。
マネージャーやコーチングのコミュニティなど、学びたい講座をいくつか立ち上げて、ナレッジ&コミュニティをセットで推進しています。
さらに、「OpenQuest」という完全内製の社内求人システムもあります。
ここでは、社内の求人募集中のポジションを一覧にして、具体的な仕事内容を可視化しています。
また、そこにいる人の背景や思いが記載されていたり、ピッチイベントのOpenQuest Loungeでポジションの魅力を紹介することで、他の事業の様子や、自分の次のキャリアを意欲的に探せるような仕組みになっていたりします。
最近は副業が世の中で主流になってきていますが、兼務から始めてみるクロスジョブのようなことを社内でも取り入れています。
3.パネルトーク/視聴者からのQ&A
お二方、ありがとうございました。
さて、ここからはパネルトークとQ&Aを通して、さらに詳しくお伺いします。
Q. 自発的に学ぶカルチャーを社内に浸透させる施策について
DeNA Universityに関連して、風早さんに質問です。
自発的に学びたいと思うカルチャーを浸透させていくために、具体的に仕掛けてきたことはありますか。
「どうやって社員の声に耳を傾け、提案を実現していくか」に向き合ってきたことです。
普通だったら、「DeNA Universityを立ち上げたいです」とメンバーが急に手を挙げても、上司は「いやいや、目の前のことをやってよ」となる場合も多いのではないでしょうか。
そのため、代表や役員陣を巻き込んで、「いかに全社のお祭り事として取り組むことができるか」がポイントだったと思います。
社内の意見に対しオープンに投票や意見ができ、いいねと支持があったものが採用され、3割ぐらいまで工数を付けられてプロジェクトとして取り組めるようにしました。
そういった座組みを作ることができたことが良かったと思います。
座組みを作ってもなかなか提案が集まらない、といったこともあると思いますが、従業員から意見が出るように工夫したことはありますか?
立ち上げた当初は、何人かのコアメンバーが事務局にいましたが、各部門に対する旗振りや説明の徹底など、いかにお祭り事感を醸成していくかというのを考えてやっていました。
今だと、Slackとかで告知爆弾をどんどん仕掛けていったり、割と泥くさいことをやっていますよ。
地道な草の根活動があって、お祭り的な空気感が出てきて、「今なら言える」雰囲気をつくり続けてきたんですね。
そうですね。敷居はだいぶ低くなったんじゃないかなと思います。
続いて叶内さんに質問です。
さまざまな企業と関わってきたと思いますが、もともと能動的ではないカルチャーの会社が、どのように自発的な風土を浸透させていったのかお聞きしたいです。
自発的学習を定着させるためには、
- 学びを開始するポイント
- 学びを継続するポイント
- 学びの効果を実感するポイント
この3つが大切だと感じています。
実感のフェーズまで達成すると、学ぶことが楽しくなり、良いサイクルが生まれると感じています。
たとえば、先ほどご紹介したサントリーさんの場合、先輩や同僚が教え手に回っている様子を見ることで、自分には何ができるのか常に考えるようになります。
また、コニカミノルタさんの場合だと、人事の方による地道な活動のおかげで、自発的なカルチャーがつくられていると思います。
Q. 受け身な社員が自発的に学ぶ姿勢に態度変容するために
続いて、2つ目のトピックです。
どんなに自発的なカルチャーを浸透させてきた会社でも、中には自発的でない方もいらっしゃると思います。
そうした受け身な社員の方々が自発的に学ぶようになるために、どんなことをされてきたのか、まずは風早さんからお願いします。
特別な魔法はありませんね。組織全体の話で言うと、そもそも「何を大切にしているのか」という、バリューや行動指針の徹底が大切だと思います。
DeNAの場合、「DeNA Quality」という、5つの共有価値観があります。
それを体現しようとする組織であればあるほど、「上司から言われたからやる」のではなく、「チームでもっと高みを目指すべき」という主体性が生まれるのだと思います。
ただ、それでも動かない人がいる場合は、目標設定や、どういうところを良さとして伸ばしていく・修正するといった、マネージャーによるコーチングが重要だという感覚はあります。
目の前の仕事でいっぱいいっぱいで勉強なんてできないという方に対しては、どのようにアプローチしますか?
目の前のことで忙しければ、それはそれでいいかなと思っています。
学びの種類には垂直的成長と水平的成長があると言われますが、水平的成長の場合、知識をどうやって増やし、幅を広げていくかというところで、「学習する」選択肢があります。
目の前のことで忙しい時は、その仕事の難易度が高い場合もありますし、修羅場経験を積めているかもしれないということで垂直的成長に繋がると思います。
そのため、仕事自体が学びであり挑戦であって、そこに向き合うこと自体は良いことではないかと思います。
学びのリソースをどこに割くのかということは、各個人によって臨機応変に対応していけば良いのではないかというお話ですね。ありがとうございます。
受け身な社員を態度変容させる方法について、叶内さんはどうお考えですか?
先ほど風早さんがおっしゃっていた垂直的・水平的成長の観点は、その通りだなと思います。現場で多くを学び成長している人がいるのは、それはそれで素晴らしいことだなと思っています。
一方、学びや成長の意欲がない場合は、Schooを見るなりして成長してほしいなと思います。
自分の課題がわからない、どうしていいか分からないという方に対しては、先ほど風早さんがおっしゃったみたいにカルチャーとマネジメントで解決すべきだと思います。
しかし、それができない環境にいらっしゃる方に対しては、課題に気付けるような何かがあったら良いと思っています。
学びの継続についても課題に感じている企業さまは多いと思いますが、「その場が楽しいからやっている」「みんながいるからやっている」といった動機で続けられることもあるでしょう。
このように学び始め、続け、効果を実感というサイクルがうまく回れば、受け身な社員も変わっていくと期待しています。
まずは学び始めるところをクリアすれば、継続していくことで効果を実感して楽しくなり、より学ぶ意欲が増すという、いい循環になるのですね。
目の前のタスクに忙しい人が学びを後回しにしてしまうケースも多いと思いますが、Schooさんとして、学び始めやすくする工夫はどのようなことをされていますか?
学ぶ意欲も人それぞれですので、学ぶ意欲が高い方は、おそらく忙しくても学びにくると思っています。
学ぶ意欲が低い方だったら、違う動機で来てもいいと思っています。そこで、僕らが一番の価値として提供しているのは、生放送です。
コミュニティに属する価値や、自分の質問を講師に取り上げてもらう喜びから学びが始まっても良いと思っています。
講師や受講者同士のインタラクティブ性があると、「じゃあ次も学んでみよう」ということで、学びの継続が実現しやすくなるんですね。
Q.自発的なカルチャーづくりをするうえで、やってよかったこと
それでは次の質問です。
これまで自発的に学び続けるカルチャーをつくっていく上で、やって良かったことを教えてください。
叶内さんからお願いします。
「オンライン集合学習」です。弊社サービスで恐縮ですが、社内でもガンガン使っています。
時間を決めて部署やチームで同じ動画を見て、そこでみんなで議論する仕組みになっています。
同じものを一緒に見て同じように学ぶだけでなく、人の学びから気付きを得ることができ、学びの効果性の観点から社内外問わず好評をいただいています。
Zoomでいうブレイクアウトルームに近いのかもしれませんね。
風早さんはいかがでしょうか?
どうやったらメンバーが自発的に学びたくなるかは、そのマネージャーがどう影響するかが結構大きいと思っているんですよね。
DeNAでは、マネージャーになった人は社内研修を受けます。研修以降はフォローが少なく、日々の業務に忙殺され悩みを解決するのが難しいので、人によってはコーチングを受けにいくなど、いろいろと自分で動いています。
先ほどDeNA Universityでも挙げたマネージャーのコミュニティの中では、ランダムにマネージャーを組み合わせて、そのメンバーで3カ月間、毎週30分、「今週起こった、心が動いた瞬間」をはじめとするマネージャーハプニングスを共有しています。
そこでの気付きや、「こんな取り組みをするといいよ」と教え合った結果を組織に還元することで、新たな学びにつながっている実感があります。
Q. ボトムアップ系のトレーニングにおいて自発的に楽しく学べるように工夫していることは
続いての質問です。
コンプライアンス研修など、ボトムアップ系のトレーニングを自発的に楽しく学ぶために工夫されていることはありますか?
まずは風早さん、お願いします。
特にコンプライアンス系だと、どうしてもeラーニングで毎月、講習のページをめくってはテストに答えていくという形なので、楽しく学ぶことが難しいですよね。
ジャストアイデアですが、学んでからテストを受けるのではなく、最初にテストを受けさせて、分からなかったところを学ぶ方法はどうでしょうか。
順番を逆にするだけでも、「自分はどこが分かっていないんだ?」と自分事として取り組めるんじゃないかなと思いました。
確かに、人によっては「そんなの知ってるよ」ということを聞き流しているうちに知らないことまで聞き漏らしているかもしれません。
最初にテストを受けて、知らないことだけ学ぶとなると、能動的に学ぶようになるかもしれないですね。
先ほどお伝えしたオンライン集合学習で、みんなで視聴し話し合うのだったら多少楽しいのかなと思いますが、なかなか労働時間中に全員を集めるのは大変ですよね。
このようなボトムアップ型のコンテンツもSchooにはありますが、まだ1人での視聴・学習がメインになっているので、なかなか課題が大きいです。
まだまだ変えられる余地がある、面白くできる領域かもしれないですね。
Q. 社員が学びたいと思ったときや新しい提案をするときに受け止める|個人と組織の関係性について
それでは、最後の質問です。
自発的に学ぶ社員が増えたとしても、組織にそれを受け止める文化がないと効果がないと思います。
仮に外からさまざまなことを学んだうえで上司に提案したとしても、すぐに却下されてしまうと学習意欲が下がる恐れもあります。
こういった、個人と組織の関係性に関してコメントをいただきたいと思います。
まず、風早さんからお願いします。
組織が大切にしているカルチャーが、個人の志向性とマッチしていない限りは、互いにとって不幸だと思います。
「その企業は何を大切にするか」と、「個人がどうありたいか」は、そういう意味で密な関係性なんじゃないかなと思います。
だからこそ個人は会社を選ぶ権利があるし、会社側も個人を選ぶ権利があるんだと思います。
個人としては何が幸せかを考えていくことが大切だし、会社としては何を重視するか、しっかり提示することがフェアだと考えています。
叶内さんはいかがでしょうか。
風早さんのおっしゃるとおりですね。
意見を受け止める文化が根付いていない組織の管理職は、年功序列で上がったため自発的に学ぶ必要がなかった人たちであることが多いような実感があります。
一方、若い人たちは学びたい意欲が高い印象もあるので、それを上が受け止められない文化は変える必要があると思います。
とはいえ、最近Schooにいただくお問い合わせは、経営トップダウンで「ここを変えたい」というものが多いです。
文化として「学ぶ」姿勢を持っていなくても、上は課題感を持っている場合もあると思うので、経営ごとにして大きな問題にしていくことが重要なのかなと思います。
せっかく意欲をもって自ら学んで提案してもすべて却下されてしまったら、その人はもう学ぶのをやめてしまうか、転職するかということを考えてしまうので、人材を失うことにも繋がりかねないと思います。
まさに「学習する組織にアップデートしていく」という経営の意思は重要になっていくかもしれないですね。
お二方、ありがとうございました。
「学び続ける」にこだわるオンライン研修サービス