本記事では、人材紹介サービスにおいて、最適な候補者と出会うことができる「求人データベース」についてご紹介します。
求人データベースのサービス内容や仕組み、サービス活用のメリット・デメリット、選ぶ際のポイントなどを分かりやすくご説明いたします。
人事担当者はもちろん、人材紹介会社の方にも役立つ情報も満載ですので、ぜひご確認いただけますと幸いです。
目次
1. 求人データベース(求人データベースサービス)とは
求人データベースとは、人材紹介会社にとって、自社で求人開拓をしなくても他社が保有する求人を、自社の求職者に紹介できるサービスです。
人材紹介会社は、労力のかかる求人獲得業務をすることなく人材紹介業をおこなうことができます。
求人データベースに掲載されている求人情報には、求人を出した企業の希望条件も含めて記載されてます。
そのため、
- 求人企業とのアポイントメント
- 求人企業との商談やヒアリング
- 求人企業との契約業務
- 求人票の作成
などは必要ありません。
また、サービスによっては求人企業とのやり取りも代行してくれる場合があります。
そうなると請求書の発行業務なども不要になるため、求職者とのコミュニケーションやフォローに時間を割くことができます。
2. 求人データベースの仕組みや機能
では、求人データベースサービスはどのような仕組みで成り立っているのでしょうか。
2-1. 求人データベースのビジネスモデル
①人材紹介会社は、求人データベースサービスの利用料を支払う
人材紹介会社は、求人データベースサービスの利用に費用を払います。
通常の人材紹介と同様に、データベース内の求人を求職者に紹介して決定したら紹介手数料が人材紹介会社に支払われ、利益がでます。(決定時の紹介手数料から求人データベースサービスに費用を払う場合もあります)
②求人企業は、求人データベースと提携する人材紹介会社から紹介を受ける
求人企業は、求人データベースと提携している人材紹介会社から候補となる求職者の紹介を受け、その後採用が決定に至った場合に紹介手数料を支払います。
③求人データベースを提供する企業は、人材紹介会社からのデータベース利用料で利益を得る
求人データベースを提供する企業は、人材紹介会社からのデータベース利用料で利益を得ています。(決定時の紹介手数料のうち、一部を利用料として人材紹介会社に請求し、マネタイズする場合もあります。)
2-2. 求人データベースの機能
求人データベースの機能は製品によって変わりますが、ここでは代表的なものをご紹介いたします。
①求人検索
求職者に最適な求人がデータベース内にないか業種/職種/勤務地/想定年収などの項目で絞って検索することができます。求職者と面談をしながら最適な求人検索ができますし、掲載求人は現在採用活動をしている企業なので採用活動の有無を直接確認する手間も省けます。
②自社・求人と他社求人の一括管理
自社求人と他社求人をわけて管理することは大変です。そのため、多くの求人データベースサービスには、自社の求人を登録・管理することができる機能があり、求人を一括管理することができます。もちろん、求人データベースに登録した自社の求人を他の紹介会社が見ることはできないのでご安心ください。
③求職者管理
求人データベースサービスでは、自社に登録している求職者の管理も可能です。面接などの日程調整や「この方は一次面接、この方は内定」など求職者の状態管理ができます。継続的に求人データベースを利用する場合は、求人データベース上で一元管理することをおすすめします。
3. 求人データベース利用のメリット・デメリット
ここまで求人データベースの仕組みや機能をご紹介してきましたが、求人データベースを利用するにあたって、メリットやデメリットはあるのでしょうか。
お悩みなど解決したい課題や、会社のニーズ別に求人データベースサービスの活用法もご紹介します。
3-1. 求人データベース利用のメリット
メリット1)求人開拓をせずに人材紹介業がはじめられる
求人データベースの最大のメリットは求人を自社で開拓しなくても、求職者を集めることさえできれば人材紹介業をはじめることができる点です。
人材紹介業は利益率が高いため、人材紹介業で起業する方も多いのではないでしょうか。その際に、求職者と求人企業のどちらも集めるのはかなり大変です。
その点、求人データベースを利用すれば既に人材を募集中の求人企業をすぐに確認し、求職者にお仕事を紹介することができます。
求人を開拓する労力を省ける分、求職者へのヒアリングやフォローに力を入れられることも魅力的です。
メリット2)求人担当者の採用費や人件費をカットできる
求人データベースを利用すると求人開拓担当者の採用費や人件費をカットすることができます。
そもそも、求人企業を自社で見つけて契約しようとすると、人材を採用したい求人企業を見つけ、商談を設定し、契約書を改修して・・・と大変な労力がかかります。
また、昨今ではさまざまな採用手法が乱立しており、求人企業の開拓難易度も上がっています。
また、人材紹介会社数は年々増えており、厚生労働省職業安定局によると令和3年1月1日現在、全国に31,582社もあります。
競合が多いため、やっと商談にこぎつけても契約にならないこともしばしば。
その点、求人データベースは開拓不要ですので自社で求人開拓用の人材を採用する必要もありません。
メリット3)大量採用の求人や、比較的採用基準の低い求人など開拓しづらくマネタイズしやすい求人を見つけやすい
求人データベースを利用すると売上が上がりやすい、大量採用の求人や比較的採用基準の低い求人が見つかりやすい点もメリットのひとつです。
せっかく求人企業を開拓しても、ニッチすぎる条件では求職者を集める難易度があがり、なかなか売上に繋がりません。
また、大量採用の求人は集客力の強い人材紹介会社に一任されていることも多く、自社での開拓ハードルが高くなってしまいます。
しかし、求人データベース企業は、求人を他社に提供できる規模の人材紹介会社が提供しているため、比較的マネタイズしやすい求人を保有している傾向にあります。
3-2.求人データベース利用のデメリット
デメリット1)求人データベース利用料がかかる
月額固定で、求人データベースの利用料がかかります。しかし、メリットでもお伝えした通り、求人開拓コストの削減ができるため、相対利益は上がる可能性もあります。
デメリット2)他社と求職者推薦が被る(バッティングする)可能性が高い
求人データベースサービスには、複数の人材紹介会社が登録し、求人情報を閲覧しています。
そのため、人気求人の場合、他社とバッティングする可能性が高くなり、何人紹介しても決定に至らない、というケースも起こりえます。
バッティングの多い人気求人の場合には、自社求人より丁寧な書類対策や面接対策をおこなう必要があります。
デメリット3)求人の条件に関する交渉を求人企業に直接することができない
求人データベースに掲載されている求人には、既に求人データベース企業がヒアリングした採用条件が記載されています。
「この条件であればもっと想定年収を上げる交渉がしたいな」「この条件の方も推薦可能にしたいな」などと求人の条件変更をしたくても、直接求人企業に交渉することはできません。
条件交渉を求人データベース企業に依頼することは可能ですが、間接的な依頼になるため、熱量が伝わりにくくなってしまいます。
また、紹介フィーの料率も求人データベース企業の基準で決められていることが多いので、紹介フィーの単価交渉も難しい傾向にあります。
3-3.求人データベースの活用法
求人データベースはどのような場合に活用すればよいのでしょうか。代表的な3つの事例とともに活用法をご紹介いたします。
ケース1)人材紹介業で起業する場合
人材紹介業で起業する場合、求人企業側の開拓・求職者側の集客のどちらも必要です。
求人企業側のコネクションがある場合は問題ないですが、コネクションがない場合に求人データベースは便利です。
求人開拓にかかる時間や費用を求職者側の集客に充てることができるからです。
求人データベースを利用することで、利益発生までの期間を短くできる場合もあります。
ケース2)求職者は集まるものの、紹介する求人が足りない場合
既に人材紹介業をしていて求職者はたくさんいるのに、紹介する求人が足りなかったり、自社求人の採用ハードルが高くて決定に至らない場合にも求人データベース利用はおすすめです。
自社求人に加え、求人データベースの求人情報も求職者に紹介できるので、求職者の職業選択の幅が広がり、これまで求人を紹介できなかった求職者の転職支援が可能となります。
また求人数が増えるため、求職者の満足度向上や求職者集客率の最大化も期待できます。
ケース3)求人の管理・開拓の外注費の代わりとして活用する場合
求人の管理や開拓をコストだと感じて外注される方がいらっしゃいます。
外注の場合と異なり、自社求人にはなりませんが、求人データベースの活用は他社が求人を開拓してきて管理しているものです。
外注費を求人データベース利用料だと考えると、外注先によっては割安かもしれません。
4. 求人データベースサービスの選び方
一概に「求人データベースサービス」といっても、複数のサービスがあるため、どのサービスにすべきか悩む方もいらっしゃるかもしれません。
本章では、データベースサービスの選定ポイントと、選定にあたって気を付けるべき点をご紹介いたします。
4-1. 求人データベースサービスの選定ポイント
料金
求人データベースサービスはデータベース利用料がかかるものが多いです(条件付きでかからないものもあります)。
そのため、まずは各社の料金を比較することをおすすめします。月額料金制の場合は最低契約期間が決まっているケースが多いため、初回の契約から最低限かかる費用を算出しましょう。
決定時に紹介フィーの一部を利用料として求人データベースに払う契約内容であれば、求人データベース企業が保有する求人の内容と自社の求職者層をもとに、何人くらい決定できそうかの予測を立てて、かかる費用を算出してみましょう。
欲しい求人があるか
膨大な求人を公開している求人データベースサービスですが、自社の求職者層に合う求人が無いと利用しても利益がでません。
そのため、事前に求人データベース内の求人の内訳を確認しておく必要があります。
例えば、求職者の集客層が営業職希望が多いのであれば、営業職が豊富に掲載されている求人データベースがいいですよね。
千葉県特化の集客層であれば、千葉県勤務の求人がどれくらい掲載されているかを確認しておきましょう。
他にも性別や年齢層、経験の有無など自社の求職者層を確認した上で契約しましょう。
サポートが充実しているか
求人データベースサービスはどれも「求人を公開している」という点では同じです。
しかし、求人データベース企業の担当者にどれだけサポートしてもらえるかで、決定率は変わるといっても過言ではありません。
なぜなら、求人を出している採用担当者の温度感や他社の状況など自社求人なら得られる情報を、求人データベース企業の担当者に教えてもらうほかないからです。
また、何か求人データベース上でトラブルがあった場合、速やかに対応してもらえなければ業務が止まってしまいます。
カスタマーサポート担当がいるのか、決定に関するアドバイスがもらえるかなどサポートが充実しているかを事前に確認しておきましょう。
4-2. 求人データベースサービスを選ぶにあたって気を付けるべき点
UIなどを確認し、使いやすいかどうかを確認しておく
せっかく求人データベースを使うのであれば、使いやすいに越したことはありません。
ボタンの位置などサイトの構成はもちろん、求人検索の項目など日常的にストレスなく利用できる構造かは契約前に確認しておきたいところです。
デモ画面を提供しているサービスであれば、事前に使用感を確認することができ、安心して導入できるでしょう。
求人データベース利用料の元が取れそうか
有料の求人データベースサービスを使う場合、決定を生めるかどうかも大事ですが、それ以上に利用料の費用対効果(=元が取れるか)は気を付けておきたい点です。
自社の利益より求人データベースの利用料の方が高くなってしまうと本末転倒です。
自社と同規模・同集客層の人材紹介会社が、どれくらいの割合で決定に至っているか聞いてみるとよいでしょう。
利用料が決定時にしか発生しない求人データベースサービスを選べば元が取れるかを心配する必要はありません。
番外編)利用開始のタイミングは適切か
求人データベースを利用するにあたって、契約開始のタイミングは重要です。
たとえば、求職者の集客ができていないタイミングで利用を開始しても、推薦ができず、月額の求人データベースサービスでは利用料が無駄になってしまう可能性があります。
また、人材紹介業を開始するために必須な職業紹介免許が取れてからで無いと、求人データベースを契約することができません。
そのため、求人データベースの利用開始日は求職者の集まり方や免許の取得予定日を加味して決めましょう。
5. 求人データベースの機能やコスト一覧と各社まとめ
それでは、実際に求人データベースの機能やコストについて確認してみましょう。一覧は、こちらです。
求人データベース|機能・コスト一覧表
サービス名 | Crowd Agent | agent bank | JoBins | カウレポ | マイナビ ジョブシェアリング |
リクマドα | エクスオード | circus AGENT | キャリアバンク ジョブサーチ |
求人数 | 8,000件以上 | 3,500件 | 非公開 | 約3000件 | 非公開 | 500件以上 | 非公開 | 2000件超え | 非公開 |
No.1表記 | 求人数・導入数No.1 | 紹介数&決定数No.1 | – | IT業界求人数No1 | – | – | – | – | – |
料金体系 | 非公開 | 応募課金型 | 月額料金0円 | 初期費用20万円+①or② ①月額固定費プラン(月額20万円) ②成功報酬プラン(月額10万円+決定時成功報酬の30%) |
非公開 | 初期費用0円+①or② ①完全成果報酬プラン(発生手数料の10%) ②固定費プラン(月額6万円~) |
完全無料 | 非公開 | 非公開 |
求人検索機能 | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | △(求人開拓代行) | ◯ | ◯ |
自主求人管理機能 | ◯ | 要問合せ | ◯ | 要問合せ | 要問合せ | 要問合せ | – | 要問合せ | 要問合せ |
無料デモ | ◯ | ◯ | 要問合せ | 要問合せ | 要問合せ | 要問合せ | – | 要問合せ | 要問合せ |
利用サポート | ◯ | ◯ | 要問合せ | 要問合せ | 要問合せ | 要問合わせ | △(求人開拓代行) | ◯ | 要問合せ |
▲表は右にスクロールできます
Crowd Agent(クラウドエージェント)
幅広い求人領域を網羅する求人データベース
agent bank(エージェントバンク)
希望に応じて求職者集客もできる求人データベース
JoBins(ジョビンズ)
採用チャネル&効率UPで確実に採用成功に導くエージェント連携システム
カウレポ
IT業界に特化した求人データベース
マイナビJOBシェアリング
独自の地方求人が強みな求人データベース
リクまどα
初期費用0円で始められる求人データベース
エクスオード
初期費用0円で始められる求人データベース
circus AGENT(サーカスエージェント)
「求人獲得」と「紹介求人の見極め」を自動化する求人データベース
キャリアバンクジョブサーチ
月額費用無料、初期費用無料、成功報酬費用無料の求人データベースサービス
6. まとめ
今回は人材紹介会社が利用する「求人データベースサービス」についてご紹介しました。
「求人データベース」は、人材紹介業に欠かせない求人開拓を省略することができる便利なサービスです。
利用をすることでコストカット利益率UPに繋がる人材紹介会社もあるかもしれません。
求人データベースのメリットやデメリットを知ったうえで、このようなサービスもうまく活用してみてはいかがでしょうか。
導入を検討してみたい方は、ぜひ各社にお問い合わせしてみてください。