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明日からできる「マーケティング発想」の採用手法!大事なのはターゲット設定だった

  • 採用
  • 採用戦略・要員計画

※本記事は、インタビューを実施したうえで記事化しております。

今回はウォンテッドリー株式会社が提唱している「リクルートメント・マーケティング」についてインタビュー。

【前編の記事はこちら】
「採用×マーケティング」の新しい採用手法。リクルートメント・マーケティングで第一想起される企業に
https://hrnote.jp/contents/b-contents-saiyo-wantedly-190902/

後編のテーマは、「明日から実践できるリクルートメント・マーケティング」。採用ターゲットの設定をどのようにおこなうのか、社内の協力体制をどう構築していくのか、お伺いしました。

山田 賢輔| ウォンテッドリー株式会社 マーケティング

1989年生まれ。新卒で入社したソウルドアウト株式会社ではプログラマーやマーケターを経験。2018年にウォンテッドリー㈱に入社。現在、ウォンテッドリーのマーケター兼マーケティングチーム採用担当。

リクルートメント・マーケティングを成功させるには、「ターゲット設定」が肝

ーリクルートメント・マーケティングを実施するにあたり、何から始めたらいいのでしょうか?

 

山田さん:最初にやることは、コンセプトとターゲットの明確化です。ここが最も重要です。

多くの企業は、一般的に優秀であることよりも、会社のビジョンに共感していて、職場環境にマッチしていることが重要だと考えています。

優秀だけど、あまり会社で楽しそうでなかったり、雰囲気に合っていなかったりした人がすぐに離職してしまった経験をお持ちの採用担当者は多いと思います。

そのような方より、仕事を楽しんで頑張ってくれる方を採用したほうが絶対にいい。そのため、自社のコンセプトを明確にする必要があります。

コンセプトを決めた後、そんな自社のコンセプトを好きでいてくれるターゲットを考えていきます。

ターゲットとコンセプトが明確になれば、どうやってそのターゲットが自社に気づき、好きになってくれるのかという流れを、認知や興味関心、検討などの各フェーズに落として施策を考えます。

採用したい人数が多ければ、まだ自社に関心がない人にもリーチする必要がありますし、少なければ、自社と相性が良さそうな濃い層を見極めて狙う必要があります。

コンセプトやターゲットや各施策の詳しい考え方については、後ほどお話します。

認知に関しては、先ほど決めたコンセプトに沿った認知形成をおこなっていきます。認知形成の方法は、採用媒体がすべてではありません。

どうすれば「この会社面白そう!」とターゲットが思うのかを、とことん考えて、ターゲットの目につく広告媒体、SNSなどを調査し、活用することで認知してもらうことが可能です。

【関連記事】これが士業の生きる道。法務×経理キャリア対談 #1

 

山田さん:興味を持ってもらえたら、次はその人たちと連絡を取れる環境を整えます。たとえば、Wantedlyの機能のミートアップなどを使って、興味を持った人と接触していきます。

これは、会社説明会のようなエントリー前提の接触だけではありません

たとえば、「人材業界に転職したい人に向けて、人材業界について解説する」みたいなミートアップです。

ほかに、ウォンテッドリーでは、カジュアル面談という自分たちの会社知ってもらうこともやっています。

最後に、求職者の検討度合いを計測するために、定期的にしっかり一度接触した人たちに連絡を取ることも重要です。

5つのstepでおこなう「リクルートメント・マーケティング設計」

ーウォンテッドリーでは、どのようにリクルートメント・マーケティングを設計していますか?

 

山田さん:ウォンテッドリーでは、5つのstepでリクルートメント・マーケティングを設計しています。

まず、企業の構成要素を整理するために、下記のように分解していきます。

誰に」対しての「どのような」事業があり、その事業をおこなうために、どんな「業務」があるので、どんな「」がどれくらいの人数働いていて、その人たちがどんな「文化」をつくっていて、その文化をもとにこんな「制度」がある。

これらを過去・現在・未来の軸で、「昔はこうだったけど、今こうで、未来はこうなっていきたいよね!」のように整理していきます。

整理できると、過去・未来・現在で共通している部分(普遍要素)を抽出します。

 

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ー普遍要素を抽出した後は、どうするのですか?

 

山田さん:抽出した普遍要素から、「自社にとって特に重要な要素は何か?」を明確にして、コンセプトに落とし込んでいきます。

たとえば、ウォンテッドリーの場合、『誰に』を重要視しているので、「シゴトでココロオドルひとをふやす」をコンセプトにしています。

 

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山田さん:ここで出たコンセプトは、すでに会社が打ち出しているミッションやビジョンとのズレを防ぐために、経営陣を含めて整合性が取れているかを確認する必要があります。

 

ーかなり大変な作業ですね。

 

山田さん:時間もかかりますし、人を巻き込まないといけないので、エネルギーが必要です。

コンセプトが決まり次第、事業部や職種ごとに採用したいターゲットの要件を定義していきます。

ターゲット設定で重要なのは、会社全体で共通認識を持つことです。人事が主導で動いていたとしても、採用してから一緒に働く人は事業部側なので、「こういう人って採用したいですか?」とすり合わせる必要があります

ターゲットが定義できたら、コンセプトと合わせて、どのようなコンテンツに興味を持つかを定めていき、フェーズごとにコンテンツを作成していきます。

 

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ーたしかに、会社全体で共通認識を持っておくことは大事ですね。ターゲット設定ができれば、どのように認知施策を考えていけばいいですか?

 

山田さん:認知施策を考える前に重要なことが、ターゲットの解像度を高めることです。

たとえば、理系の大学院生をターゲットにしているとします。

「理系の大学院生」という解像度だと、大学に行って、研究室に挨拶するなどが接触の手法になるでしょう。

しかし、ターゲットの解像度を上げて、「大学院生は、普段研究室にいるが、毎月特定の学会には必ず足を運んでいる」ことがわかれば、研究室だけではなく、学会に出ることが接触の手法になるかもしれません。

 

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山田さん:このように、ターゲットの解像度をどこまで上げられるかによって、コンテンツや手法は変わってきます。

また、ウォンテッドリーでは、フェーズごとにどういう心理状態の人たちを、いつ、どういうやり方で、何を伝えて、心理状態をどう変化させるのかを考えて施策を打っています。

 

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求職者の動きを点で追うのではなく、線で追うのが大事

ーリクルートメント・マーケティングは、「認知」「興味」「検討」の3つのフェーズがあると思いますが、各々どのような遷移指標を置けばいいですか?

 

山田さん:あくまで一例ですが、認知フェーズは連絡先取得数、興味フェーズはセミナー参加人数や面談に来てくれた人数、検討フェーズでは定期的に連絡して返信がある人数などです。

注意が必要なのは、同じ手法だとしても、内容によってフェーズが異なることです。

たとえば、イベントも「人材業界のことを教えるイベント」と「ウォンテッドリーのことを話すイベント」では、ユーザーの温度感が異なります。

そのため、同じイベントという手法でも、前者は認知フェーズに影響し、後者は興味フェーズに影響します。

 

ー認知のフェーズで個人情報を取得するとエントリーにつなげたくなると思いますが、我慢したほうがいいのでしょうか? 

 

山田さん:どのタイミングでエントリーに誘導するのかは、企業の戦略次第です。

たとえば、ウォンテッドリーの場合、この方は転職意欲が高いなと感じたら、「ウォンテッドリーに来ませんか」とすぐに誘うこともありますし、転職意欲が低ければ定期的に連絡を取ったり、食事に誘ったり、社内の他の人間と喋れるイベントに呼んだりしています。

会社全体で採用活動に取り組むためには、明確な役割分担が必要

ー会社全体との協力体制が重要になってくると思うのですが、どのような体制づくりを意識すればいいですか?

 

山田さん:ウォンテッドリーでは、人事が戦略を描き、そこから事業部側の人にやってほしいことを明確にして、先に了承を得てから、採用活動をおこなっています。

事前に役割を明確にすることで、会社全体との協力体制をつくっています。

また、ウォンテッドリーでは、事業部側に協力してもらいやすい体制をつくるために、人事と一緒に採用活動をおこなってもらっています。ちなみに、採用への貢献は評価の対象にもなっています。

僕自身も実は職種としてはマーケターなのですが、この制度によって、今採用活動をしています。

自分でWantedlyのフィードを書いて、自分でミートアップを開催して、エントリーしてきた人を面接するという一貫した流れをやっています。

このように、ウォンテッドリーでは、事業部側も実際に採用と経験してもらって、人事の大変さや事業部が協力することの重要性を体感してもらっています。体験してもらうことで、協力してもらいやすいマインドを醸成しています。

 

ーリクルートメント・マーケティングを実行するにあたって、注意点はありますか?

 

山田さん:認知フェーズ~採用フェーズでのメッセージに一貫性を持たせることです。

極端な例でいくと、認知のフェーズでは「働きやすい会社」と伝えているのに、面接で事業部の人が「いや、残業が多いよ」と言ってしまうなどです。

「そんなことあるはずない!」と思う人事の方も多いと思いますが、実は、知らないところで起きているケースが多いです。

そこで、最初に決めたコンセプトが会社全体に共有されているかが重要になってきます。コンセプトを共有しておくことで、細かい調整をしなくても、メッセージに一貫性が出てきます。

 

ー面接後に事業部側とどのようなコミュニケーションを取ればいいですか?

 

山田さん:面接が終わったときに、「あの人どうでしたか?」とフィードバックをもらうことです。

マーケティングでも、獲得したリードを営業に渡した後、リードに対してフィードバックをもらい、リードの質を改善します。

採用でも同様に、事業部側から求職者に関してフィードバックをもらうことで、よりターゲットに近い人物を採用できるように施策を改善していきます。

企業も求職者も幸せにしたい

ーWantedlyやリクルートメント・マーケティングを活用して、ウォンテッドリーが実現したい世界観を教えて下さい。

 

山田さん:企業と求職者でそれぞれあります。

企業側で実現したいことは、自分たちが提供している仕事のおもしろさによって、人が採用できる企業を増やしたいです。

その企業や仕事の魅力を伝える場として、Wantedlyがあって、より自分の会社をおもしろいと思ってもらえるようにリクルートメント・マーケティングという概念があります。

「有名な企業ではないけど、Wantedlyのコンテンツを見て、おもしろそうだと思ったから」という理由で人が集まるみたいな状況をつくっていきたいです。

求職者側で実現したいことは、自分が本当に楽しく働けそうな会社で働ける状況を見つけられる環境をつくりたいです。

Wantedlyって他社の採用媒体と違って、「今日こういうお昼食べました」っていうことも書けます。

その積み重ねで、この会社はどういう人が働いているということを知り、本当に楽しく働けそうな会社を見つけてほしいですね。

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