「形骸化する社内制度」はもう止めにしよう|社内制度を浸透させるためのポイントとは? | 人事部から企業成長を応援するメディアHR NOTE

「形骸化する社内制度」はもう止めにしよう|社内制度を浸透させるためのポイントとは? | 人事部から企業成長を応援するメディアHR NOTE

「形骸化する社内制度」はもう止めにしよう|社内制度を浸透させるためのポイントとは?

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※本記事は、インタビューを実施したうえで記事化しております。

上司部下の関係改善のための“1on1”やコミュニケーション活性化のための“シャッフルランチ”など、エンゲージメント向上のための手段として様々な社内制度や施策を運営している会社が増えてきています。

しかし、新しい取組みを成功に導くのは簡単ではありません。入念に準備してスタートした制度が、知らぬ間に「誰も使っていない」形骸化した制度になってしまうことも。

では、なぜ社内制度が続かないのか、今回は「エンゲージメント経営専門」コンサルティングサービスを提供している、株式会社スタメンのコンサルタント山田亮二さんに、「社内制度を浸透させるノウハウ」について伺いました。

山田 亮二 | 株式会社スタメン コンサルティンググループ コンサルタント

2012年に会員制リゾートホテルへ新卒入社し、会員権販売と会員へのアフターフォロー業務に携わる。2016年よりマネージャー職となり、担当チームのマネジメントに従事。2018年3月に株式会社スタメンへジョインし、新規顧客開拓と導入企業へのコンサルティング業務を担当している。

社内制度をスタートする時が、「ピーク」になってしまっている

スタート後の分析や改善プラン、そもそもの目的があいまいだと続かない

-最近、1on1やシャッフルランチなど、さまざまな取り組みを導入する企業が増えていますが、「長く続かない」「あまり活用されない」という実態を耳にします。それはなぜなのでしょうか?


山田さん
社内制度は、事前に色々と想定されて始めるケースが多いのですが、全社にアナウンスするタイミングだったり、社内広報するタイミングがピークになってしまっていることが多いのかな、と感じます。

特に目標管理制度などの人事評価制度に比べて、コミュニケーション活性化や従業員をサポートするような制度はそうなりがちですね。

その理由として多いのは「目的」や「運用プラン」があいまいであることです。シャッフルランチであれば、目的は例えば「他部署とのコミュニケーション不足に課題があるため、機会を設けることで業務に活かすことであること」などではないかと思いますが、では、“その目的がどうしたら達成されるのか”についてはどうでしょうか。

「シャッフルランチをやりました」というだけでは、他部署とのコミュニケーションにおける課題が解決されるのかはわからないですよね。

その機会の後、業務につながるような学びや気づきがあったか、次に仕事で働く時に話しやすくなったか、などのリアクションを拾っていくことも重要です。「ランチ楽しかったね」で終わってしまってはもったいないですね。

1on1も同じで、実施するマネージャー層がどういう目的でやるのかをちゃんと把握していないと意味がありません。トップダウンで社内制度を進める場合、一番重要な目的やゴールが伝わらず実施されてしまうことがあります。

1on1を実施する目的は「部下の成長や育成」ですので、導入する背景や、実施する上での心構えなどを事前に設計し、マネージャー層へ浸透させることが、効果を最大化させる秘訣です。

何の課題解決のために、何をどうやってやるのかを明確に

うまくいかなければ、目的に立ち返って改善していく

-「何のためにやるのか」という点をはっきりさせないといけないということですね。


山田さん
そうですね、TUNAGで社内制度を設計してご提案するときは、「エンゲージメント診断」という独自調査アンケートを全社員で実施してもらいます。

会社に対する愛着や仕事への情熱、やりがいなど把握し、部署や組織の状態を可視化していきます。そこで浮かび上がった組織課題を基に、上司部下の関係改善から着手すべきなのか、会社から従業員へ経営理念を浸透させることからなのか、そのあたりを経営層の方やご担当の方とお話しながらすすめています。

社内で何か仕組みを入れたり制度を始めたりする時は、解決したい“課題”があるはずです。それを明確にすることが大前提ですね。

「課題(WHY)」を明確にして、そのために「何を(WHAT)」、「どうやって(HOW)」やるべきか、そういったステップで社内制度を設計することがポイントです。

社内制度はスタートしたら様子を見て終わり、ではなく、PDCAが重要ですとお伝えしています。

社内制度の運用の打ち手を講じるには、データが重要

まずは現状の把握、課題の特定から

-社内制度のPDCAが重要だということですが、何から始めればよいのでしょうか。


山田さん
先程も申し上げたように、まずは現状の把握、課題の特定が重要です。

お客様とお話する時によく例えるのが「ダイエット」のお話です。ダイエットって、目的なく色々取り入れても、成功しませんよね。最初に体重やサイズを把握し、「この服を着るためにはあと何キロ痩せればいいか」などと、目標を決めて始めるものです。


-確かにそうですね。今何キロなのか、今の生活のどこに問題があるのかわからないのに安易に断食とかしてもいけないですよね……。


山田さん
そうなんです、ダイエットにも、悩みによって人それぞれゴールが違います。

筋肉量を上げたい方、サイズダウンしたい方、人によって目的が異なります。目的が違うのに、同じダイエット法を提案しても、効果は得られません。

定量的なデータで把握することが重要

山田さんダイエットの目的が決まったら、何をするかを考えますよね。食生活の改善だったり、運動量の見直しだったり、人によって異なりますが、大事なのはそれをデータで記録し、把握していくことです。

今何キロで、目標まで5キロ落としたいから、毎日野菜中心の生活と、週に2回は運動をする。そのようなプランを決めていかないと、進捗管理ができません。

社内制度も全く同じなんです。たとえば1on1の場合でしたら、上司と部下が会話する機会すら無い状態という会社でしたら、「上司部下の関係改善のために、まずは週に1度30分時間を設けることを上司の義務として3ヶ月徹底して実施してもらいましょう。」というようなことから始めたりします。

上司部下の関係改善が進んでいるかどうかは、アンケートや診断のスコアから判断すると良いでしょう。また、1on1がちゃんと実施されているのか、実施データもTUNAGで把握していきます。

ダイエットですと、定期的な体重の確認をしたり、毎日の食事の内容を確認するようなものです。ここであまり結果が出ていないようでしたら、1on1の運用ルールや内容を変えてみることをご提案しています。


-山田さんは、ダイエットを成功させるトレーナーのような役割なんですね。


山田さん
ダイエットは長期的な視点をもって継続することが重要です。一人ではなかなか続かないですよね。

同じように、社内制度のPDCAも長期的な取り組みが必要で、しんどく、根気がいることです。私はそういった社内制度のPDCAを支援するパートナーのような形で一緒に支援していますね。

社内制度の活用データの可視化が自走の近道

データを可視化することで、波及効果も生まれ、会社全体に浸透する

山田さんさらにいうと、社内制度の活用状況や、その内容は、オープンな情報としてみなさんが見ることができるようにするのが良いですね。「ダイエット始めました」と友人に宣言するようなものです(笑)

よく伺うのが、休暇制度や会社からの補助が出るような制度は、「自分が使っていいのだろうか」と従業員が不安に思っていることが多いということです。

社内制度は活用されて始めて分析や効果測定ができるものです。利用することのハードルはできるだけ下げなければなりません。

そのためには、利用状況がオープンになっていることが重要です。例えば、自己研鑽のための書籍購入補助制度がある場合、その利用状況がオープンになっていると、「同期のAさんがたくさん本を買って勉強しているんだ!」と刺激を受ける効果も期待できます。

1on1でしたら、「隣の部署の部長は1on1をしっかりおこなっているな、今度どうやっているのか聞いてみよう」など、管理職同士のマネジメント力を上げるきっかけになることもありますね。

ちなみに、TUNAGにはタイムライン機能を使ってそのような波及効果が生まれる仕組みがありますので、担当の方がわざわざ告知したりする必要はありません。

社内施策のPDCAの先に、エンゲージメント向上がある

山田さん弊社では、エンゲージメントが高い状態の定義を、“会社と従業員、従業員同士の信頼関係がある状態”としています。

「会社と自分の方向性が合っていると感じること」や、「貢献していると感じられる環境があること」、「周りから認められて必要とされていると感じること」……

これらすべては、信頼関係がベースにあることで成り立つことだと考えています。

人と人との信頼関係を築くためには時間がかかるのと同じように、エンゲージメント向上に“すぐに効く”施策はありません。PDCAをまわしながら長期的に取り組むことが必要です。

TUNAGではエンゲージメント診断で課題を把握し、それに合う社内施策や取り組みを一緒に設計し、運用の支援もおこなっています。社内施策のPDCAを支援する形を通して、企業のエンゲージメント向上に貢献していきたいと考えています。

 

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