こんにちは!HRNOTE編集部の高木です!
先日、リファラル採用ツールMyRefer(マイリファー)を提供する株式会社MyReferが主催の「リファラル採用人事カンファレンス」を、HRNOTE編集部が取材させていただきました。
イベントでは、「日米の転職市場の比較」からはじまり、リファラル採用のトレンドやメソッドの説明や、実際にリファラル採用を導入されている、モスバーガーを運営する株式会社モスストアカンパニー、インターネット広告代理店の株式会社オプトの2社が登壇し、事例の共有をされていました。
今後リファラル採用の導入を検討されている方は、ぜひ参考にしてみてください。
【イベント主催者】鈴木 貴史 | 株式会社MyRefer CEO/Founder
株式会社インテリジェンス(現パーソルキャリア株式会社)に入社し、DODAのリクルーティングコンサルタントとして300社以上の企業様の中途採用を支援。新人賞、MVPなどを網羅下の後、最年少でゼネラルマネジャーに。2014年に社内ファンド制度『0to1』を通過。2015年、社内から1億円の資金調達をして社内ベンチャー『MyRefer』を創業し、歴代最年少で社内ベンチャーの事業責任者を務める。また2018年8月1日に法人化し『株式会社MyRefer』の代表取締役に就任する。
目次
1. 本イベントのおける2つの大きな目的とは
今回のイベントには目的が大きく2つあります。1点目は人事同士の「リアルな情報交換」、2点目は「リファラル採用の戦略的人事ユーザーの輩出」です。
1点目に関しては、今回のイベントにMyReferを活用した、リファラル採用を導入している企業が参加しており、人事担当者同士がリファラル採用に関する情報交換をおこない、自社の採用に役立てることが目的です。
一方で2点目に関しては、リファラル採用市場はまだまだ未成熟なマーケットだということです。
今回のイベントを通じて、イベントの参加者から他社が真似をしたくなるような事例を輩出できるような「スターユーザー」をつくっていきたいという開催者側の思いもあり開催されました。
2 リファラル採用のトレンド|日米間の転職市場の違い
鈴木氏:リファラル採用の本格的な話に移る前に、日米の転職市場について説明します。日米間で生涯平均転職回数と勤続年数を比較すると、生涯平均転職回数が、アメリカは11.7回であるのに対し、日本は1.2回と、日米間の転職市場は大きく異なります。(上図参照)
また平均勤続年数は、アメリカが4.6年に対して、日本は11.9年と日本では極端に転職のトランザクションが少ないマーケットになっています。
日本のHRTechトレンドはアメリカの5年も遅れている?
鈴木氏:HRTechのトレンドが米国と比べて、約5年も遅れているといわれています。
米国のJobviteというHRサービスに関する調査によると、「現在、投資拡大を検討しているチャネルは何ですか」という質問に対し、米国の人事1,600名以上が回答し、「ソーシャルリクルーティング」「リファラル採用」「社内移動」という順に回答が多いという結果でした。
米国では、求人広告やエージェントといった「待ち採用」から、ダイレクトソーシングやLinkedinのような「攻め採用」、そしてリファラル採用などの「戦略的採用」という流れを経てきました。
最近になってようやく、日本にも徐々に戦略的採用であるリファラル採用が導入され始めました。
数字で見ると、リファラル採用を検討している・実施している日本企業は2014年~2017年の3年間で53%増と、戦略的採用の波が到来しています。
以下では、リファラル採用を導入する際に、重要となるポイントを大きく3つにまとめました。
2. リファラル採用 メソッド
鈴木氏:リファラル採用の導入に成功している企業は、「認知」「動機付け」「行動」の3ステップを着実に踏んでいる傾向があります。
いかにしてリファラル採用の制度を「認知」させ、「動機付け」「行動」という順番に落とし込めているかといったところが重要になります。
認知
鈴木氏:まずは1つ目の「認知」について見ていきましょう。よくあるのは、認知よりも先に「インセンティブの金額をいくらに設計すればいいのか」と動機付けを考えてしまう例です。
動機付けを考えることも重要ですが、リファラル採用を導入する際には、「制度をしっかりと認知できているか」という点が第一に重要になります。
また、この「認知」というフェーズは「インセンティブの獲得基準」「紹介手続き」「求める人物像」などがしっかり社内に浸透している状態をつくるところから始まります。
人は1週間後に77%の物事を忘却する
鈴木氏:「エビングハウスの忘却曲線」をご存知でしょうか。人は学習した7日後には77%の学習内容を忘れてしまうといわれています。
よってリファラル採用を社内の方々に認知してもらうためには、定期的な情報提供を継続する必要があります。
リテンションをし続けることが重要
鈴木氏:社内に配信する情報の角度を変えて、リテンションを継続することも重要となります。
例えば、
②ニュースレターの配信
③気軽なパーティー・イベント情報の配信
④入社事例の共有
といった情報の角度を変えることで、同じ情報を何度も配信するよりも、社内の方々に情報を受け入れられやすくなるといったメリットがあります。
動機付け
鈴木氏:2点目の動機付けについては、インセンティブや、ロイヤリティ、ミッションをいかに社員に浸透させ、社員が自発的にリファラル採用に取り組むことができる仕組みづくりが重要となります。
自発的に取り組む仕組みとは
鈴木氏:自発的に取り組む仕組みづくりのポイントは大きく5つあります。
- ミッション:研修の一環としてリファラル・アルムナイ採用を実施させる
- インセンティブ:紹介を決定した場合、会食費やインセンティブを贈呈
- 承認欲求:声掛けリクルーターを会社選任の特別エバンションリスト制にする
- ロイヤリティ:会社のビジョンから落とし、全社採用をやる意義を説く
- 面白さ・ゲーム性:ゲーミフィケーションの要素を取り入れる
▶単純な業務として社員に採用の手伝いをさせるのではなく、社員が自発的に動きたくなるような仕組みづくりが必要
行動
鈴木氏:リファラル採用を社員に取り組んでもらう際には「社員に負荷がかからない仕組みをいかに整備できているか」といった点を意識することが重要になります。
行動障壁を下げる事例
- 面談確約にする
- イベントを開催し、『応募』型ではなく『参加』型にする
- 転職を検討していない知人まで広く声をかけてもらう
▶リファラル採用に取り組む社員に責任・負荷がかからず、気軽に取り組める設計が重要になります。
3. 各企業の取り組み事例【モスストア×オプト】
次は、リファラル採用を導入している2社の事例を共有。リファラル採用を導入した背景や、リファラル採用を導入する際に工夫した点、またどのような結果があったのかというお話をしていただきました。
以下では、それぞれの企業の取り組みを「認知」「動機付け」「行動」の3つにわけてまとめてみました。
10ヶ月で180名のアルバイト採用に成功【モスストアカンパニー】
田口 学俊| 株式会社モスストアカンパニー 取締役 総合サポート部 部長
総合IT企業でのシステムエンジニア職を経て株式会社モスフードサービスに1998年中途入社。店舗直営部、人事部、商品開発部、経営企画、社長室、海外事業部に従事したのち、2013年に営業子会社3社を経営統合し設立した株式会社モスストアカンパニーに出向、2015年から現職。
モスストアカンパニーが抱える採用課題
田口氏:皆さま、よろしくお願い致します。株式会社モスストアカンパニーの総合サポート部というところを担当しております田口といいます。弊社は「未経験者採用ゼロ時代への対策」と「優秀なアルバイトの発見と迅速な社員登用」といった採用課題を抱えていました。
2年前の新卒採用は全員アルバイト経験者のみになっており、中途採用でも例年8割ほどがアルバイト経験者という現状でした。
大手の求人広告を活用するものの効果がなく、リファラル採用を導入しました。
現在、社員採用はMyReferを使ったリファラル採用とハローワークへの求人のみで、アルバイト採用は、店舗での裁量による求人広告とMyReferによる紹介活動を行なっています。
認知|「リファモス」というネーミングをつけて実施
モスストアカンパニーが認知の段階で取り組んだ内容は、以下の通りです。
- 全社会議で店長以上に説明
- 店長研修で登録促進
- 紹介制度を『リファモス』と命名
- 中途社員紹介、アルバイト紹介、新卒紹介の順に展開し全領域で活用
田口氏:「現場にいる皆さんの人脈と信頼関係、それにモスバーガーのブランド力を活かして、皆さんの力を貸して欲しい」と店長以上が集まる全社会議で協力を依頼しました。
その後は、リファラル採用の目的を説明したり、アプリの登録依頼を実施したりといったところから制度の認知を開始しました。
定期的な情報発信をおこなうため、紹介制度に『リファモス』という親しみやすい名前をつけ、店長研修や研修後の懇親会でしつこく何度もリファモスの説明をおこない、その場で登録してもらうといった取り組みを継続して実施してきました。
動機付け|「何のためにやるのか」を粘り強く説明する
次に、モスストアカンパニーが動機付けのために実施した取り組みは以下の4つです。
- 「何のためにやるのか」の目的の共有
- 紹介元の方、採用された方のそれぞれに感謝金を設定
- アルバイト紹介のプレゼントキャンペーン実施
- 多角的な側面から情報共有
田口氏:「動機付け」の段階では「何のためにやるのか」を常に社員に対して繰り返し説明しました。
店長研修やアルバイト研修でも「営業現場のどこに優秀なアルバイトさんがいるか、将来の社員候補かいるか我われはほとんど分からないので、皆さんの力を貸して欲しい」と協力をよびかけ、店長をはじめ、アルバイトにもリファラル採用の説明や目的を浸透させる取り組みをしていました。
インセンティブ目的で取り組む社員がいない
田口氏:インセンティブに関しては「報酬を前提にした話ではない」ということで、最初の全店店長会では、インセンティブの話をしていません。
また私だけでなく、リファモスを利用する社員やアルバイトの考えも同様で、インセンティブを目的にリファラル採用に取り組む方はいませんでした。それは紹介者からの紹介コメントを丁寧に読んでいて気が付いたことです。
また、アルバイトのリクルーター登録、友人他への紹介を促進させるために、期間限定のキャンペーンを実施し、求人情報のみならず、活動状況、採用決定情報に関するお知らせなど、多角的な側面からリファラル採用を促進する情報を社内に配信し、動機付けを徹底しました。
行動|わかりやすい手引書作成が効果的だった
田口氏:具体的な行動としては、店長に登録促進をおこない導入背景と目的を理解してもらった上で、アルバイトに展開するという流れで取り組みました。
また店舗事務所にチラシの配布やポスター掲載を実施しました。ただチラシやポスターに掲載するのではなく、アルバイトの方が直感的にリファモスアプリの登録方法がわかるような手引書を作成したことが、10代20代の若い世代のアルバイトにとっては非常に効果的でした。
リファラル採用を導入した結果
利用期間:1年2ヶ月
中途:8名(決定率:90%)
新卒:3名(決定率:100%)
アルバイト:約180名(決定率:約80%)
▶離職したアルバイトはわずかに6名
田口氏:モスストアカンパニーはリファラル採用導入開始から、アルバイトは180名を超える採用に成功しました。
アナログでは難しい、店長や現場社員、キャストさんの手間にならない形でのリファラル採用に取り組むことが出来た結果でした。
そして、アルバイト全体の4000名のうち、10%にあたる400名の方がMyReferアプリをダウンロードし、リクルーターになっているといった結果になっています。
たった10ヶ月の間にアルバイトが180名も入社したことから、外部からの取材依頼が多くなり、大手企業の人事担当者など各方面から注目され始めました。
またリファラル採用経由で入社したアルバイトや社員が、ほとんど辞めないといったとても喜ばしい結果も出ていて、店長達の制度に対する一番の信頼感を作っていると認識しています。
通常応募の2倍以上。心理的ハードルを意識した施策【オプト】
髙部 賢一 | 株式会社オプト 人事戦略部 部長
株式会社オプトホールディング 兼 株式会社オプト 人事戦略部 部長。外資系ソリューションプロバイダーを経て2005年オプトへ入社。SEM運用部門のコンサルタント、メディア部門長を経て、新規事業である官民連携プロジェクトマネージャーとして従事。その後、2014年より国内外のオペレーションセクションの責任者を経て、2016年8月より現職。
オプトが抱える採用課題
髙部氏:皆さんこんにちは。株式会社オプトの人事をしております髙部と申します。私たちオプトは、これまでも社員紹介での採用は制度自体はあったものの、積極的に仕組化して運営できていないという実態でした。促進のための周知は年1、2回全社会議でおこなうのみで、今どういう求人を募集しているのかについても社員に共有できていない状況でした。
売り手市場ということもあり、採用コストが右肩上がりに上昇。また採用予定人数を増加させる必要があったものの、既存の採用手法に限界を感じていたというのが現状でした。
認知|「戦略的な情報発信」を継続的に実施する
オプトがリファラル採用に取り組む際に、認知の段階で実施した取り組みは以下の通りです
- 部門ごとの会議で徹底説明
- 開始当初は週1で周知のメールを配信
- 中途入社時の研修で登録促進
髙部氏:リファラル採用が浸透するまで「本当に地道な活動」でした。
オプトには50ほどの部門があり、週に1回ペースで部門ごとに会議をおこなっています。
部門会議に参加し、10分ほど時間をもらってMyReferの登録の仕方を説明、その場でアプリのダウンロードと登録をしてもらい、やり方を教えるといった流れを繰り返し実施しました。
このような取り組みを通じて「リファラル採用やっています」といった内容を繰り返し発信していましたが、オプトではとくに、全社向けのメールの配信の内容にこだわっていました。メールは週に一度ぐらいのペースで配信しており、配信する時間帯を工夫しました。
土日や祝日の前日など、転職される可能性がある方々と自社の社員が出会う可能性の高いタイミングを狙って、メールの配信をおこなうなど継続的な情報発信を意識しています。
その他にも、認知の段階で取り組んだ施策として、中途入社の研修の場で、MyReferを登録してもらう取り組みを実施しました。
MyReferを活用することで、各部門の活動状況までわかるので、部門や入社歴ごとにおこなった施策の効果測定が効率的におこなえており、促進活動がおこなえています。
動機付け|心理的ハードルを下げる「カジュアル面談」
- 転職潜在層へアプローチ依頼
- インセンティブ制度の設計
- 紹介促進キャンペーンを実施
髙部氏:社員が友人紹介をする時、「友達を紹介して落ちてしまったらどうしよう」と考える方も少なくありません。オプトはここの紹介する際に発生する「心理的ハードル」を下げるアプローチを繰り返し実施しました。
例えば、会社のビジョンや雰囲気、歴史などをメインに説明する『カジュアル面談』の中では、会社のことだけでなく私個人のことも知っていただき関係性を作っていきます。
紹介された方と私の「二人の関係」にすることで、仮に紹介者が落ちたとしても、紹介した人の責任ではない状況を作り出します。
カジュアル面談ではそういった状況を作り出すことで、関係値を変えていく施策を打ち出しました。
また社員へは、MyReferを通じカジュアル面談は「すぐ選考に進む意思がない人」や「友人でなくちょっとした知人」でも「自分が一緒に働きたい!」と思った方には声をかけてほしいというメッセージを伝え、紹介のハードルを下げることで今転職を検討していない潜在層にもアプローチすることができ、応募者数を格段に増やすこととデータのタレントプールに成功しました。
行動|「気軽に取り組める」を重視した仕組みづくり
- カジュアル面談を設置
- 社員向け説明資料を展開
髙部氏:先述したように紹介する側と応募者側のハードルを下げるために、0.5次選考会のような雰囲気でカジュアル面談を実施しました。
また社員に向けてリファラル採用全体の流れとMyReferの利用方法をまとめた資料を展開し、社員がより取り組みやすい仕組みづくりをおこないました。
リファラル採用を導入した結果
利用期間:1年3ヶ月
決定率:27%
▶通常応募の2倍以上
髙部氏:さきほどモスさんもおっしゃっていましたが、僕らも同様に、リファラル採用を通して採用した社員の親和性が高く、定着率にも寄与しています。
また決定率が通常よりも高いといった結果も出ています。面談のハードルを下げたことにより、通常書類で落ちる可能性が高かった人材が、面談を通して合格するなど、新たな気づきもありました。
社内の様々な場で繰り返し社員紹介や、リファラル採用の進捗の話について何度も説明した結果、少しずつではあるものの、社員紹介ではなく、リファラルといったワードが徐々に社内に広まっています。
私たちにはまだ課題が山積していますが、MyReferを通じリファラル採用の浸透が進んでいると思います。
リファラル採用は「コツコツと着実にやる」がコツ
いかがでしたでしょうか。リファラル採用は今後非常に効果的な採用方法になると考えられます。その過程には2社の企業事例の紹介にもあったように社員へ制度を認知し、紹介・応募へのハードルをさげるなどの施策の積み重ねがありました。
「認知」「動機付け」「行動」に関する施策を着実に一つずつおこなっていくことで、採用に繋がり、親和性の高い人材が採用後も定着して力を発揮してくれるのではないでしょうか。
「リファラル採用をゼロから仕組み化して促進したい!」
「同業界の他社人事とリファラル採用の情報交換をしたい!」
という人事担当者様はMyReferにお問い合わせください!