現場からの最新速報!見えてきた2026年の新入社員研修の傾向と今後の対策|ジェイソン・ダーキー |HR NOTE

現場からの最新速報!見えてきた2026年の新入社員研修の傾向と今後の対策|ジェイソン・ダーキー |HR NOTE

現場からの最新速報!見えてきた2026年の新入社員研修の傾向と今後の対策|ジェイソン・ダーキー

  • 組織
  • 人材育成・研修

※本記事は、アイディア社のJASON DURKEE(ジェイソン・ダーキー)氏より寄稿いただいたものになります。

こんにちは。ジェイソン・ダーキーです。

執筆者JASON DURKEE(ジェイソン・ダーキー)IDEA DEVELOPMENT株式会社(アイディア社) 代表取締役

米国シアトル生まれ。1992年に来日し上智大学に入学。卒業後,研修企画会社に就職し10年間勤務。2003年に独立起業。日本を代表する大手企業から外資系企業まで幅広い業種のクライアントに対して,研修プログラムの企画および講師として,5万人以上の能力アップとビジネス成果の向上に貢献した実績を持つ。著作に『ビジネス英語の技術』『ガツンと言える英会話』(Japan Times)ほか。

4月の新入社員研修は、人材育成関係者にとって毎年の大イベントの一つです。今年、私は4月7日〜23日の間に、講師として約1,700名の新入社員研修を担当しました。その経験を踏まえ、今年の新入社員の傾向と今後のアドバイスについてお伝えします。

結論
昨年とそれほど変わらない傾向です。
ハイライトとしては、
  • 態度:集中力が高く、研修に対してとても前向きで積極的
  • 習得度:普通
  • マインド:リスクを恐れず主体性を発揮することの重要性に納得しており、研修中に垣間見られた受講者も一部いた
  • コミュニケーション:抵抗がなく明るくて前向きだが、ロジカルに伝えることは得意ではない人が多い
  • その他:生成AIに頼っている傾向が目立った、これは今年初めて見られた現象

2026年の新入社員研修の概要

今年は41名から255名規模の研修を担当してきました。グラフのように100名未満と200名以上の割合が多かったです。

新入社員研修で大切なポイントの一つは、サブ講師です。演習がとても多く、受講者数に応じた講師のフォローが必要になるため、受講者30名に対して講師1名を入れています。

数百名規模の研修の場合は全体の解説をするリード講師と、演習をフォローする複数名のサブ講師のチームで行います。これにより、多くの新入社員のアウトプットを見ることができ、短時間で新入社員の傾向をつかむことができます。

新入社員研修の実施形態

研修の実施形態は、コロナ前と同じように対面研修が中心です(表1)。

実施回数を見ると7割は対面で、私以外の講師の場合はほぼ100%が対面実施でした。ただし、数百人以上の新入社員がいる企業では、現在でもリモート研修やハイブリッド研修を実施しているケースもあります。

代表的なハイブリッド研修は、数十名のクラスごとに部屋分けして講師の解説を配信し、各部屋では受講者は演習を対面で行ってサブ講師がサポートするスタイルです(表2)。

このようなセッティングは若干複雑ですが、大人数に対して安定した高い質の研修を提供するのに効果的です。

例えば、今年実施したハイブリッド研修の各クラスの受講者の修了アンケート結果を見ると総合評価は高く、クラスごとのばらつきはほとんど見られません(表3、縦の研修に対する総合評価は5点満点)。

新入社員研修の実施内容

今年担当した研修内容は、大きくこの4つでした。

  1. コミュニケーション:ロジカルコミュニケーション、報告、相談、傾聴、プレゼンテーション
  2. プロフェッショナルマインド:主体性向上、学生から社会人の切り替え、配属後の対策
  3. ロジカルシンキング:論理思考の基本(ピラミッド構造、ロジックツリー、MECEなど)
  4. グローバル:異文化、ビジネス英語、英語ライティング、ミーティング、プレゼンテーション

テーマ別の実施回数と受講者数は下の表とグラフのとおりです。

【テーマ別の実施回数と受講者数】
テーマ 実施回数 受講者数
コミュニケーション 7 1,135
マインド 5 409
シンキング 1 72
グローバル 1 121

新入社員の受講態度

実際に接した新入社員全体に対して言えることは、集中力が高くとても前向きでした。1,700名のうち、研修中に眠った受講者は一人もいませんでした。

コミュニケーションに対しては抵抗も遠慮もなく、非常に積極的でした。

特に印象的だった傾向は、ちょっと変わった演習(例:走り回ってペアで発表し合う、職場での上司とのやりとりの実演など)でも恥ずかしがらずに素直に一生懸命取り組んでいたことです(余談ですが、例年以上に上司役の演技が大袈裟で、数十年前のような昭和タイプを演じていたのが面白かったです)。

新入社員の習得度

きわめて前向きな姿勢が特徴的だったのに比べると、研修内容の習得度は普通でした。

【研修内容の習熟度】
強化ポイント 印象 コメント
主体性向上 良い 主体性の大切さについては素直に理解しており、研修中に意識しようとしているが、人によって出来が異なる。ただ、本当にリスクを恐れずに主体性を発揮できるかどうかは、職場での行動を見てみないことには分からない
論理思考力 普通 人によってばらつきが激しい。傾向としては、積極的なコミュニケーションやアウトプット力の高さに比べると低め
伝達力 普通 対面のコミュニケーションに対してまったく抵抗がない。リモートにはそれほど慣れていないため、対面より少し受け身になる人が多い。ビジネスの観点で見ると敬語、ロジカルな説明、簡潔明瞭にまとめるスキルは普通か少し弱い
柔軟な対応力 良い 研修中のケース分析、課題解決のアイディア出しなどでストレスを感じずに、柔軟に対応策を考えるのが得意な人が多い。ただ、職場で実際に問題に直面した際にどこまでスムーズに解決できるかは、今後見ていく必要がある

生成AIとデバイスの依存度

今年初めて感じたのは、デバイスと生成AIへの依存度の高さでした。

例えば、正確性が求められるロジカルシンキングやビジネスライティングの演習の際に、意識的または無意識的にデバイスを探そうとする、生成AIを使わないと進めないなど、明らかに不安を感じている新入社員が多く見られました。

特に印象に残ったのは、思考プロセスです。従来のように一人で考えてネットなどで調べて確認してパソコンで仕上げるという流れと異なり、多くの新入社員は最初の考えるステージからすでにインターネットと生成AIを使わないと不安で進められない様子でした。

自分で考える前からまずAIに聞いて、AIから得られた情報を見て、それに対してまたプロンプトを出して…このような、AIと対話をしながら自分の考えを少しずつ固めていく思考プロセスがたいへん多く見られました。

現時点では、思考力の低下につながるというほどの問題ではないと思いますが、ツールに依存しており、ツールがないとストレスと不安を感じることは明白です。

言うまでもなく、思考力、AI依存度、AIの効果的な活用は、これからの重要な人材育成課題になるでしょう。

新入社員の今後のフォロー

導入研修期間中、新入社員はとても楽しそうでした。良い仲間もできて、厳しい研修より心理的な安全性のある研修が多く、けっこう快適そうにしていた印象があります。

それはとても良いことですが、配属された後にギャップを強く感じる新入社員も出そうだと思いました。そのフォローとして必要になるのは、職場の厳しさに対応できるように促し、かつ前向きな姿勢と高いモチベーションを維持させることです。

そのため、配属数カ月後のヒアリングと秋のフォロー研修が特に重要になってきます。

来年度の新入社員研修に向けてのアドバイス

昨年感じた、新入社員研修の内容を少々見直すべきだという機運を今年も感じました。

数年前によく言われていた「主体性がない」「正解をすぐ求める」「リスクを恐れる」という点は変化してきているようで、以前より前向きに取り組んでいるし、それほどリスクを恐れていない印象がありました。代わりに、論理思考力、ビジネスライティング力、ロジカルコミュニケーションの力が低下しているケースが多く見られました。
これも昨年同様ですが、従来の定番の新入社員研修とビジネスの現状が合っていないところが見受けられました。

例えば、「電話応対」というテーマはもちろん大切ですが、固定電話の出方と転送などが現在の業務にない場合は省略すべきです。逆に、過去になかった新しいニーズが出てきたので、今後はそれを反映することが何より重要となります。

例えば、

  • 電話でほとんど話さない新入社員向け、電話に出る重要性とふさわしい話し方
  • 議事録を作成する際に効果的なAIツールの活用方法
  • ハイブリッドワークでの、チームメンバーとの良いコミュニケーションのとり方
  • ハラスメントを恐れて遠慮する上司との人間関係構築

クロージング

新入社員研修おつかれさまです。

今年も講師として多くの新入社員と接することができましたが、感じたことを再度まとめると、

  • 態度は非常に良い
  • 能力と習得度は普通
  • 来年度からは長年やっていた新入社員研修に多少手を入れたほうが良い
  • 生成AIの影響が顕著、来年以降の大切なテーマになりそう

です。

人事業務に役立つ最新情報をお届け!メールマガジン登録(無料)

HR NOTEメールマガジンでは、人事/HRの担当者として知っておきたい各社の取組事例やリリース情報、最新Newsから今すぐ使える実践ノウハウまで毎日配信しています。

メルマガのイメージ

関連記事

ピルとオンライン診療が切り拓く未来の働き方― 「タイミングを選べる」という自由を―

ピルとオンライン診療が切り拓く未来の働き方― 「タイミングを選べる」という自由を―

「なんとなく体がだるい」「会議中に集中力が続かない」「理由は分からないけれど、毎月決まった時期につらくなる」 こうした不調は、多くの働く女性が日常的に感じている“見えない負担”です。 生理やホルモンバランスの変化による体 […]

  • 組織
  • ダイバーシティ&インクルージョン
2026.04.09
金井 一真
『人材育成恐怖物語』から学びましょう|ジェイソン・ダーキー

『人材育成恐怖物語』から学びましょう|ジェイソン・ダーキー

こんにちは。ジェイソン・ダーキーです。 執筆者JASON DURKEE(ジェイソン・ダーキー)氏IDEA DEVELOPMENT株式会社(アイディア社) 代表取締役 米国シアトル生まれ。1992年に来日し上智大学に入学。 […]

  • 組織
  • 人材育成・研修
2026.03.31
金井 一真
女性の健康経営に男性社員や年配層を巻き込むには?―共感とデータで職場に「理解文化」を育てる―

女性の健康経営に男性社員や年配層を巻き込むには?―共感とデータで職場に「理解文化」を育てる―

働く女性の約8割が、生理やPMS、更年期といったホルモン変動による不調を経験しています。これらの不調は、欠勤や早退、集中力の低下といった形で業務に影響を及ぼし、社会全体では年間約4,911億円の労働損失が生じていると推計 […]

  • 組織
  • ダイバーシティ&インクルージョン
2026.03.19
金井 一真
バックオフィス人材が、今すぐBPaaS業界に飛び込むべき4つの理由

バックオフィス人材が、今すぐBPaaS業界に飛び込むべき4つの理由

株式会社kubellパートナー 執行役員CAOの角田(@takeshisumida_)と申します。 執筆者角田 剛史氏株式会社kubellパートナー 執行役員CAO ソニー、DeNA、ベンチャー企業のコーポレート・経営企 […]

  • 組織
  • キャリア開発
2026.03.17
金井 一真
【”AI×組織変革”の最前線】マックス・プランク矢倉氏の「ヒューマン・デジタルツイン」構想とは

【”AI×組織変革”の最前線】マックス・プランク矢倉氏の「ヒューマン・デジタルツイン」構想とは

2025年12月8日(月)に株式会社MQue主催で開催された「Future HR × AI Roundtable~生成AI時代における人と組織の未来ビジョン創出会議~」を取材。 本イベントは、生成AIの進展により経営や人 […]

  • 組織
  • 組織・その他
2026.03.16
金井 一真

人事注目のタグ