CEOとCHROが組織文化変革の両輪を担うレゾナック。拠点訪問を重ねパーパス・バリューの浸透・実践へ【現場を変えるCQ白書 第6回】 |HR NOTE

CEOとCHROが組織文化変革の両輪を担うレゾナック。拠点訪問を重ねパーパス・バリューの浸透・実践へ【現場を変えるCQ白書 第6回】 |HR NOTE

CEOとCHROが組織文化変革の両輪を担うレゾナック。拠点訪問を重ねパーパス・バリューの浸透・実践へ【現場を変えるCQ白書 第6回】

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※本記事は、アイディール・リーダーズ株式会社の宮森千嘉子様より寄稿いただいたものになります。

企業価値の向上のために「戦略」と「個の力」、そして「組織文化」を掛け合わせることを重視する株式会社レゾナック。組織文化変革において同社が稀有な点は、CEOとCHROがその両輪を担い、2人での拠点訪問を繰り返していることからも垣間見えます。

その初年度である2022年には、国内外の拠点70カ所以上を訪問し、110回のラウンドテーブルを実施。2023年以降も同規模の拠点訪問を続け、パーパス・バリューの浸透・実践に努めてきました。

代表取締役社長 CEOの髙橋秀仁さんと、取締役 常務執行役員 最高人事責任者(CHRO)の今井のりさんの、強い動機と取り組みの姿勢には、まさにCQ(文化の知能指数)の高さが表れています。

次世代リーダーに欠かせないCQという力に関する本連載。今回は同社における組織文化変革を担うお2人に、その動機などを聞きました。

寄稿者宮森 千嘉子アイディール・リーダーズ株式会社 CCO(Chief Culture Officer)

「文化と組織とひと」に橋をかけるファシリテータ、リーダーシップ&チームコーチ。 サントリー広報 部勤務後、HP、GEの日本法人で社内外に対するコミュニケーションとパブリック・アフェアーズを統括し、 組織文化の持つビジネスへのインパクトを熟知する。 また50カ国を超える国籍のメンバーとプロジェクトを推進する中で、 多様性のあるチームの持つポテンシャルと難しさを痛感。 「違いに橋を架けパワーにする」を生涯のテーマとし、日本、欧州、米国、アジアで企業、地方自治体、プロフェッショナルの支援に取り組んでいる。英国、スペイン、米国を経て、現在は東京在住。ホフステードCWQマスター認定者、CQ Fellows、米国Cultural Intelligence Center認定CQ(Cultural Intelligence)及びUB(Unconscious Bias)ファシリテータ、 IDI(Intercultural Development Inventory) 認定クォリファイドアドミニストレーター、 CRR Global認定 関係性システムコーチ(Organization Practitioner, Gallup認定ストレングスコーチ。著作に「強い組織は違いを楽しむ CQが切り拓く組織文化」、共著に「経営戦略としての異文化適応力」(いずれも日本能率協会マネジメントセンター)がある。 一般社団法人CQラボ主宰。 

企業価値に“組織文化”を含める

私は、パーパス経営支援、リーダーシップ開発、組織文化の変革などへのソリューションを提供するアイディール・リーダーズ株式会社のCCO(Chief Culture Officer)として、国内外の企業などを支援してきました。

また、文化をリーダーシップのツールとして活用するために世界中から知見と経験を持ち寄るコミュニティCQ Fellowsの一員、ホフステード博士認定ファシリテータとして、「違いに橋を架けパワーにする」を生涯のテーマにしています。

これまで国内外の多くの方や企業をサポートしたり、見てきたりしました。その中でも、レゾナックは非常に珍しい企業です。

「企業価値=戦略×個の力×組織文化」と言い切り、しかもCEOとCHROとで組織文化変革に取り組んでいるからです。このようなお2人を、私は寡聞にして知りません。

お2人は「国内の製造業を代表する共創型人材創出企業」を目指し、JTC(Japanese Traditional Company:伝統的な日本企業)の組織文化を変える、その実例をレゾナックで示したいと明言しています。

“ガラガラポン”から組織文化変革に取り組む

レゾナックは2023年、昭和電工と日立化成の統合により生まれました。その1年前の22年に髙橋秀仁さんが2社のCEOに就き、実質的な統合を果たすと、早々にパーパス・バリューを制定しました。

髙橋さんは言います。

やる人・やること・やり方を変えないで、世の中は変わりません。昭和電工と日立化成が統合すれば、この3つ全てを変えられると思いました。いわゆる“ガラガラポン”ですね。

昭和電工側の統合のリーダーとなった髙橋さんは、日立化成側のリーダーとなった今井さんと対話を重ねます。そこで共有された基本方針が「完全に新しい会社をゼロから作る」ということでした。両社が自分本位になることなく、協業することを目指したのです。

パーパス・バリューの必要性

同社は、「個の力」という軸では自律してパーパス・バリューを体現する人材育成を進めながら、さらに自発的に動き出せる組織文化を醸成して、「共創型イノベーションの創出」を加速させています。

実質統合1年目の「タウンホールミーティング」「ラウンドテーブル」で、CEO・CHROが従業員1000人超と対話。

2年目の「モヤモヤ会議」では参加者のモヤモヤを話し合い、その場でCEO・CHROや拠点長が意思決定を行い、3年目の「パーパス探究カフェ」では従業員が自身のパーパスを自覚し深掘りする取り組みを実施。

さらに4年目となる25年の「現場de対話」(CEO・CHROと現場従業員との直接対話)など。同社の取り組みは多岐にわたります。

今井さんは話します。

実は今やっていることは、9年ほど前に社内に提案して誰からも共感を得られず実行できなかったことなんです。結局、生え抜きで“同じ釜の飯を食ってきた人たち”だけならパーパス・バリューの必要性を感じないんですね。多様性が生まれるから必要になる。

これに対し、髙橋さんも続けます。

パーパス・バリューを定める会社はいっぱいありますよね。と同時に制度も変えたり。でも、極論それはどうでもいい話なんですよ。そこから根性を入れて運用するかどうか。CEOの仕事は企業価値の最大化であり、そのための環境作り。だからこそ、覚悟と信念をもって組織文化の変革に取り組んでいます。

どんなに、個の力を育てても、その人たちがポテンシャルを解放できない組織文化なら意味がありません。その環境を作るのが、やはり経営者だという、強い想いが感じ取れます。

個人のパーパスと組織のパーパス

数々の取り組みから、一例としてパーパス探究カフェを挙げてみます。

この取り組みでは従業員に「過去を振り返り、現在を見つめ、将来どういう状態になっていたいか」を話してもらい、その上で自分自身のパーパスを考えてもらいます。

従業員個人のパーパスと、レゾナックという会社のパーパスの重なりについても考えてもらうことが、パーパス実現に向けた第一歩にもなります。

これを外部のコンサルタントがファシリテーションをするケースは多いでしょう。

しかし、同社では、CHROの今井さん自身がファシリテーションを行います。これについて今井さんは次のように話します。

単純に言ってしまうと、好きだからですよね。また私自身が、自分でやって体験しながら学ぶタイプだからだと思います。CHROの仕事は現場と経営をつなぐこと。現場感覚がないと、次の施策は考えられません。平均すると3日に1回の頻度で現場に行っていますね。

同社では毎年、従業員へのエンゲージメントサーベイを行い、パーパス・バリューの浸透・実践度とエンゲージメントスコアを測定しています。

同社によれば22年はパーパス・バリューの共感度59%、実践度34%だったものが、毎年向上。24年にはそれぞれ73%、60%となっています。髙橋さんはこれについて、次のように話します。

パーパス・バリューは口すっぱく言い続けてきました。「変わったな」と感じたのは、24年にある事業所でラウンドテーブルを行ったときのことです。課長クラスの従業員10人ほどと話して、エンゲージメントスコアについて聞いたのですね。「スコアはどうでしたか。下がっていれば、どんな課題があって、どんな手を打っていますか?」。すると「○点から○点になり、その背景は……」と完璧に答えてくれました。これには感動しました。

重なり合いの多様性

一方で同社は「自分のパーパスを実現するための乗り物がレゾナック」とも言っています。ときに「個人のパーパスと会社のパーパスは100%一致しなければならない」と思っている人もいますが、まず難しいでしょう。

下図のA・B・Cは個人を表し、このように重なり合う部分はそれぞれに異なります。このそれぞれに、多様性があり、違いを尊重して何かを生み出していくというポテンシャルがあります。

同社でも、あえて言えば抵抗感を持つ従業員がいないわけでもないそう。そのような従業員とも向き合っていると話す今井さん。

3割の方はすぐに浸透・実践につながります。6割は時間がかかりますが変わります。データも踏まえて話したり、ワークショップをすると、だんだんと分かってもらえるんです。ただ、残り1割はやはり最後まで抵抗します。その1割の方には「うちに合わないなら、外のほうがいいかもしれない」ということもしっかり話しています。

その人にとってベストな会社が、必ずしも今いるところだとは限りません。その人それぞれに幸せな選択肢はあるはずでしょう。

10年かかる道のりを

組織文化変革に向けて着実に歩みを進めるレゾナック。けれどもまだ道半ばにあります。髙橋さんは言います。

僕は社長に就いたときから、組織文化を変えるのには最低10年かかると言っています。以前では想像もつかなかったことが当たり前のことになることを、事前の非連続性と事後の常識性と呼びます。事前に非連続だった文化を、事後に常識にするというのは、少しずつしかできないんですよ。ですから10年かかって、ようやくそのときに「あぁ、文化が変わったな」と感じるのではないでしょうか。

専門家の視点から
レゾナックは組織文化変革にCEOとCHROがコミットして取り組んでいます。これは従業員にも、いい意味でのプレッシャーが働いていると想像できます。もちろん一方では、本連載の第3回でも採り上げた心理的安全性や知的誠実性も整えているからこそ、変革が進み、パーパス・バリューの浸透・実践が進んでいると考えられるでしょう。CEOとCHROが率先して動く点で稀有な例ではありながらも、今後はこの例が珍しくなくなるほどに、他社でも同様の動きが広がってもらいたいと思います。

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  • 組織に課題感がある人事担当者
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