新型コロナウイルス感染症の拡大をきっかけとして、テレワークの導入率は大きく上昇しました。 テレワーク導入は感染症予防や通勤時間の削減、生産性の向上が期待できるといったメリットもあるなか、出社が必要な業務への対応など、課題や問題点を抱えた企業もあります。 この記事では、テレワークの問題点やその解決方法について解説します。
目次
1.テレワークの問題点とは?企業が直面する2つの課題
パーソル総合研究所の「第六回・新型コロナウイルス対策によるテレワークへの影響に関する緊急調査」によると、社員のテレワーク継続意向は非常に高く、2022年2月の時点で80.2%の社員がテレワークの継続を望んでいます。(※2)
しかし、「出社が必要な業務にどうやって対応するか」「社内コミュニケーションをどのように確保するか」など、企業側はさまざまなテレワークの課題に直面しているのが現状です。
(※2)第六回・新型コロナウイルス対策によるテレワークへの影響に関する緊急調査|パーソル総合研究所 p4
1-1.出社が必要な業務にどうやって対応するか
テレワークの課題として挙げられるのが、「出社が必要な業務にどうやって対応するか」という点です。
総務省の「令和3年版情報通信白書」によると、テレワーク実施時の問題点や障壁として、22.8%の人が「会社に行かないと利用できない資料」、19.4%の人が「会社でしかできない手続き」を挙げています。(※3)
具体的には、取引先との紙の契約書や請求書のやりとりや、経費精算の際のやりとりなどは出社対応が必要な業務です。
(※3)令和3年版情報通信白書(2)個人向けアンケートで見るテレワークの実情|総務省
1-2.社内コミュニケーションをどのように確保するか
テレワークを導入すれば、対面でのコミュニケーション機会が減少します。そのため、「社内コミュニケーションをどのように確保するか」もテレワークの問題点の一つです。
総務省の「令和3年版情報通信白書」では、17.8%の人が「社員同士のコミュニケーション」、10.8%の人が「上司からの確認・指示を得にくい」をテレワークの問題点として挙げています。(※3)
2.テレワークの問題点を解決する2つの方法
テレワークの課題を解決するため、企業はどのような対策をとるべきでしょうか。
出社対応が必要な紙の契約書や請求書などは、ペーパーレス化を推進することでテレワーク環境でもやりとりできます。また、社内コミュニケーションの問題解決には、コミュニケーションツールの導入が効果的です。
業務全体のデジタルトランスフォーメーションも視野に入れて、ビジネスICTツールの導入を検討しましょう。
2-1.ペーパーレス化を推進する
出社対応が必要な業務の多くは、ペーパーレス化に取り組むことでテレワークに移行できます。ペーパーレス化が可能な書類として次のようなものが挙げられます。
- 契約書
- 請求書
- 社内文書
- レシートや領収書
- 税金関係の書類
- 社会保険や労働保険関係の書類
たとえば、電子契約システムを導入すれば、契約書や請求書に電子署名をおこない、オンラインでやりとりすることが可能です。ペーパーレス化を推進し、出社が必要な業務を在宅勤務やリモートワークでおこなえるようにしましょう。
2-2.コミュニケーションツールを導入する
在宅勤務やリモートワークでも円滑なコミュニケーションがとれるよう、オンラインで情報のやりとりが可能なコミュニケーションツールの導入を検討しましょう。たとえば、コミュニケーションツールとして次のようなものがあります。
コミュニケーションツール | 説明 |
Web会議システム | ・音声や映像を通じて、リアルタイムに通話できるツール ・グループ単位でのミーティングや、遠隔地の拠点を結ぶ会議も実現可能 |
ビジネスチャットツール | ・社員同士でテキストチャットでのコミュニケーションが可能なツール ・社内向けのSNSとして運用できるツールもある |
オンライン商談ツール | ・オンラインでの商談に特化し、顧客とスムーズにやりとりするための機能が備わったツール ・営業資料の共有や名刺の一元管理、商談内容の書き起こしなどの機能を利用可能 |
コミュニケーション不足によって業務に支障をきたしている場合は、こういったツールの導入を検討するとよいでしょう。
3.テレワークを導入する2つのメリット
企業がテレワークを導入するメリットは2つあります。テレワークを導入し、時間や場所にとらわれない働き方を実現することで、より多様な人材を獲得できます。
また、テレワーク実施者を対象とした調査により、多くの社員がテレワークを希望していることがわかっています。テレワーク制度を導入すれば、従業員満足度の向上も期待できます。
3-1.多様な人材を活用できる
在宅勤務やリモートワークの場合、オフィスへの通勤がないため、社員が時間や場所にとらわれず働くことができます。そのため、地方在住や海外在住の人材など、以前では雇入れが難しかった人材も獲得することが可能です。
また、テレワーク制度を導入すれば、社員が自分や家族のための時間を確保しながら働くことができます。これまで出産や育児、介護などをきっかけとして退職せざるを得なかった社員も、テレワークなら仕事との両立が可能です。
テレワークを導入すれば、多様な人材を活用できるだけでなく、社員の離職率低下にもつながります。
3-2.従業員満足度が向上する
テレワーク制度を導入すれば、労働環境を改善し、従業員満足度を向上させることができます。実際にテレワーク実施者の多くが「通勤時間がない」「好きな場所で仕事ができる」といった理由から、テレワーク制度の継続を望んでいます。
先述したパーソル総合研究所の「第六回・新型コロナウイルス対策によるテレワークへの影響に関する緊急調査」では、テレワーク実施者の80%以上が「今後も続けたい」と回答しており、多くの社員がテレワークの継続意向を持っていることがわかっています。
4.テレワークをスムーズに導入するための手順
テレワーク制度の導入にあたっては、テレワークの対象範囲を決めたり、運用ルールやセキュリティガイドラインを策定したりする必要があります。
オフィスワークからテレワークにスムーズに移行するには、あらかじめテレワークの導入ステップを確認しておくことが大切です。
- 現場の社員にヒアリングを実施し、テレワーク制度の基本方針を設計する
- テレワークに適した業務とそうでない業務を整理し、テレワーク制度の対象範囲を決める
- テレワークの運用ルールやセキュリティガイドラインを策定し、労働時間や給与、服務規律などに変更がある場合は就業規則を改正する
- テレワーク制度の運用に必要なビジネスICTツールを選定し、テレワーク環境を整備する
- 全社員を対象として、テレワーク導入に向けた事前研修や説明会を開催する
- テレワーク制度のトライアルを実施し、導入効果の評価と改善をおこなう
これからテレワークを導入する企業は、このようなフローにしたがって準備を進めましょう。
5.テレワークの問題点を把握してビジネスICTツールの導入を
テレワークには「出社対応が必要な業務が多い」「社内コミュニケーションが希薄化しやすい」といった課題があります。こうしたテレワークの問題点を解決するには、コミュニケーションツールをはじめとしたビジネスICTツールの導入が効果的です。
テレワーク制度の導入には、運用ルールやセキュリティガイドラインの策定、就業規則の改正など、さまざまな準備が必要です。
これからテレワークへ移行する企業は、あらかじめテレワークの導入ステップを確認しておきましょう。