テレワークで残業は増える?残業の管理や削減のコツも解説 |HR NOTE

テレワークで残業は増える?残業の管理や削減のコツも解説 |HR NOTE

テレワークで残業は増える?残業の管理や削減のコツも解説

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近年では、働き方改革や人材の確保、ワークライフバランスの実現、BCP対策などを目的に、テレワークを導入する企業は増加しています。しかし、勤怠管理方法や残業問題について懸念しており、テレワークの導入に踏み切れない方は多いのではないのでしょうか。当記事では、テレワークにおける残業の実態から注意点・対策まで詳しく解説します。

テレワークでは残業は減少傾向

テレワークでは、残業は減少傾向であることが、いくつかの統計情報から読み取れます。

2020年11月16日における厚生労働省の「テレワークの労務管理等に関する実態調査」によると、法廷時間外労働について、オフィス勤務時と比べて、「在宅勤務の方がやや少ないと思う」と答えた企業は14.6%、「在宅勤務の方が少ないと思う」と答えた企業は46.5%と、半数以上を占めています。また、深夜労働や法定休日労働についても同様の傾向がみられています。

LASSIC社のテレワークにおける残業時間の増減に関するアンケート調査によると、通勤時と比べて、男性の約40%、女性の約30%が「残業時間が減った」と回答しています。また、男性の49.46%、女性の59.15%が「残業時間は変わらない」と回答しています。(出典元:株式会社LASSIC

参考:【テレワークにおける『残業時間の増減』に関するアンケート】全体の3割以上が「残業が減った」と回答!一方、” 隠れ残業 ”の温床となるリスクも。|PR TIMES

 

ただし、「見えない残業」の可能性もあるので注意が必要

統計結果にもとづくと、残業は減少傾向にあることがわかります。しかし、テレワークでは、従業員の勤務状況を正確に把握しづらいため、残業について少なく申告し、「見えない残業」をおこなっている可能性があるため、残業が減少しているとは一概には言い切れません。

先述した「テレワークの労務管理等に関する実態調査」によると、テレワーク時の所定外労働について、「おおむね働いた時間どおり報告している」と答えた企業は65.0%、「働いた時間よりも実際には短く報告することが多い」と答えた企業は10.3%、「働いた時間よりも実際には長く報告することが多い」と答えた企業は0.3%です。

このように、テレワークでは、実際の労働時間よりも短く申告している方が多いという実態があります。理由の一つとして、働いた時間の中に作業に専念できない時間があったことが挙げられます。

テレワークにおける残業の注意点

ここでは、テレワークにおける残業の注意点について詳しく紹介します。

テレワークでも残業代は出る

テレワークの場合でも、オフィス勤務の場合と同様で、労働基準法が適用されるため、残業した従業員に対しては、残業代を支払う義務があります。なお、深夜労働や休日労働についても同様に、オフィス出社時と同様で、残業代を支払わなけれなりません。残業代を支払わない場合、労働基準法に違反する可能性もあるため、注意する必要があります。

このように、テレワークでは、自宅やカフェなど、勤務場所が変わるというだけで、就業規則や労働時間に変化がない限り、基本的にオフィス出社時と同様に残業代が支払われます。たとえば、テレワークでは、 みなし労働時間制を採用する場合には、オフィス出社の人と残業代の発生の仕組みが異なることもあります。

適切な残業時間の管理が必要

テレワークでも、オフィス出社時と同様で、労働時間および残業時間を適切に管理する必要があります。テレワークでは、紙のタイムカードを使用して、労働時間を管理できません。そのため、メールやチャット、電話などを使用して自己申告した時間を活用して、労働時間を把握している企業もあり、正確な労働時間を把握することが難しいです。

そのため、テレワークでも、勤務状況を可視化し、適切に残業時間できる仕組みを構築することが重要といえます。たとえば、PC監視ツールを使用すれば、PCのログやキャプチャから、PCの稼働している時間を勤務時間とみなして労働時間を管理することが可能です。

残業を防止する仕組みが重要

テレワークでは、適切な労働時間を把握する体制を構築することが大切ですが、残業を防止し、業務生産性を向上させる仕組みを築くことも重要です。テレワークでは、オフィス勤務と比べて、仕事とプライベートのオン・オフの切り替えが難しいため、緊張感の低さから集中力が続かず、業務効率が下がってしまう可能性もあります。結果として、長時間残業につながり、残業が発生してしまうという恐れがあります。

そのため、テレワークにおけるルールを明確にしたり、残業の多い従業員に対して警告をおこなったりするなど、残業を抑制する取り組みを実施することが重要です。また、Web会議システムや勤怠管理システム、PC監視ツールを使用して適度な監視をおこなうことで、テレワークでも緊張感をもって業務に取り組むことができます。

テレワークでの残業を削減する方法

ここでは、テレワークにおける残業を削減する方法について詳しく紹介します。

残業を基本的に禁止する

テレワークでは、仕事とプライベートの区別をつけることが難しいため、どうしても長時間労働や残業につながりやすい傾向にあります。そのため、残業を削減するために、テレワークでは一定以上の残業を禁止とする規則を適用する方法があります。そして、テレワークでの残業を規制する場合には、就業規則に記載し、きちんと従業員に周知することが重要です。

ただし、残業を禁止しても、オフィスのように勤務状況を直接監視できないため、「見えない残業」が発生し、従業員の健康状態に悪影響を及ぼす恐れがあります。そのため、会社のシステムにアクセスできないような仕組みを構築することもおすすめです。そうすれば、残業を強制的になくし、仕事とプライベートの区別がつきやすく、ワークライフバランスを実現させることができます。

残業申請を必須とする

テレワークで残業をおこなう場合には、上司や管理者に残業申請を必須とすることで、残業を削減する方法があります。残業申請をおこなうにあたって、残業の理由や業務予定終了時刻など、残業に関する情報を事細かに報告する仕組みとするのがおすすめです。そうすれば、業務の進捗状況を加味したうえで、上司や管理者は残業をすべきかどうかの判断を下すことができます。たとえば、部下から残業申請があっても、上司が次の日に回せる業務だと判断すれば、残業を抑制することが可能です。

このように、残業申請の規則を設けることで、残業を削減できることに加え、コミュニケーションの希薄化や、業務生産性の低下など、テレワークならではの課題を解消することにもつながります。

勤務時間外ではPCをシャットダウンする

勤務時間外では、PCのシャットダウンを徹底することで、残業を抑制する方法があります。たとえば、PCのログやキャプチャを活用して、監視を実施すれば、勤務時間外でも業務をおこなっている従業員を把握することが可能です。そのため、運用管理者は、テレワークで残業をおこなっている従業員に対して、PCのシャットダウンの警告を出すことができます。

また、業務終了時間になったら、PCを自動でシャットダウンできる「PCシャットダウンシステム」があります。PCシャットダウンシステムを使用すれば、PCのシャットダウン時刻を定期的に従業員の使用している端末の画面にポップアップ表示させたり、従業員の個人の都合による残業を抑制したりすることが可能です。

終礼や業務報告をおこなう

テレワークでの残業を削減するには、定期的に注意喚起をおこなうことが大切です。たとえば、プロジェクトや部署などの単位で終礼や業務報告を実施するのがおすすめといえます。ただし、規模が大きくなると、時間がかかってしまい、生産性が下がる可能性もあるため、目的を明確にして、定期的に見直しをおこなうことが大切です。

終礼や業務報告を実施すれば、従業員一人ひとりのタスクや進捗の管理ができるだけではなく、残業などの労働時間を適切に把握することが可能です。たとえば、ある従業員のタスクが多い場合には、ほかの余裕のある従業員に割り振るなど、残業が発生しないように調整することができます。

勤怠管理システムの導入も有効

テレワークでの残業を削減したり、従業員の勤務状況を適切に管理したりするためには、勤怠管理システムを導入するのがおすすめです。勤怠管理システムとは、従業員の勤務状況を適切に把握し、管理するためのシステムのことです。勤怠管理システムには、PC・スマホ・GPS・ICカード・生体認証など、さまざまな打刻方法があります。自社のテレワーク形態に適した打刻方法を採用すれば、労働時間の管理を適切におこなうことが可能です。

また、出勤管理・スケジュール管理・休暇申請・残業管理・ワークフロー・集計・出力・アラート・外部システム連携など、システムによってさまざまな機能があります。たとえば、残業管理の機能を使用すれば、残業基準を設定したり、残業の申請・承認をおこなったりすることが可能です。残業の申請では、理由を記載しなければ、残業の申請ができないシステムもあります。また、アラート機能を使用すれば、一定の残業時間を超過した従業員のみを表示して、注意を促すことができます。

このように、勤怠管理システムを導入し、上手く機能を活かすことで、テレワークを導入しても、適切に残業管理をおこなうことが可能です。

テレワークでも残業管理を適切におこなおう!

テレワークでは、厚生労働省などの統計情報にもとづくと、残業時間は減少傾向であることがわかります。ただし、テレワークでは、従業員の勤務状況が見えづらいために、「見えない残業」が発生している可能性もあります。そのため、残業時間の適切な管理や残業を防止するための取り組みをおこなう必要があります。

テレワークでの残業を禁止したり、終礼や業務報告を定期的におこなったりするなど、残業を削減する方法はさまざまであり、自社のテレワーク形態にあわせて残業管理の方法を決めることが大切です。また、勤怠管理システムを導入すれば、さまざまな機能を使用して適切な残業管理をおこなうことができます。

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