これから採用活動を始める企業の中には、今まで中途採用者の採用活動が中心だった企業が新卒採用主体に方針切り替えをおこなうなど、採用方針の転換を迫られる企業も多いと思います。
新卒採用は中途採用に比べて違うことが多いのではないかと困惑しているのではないでしょうか。じつは、新卒採用と中途採用のノウハウは異なる部分もあれば、同じ部分もあります。そこでおすすめなのが、新卒紹介という手法です。これは、採用企業のニーズにマッチする新卒の人材を、紹介会社が企業に紹介してくれるというものです。
新卒採用の母集団形成を始めるためにそろそろ準備をしなければならないという企業の人事担当者の方は、ぜひ参考にしてみてください。
目次
新卒採用に活かせる中途採用ノウハウ
中途採用主体から新卒採用主体に方針を転換させる前に、過去におこなってきた中途採用活動から活かせるノウハウはないかを考えてみましょう。採用方針は違っても同じ採用活動なのですから、活かせるノウハウがあるはずです。
▼新卒採用と中途採用の違い
そもそも新卒採用と中途採用は、何が違うのでしょうか?採用活動をおこなう側に立って、その違いを明確にしていきたいと思います。
採用の目的
新卒採用と中途採用では、もともとの採用の目的が異なります。その目的を正しく理解していなければ、的確な採用活動をおこなうことはできません。
新卒採用は、社内の若年層の人材を大量に確保するため、将来会社を担っていくコア人材を採用するためといった目的をもって取り組まれている企業がおおくあります。会社の将来を見据えた判断が必要ということです。
一方で、中途採用とは、そのときの欠員補充をおこなうため、自社にいない資格保有者やスキル・経験を持つ人員の確保をするためという目的があります。今会社にとって必要な戦力を増強するために、スキルや知識、経験などをしっかりと見定める必要があります。
採用ターゲット
では、新卒採用、中途採用のそれぞれの採用活動において、どのようなターゲットを狙うべきなのでしょうか。
新卒採用の場合は、将来性を期待し採用後に成長を見込んで採用する、ポテンシャル採用がほとんどです。
「自分で物事を判断する力を持っているか」「基礎学力や常識力を持ち合わせているか」「仕事へのやる気や人柄」「性格志向はどうか」などの採用基準に達した人材がターゲットになります。
一方、中途採用の場合、その採用ニーズに合った即戦力になる人材がターゲットです。
採用活動期間
新卒採用だと、準備から採用までが1年がかりの大プロジェクトになることが多くなります。この理由として。大量の母集団を確保するための事前準備に時間がかかること、大量の採用候補者を絞り込む大きな作業があることなどがあげられます。
一方、中途採用の場合、数か月、短ければ数週間で採用活動が終わってしまいます。中途採用者として必要な人材像がはっきりしているため選考がすぐ終わること、中途採用の場合採用人数が少ないことなどが理由として挙げられます。
▼新卒採用に活かせる中途採用ノウハウ
では、新卒採用活動に活かせる中途採用ノウハウとはどのようなものなのでしょうか?
ここまでで見てきた通り、新卒採用と中途採用は目的や獲得すべきターゲットや、採用活動期間まで、異なるものでした。
しかし、採用活動で最も基本的な「人を見て採用する」という点では同じです。どのような能力を持っているのか、どのような人柄なのか、志望動機は何か、仕事に対する姿勢はどうかなどは、新卒採用や中途採用に関わらずしっかりと見極めなければなりません。
一方で、新卒採用も中途採用も基本的には「人を見る」という点では同じですが、見る観点は異なります。中途採用では、「即戦力になるか」「どんなスキルや資格を持っているのか」「過去の仕事実績はどうか」などという点を見ます。
しかし、新卒採用になったらその観点を変え、将来性の面を重視する必要があります。「学生時代の経験はどのようなものがあるのか」「仕事に対する考え方はどうか」「今後も仕事に関する知識を勉強していく姿勢があるか」「明るく前向きな人柄か」などを重点的に見ることで、新卒採用に対応することができるでしょう。
次は新卒採用の手法についてです。その中でも母集団形成や時期の影響を受けずに利用できる新卒紹介についてみていきましょう。
新卒紹介について
次に、新卒採用の新たな手法、新卒紹介について詳しくみていきましょう。
▼新卒紹介が人気な理由
新卒紹介は、新卒採用をおこなう企業に人気が高まっています。それはなぜなのか、詳しくみていきます。
新卒採用の採用代行サービス
新卒紹介とは、一言でいうと転職活動でよくある人材紹介を新卒者にもおこなうということです。採用代行企業に求める人材像を伝えると、そのニーズに合った新卒者を企業に紹介してくれます。
つまり、今まで自社でおこなっていた新卒採用活動の工数がかかる作業を業者に任せることができます。
採用ノウハウがある
新卒紹介をおこなう採用代行会社は、過去に転職エージェントなどの事業をおこなっていることが多く、採用ノウハウを持っています。
このようなプロのノウハウを低コストで利用できるというのは、新卒採用のノウハウを持っていない企業に大きなメリットをもたらします。また、今まで就活サイトや自社サイトなどで採用活動をおこなっていたときには出会えなかった層に出会えるチャンスが生まれるということもあります。
幅広い層と出会うことができる
就活サイトや自社サイトで就職活動をおこなわない学生に出会うことができます。そして、今の就職市場が売り手市場であるということに、非常にマッチしているという点です。
学生の方から企業に働きかけるのを待っていては、優秀な人材を確保することはできません。新卒紹介という企業の方から働きかける手法を取ることで、早めに優秀な人材を確保できる可能性が高まるのです。
成功報酬型だから無駄なコストがかかる心配がない
新卒紹介を利用する場合は、学生が入社した場合に採用代行企業に報酬を払う、成功報酬型の仕組みが取られています。そのため、求める人材が確保できなかった場合に無駄なコストがかかる心配がありません。
▼新卒紹介に期待できること
新卒紹介に期待できるのは、「思い込みを排除できる」ということです。自社で採用活動をおこなうと、どうしても「うちの企業は理系学生にしか務まらない」「資格やスキルを学生時代に取っておいてくれないと困る」などという思い込みがあります。
採用のプロである新卒紹介会社やエージェントに企業活動や欲しい人材像を伝えると、採用代行会社側でどのような人材が適しているかを判断して探してきてくれます。
その結果、今までの採用活動とは全く違う人材を紹介してくれるかもしれません。採用活動に他社を利用することで、今までにはない画期的な人材登用の道が切り開ける可能性もあるのです。
新卒紹介を成功させるためには
では、実際に新卒紹介を利用するにあたり、注意すべき点とはどのようなことなのでしょうか。新卒紹介を成功させるための重要なポイントについてご説明します。
▼求める人物像を明確にする
学生を採用するのですから、自社に必要な人材像を明確にしなければなりません。
しかし、ここで注意したいのが、採用活動を他社に依頼するということです。自社で採用活動をおこなうのであれば、頭の中にどのような人材が欲しいかというイメージがあるため、その判断に従って選考をおこなうことができます。
しかし、その採用活動を紹介会社に依頼するのであれば、その頭の中のイメージをしっかり担当者に伝えなければなりません。ということは、頭の中にイメージとして残しておくだけではなく、明確に言語化しておかなければなりません。
明確にした状態で担当者に引き継ぐことができなければ、紹介された学生が「イメージと違う」ということになりかねません。なので求める人材を得られるように人材像は明確化しておきましょう。
▼自社の魅力を紹介会社に伝える
自社の魅力を紹介会社に的確に伝えることも重要です。学生たちに自社の何をアピールしたいのかを絞り、最もアピールしたい点を伝えてください。そうすることで、学生に自社のメッセージが伝わりやすいでしょう。
▼採用代行会社にどこまで依頼するかをあらかじめ明確にしておく
他企業に業務を依頼する際にはいつも必要なことですが、採用代行会社にどこまで仕事を任せるのかという線引きをはっきりさせた方がいいかもしれません。
学生の選別から面接までの段取りまで全て丸投げしたいのか、要所要所で選考に加わりたいのか、逐一報告を受けたいのかなど、契約時に細かい段取りや依頼したい部分についてはっきりさせることで、採用をスムーズに進めることができるでしょう。
▼定期的な振り返り
新卒紹介をおこなっている最中や終わったときにも重要なポイントがあります。それは、新卒紹介活動の定期的な振り返りです。新卒紹介で学生の選考をおこなっているときに、どのような学生が選ばれたのか、最終的にどの学生に決めたのか。そしてその結果、その学生を入社させてどうだったかなど、新卒紹介を導入したことによりどうなったのかということを振り返ることが必要です。
選んだ紹介会社が適した人材を紹介されなかった場合、紹介会社を見直す必要も出てきます。今までおこなったことがない新卒紹介という精度を利用することでどれだけのメリットがあったのか、逆にデメリットはなかったのか、反省点は何かなどを振り返ることで、次年度の採用活動に繋がるでしょう。
まとめ
新卒紹介について詳しく説明してきましたが、いかがだったでしょうか。
今まで中途採用に力を入れてきた、新卒採用をほとんどしなかったという企業にとって、新卒紹介は新卒採用の力強いテコ入れになるはずです。紹介会社を上手く活かせれば、低コストで優秀な人材を獲得することができるでしょう。