無期雇用は同一労働同一賃金の対象外?適用時期やリスクも解説 |HR NOTE

無期雇用は同一労働同一賃金の対象外?適用時期やリスクも解説 |HR NOTE

無期雇用は同一労働同一賃金の対象外?適用時期やリスクも解説

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輪になっている人のモチーフ

同一労働同一賃金によって、雇用形態による不合理な待遇差を無くして働きやすい環境を実現できます。ただ、無期雇用フルタイム労働者だけは対象外であるため、どのようなリスクが発生するか把握したいと考えている方もいることでしょう。

そこで今回は、有期雇用から無期雇用フルタイム労働者にすることで発生するリスクを紹介します。無期雇用の転換時期や定年後再雇用の特別措置についても解説しているので、ぜひ参考にしてください。

【従業員の評価、適切におこなえていますか?】

人事評価制度は、健全な組織体制を作り上げるうえで必要不可欠なものです。
制度を適切に運用することで、従業員のモチベーションや生産性が向上するため、最終的には企業全体の成長にもつながります。

しかし、「しっかりとした人事評価制度を作りたいが、やり方が分からない…」という方もいらっしゃるでしょう。そのような企業のご担当者にご覧いただきたいのが、「人事評価の手引き」です。

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1. 同一労働同一賃金とは?不合理な待遇差をなくす原則

同一労働同一賃金とは、正社員と非正規雇用労働者の間にある不合理な待遇差をなくす原則のことです。今後はどの雇用形態を選んでも、基本給や賞与、手当て、福利厚生などが平等に受けられるようになります。

現在、パートタイム労働者や派遣労働者などの非正規雇用労働者が、正社員と同じ仕事をこなすことは珍しくありません。しかし、待遇差が生じていることで働きにくさを感じ、不満を抱く人が多いのが現状です。

待遇差をなくすことで、非正規雇用労働者でも個人の能力によって評価されているという納得感を得られます。結果的に、働くモチベーションが向上して多様な働き方を選択できる社会になるでしょう。

また、非正規雇用で職場復帰を希望する人材も増えるため、優秀な人材を確保しやすくなります。企業としても、人材不足の解消が期待できる魅力的な原則です。

参照:同一労働同一賃金特集ページ|厚生労働省

1-1. 同一労働同一賃金が適用された背景

同一労働同一賃金が適用された主な背景として、非正規雇用労働者数の増加が考えられます。

厚生労働省によると、非正規雇用の数は右肩上がりで増加しており、2022年には労働者全体の40%ほどとなっているのです。非正規雇用労働者の割合が増加することで、正社員と同じ業務を課せられる非正規労働者の数も増加しています。

しかし、正社員の平均時給が約金1,976円なのに対して、非正規雇用労働者の最低平均時給は1,345円と少ないのが現状です。このように、正社員と非正規雇用労働者の間に発生する賃金の格差が問題視されています。

また、非正規雇用者は正社員と比較して満足に教育訓練の機会が与えられていない点も課題です。特に、将来のキャリアアップのための教育が正社員と比較して4割程度しか受けられていません。

非正規雇用労働者であることが原因で、十分なキャリアアップが見込めない現状を変えることが求められています。

参照:「非正規雇用」の現状と課題|厚生労働省

1-2. 同一労働同一賃金の規定に違反した場合のリスク

同一労働同一賃金の規定は法的拘束力を保有しているわけではないため、違反しても罪に問われることはありません。ただ、適用されたにもかかわらず不合理な格差がある場合、損害賠償請求に発展する可能性があるため注意が必要です。

また、都道府県労働局長に報告を求められたり、助言・指導を受けたりする可能性もあります。違反している情報が外部に漏れれば、社会的信用を失い取引先との契約が解除になるかもしれません。

完璧な遵守を徹底することは大変でも、不合理な待遇差の解消に向けて取り組む姿勢は、社員や外部からの信頼を獲得できるでしょう。

2. 無期雇用フルタイム労働者は同一労働同一賃金の対象にならない

円陣を組む人々

同一労働同一賃金では、正社員と非正規雇用労働者の待遇格差を対象にした原則です。無期雇用フルタイム労働者は正社員と同様の扱いになるため、同一労働同一賃金の対象になりません

無期雇用フルタイム労働は、契約が設定されておらず安定して長期的なキャリア形成が期待できるメリットがあります。しかし、同一労働同一賃金の対象外であるため、基本給や福利厚生などの待遇面によるトラブルが発生しないよう注意しましょう。

なお、無期雇用であっても短期労働である場合は、同一労働同一賃金の対象です。あくまで無期雇用フルタイム労働の場合のみ適応外であることを覚えておきましょう。

3. 無期転換ルールの適用時期は契約期間による

タイピングする女性

有期雇用労働者から無期雇用フルタイム労働者に転換できる「無期転換ルール」の適用時期は、労働契約の期間によって異なります。

労働契約の更新が通算5年を超えて更新された場合、労働者からの申し出によって労働期間を定めない無期労働契約に転換が可能です。

適用時期は、契約期間が1年であれば6回目の契約を締結した後です。もし、契約期間が3年であれば2回目の契約時に申込権が発生します。

参照:無期限転換ルールについて|厚生労働省

ただし、制度の仕組みを考えると、同一労働同一賃金の対象から外すことを目的として無期雇用に転換することは可能です。つまり、企業の都合よく無期雇用に転換させて人件費削減をはかることも、理論上できます。

ただし、この場合不公平による不満が生まれます。労働者のモチベーションが下がって生産効率が悪くなるだけでなく、労働者とトラブルになることも考えられるでしょう。

4. 無期雇用にして同一労働同一賃金の対象外になる3つのリスク

書類を選ぶ女性

ここからは、無期雇用に転換して同一労働同一賃金の対象から外すことで起きるリスクとして、

  1. 待遇が改善されずに引き継がれる可能性がある
  2. 正社員と待遇格差が生まれる
  3. トラブルに発展する可能性がある

の3つを紹介します。

4-1.待遇が改善されずに引き継がれる可能性がある

無期雇用転換後も待遇が改善されない可能性があります。労働契約法第18条では、無期雇用転換後の労働契約にはこれまでの労働契約が引き継がれるよう定められています。

当該申込みに係る期間の定めのない労働契約の内容である労働条件は、現に締結している有期労働契約の内容である労働条件(契約期間を除く。)と同一の労働条件(当該労働条件(契約期間を除く。)について別段の定めがある部分を除く。)とする。

引用:平成十九年法律第百二十八号 労働契約法|e-Gov法令検索

つまり、有期雇用時に正社員との待遇差がある場合、無期雇用転換後も継続されるわけです。そのうえ、転換すれば同一労働同一賃金の対象外に該当するため不合理な待遇が発生します。

有期雇用のままなら待遇がよかったのに無期雇用に転換したことで損をすれば、労働者の不満は溜まるでしょう。このような事態を防ぐために、無期雇用転換によって変化する業務内容や労働条件の待遇を明確に整えておくことが大切です。

4-2.正社員と待遇格差が生まれる

有期雇用時の待遇を引き継いだまま無期雇用フルタイム労働者になることで、正社員と待遇差が発生するケースもあります。正社員と同じ業務内容であるにもかかわらず待遇に差が生じていれば、当然不満も生じることでしょう。

結果的に、無期雇用フルタイム労働者のモチベーション低下や、会社全体の生産性の低下につながる可能性があります。

もし、正社員との待遇に差を設けたいと考えるなら、業務内容や労働条件の違いを明確することが大切です。正社員も無期雇用フルタイム労働者も納得してもらえる理由を考え、社員に説明できるよう努めましょう。

公平性を客観的に示すためには、人事評価制度の存在が重要です。しかし現状整った人事評価制度がなく、適切な人事評価がおこなえていないことに課題を感じている方もいらっしゃるのではないでしょうか。

そこで当サイトでは、一般的な人事評価制度の種類や、導入の流れについてまとめた「人事評価の手引き」を無料で配布しています。ぜひこちらからダウンロードして、適切な人事評価体制の構築にお役立てください。

4-3.トラブルに発展する可能性がある

無期雇用フルタイム労働者の待遇を蔑ろにすると、トラブルに発展する可能性があるため注意が必要です。

同一労働同一賃金の適用外であることを理由に、無期雇用フルタイム労働者の待遇を改善しないまま放置しないようにしましょう。実際に、同一労働同一賃金の違反により最高裁にて不合理と判決され、従業員に大して損害賠償が発生した事例も起きています。

こういったトラブルの発生を防ぐには、まずは労働者全員の労働形態と待遇の内容を明確にすることが大切です。その上で、待遇の差が生じている理由が不合理なものでないことを具体的に伝えられるように準備しておきましょう。

5. 高齢者の定年後再雇用の場合は特例措置がある

頭を抱えて悩む男性

先述したとおり、有期雇用が通算5年を超えていれば、労働者の要求に応じて無期雇用への転換が適用されるのが決まりです。しかし、高齢者に関しては特別措置があるため注意しましょう。

高齢者の特別措置が適用されるのは、定年後再雇用で採用された有期雇用労働者です。都道府県労働局長の認定を受けていた場合、契約期間にかかわらず無期限雇用申込権が発生しないことを覚えておきましょう。

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人事評価制度は、健全な組織体制を作り上げるうえで必要不可欠なものです。
制度を適切に運用することで、従業員のモチベーションや生産性が向上するため、最終的には企業全体の成長にもつながります。

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