勤怠管理や給与計算などの業務に追われ、多忙な毎日を過ごしていらっしゃる中小企業の人事担当者の方は多いのではないでしょうか。
コスト的な観点から、大企業に比べて中小企業は勤怠管理システムを導入している割合が低くなっています。
しかし、近年は企業のDXや働き方改革が進む中で、これまでの紙管理やエクセル管理ではなく勤怠管理システムの活用を始める中小企業も増えてきています。
今回は、小規模企業向けの勤怠管理システムのご紹介や勤怠管理システムの選び方について解説します。本記事が勤怠管理業務のDXを推進するきっかけになれば幸いです。
数多くある勤怠管理システムの中から、自社に見合うシステムを探す際、何を基準にして選べばいいのか、悩まれる方も多いのではないでしょうか。
そのような方のために今回、社労士監修のもと、「勤怠管理システムの比較表」をご用意いたしました。資料には以下のことがまとめられています。
・勤怠管理システムの5つの選定ポイント
・社労士のお客様のシステム導入失敗談
・法対応の観点において、システム選定で注意すべきこと
お客様の声をもとに作成した、比較表も付属しています。これから勤怠管理システムの導入を検討されている方はぜひご活用ください。
1.中小企業が抱える勤怠管理に関する課題
勤怠管理システムを導入していない企業の人事担当者の皆さんは勤怠管理について以下のような課題を抱えておられるのではないでしょうか。
手間がかかる
タイムカードや出勤簿で勤怠管理を行っている企業は従業員数が増えるたびに手間がかかります。
出典:【中小企業経営者・大企業経営者それぞれに調査!】勤怠管理はペーパーレスが当たり前!クラウドシステムなら年末調整も楽々?
実際、年末調整を例にとると、書面で各種書類作成、配布、回収をしている中小企業は39.5%と多くを占めています。
また、年末調整にかかる時間も約4割の中小企業が5時間以上かかっているという現状があります。人事業務に時間や手間がかかると、経営戦略に携われないなどの課題も生じるでしょう。
法令順守が難しい
勤怠に関する法律は改正されることがあります。
手作業で勤怠管理を行っている場合、法改正の度に対応した勤怠管理方法に変更する必要があります。2019年4月より「勤務間インターバル制度の導入」や「年次有給休暇の取得義務」などの内容が改正されました。
このような改正は今後もあるので、法改正の度に内容を周知し対応するのは面倒な業務といえるでしょう。
勤怠管理の属人化
タイムカードや出勤簿で勤怠管理する場合、その業務を行える人は限られてしまいます。中小企業によっては、人事業務を1人で行っている企業も多いのではないでしょうか。
もし、勤怠管理を行っている人が退職してしまった場合に、業務の引継ぎが難しくなってしまいます。
2.勤怠管理システムの導入がもたらすメリット
手間・コスト削減
勤怠管理システムの導入により手間やコスト削減に繋がります。
今まで手作業で行っていた勤怠情報の集計や有給休暇の管理などをシステムで行うことができるため、手間の削減に繋がるでしょう。
また、書類で申請などを行う場合、印刷代などのコストがかかります。しかし、システムの導入によりペーパーレス化につながりコスト削減できるでしょう。
小規模企業には無料の勤怠管理システムも存在するので、システムの導入費用も0円で利用することが可能です。
法改正に対応できる
今まで法改正の度に対応していたことも、勤怠管理システムの導入により自動で対応できるようになります。
法に関しては十分に理解し、順守していないと法令違反で罰則を受けてしまう可能性があります。法改正の内容をシステムで自動で対応してくれることは人事担当者の心理的負荷の軽減にもなるでしょう。
今後、働き方の多様化により各々に対して異なる対応が必要になる場面が増えるので、より法改正の対応が難しくなるでしょう。
他のシステムと連携できる
勤怠管理システムによっては、その他のシステムと連携することが可能なものもあります。
例えば、給与計算システムと連携をすることができれば、勤怠管理だけでなく給与計算も自動で行うことが可能です。
様々なシステムとの連携により、勤怠管理以外の人事業務まで自動で管理することができるのです。
3.勤怠管理システムの選び方
上記のようなメリットは把握しているものの、勤怠管理の導入を懸念されている中小企業は多く存在します。その原因の一つとして、「どのように選んだらいいのか分からない」ことが挙げられるのではないでしょうか。
本章は、中小企業必見の勤怠管理システムの選び方を解説します。
自社の企業規模・働き方に合っているのか
中小企業などの小規模の企業は管理したい従業員数が少ないことがほとんどです。
システムによっては、月額料金が利用者数によって変動するもの、機能によって変動するものなど様々です。自社の企業規模に合ったシステムを選ぶようにしましょう。
また、ベンチャー企業などは、裁量労働制やフレックスタイム制を導入している企業も多いです。
自社の働き方に対応したシステムを導入するようにしましょう。
費用が適切であるか
小規模の企業はお金をあまりかけずに勤怠管理システムを利用したいと考える場合が多いのではないでしょうか。システムによっては、完全無料で使い続けられるものもあります。
しかし、安いからといって導入すると、使いたかった機能が使えなかったなどの問題も発生してしまう可能性があるので、「予算がいくらなのか」「必要な機能は何なのか」を明確にしてシステムを選定するようにしましょう。
- 利用できる人数に制限がある
- 利用できる機能に制限がある
- データの保存期間に制限がある
- サポートに制限がある
一般的には、以上のような制限がある場合が多いです。
クラウド型orオンプレミス型
勤怠管理システムには、インターネット接続によって、システムを利用できるクラウド型と専用のシステムを開発、構築して利用できるオンプレミス型があります。
それぞれのメリット・デメリットは以下の通りです。
クラウド型 | オンプレミス型 | |
メリット |
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デメリット |
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小規模の企業であれば、オンプレミス型に比べてクラウド型の方が低コストで使用することが可能なので、おすすめです。
クラウド型勤怠管理システムとは│クラウドのメリットと選ぶポイント
サポート体制があるか
中小企業は大企業に比べ、デジタル化やDX化が進んでいない企業が多いです。そのため、デジタルをあまり得意としない人もいると思います。
そのような方向けに使いやすい勤怠管理システムを導入することはもちろんのこと、サポート体制があるかという点も考えなくていけません。
導入前だけでなく、導入後までサポートしてくれるのか、電話対応は行っているのかなどしっかりとしたサポート体制のあるシステムを選ぶことにより、効果的な運用を行うことができるでしょう。
他のシステムと連携できるか
既に導入しているシステム、今後導入する可能性のあるシステムと連携することができるのかは極めて重要なポイントになります。
連携できないシステムを導入してしまうと、給与計算のシステムを導入したとしても、勤怠管理システムと連携ができないため、勤怠管理と給与計算は別々で管理することになり、大幅な手間の削減にはなりません。
どのシステムと連携が可能なのかを調べたうえで選定するようにしましょう。
4.中小企業におすすめの勤怠管理システム
それでは、最後に小規模企業におすすめの勤怠管理システムを費用別に分類してご紹介します。
4-1 無料で使える勤怠管理システム
HRMOS勤怠
【特徴】
- 初期費用0円、月額費用0円で、今すぐ使える
- 定期的な機能改善&労働基準法に準拠した管理に対応
- ICカード、Slack、LINE等、様々な打刻方法に対応
【料金】
- 初期導入費用:なし
- 無料プラン:0円
- 有料プラン:3,800円~/月
※登録人数によって価格変動あり
- 無料トライアル:あり
スマレジ・タイムカード
【特徴】
- PC、スマホ、タブレットでいつでも、どこでも勤怠打刻が可能
- 勤怠だけでなく、シフト作成、マイナンバー、年末調整もまとめて管理
- 人事労務freeeやマネーフォワードクラウド給与などの外部サービスとシステム連携が可能
【料金】
- 初期導入費用:なし
- スタンダード:0円(30名まで)
- プレミアム:2,200円/月(10名まで)
- プレミアムプラス:4,400円/月(10名まで)
- エンタープライズ:6,600円/月(10名まで)
※その他詳しい料金はサービスURLをご覧ください
- 無料トライアル:あり
ジョブカン勤怠管理
【特徴】
- 変形労働・フレックス・裁量労働などのあらゆる勤務形態に対応
- 電話・メール・チャットにて随時、無料でお問い合わせが可能
- 「必要な機能だけ」を自由に組み合わせて利用可能
【料金】
- 初期導入費用:なし
- 無料プラン:0円
- 有料プラン:月200円~/1ユーザー
※ご利用機能数によって価格変動あり
- 無料トライアル:あり
▼無料の勤怠管理システムに関する詳しい記事はこちら
勤怠管理を無料でおこなう方法とは?│おすすめ勤怠管理システムを4つご紹介
4-2 低コストで利用可能な勤怠管理システム
初期費用無料、1ユーザーあたり月300円以下の低コストで利用可能な勤怠管理システムを3つご紹介します。
KING OF TIME
【特徴】
- 誰もが使いやすさを感じられるシンプルで分かりやすい画面構成
- 就業ルールに則して設定でき、出退勤打刻と合わせてリアルタイムで自動集計が可能
- 2拠点(東京・大分)に専門のスタッフを用意し、導入前だけでなく導入後も安心サポート
【料金】
- 初期導入費用:なし
- 月額料金:月300円/1ユーザー
- 無料トライアル:あり
kincone
【特徴】
- 従業員によって異なる労働条件を細かく設定することが可能
- サイボウズ社のkintoneや、コラボスタイル社のコラボフローとの連携が可能
- お客様からのご要望を反映する形で、継続的にアップデートを実施
【料金】
- 初期導入費用:なし
- 月額料金:月200円/1ユーザー
- 無料トライアル:あり
AKASHI
【特徴】
- 管理者は「テレワーク中」の従業員をリアルタイムで確認することが可能
- 直感的に操作できるUI・UXデザインを追求し、説明不要で誰でも簡単に使えるシステムを実現
- 残業、休日出勤、休暇などのさまざまな申請・承認をすべてWeb上で完結
【料金】
- 初期導入費用:なし
- タイムレコーダー:月200円/1ユーザー
- スタンダード:月300円/1ユーザー
- プレミアム:月400円/1ユーザー
- 無料トライアル:あり
4-3 その他のおすすめの勤怠管理システム
ジンジャー勤怠
【特徴】
- 法律に沿った正確な勤怠管理を実現し、企業の労務リスクを低減
- システムの導入から運用まで、サポート担当が伴走しながら業務効率化実現をお手伝い
- システム操作に慣れていない方でも、簡単に使えるシンプルな画面
【料金】
- 月額料金:月400円/1ユーザー
- 無料トライアル:あり
Money Forward クラウド勤怠
【特徴】
- 従業員の勤怠管理データを元に残業や休暇の取得状況をリアルタイムで把握し、より強固な労務管理体制を構築できる。
- 基本勤務制・シフト制・裁量労働制・フレックスタイム制など、どんな就業ルールでも対応可能。
- 従業員データなどのインポート機能で、既存ソフトからの乗り換えや給与計算ソフトからのデータ移行も簡単にできる。
【料金】
- 初期導入費用:なし
- スモールビジネス:3,980円/月
- ビジネス:5,980円/月
※30名以下でご利用の場合
※年額プラン加入で割引あり
※詳しい料金体系はサービスURLをご覧ください
- 無料トライアル:あり
freee人事労務
【特徴】
- 人事労務にかかわる業務を一気通貫で管理でき、転記作業をゼロに
- 勤怠から給与明細まで、すべてをペーパーレス化
- 今日、今月やるべきことが可視化される
【料金】
※詳しい料金についてはお問い合わせ下さい
- 無料トライアル:あり
5.まとめ
もちろん有料の勤怠管理システムの方が使用できる機能が多いですが、小規模の企業は無料の勤怠管理システムでも効果的に活用できる可能性は十分にあります。
自社に必要な機能は何なのかを明確にして、システムの選定を行うようにしましょう。
勤怠管理は従業員が増えるたび、法改正が行われるたびに負担のかかる業務になります。勤怠管理システムを導入し、持続可能な企業への第一歩を踏み出してみてはいかかでしょうか。