離職防止ツールとは、早期離職の防止を目的として用いられるツールです。人材不足に悩む今、優秀な社員を失わないためにも離職ツールの導入を検討している企業は多いのではないでしょうか。
そこで今回は、離職ツールの概要やメリット・デメリットを紹介します。また、離職防止ツールを導入する際の注意点についても解説します。この記事で離職防止ツールについての正しい知識を身に付け、自分の企業に適した離職防止ツール選びに役立てましょう。
目次
1. 離職防止ツールとは
離職防止ツールとは、社員の早期離職を防止することを目的として用いられるツールです。
少子高齢化に伴う人材不足による影響が著しい昨今、「優秀な人材の離職をできる限り減らしたくない」と悩む企業から人気を集めています。
離職防止ツールを導入することで、社員のエンゲージメントを可視化でき、モチベーション向上に向けた取り組みを実践できるようになります。優秀な人材が働きやすい環境、キャリアアップしやすい社内環境を整えられます。
2. 離職防止ツールの種類
離職防止ツールには、心身のコンディションケアを重視したタイプとモチベーション向上に重視したタイプの2種類が存在します。
それぞれの特徴を知り、用途に合わせて最適な離職防止ツールを選びましょう。
2-1. コンディションケアを重視したタイプ
コンディションケアを重視したタイプは、業務・労働環境や人間関係によるストレスを軽減するための離職防止ツールです。
厚生労働省のデータによると、労働環境や人間関係を理由に退職する人は、全体の約60%にも及ぶことがわかっています。少しでも離職率を減らすなら、社員の労働環境や人間関係を把握して、不満を解消することが大切です。
労働環境や人間関係の不満は直接言いにくいため、コンディションケアを重視したツールが役立ちます。ストレスチェックやメンタルヘルス対策を行えば、離職予備軍の早期発見とフォローが可能になります。
2-2. モチベーション向上を重視したタイプ
モチベーションを重視したタイプとは、社員に高いモチベーションを維持してもらうために必要な機能がある離職防止ツールです。目標に対する進捗や達成具合を可視化することで、互いにサポートし合える環境が実現します。
社員の離職防止のためには社員同士の関係を良好にし、雰囲気を明るくする必要があります。社内の雰囲気が悪かったり、コミュニケーションが少なかったりすると、社内のモチベーションは低下するためです。
コンディションケアを重視した離職防止ツールを使うことで、一人ひとりの目的が明確になるだけでなく、互いに助け合えるようになります。その結果、仕事に対するモチベーションが維持・向上できるようになります。
3. 離職防止ツールの3つのメリット
離職防止ツールのメリットとして、以下の3つが挙げられます。
- 社内環境を可視化できる
- 従業員満足度を向上できる
- 優良企業であると評価される
以下、それぞれ詳しく解説します。
3-1.社内環境を可視化できる
離職防止ツールを用いれば、社員がどのような心境・環境で働いているのかといった社内環境を可視化できます。ストレスチェックやメンタルヘルスなどによって、社員が抱える不満を把握できるためです。
労働環境や人間関係などの不満は、放っておくと一人ひとりのモチベーション低下はもちろん、企業全体のパフォーマンスの低下につながります。こうなると社員の離職にも繋がりかねないため、早めに対策を練ることが大切です。
離職防止ツールを利用することで1人ひとりの心境を可視化でき、かつ早期に対策できるのは大きなメリットと言えるでしょう。
3-2.従業員満足度を向上できる
社員が十分なパフォーマンスを発揮するためには、どれだけ自分の仕事に満足しているかといった「従業員満足度」の向上が大切です。
離職防止ツールを用いれば、従業員満足度の向上に直結します。離職防止ツールによりコミュニケーションや作業の進捗を円滑にすることで、人間関係や給与、労働環境などの不満を解決できるためです。
風通しが良く、社員にとって働きやすい環境が整えられることも、離職防止ツールの大きなメリットといえるでしょう。
3-3.優良企業であると評価される
離職率を下げることに成功すれば、社内だけでなく外部からも優良企業であると評価され、より信頼度を高められます。顧客からの信頼も厚くなり、売り上げの向上につなげられるでしょう。
これは、離職率の低さによって「社員のことを大切に考え、働きやすい環境を実現している会社である」と判断してもらえることが理由です。投資家からの信頼も得られるため、より多くの資金を集められるきっかけにもなるでしょう。
このように、優良企業だと評価されるだけで顧客・企業・投資家などからさまざまな恩恵を受けられます。離職防止ツールを利用する何よりのメリットと言えるでしょう。
4. 離職防止ツールの2つのデメリット
離職防止ツールにはデメリットも存在します。離職防止ツールのデメリットは、以下の2つです。
- 効果を実感できるまで時間がかかる
- 導入・維持にコストがかかる
以下、それぞれ詳しく解説します。
4-1.効果を実感できるまで時間がかかる
離職防止ツールのデメリットとして、効果を感じるまでに時間がかかる点が挙げられます。
離職防止ツールを導入した後、まずは社員のモチベーションや業務内容を把握し、データを収集するところからスタートするためです。
実際に離職者または離職予備軍の該当者が出てこない限り、ツールの効果はわかりません。年単位の長期スパンでの運用を考え、徐々に結果が出るイメージで運用するようにしましょう。
また、定期的にツールの結果をふり返る機会を設けることが大切です。離職防止ツールがしっかりと機能しているか、社員は運用に協力しているかを確認しておきましょう。
4-2.導入・維持にコストがかかる
導入・維持にある程度の費用がかかることも、離職防止ツールのデメリットといえるでしょう。
具体的な費用はツールや会社の規模によって異なりますが、月額料金として1人あたり約300〜1,000円以上が目安です。仮に従業員が100人いると考えると、毎月約30,000〜100,000万円以上の費用が必要であることになります。
ただ、離職防止ツールにかける費用より優秀な社員を失うほうが、コストや時間が必要になることを忘れてはいけません。つまり、ツールの導入や維持に費用をかけても、結果的にコストを抑えることに成功していると考えられます。
5. 離職防止ツールを導入する際の3つの注意点
離職防止ツールを導入する際の3つの注意点は下記です。
- 社員の一律化にならないように心がける
- 研修やアフタフォローの有無を確認する
- ツールの使い勝手を確認する
以下、それぞれ詳しく解説します。
5-1.社員の一律化にならないように心がける
離職防止ツールの目的が、社員の一律化にならないように注意することが大切です。自分の理想のために力を入れて取り組むと、社員のタイプが偏る可能性があるためです。こうなれば、さまざまな意見を取り入れられなくなってしまいます。
たとえモチベーションが低くても淡々と仕事をこなすことで成果を残す社員はいます。やる気の有無だけで判断するのではなく、会社としてのパフォーマンス向上に向けて導入することを忘れないようにしてください。
5-2.研修やアフターフォローの有無を確認する
離職防止ツール導入の際は、研修やフォローの代行サービスがあるかどうかも確認しておきましょう。離職防止ツールだけでは、離職の兆候や要因は把握できても、離職防止に向けた具体的な対策案までは教えてくれないためです。
規模の小さい企業など、離職の兆候がある社員のフォローにすぐに回れる企業なら問題ありません。もし、規模が大きくて社内で対応が難しい場合は、フォローや研修の代行サービスを実施している離職防止ツールを選びましょう。
5-3.ツールの使い勝手を確認する
必ず事前にツールを確認し、だれでも直感的に使うことができるツールを選ぶことが大切です。使いやすい離職ツールでないと、会社全体が協力的になってくれない可能性があります。
社員が使いやすい離職防止ツールを導入するためには、ツールのデザインや扱いやすさが非常に重要であるためです。
また、スマホやタブレットでも使用できるようなマルチデバイスのツールを選びましょう。
6. 優秀な社員を失わないために離職防止ツールを活用しよう!
いかがでしたでしょうか。
人材の流動性が高まる中で、離職防止は多くの人事担当者の方の関心事になっているのではないかと思います。
ぜひ、この機会に、ツールの活用も検討してみていただければと思います。