人事評価では、「定量目標」「定性目標」の2種類の目標を設定します。数字で表せる定量目標と、数字で表せない定性目標を組み合わせることで、従業員のパフォーマンスを可視化することが可能です。
本記事では、定量目標と定性目標の違いや、それぞれのメリット・デメリット、目標を設定するときのポイントをわかりやすく解説します。
人事評価制度は、健全な組織体制を作り上げるうえで必要不可欠なものです。
制度を適切に運用することで、従業員のモチベーションや生産性が向上するため、最終的には企業全体の成長にもつながります。
しかし、「しっかりとした人事評価制度を作りたいが、やり方が分からない…」という方もいらっしゃるでしょう。そのような企業のご担当者にご覧いただきたいのが、「人事評価の手引き」です。
本資料では、制度の種類や導入手順、注意点まで詳しくご紹介しています。
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目次
1. 定量目標とは?数字で表せる目標のこと
定量目標とは、◯◯円、◯◯件、◯◯%など、数字で具体的に表すことができる目標を指します。定量目標を設定すれば、目標の達成度や進捗状況を客観的に測定できます。誰が評価しても、目標を達成できたかどうかが明確にわかるため、人事評価の手間がかからず公平性が高いのも特徴です。
1-1. 定量目標の例
定量目標の例は以下のとおりです。
部署 |
定量目標の例 |
共通 |
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営業職 |
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管理職 |
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たとえば、「1日10件のアポイントを獲得する」という目標を設定する場合、アポイント獲得が3件の場合は達成率30%、12件の場合は達成率120%というように、目標達成度を数字で表現できます。具体的な数値を根拠として人事評価をしたり、業務を改善したりできるのが定量目標の特徴です。
2. 定性目標とは?数字で表せない目標のこと
一方、定性目標は数字で置き換えるのが難しい目標を指します。従業員が「どうあるべきか」「どうあって欲しいか」という理想像を目標に設定し、どれだけ基準を満たせたかを評価するのが特徴です。
日々の業務には、数値やデータで表現するのが難しい性質のものも多々あります。定量目標に偏った目標設定を行うと、「数値目標やノルマを達成すればよい」という意識が芽生え、人間関係やチームワーク、マネジメント能力など、定性的な要素を軽視する風潮が広がりかねません。
必要に応じて定性目標を設定することで、従業員の能力やスキル、業績、意欲や勤務態度などを多角的に評価できます。
2-1. 定性目標の例
定性目標の例は以下のとおりです。
部署 |
定性目標の例 |
共通 |
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営業職 |
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管理職 |
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定量目標と違って、目標をどれだけ達成できたかがひと目でわかりません。評価者の主観に左右される部分も多く、どのように公平な評価を行うかが定性目標の課題となります。
関連記事:【記入例あり】定性目標の書き方は?書き方の注意点や職種・階級別の目標を紹介
3. 定量目標と定性目標の違い
定量目標と定性目標におけるメリット・デメリットの違いは以下の表のとおりです。
項目 |
メリット |
デメリット |
定量目標 |
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定性目標 |
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定量目標は、数値やデータで目標を表すため、客観性が高いのが特徴です。誰が評価をしても同じ判断を下すことができる一方で、「過程(プロセス)が軽視されやすくなる」「たまたま結果を出した従業員も評価される」といった欠点もあります。また、従業員が短期的な成果のみを追求し、数字やノルマに関与しない業務を軽視するリスクもあります。
定量目標の欠点を補うのが定性目標です。定性目標では、従業員としてのあるべき姿を示すことができるため、中長期的な成長やスキルアップが期待できます。一方、目標を達成できたかどうかの判断があいまいになるため、公平な評価をおこなうための工夫が必要です。
4. 定量目標と定性目標の使い分け方
定量目標と定性目標は、業種や目標内容によって向き不向きがあります。定量目標と定性目標のどちらが人事評価に適しているか迷う場合は、以下の3つのポイントに従って使い分けるとよいでしょう。
- 業務の種類によって目標設定方法を変える
- 短期的な目標には定量目標を設定する
- 中長期的な目標には定性目標を設定する
まずは、業務の種類によって目標設定方法を使い分けるようにしましょう。定量目標に向いてい業種の1つに営業職が挙げられますが、契約数・売上など、数字をもとに評価できる場合は定量目標を用います。一方、顧客体験などにおいては数字での評価が難しいため定性目標が向いています。
また、短期的な目標には定量目標を、中長期的な目標には定性目標を設定すれば、両者のメリットを活かした目標設定が可能です。例えば、「既存顧客の解約率を減らす」という定性目標を設定した場合、目標を達成するために何をするべきかイメージしにくいでしょう。そこで「既存顧客への定期訪問回数を年2回に増やす」といった短期的な定量目標を設定すれば、目標達成までの道筋が見えやすくなります。
人事評価では、定量目標と定性目標をバランスよく組み合わせることが大切です。
5. 定量目標や定性目標を設定するときのポイント
定量目標や定性目標を設定するときのポイントは3つあります。
- SMARTの法則を意識する
- 定量目標と定性目標のバランスを考える
- 定期的に振り返りをおこなって目標を修正する
目標設定を行うときに共通して意識すべきなのが、SMARTの法則と呼ばれるフレームワークです。定量目標と定性目標のバランスを考えながら、従業員一人ひとりに合った目標設定をおこないましょう。また、定量目標や定性目標は定期的に振り返りをおこない、必要に応じて修正する必要があります。
5-1. SMARTの法則を意識する
SMARTの法則は、MBOなどの目標管理で使われるフレームワークです。
- Specific:具体的な目標を設定する
- Measurable:計測可能な目標を設定する
- Achievable:達成可能な目標を設定する
- Related:組織目標と関連性がある目標を設定する
- Time-bound:期限を決めて目標を設定する
定性目標の場合、計測可能(Measurable)な目標を設定するのは困難ですが、それ以外の部分はSMARTの法則に沿って決めましょう。特に重要なのが、期限を決めて目標を設定することです。数字で表せない定性目標であっても、期限や到達基準を明確に決めれば、目標を達成できたかどうかを明確に判断できます。
5-2. 定量目標と定性目標のバランスを考える
定量目標、定性目標のいずれかに偏った目標設定をおこなうと、公正な評価が難しくなります。たとえば、定量目標しか設定しない場合、数値目標やノルマに至るまでの過程が評価されず、成果主義に偏った評価制度になってしまいます。
定量目標と定性目標の割合は、6対4が理想的とされています。数字で表せる定量目標をベースにしながら、必要に応じて定性目標を組み合わせた評価制度を構築しましょう。
5-3. 定期的に振り返りによって目標を修正する
人事評価制度における目標は、定性的な振り返りをおこなって見直す必要があります。目標の達成率がよくない場合、そもそもの目標が合っていないかもしれません。従業員の進捗状況を確認しながら、一人ひとりの個性に合った目標を設定し、成長やスキルアップを促しましょう。
また、目標を設定したり見直したりするだけでなく、目標に対して定期的に評価をおこなうことも従業員のモチベーション維持や向上のため欠かせません。目標の立案と同時に、体系だった人事評価制度の運用は切っても切り離せないものです。しかし、現状、体系だった人事評価制度がなく導入を検討されている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
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6. 定量目標と定性目標の違いを知り、目標設定方法を見直そう
数字で表すことができる「定量目標」に対して、数値やデータに置き換えられない目標を「定性目標」と呼びます。定量目標と定性目標にはそれぞれメリット・デメリットがあるため、両者の強みを活かした目標設定が重要です。
目標管理制度(MBO)など、人事評価制度に目標管理を取り入れたい場合は、定量目標と定性目標を適切に使い分けましょう。
人事評価制度は、健全な組織体制を作り上げるうえで必要不可欠なものです。
制度を適切に運用することで、従業員のモチベーションや生産性が向上するため、最終的には企業全体の成長にもつながります。
しかし、「しっかりとした人事評価制度を作りたいが、やり方が分からない…」という方もいらっしゃるでしょう。そのような企業のご担当者にご覧いただきたいのが、「人事評価の手引き」です。
本資料では、制度の種類や導入手順、注意点まで詳しくご紹介しています。
組織マネジメントに課題感をお持ちの方は、ぜひこちらから資料をダウンロードしてご確認ください。