OKR管理ツールは、組織が目標管理を効果的に実施するためのツールです。目標の設定から進捗の追跡、成果の可視化まで、組織全体でのOKRプロセスを一元的にサポートします。
しかし、「どのようなOKR管理ツールを選ぶべきか」「導入のメリット・デメリットは?」など、疑問を抱えている方もいるでしょう。
本記事では、OKR管理ツールの基本機能や特徴、導入のメリット・デメリット、選び方のポイントについて解説します。OKR管理ツールの導入を検討している方は、ぜひ最後まで読んでみてください。
目次
1. OKR管理ツールとは
OKR管理ツールとは、目標(Objectives)、成果(Key Results)の2つを管理するツールのことを指します。
OKRとは企業やチームが定める目標と、それを達成するための具体的な成果を明確に設定し、計画的に進めるための管理手法です。この方法は、世界中の有名企業でも取り入れられており、日本でも導入が進んでいます。
全社員が共感できる大きな目標から、具体的なチームや個人の目標まで、一貫性をもってつながるように構造化することが必要です。OKRの特徴として、容易に数値化できないビジョンのような結果予想が困難な課題も含まれます。
1-1. 一般的なOKR管理ツールに搭載されている機能
OKR管理ツールの主な機能は下記の通りです。
機能 |
概要 |
OKRマップを可視化する |
全てのOKRをツリー形式で可視化し、企業全体の戦略への貢献度を明確にする |
OKR設定を作成する |
テンプレートを用いて、チームや個人のOKR作成を支援する |
進捗を共有する |
進捗報告を一括で更新し、最新の情報をリアルタイムに共有する |
アクションプランを管理する |
OKR達成に向けた行動計画の作成と管理をする |
リソース配分を明確化する |
各メンバーのタスクの優先順位やリソースの配分を明確にする |
議事録を一元化する |
OKR達成に向けた会議の内容を一元化し、情報を整理する |
これらの機能を利用することで、OKRの管理が一元化され、組織全体の目標設定や進捗管理がスムーズになります。
2. OKR管理ツールの3つの種類
OKR管理ツールは提供されている主な機能により、大まかに3つの種類に分けられます。
- OKR管理をメインにしたツール
- 1on1管理がメインで、OKR機能を持つツール
- タレントマネジメント機能を持ち、OKR管理が可能なツール
それぞれのツールは異なる特性と機能を持つため、自社の目的やニーズに合わせて選択することが重要です。以下、各ツールの特徴を解説しますので、チェックしておきましょう。
2-1. OKR管理をメインにしたツール
OKR管理を主な機能として提供するツールです。OKRの設定から進捗管理、達成度の分析まで一元的におこなえます。
とくにOKRの運用をこれから開始しようとする企業や、すでに運用していて効率化を考えている企業におすすめです。
2-2. 1on1管理がメインで、OKR機能を持つツール
主な機能は1対1のコミュニケーション(1on1)管理で、その一環としてOKR管理機能を持つものです。すでに1on1のコミュニケーションを実施している組織で、1on1の効率化や活性化と合わせて検討している場合に適しています。
2-3. タレントマネジメント機能を持ち、OKR管理が可能なツール
タレントマネジメント機能をメインに持つツールも、一部ではOKRの設定と管理をおこなえます。これらのツールは、人材の採用から育成、評価までの一連のプロセスを支援するためのものです。
目標管理機能はその一部として位置づけられます。タレントマネジメントを主体として検討している場合に最適です。
3. OKR管理ツールの6つのメリット
OKR管理ツールの導入は、組織の方向性の明確化からモチベーションの向上まで、企業に6つのメリットをもたらします。
- 組織の方向性が明確になる
- 創造性が向上する
- コミュニケーションが活性化する
- レスポンスが迅速化する
- モチベーションが向上する
- 目標管理を効率化できる
以下、それぞれのメリットについて詳しく紹介します。
3-1. 組織の方向性が明確になる
OKR管理ツールの最大の利点は、組織の方向性が明確になる点です。ツールを活用して目標を共有しておけば、チーム全体が同じ方向に向かって進み、個々の業務が全体の戦略にどのように貢献しているのかを理解できます。
3-2. 創造性が向上する
OKR管理ツールの使用により、従業員の創造性が向上します。具体的には、各レベルの目標が定量的に管理され曖昧さが排除されることで、従業員が積極的なアクションを起こしやすくなるのです。その結果、新しいアイデアが出てきたり、業務改善が進んだりすることが期待できるでしょう。
3-3. コミュニケーションが活性化する
OKR管理ツールを活用すれば、組織全体の目標を共有しつつ個々の進捗を見える化でき、社員間のコミュニケーションを活性化することができます。共同での問題解決や意見交換が容易になり、より協力的な環境が構築されるでしょう。
3-4. レスポンスが迅速化する
OKR管理ツールを使用し、目標を定期的に見直すことで、組織の変化や外部環境の影響に素早く対応できます。レスポンスの迅速化は、企業の持続的な改善と効率化に効果的です。
3-5. モチベーションが向上する
個々の業務が全体の目標にどのように連動しているかを明確にすることで、従業員のモチベーションが向上します。個々のパフォーマンスだけでなく、組織全体の生産性も向上するでしょう。
3-6. 目標管理を効率化できる
目標に対する従業員の進捗を可視化することで、適切なフィードバックがおこなえます。これにより、目標達成に向けた取り組みが促進され、組織全体の成果につながるでしょう。
4. OKR管理ツールの3つのデメリット
OKR管理ツールは、組織の方向性の明確化からモチベーションの向上など、多くのメリットを提供しますが、一方でデメリットも存在します。
- 目標の一貫性の保持が難しい
- メンバーのやる気が喪失する
- OKRの管理に伴う負担が増加する
以下、それぞれのデメリットについて解説します。
4-1. 目標の一貫性の保持が難しい
OKR管理ツールを用いる際の一つの難点は、組織全体としての一貫性の保持です。各チームが独立して目標を設定し管理できるため、会社全体の目標と整合性を保つことが求められます。
しかし、価値観やビジョンが十分に共有されていない場合、整合性が損なわれるかもしれません。結果として、組織全体の方向性がバラバラになるリスクがあります。
4-2. メンバーのやる気が喪失する
OKR管理ツールの導入により、一部の自律性の高いメンバーにとっては「柔軟性が低い」と感じてやる気が喪失する可能性もあります。
OKR管理ツールは、具体的な結果を目指して各メンバーに自己管理を求める特性があるためです。そのため、OKR設定の際に全員の意見を取り入れ、適切な説明やコミュニケーションをおこなうことが求められます。
4-3. OKRの管理に伴う負担が増加する
OKR管理ツールの導入によって、従業員や管理者の業務負担とストレスが増加する場合があります。OKR管理ツールの使い方の学習や目標管理などの新しい業務が追加されるためです。
とくに新入社員や初めてOKRを使用するメンバーにとっては、新しいツールの操作や概念の理解に時間と労力が必要になります。一時的に業務負担が増加し、ストレスが生じることも考慮しておかなければなりません。
5. OKR管理ツールの選び方を5つのポイントで解説
OKR管理ツールの選定は、組織の方向性の明確化やモチベーションの向上を達成するために重要です。選び方のポイントは以下の通りです。
- 使いやすい設計か
- カスタマイズ性は高いか
- サポートは充実しているか
- 他のツールと連携しやすいか
- テンプレートは充実しているか
それぞれのチェックポイントについて詳しく見ていきましょう。
5-1. 使いやすい設計か
OKR管理ツールを選ぶ際の重要なポイントのひとつは、使いやすさです。さまざまな背景やITスキルを持つ従業員全員が利用することを想定するため、直感的な操作性、明瞭なUI/UXは欠かせません。
また、スマートフォン対応や多言語対応などの機能も重要です。使いにくいツールは、OKR管理そのものの効率を落とす可能性があります。
5-2. カスタマイズ性は高いか
OKR管理ツールではカスタマイズ性も重視しなければなりません。各企業の目標は多種多様であり、目標に対応した形でツールをカスタマイズする必要があるためです。
ツールの項目変更機能やデータの蓄積・移行機能、組織再編に対応する機能などを確認しましょう。
5-3. サポートは充実しているか
適切なサポート体制は、スムーズな導入・運用に欠かせません。OKRツールの導入は単に操作を理解するだけではなく、組織全体の思考を変えることも必要なためです。
ツール選びの際には提供者からの適切なサポートやコンサルティングが提供されていることを確認しましょう。とくにOKR導入が初めての場合、サポート体制が整っているツールを選択することがとても重要です。
5-4. 他のツールと連携しやすいか
ChatworkやSlack、Teamsなど、普段業務で使用しているコミュニケーションツールとの連携も重要なポイントです。
報告を受ける側は、進捗報告があった際にツールへ通知が届くことで、都度確認する手間をなくせます。従業員側も、業務中にOKRを意識しやすくなるでしょう。
5-5. テンプレートは充実しているか
OKR管理にあたって、一からシートを作成し、従業員ごとに適切な目標を設定するのは工数がかかる作業です。さまざまな業種や組織のニーズに合ったテンプレートがあれば、導入や運用がスムーズにおこなえるでしょう。
また、業界の標準が反映されたテンプレートは、目標設定や進捗管理において、成果を最大化するのにも役立ちます。
6. OKR管理ツール導入前にしておくべき準備
OKR管理ツールの導入を成功させるために、以下のような準備をしておくとよいでしょう。
6-1. 従業員へOKRの重要性を共有する
OKR管理ツールの導入にあたり、まずは従業員にOKRの知識を浸透させ、目標設定や進捗管理の重要性を理解してもらうことが不可欠です。重要性や必要性を伝えておけば、ツールを積極的に活用してくれるでしょう。
6-2. 運用体制を整える
OKR管理ツールの導入前に、運用体制を整えておくことも重要です。責任者を決める、運用フローを策定するなどの体制を整え、使い方に関するフィードバックの頻度、報告方法なども明確にしましょう。
6-3. コミュニケーションの機会をつくる
OKR管理ツールを社内に浸透させるためには、従業員同士のコミュニケーションが欠かせません。Web会議やランチミーティングなど、コミュニケーションの機会を増やすことで、目標達成に向けた協力体制が促進され、成果の最大化につながります。
7. OKR管理ツールでより良い目標設計を実現しよう
今回は、OKR管理ツールのメリット・デメリットや選び方を紹介しました。
目標管理やタレントマネジメント、1on1などを組織として進めるうえで、OKR管理ツールは非常に役立ちます。
ぜひ、自社の状況にあわせた形で、ツール導入を検討してみてください。