人事評価システムには、人事評価が効率良く進んだり公正で適切な評価ができたりするなど、さまざまなメリットがあります。
数ある人事評価システムの中で、どれが自社に合っているのかわからないとお悩みの方も多いのではないでしょうか。
本記事では、人事評価システムの導入を検討している方に向けて、メリットやデメリット、選ぶ際のポイントを詳しく解説します。
目次
1. 人事評価システムとは
人事評価システムとは、従業員の評価をおこなう際の業務を自動化するシステムのことです。
人事評価をExcelや紙面でおこなう場合、評価シートの作成や従業員への配布、集計など、多くの時間と手間を要します。従業員が増えれば、その分評価に掛かるコストも増加するでしょう。
人事評価システムは、人事評価に不随する情報を一元管理できるため、時間短縮や適切な人材評価に役立ちます。
ここではさらに、人事評価システムの主な3つの利用形態を解説します。
1-1. オンプレミス型
社内に専用サーバーを導入し、システムの構築や運用を自社でおこなう形態です。従業員の多い大企業などで多く導入されています。
自社の人事評価制度やニーズに合わせてカスタマイズ出来る点がメリットです。
一方でサーバーからシステムまで一から構築するため、初期費用が高額で導入まで期間を要する点がデメリットとしてあげられます。
1-2. クラウド型
インターネット経由でシステムを利用する形態です。インターネットにつながる環境さえあれば、どこでも使用できます。
サーバーを自社で準備する必要がないため、導入コストを抑えられ、短期間で利用開始できる点がメリットです。
一方で自社向けのカスタマイズが難しいというデメリットがあります。
1-3. パッケージソフト型
ソフトウェアを購入し、パソコンにインストールして使う形態です。ソフトの初回導入費用はかかりますが、その後月額費用やサーバー費用は発生しません。
バージョンアップやメンテナンスは自社でおこなう必要があり、自社向けのカスタマイズには不向きです。
2. 人事評価システムの主な機能
人事評価システムではさまざまな機能が提供されています。代表的な機能を3つご紹介します。
- 目標・進捗管理機能
- 評価・分析機能
- 従業員情報の管理機能
2-1.目標・進捗管理機能
1つ目は目標・進捗管理機能です。従業員本人と、評価する上司や人事部との間で目標設定を共有できます。
目標の進捗状況や成果をリアルタイムに把握できることが特徴です。従業員本人が目標達成に向けてモチベーションを維持でき、評価者もアドバイスしやすくなります。
また、上司との面談内容やフィードバック内容を登録しておくことで、次の目標設定に活かせるでしょう。
2-2.評価・分析機能
人事評価システムを導入すると、さまざまな評価・分析機能を利用できます。代表的な評価方法として、以下4つがあげられます。
評価方法 |
概要 |
MBO評価 |
従業員が目標を設定し、進捗や達成度をもとに評価する方法 |
OKR |
企業の目標を理解した上で高めの目標を設定し、主要な成果によって評価する方法 |
コンピテンシー評価 |
職種ごとに高い業績・成果を上げている従業員の行動特性を基準に、評価する方法 |
360度評価 |
上司だけでなく同僚や部下、取引先の顧客など、多面的に評価する方法 |
評価データを分析してレポートを作成したり、人材育成に活用したりすることも可能です。評価する上司や担当者が変わった場合も人事評価システムを活用することで、データの引継ぎをスムーズに進められます。
2-3.従業員情報の管理機能
従業員の情報をシステム上で一元管理できる機能もあります。
社員の個人情報のほか、職務経歴や実績、スキル、保有資格などの情報を一括で管理できます。複数部署に散財しがちな情報を一か所に集約できるため、配属先を検討する際にも役立つでしょう。
なかには、組織内で従業員をパズルのように動かして、人材配置シミュレーションできるシステムもあります。
3. 人事評価システムを導入する4つのメリット
さまざまな機能をもつ人事評価システムによって得られるメリットを4つご紹介します。
- 人事評価の手間や時間を短縮できる
- 従業員の情報を一元管理できる
- 客観的で公平な評価ができる
- 適切な人材配置を実現できる
3-1.人事評価の手間や時間を短縮できる
時間や手間のかかる業務を自動化できるため、担当者の時間を短縮できることが人事評価システムの最大のメリットです。
人事評価をおこなう際、評価項目の設定や評価面談の実施、データ集計・分析など、多くの作業に時間と手間がかかります。
人事評価システムでは人事評価の進捗状況をリアルタイムで把握でき、紙やExcelの書類を回収・集計・分析する手間を削減できます。
3-2.従業員の情報を一元管理できる
システム上で目標の設定・共有・管理の一元化が可能です。たくさんの評価項目の設定から集計、分析まで、人事制度の運用も容易に実現できます。
なかには労務データや勤怠データなど、多くのシステムと連携できるものもあります。連携機能を活用すると複数部署の担当者が必要な情報をすぐに取り出せることも利点です。
3-3.客観的で公平な評価ができる
人事評価システムを導入することで、公平で透明性の高い評価ができます。
人間が評価する場合、どうしても担当者の主観が入ってしまいがちです。人事評価システムを使うことで従業員の働きを客観的な数値から評価できるため、能力や成果に見合った評価ができます。
評価の過程や基準を明確にすることで「評価者によって評価結果が異なる」「評価に納得できない」など不満による離職を防げます。
3-4.適切な人材配置を実現できる
人事評価システムを活用すると、従業員一人ひとりの特性をもとに、適切に人材配置できるようになります。
人事異動を検討する際、従業員の能力や経験、スキル、成果を見ながら判断可能です。適した部署やプロジェクトへの配置がしやすくなります。
4. 人事評価システムを導入する2つのデメリット
人事評価システムには、メリットだけでなくデメリットもあります。事前に把握しておきたいデメリットは以下の2点です。
- コストがかかる
- 適切に運用できるまで時間がかかる
4-1.コストがかかる
人事評価システムの導入・維持には多くの費用がかかります。システムを導入したくても、コストがネックとなり導入できないと考える企業は多いでしょう。
コストに見合うシステムを選ぶためには、どのような機能があれば現在の課題を解決できるのかを整理しておくことが大切です。
なかには、機能や利用人数に制限があるものの無料で使用できるソフトや、無料トライアルを実施しているシステムもあります。本格的に導入する前に人事評価システムを試してみたい方におすすめです。
4-2.適切に運用できるまで時間がかかる
人事評価システムの運用がスムーズに進むまでには、時間がかかります。
導入後は全従業員の情報をデータベース化する作業が発生します。また、システム導入によって従業員が不安を抱くことのないよう、運用ルールの策定やフォロー体制の整備も必要です。
評価者が安定した精度で評価するために、定期的に研修を行うとよいでしょう。また、システムや評価基準の周知を徹底するために従業員に向けて説明会を開催することも重要です。
5. 人事評価システムを選ぶ際の2つのポイント
人事評価システムのメリット・デメリットを理解したら、自社で導入するシステムを選びましょう。導入する際のポイントを解説します。
- 自社に合った評価ができるか
- 使いやすいかどうか
5-1.自社に合った評価ができるか
現在の人事評価方法に対応しているかを確認しましょう。評価方法にはMBOや360度評価など、さまざまな種類があります。
無料デモなどを活用し、現在の評価方法を引き続き使用できそうか、シミュレーションしておくと安心です。
5-2.使いやすいかどうか
画面のデザインや操作性の良さも重要です。
わかりにくい画面だと操作に慣れるまで時間がかかります。使用する社員からの問い合わせが増えると、対応に追われる人事の負担につながります。
不明点が発生したときに、必要なサポートが受けられると安心です。カスタマーサポートに電話がつながりやすいか、チャットでの問い合わせは可能か、専任の担当者がつくかなども事前に確認しておきましょう。
6. 人事評価システムを効果的に活用しよう
いかがでしたでしょうか。
人事評価の方法は、企業によって異なるケースも多いと思います。
ぜひ自社にあったシステムの活用を検討してみてください。