「人的資本の最大化」を実現する最先端のキャリア開発3.0|リンクアンドモチベーション「HR Transformation Summit 2022 Autumn」イベントレポート |HR NOTE

「人的資本の最大化」を実現する最先端のキャリア開発3.0|リンクアンドモチベーション「HR Transformation Summit 2022 Autumn」イベントレポート |HR NOTE

「人的資本の最大化」を実現する最先端のキャリア開発3.0|リンクアンドモチベーション「HR Transformation Summit 2022 Autumn」イベントレポート

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※本記事は、主催企業や登壇者/登壇企業に内容を確認のうえ、掲載しております。

現在、人的資本経営やその情報開示への注目は増々高まり、企業においても本格的な動きが始まっています。

今回は、2022年11月に実施されたリンクアンドモチベーションによる「HR Transformation Summit 2022 Autumn」にて、法政大学キャリアデザイン学部の田中教授をお招きし、「人的資本の最大化」を実現するためのキャリア開発について講演いただいた内容を、イベントレポートでお届けします。

ぜひ参考にしていただければ幸いです。

本記事で学べること
  • 「人材を活かす」ために重要なキャリアの考え方
  • 最先端のキャリア観「プロティアン・キャリア」とは
  • 最新研究データから見えたキャリア醸成のポイント
  • 人的資本経営の指標の鍵となる「キャリアとエンゲージメント」の考え方

田中 研之輔|法政大学 キャリアデザイン学部教授/一般社団法人プロティアン・キャリア協会 代表理事/株式会社キャリアナレッジ 代表取締役

一橋大学大学院社会学研究科博士課程修了。専門はキャリア論、組織論。日本学術振興会特別研究員SPD 東京大学/博士:社会学。UC. Berkeley元客員研究員。University of Melbourne元客員研究員。著書29冊。『辞める研修 辞めない研修–新人育成の組織エスノグラフィー』『先生は教えてくれない就活のトリセツ』『ルポ不法移民』『丼家の経営』『都市に刻む軌跡』『走らないトヨタ』、訳書に『ボディ&ソウル』『ストリートのコード』など。

【モデレーター】林 幸弘|株式会社リンクアンドモチベーション モチベーションエンジニアリング研究所 上席研究員/ISO 30414リードコンサルタント

早稲田大学政治経済学部卒業。2004年、株式会社リンクアンドモチベーション入社。組織変革コンサルティングに従事。現在はリンクアンドモチベーショングループのR&Dのほか、全社の経営戦略の立案・推進を担う。経営と現場をつなぐ「知の創造」を行い、世の中に新しい文脈づくりを模索している。

1. 人的資本経営における「キャリア自律マネジメント」とは|田中教授

私は、キャリア開発を専門とし、最先端のキャリア自律の知見である「プロティアン」を日本企業の方に知っていただきたいと考え、『プロティアン 70歳まで第一線で働き続ける最強のキャリア資本術』という書籍を出版しています。また、一般社団法人を立ち上げて、企業のキャリア開発もプロデュースしています。

本日は、アカデミックな知見に加え、皆さんが「今日からできることは何か」という観点でお話したいと思います。

本日の話の前提として、キャリア開発に関する世の中の動向は「パンドラの箱が開いた」状態だと捉えています。

パンドラの箱とは、「これまで当たり前だったことが変わるメタファー」ですが、これまでのように組織の中でキャリアを育てる「組織内キャリア」から「自律型キャリア」へとシフトしています。

つまり、一人ひとりが自らキャリアオーナーシップを持って主体的に仕事をしていく。そんな転換期を迎えているのです。

最近は、大手企業やベンチャー企業の感度の高いチームから「自律型キャリア開発をどのように進めれば良いか」といった問い合わせが増えています。また、2022年は人的資本経営元年とも呼ばれ、人的資本の情報開示についても注目度が高まっています。

これらの動向とキャリア開発がどのような関係性にあるのか、その理解を皆さんと一緒に深めていきたいと思います。

1-1. 正しい「キャリア」の捉え方

まず、多くの方がキャリアについて「今までやってきたこと=過去のもの」と解釈していると思います。

この考え方は間違っていませんが、最先端のキャリア開発では、「今までやってきたこと」だけでなく「これからやっていくこと」まで含めてキャリアと捉えます。

また、「自律型キャリア」の「自律」という言葉についても説明しておきましょう。

「立つ」と書く「自立」は、一人でできることを意味します。例えば、親の支援を受けず、一人で生活できるようになることを「経済的に自立する」と言いますね。

この「自立」という言葉を使う場合は、通常チームワークなどの組織行動は考慮されないため、今求めているキャリア開発を考える上で少し足りないでしょう。

一方、「自律」は、「個人と組織のより良い関係性を作っていく行動」、つまり関係論的アプローチです。

このように、キャリアは過去だけでなく未来も含むこと、また個人と組織のより良い関係性を作っていくものであると理解いただきたいです。

1-2. 「キャリア自律度」が高い人は「人生満足度」が高い

上図は、パーソル総合研究所が行った「従業員のキャリア自律に関する定量調査」のデータです。キャリア自律をするとどうなるか示しており、赤色がキャリア自律度の高い人たち、青色がキャリア自律度の低い人たちを指します。

この図からわかるように、キャリア自律すると、個人のパフォーマンス上がり、学習意欲や仕事充実感、ひいては人生満足度も上がります。さらにワークエンゲージメントも上昇し、チームへの貢献も上がる結果が読み取れます。

日本では、ロンドン大学のリンダ・グラットン先生が『LIFE SHIFT (ライフ・シフト) 』を展開した時から「人生100年時代」という言葉が使われるようになりました。

私は、この言葉のルーツにキャリアのフレームがあると考えており、キャリア開発について「SDCs(持続的な開発目標)」と捉える考え方を共有していきたいと考えています。

この背景には、持続的な開発目標である「SDGs」のように、育児や介護などのライフイベントや体調にあわせて、持続的なペースでじっくりとキャリア開発をしましょうというメッセージを込めています。

1-3. 今必要なことは「3つの戦略」を策定すること

まず経営者や人事のトップの方々に取り組んでいただきたいことは、経営戦略」「事業戦略」「キャリア戦略」の3つの戦略策定です。

「経営戦略」「事業戦略」は日頃から取り組んでいらっしゃると思います。しかし、「キャリア戦略」は人的資本経営を進める中で抜け落ちていることが多いのではないでしょうか。

一人ひとりの社員のキャリア自律性を高めるキャリア戦略なくして、人的資本経営がうまくいくことはありません。ぜひ「社員一人ひとりのキャリア戦略に寄り添っているか」「何が社員のキャリア成長を停滞させているのか」といったことを考えてみてください。

社員の方に、直接聞いても構いません。キャリアのブレーキを探して1つずつ外していけば、徐々にアクセルが踏めるようになります。皆さんの心がけやキャリア開発施策によって、社員のキャリア自律は高まっていきます。

もちろん、ただ社員に「キャリア自律しましょう」というだけでは、説得力や根拠に欠けると思います。ここで、最先端の知見である「プロティアンキャリア」についてご紹介します。

プロティアンキャリアとは「変化に適合しながら、自ら主体的にキャリアを創ること」です。

プロティアンキャリアが必要な背景としては、「2025問題(2025年には約800万人いる団塊の世代が後期高齢者(75歳)となり、国民の4人に1人が後期高齢者という超高齢化社会を迎えること) 」が挙げられます。

日本は、今後もずっと人材不足が続きます。人材が増えるには20年かかりますから、20年は状況が変わらないわけです。

そのように考えると、必然的に「今いる人をいかに活かすことができるか」が重要になります。

ここで、「今いる人をいかに活かすか」と考えたとき、ブレーキとなる3つの問題があります。

まずは、若手層のブレーキです。働き始めてからの最初の10年は、どうしてもキャリア展望が不透明になりがちで、「このままでいいのだろうか」と悩むものです。

ミドルシニアキャリア形成期は、組織内のキャリアにしがみついてしまい、他を見なくなります。そして上のレイヤーになるとポストオフ後のモチベーションが低下するケースが多いです。

「今まで大きな案件を進めてきて、部下もたくさんいて、チームも大きかった」というキャリアの方が、退職を機に「この先どうなるんだろう」と不安に駆られてしまうのです。

このような問題があるからこそ、プロティアン・キャリアという考え方が重要になってくると考えます。

1-4. プロティアン・キャリアを築くための方法とは

プロティアンキャリアは、組織に囚われることなく、個人によって作り出されるキャリアです。外的に決められた基準による成功ではなく、心理的成功感を高めるキャリアを意味します。

これは決して難しい話ではありません。他人軸ではなく、自分軸で働ける社員を増やすということになります。

では、どのようにプロティアン・キャリアを築いていくのか。

これまでは、組織の中で昇進・昇格といったキャリアラダーがありました。しかし、これからは、この昇進・昇格で判断するのではなく、皆さんが主人公となり、今いる組織をどれだけ活かすことができるかが大切になります。つまり、キャリアの成否を決めるのは自分なのです。

そして、プロティアン・キャリアを形成するためには、2つの鍵があります。「アイデンティティ」と「アダプタビリティ」です。

まず「アイデンティティ」、つまり自分らしくあることが必要です。しかし、自分らしくあることだけを求めるキャリア開発であれば、今までとそれほど大きくは変わりません。

そこで大切なものが「アダプタビリティ」、つまり変化に適合し、活かす力を育て上げることです。

この「アイデンティティ」と「アダプタビリティ」を伸ばしていくために、「経営戦略」「事業戦略」だけでなく「キャリア戦略」が必要になります。

1-5. 「プロティアン診断」で定期的にキャリアを見直す

ここで、皆さんがプロティアン人材かどうかを測る「プロティアン診断」をご紹介します。「プロティアン診断」は、既に10万人ほどの社員に受けていただいたもので、キャリア開発の視点から15個の因子を入れたものです。

結果は、次の3グループに分かれます。3点以下ならノンプロティアン人材。4点から11点だとセミプロティアン人材で、キャリア形成は行っているものの変化への対応が弱いと判断できます。12点以上はプロティアン人材です。

一度診断したら、3カ月後、6カ月後も継続して行いながら点数を増やしていってください。繰り返すことで、行動変容につながっていきます。

管理職やマネジャーの方が実施する「1on1」では、スコアが3点以下になった方々から重点的にやっていただきたいとお伝えしています。

1-6. 自律的なキャリアを描くためのポイント

キャリアを描くためのポイントは、過去思考ではなく、「未来に向かって時間軸を伸ばしていく」ことです。今までの業務を振り返ることも必要ですが、「今から1年、3年先に何をしていきたいのか?」と未来に向けた問いも重要になります。

2週間に1回、10分間で良いので、半年後の自分を言語化してみてください。紙に書いてもいいし、SNSなどに書いても構いません。

具体的に、「これから私は人的資本最大化のプロジェクトをやっていきたいんだ」とか「今、任されている法人営業をしっかりグロースさせたいんだ」などと書きながら、未来軸で考えていきます。

また、自律的なキャリア形成に関しては、次の3つの心がけが必要です。

1つ目は、他責にせず、当事者意識を持ち「仕事」を大切にすること。

2つ目は、過去を否定しないことと学び続けること。「私はこれだけしかやっていない」と考える人は多くいますが、「私はこれだけやってきた」と認識することが大切であり、これができるかどうかでキャリア自律の出発点が変わってきます。

3つ目は、学び続けること。私たちはビジネスパーソンとして、市場価値を高め続けなければいけません。

もし今、社員の方々が退屈そうにしていて「キャリア停滞が起きているな」と感じるならば、社員が持っているスキルに対して目の前のチャレンジの難易度が低いと考えられます。チャレンジの難易度が低いと退屈になるのは当然と言えます。

車の車検や健康診断と同じく、キャリア開発でもセルフチェックが大切です。このようなワークシートを用いながらキャリア自律のチェックをしてみてください。

また、キャリアのブレーキを探し出すには、次のフレームが有用です。過去、現在、未来の3つに分けて、キャリアの悩みや解消方法を書き出してもらいます。

また、あわせて「4L」というフレームもぜひ活用いただきたいです。Labor(仕事)、Learning(学習)、Leisure(余暇)、Love(愛情)の4つのLをチェックするものです。

事業の進捗や売上を確認するように、社員一人ひとりのコンディションを見ていくものです。

1-7. キャリア自律を促す人事諸制度の方向性

今後は、「人的資源管理 (HRM) から人的資本管理 (HCM) 」の方向で人事制度を考えなくてはなりません。人は資源ではなく、働きながら成長していく資本なのです。

そこでお伝えしておきたいのが「キャリアキャピタル(キャリア資本)」という考え方です。

キャリア形成時に蓄積されるものを、キャリア資本と捉えます。キャリア資本は、スキルや職歴などの「ビジネス資本」、職場や友人、地域などとのつながりから生まれる「社会関係資本」、金銭や財産などの「経済資本」の3つがあります。

キャリア資本については、「ビジネス資本」と「社会関係資本」が貯まるほど、キャリアがうまくいくと言われています。

このように、キャリア資本戦略の中長期計画を作成するのもおすすめです。

DX(デジタルトランスフォーメーション)は、日頃から皆さんが考えられていると思います。今は、目の前の業務の効率化を図り、生産性も高めていかなければならない時代です。

ただ、それだけでは不十分です。人的資本経営の心臓は「人」ですから、人の変革、キャリアの変革も不可欠です。

私は、CX(キャリアトランスフォーメーション)と呼んでいますが、DXだけでなく、ぜひCXにも力を入れていただきたいと思います。

1-8. やるべきことは「個人パーパス」の策定

人的資本経営におけるキャリア自律マネジメントとして、ぜひ取り組んでいただきたいことは、1年間の個人パーパスを決めることです。

まずは、「この1年で何をしたいのか?」をしっかり考えてください。そして、5年間という中長期で自己投資戦略を策定します。「どのようなビジネス資本や社会関係資本を、どのように蓄積していきたいのか?」を戦略的に考えてください。

少し長い時間軸で考えることも重要です。例えば、人生100年軸で考えてみてください。

キャリア開発は生きている間、ずっと続いていくものです。「仕事を通して人生に何を残したいのか?」「プライベートも含め、どのような生き方をしていきたいのか?」といったことを考えて共有することは非常に大切です。

最後に、本日の講演内容をまとめておきます。必ずインプットしていただきたいことは、人的資本経営を促進させるエンジンはキャリア自律マネジメントだということです。

そして、その方向性は組織内キャリアから自律型キャリア、プロティアン・キャリアへと転換を図ることです。そのために、まず定期的にキャリア診断を実施しましょう。

過去ではなく、今の状態をチェックして、何を伸ばすか考えていきます。これは、3か月などの短いスパンではなく、数年ほどの中長期で進めていきます。計画的に社員のキャリア自律を促すようにしていけば、社員の組織内エンゲージメントと心理的幸福感スコアが両方とも上がっていきます。

「キャリア自律を促すと、パフォーマンスが下がる」というエビデンスは全くありません。皆さんの会社の組織フェーズに合わせて、教育、研修、開発のほか、診断・評価といった手法も含め、ぜひ戦略的にキャリア自律施策を設計していってください。

2. トークセッション|田中教授×リンクアンドモチベーション林

ここからは、田中先生にいくつかご質問をする形でトークディスカッションを進めてまいります。

Q1.  田中先生が自身のキャリアを切り開くために心がけていることは?

田中先生は最先端の理論を学ぶだけでなく、数多くの企業現場に入り、そこで得た知見を惜しみなく書籍などで公開されている点が印象的です。先生が共有された知見が、社会関係資本となり、田中先生ご自身のキャリア資本にもなっているのではと感じました。

これを踏まえて、ご自身のキャリアを切り開いていくために心がけていることをお伺いできますでしょうか。

私は、アメリカから帰国し2008年に法政大学に着任した後、自身の「キャリアプラトー(キャリアの停滞化)」を感じていました。

学生たちに教えることは、もちろん有意義な仕事です。しかし「このまま大学の業務をしていて、自分のキャリアは成長していくのだろうか?」と思っていたのです。

大学の中でチャンスを得る方法もありました。しかし、私の場合は、実際に人事施策やシステムが機能している大学の「外」を意識するようになりました。

よく事業ではアジャイル開発がなされていますがキャリアもアジャイル開発で良いと考えています。色々なPDCAを回すことが大事ですので、私は大学での仕事を続けながら、どんどん外に出るようにしました。

当時は、ソフトバンクアカデミアで7~8年ほど、事業開発提案にもチャレンジしました。アカデミアで出会った仲間たちは、後に社会関係資本になりましたね。

このような場に行くことは、難しいことではありません。一歩踏み出すだけだと思いますので、本日視聴いただいている皆さんにも、何か1つで良いのでアクションを起こしてほしいです。

経営者や人事の皆さんの働き方や生き様は社員の参考となり、少なからず影響を与えているはずです。そのように考えると、やはり皆さん自身にもキャリアを切り開いていただきたいと考えています。

ほかにも、自分は「プロデューサーである」という視点も意識していて、今は“人事の秋元康さん”を育てたいと思っています。

今まで社員がやってきたことを追求して「何でこれだけしかできないの?」と言う管理職は、これからの企業には必要ありません。管理ではなく、人材をグロースする視点が大切です。

それぞれの業界で活躍されている方々は、ある種の秋元康さんだと捉えているので、私が持つ情報はできる限り発信して、プロデュースして、光を当てて舞台を作ってあげれば、ビジネス領域の中でどんどん主体的に輝いていくはずです。

Q2. 「キャリアプラトー(キャリアの停滞化)」から抜け出すためには?

「キャリアプラトー(キャリアの停滞化)」に関して、「今の配属先が合わない」などと他責にせず、過去を否定せずに学び続けることが大事というお話がありました。

「過去を否定しない」ことは難易度が高いと感じますが、少しでも早く「キャリアプラトー」から脱せる、もしくは「キャリアプラトー」を前向きに捉えられるコツはありますか?

前提として、「停滞」とは「悩むこと」です。できる限り「悩む」時間を減らすことがファーストアクションとなりますが、「悩む」のではなく「考える」ようにしてほしいんですよね。

「キャリアを考える」ことは、とてもポジティブです。「今、こんな状態で3つのやり方がある。そのうちの1つを選んで行動してみよう」と現状を乗り越える方法を考えています

一方、悩んでいる状態は「どうしたらいいのかな。今日もまた駄目だったな。明日も何をしたらいいかわからない」となっています。キャリアの停滞期にあるビジネスパーソンは、まず客観的・相対的に自分を捉えて、悩む状態から考えることに意識を向けることが大切です。

加えて、私が今一番おすすめしたいことは「今いる組織の中での宝探し」です。社内にどんな施策があり、どんなチャレンジが可能であるか。手上げ制や副業制度はあるか、といった宝探しをすることです。

そして、宝探しが終わったら外を見てみましょう。オンラインで学びに行くことを禁止する企業なんてありません。皆さんが関心を持ったことについて、ぜひ学びにいってみてください。

そのほかにも、私はよく「趣味の時間を考えて、行動週間を振り返ってみてください」とお伝えしています。ヨガ、ピラティス、ランニング、マラソンといったことを週に必ず2回はやっているという方もいれば、中には「スマホで自分のゴルフのスイング動作を録画して、うまい人と比べています」といった方もいます。この主体的で自律的な行動こそが、自律的なキャリア形成です。

このように、趣味に対して主体的で自律的な行動ができているにも関わらず、なぜかビジネスシーンでは急に「指示を待つ」「言われたことをやる」「評価を上司に伺う」と他人軸になってしまいます。だからこそプロティアン・キャリアが必要で、私は皆さんに考え方を積極的に公開しています。

私たちは、どうしても「他人軸」で動きがちです。大学に入るときは偏差値で比較され、社会に出たら組織の階層があり、同僚の出世と比較する環境にあります。

グローバルに見ても、やはり日本は比較的・相対的に見る傾向にあります。比較して前向きになるなら良いですが、憔悴してしまうのでもったいないところです。

「なぜ自分はこうなれないんだろう」と思い悩むのではなく、2週間に1回、10分で良いので、半年後の自分自身の姿を何度も言語化してみてください。「どんな仕事をしていきたいのか?」「どんなキャリアを作っていきたいのか?」と繰り返すことで、少しずつ霧が晴れていくはずです。

3. まとめ

最後に、視聴いただいている経営者や人事の皆さんに対して、メッセージをお願いします。

本日はみなさんありがとうございました。

現在の日本は、人口不足に直面し、市場はシュリンクしています。これは周知の事実です。この事実を他人事にせず、今私たちにできることを考えていただきたい。その「できること」の1つが、人的資本経営であり、人的資本を最大化する取組みです。

皆さんが日々関わっているチーム、同僚、クライアント、そしてご家族などのプライベートを含めて、ひとりひとりのキャリアのプロデューサーになっていただきたいと思っています。

私も、専門的知見を皆さんに届けるだけというスタンスではありません。今後も企業の現場で、皆さんと共にキャリアについて考えて、アジャイル型のキャリア開発を進めていきたいです。本日はどうもありがとうございました。

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