日々の業務をこなすうえで、目標の有無はモチベーションに大きくかかわるポイントです。また、目標があっても内容が曖昧では「何をどれくらい進めればいいのか」が不明瞭で、次第にパフォーマンスの低下を招きます。
そこで考えたいのが目標の数値化です。目標を数値化することにはさまざまなメリットがあり、実施している企業も数多くあります。この記事では目標の数値化について、効果的な設定方法や注意点などについて解説しますので、ぜひ参考にしてください。
人事評価制度は、健全な組織体制を作り上げるうえで必要不可欠なものです。
制度を適切に運用することで、従業員のモチベーションや生産性が向上するため、最終的には企業全体の成長にもつながります。
しかし、「しっかりとした人事評価制度を作りたいが、やり方が分からない…」という方もいらっしゃるでしょう。そのような企業のご担当者にご覧いただきたいのが、「人事評価の手引き」です。
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目次
1. 目標の数値化とは
目標の数値化とは、達成すべき目標について数値を用いて設定することです。「売り上げをアップさせる」「従業員を採用する」という曖昧な目標ではなく、「売り上げを前年よりも○%アップさせる」「1年間で従業員を5人採用する」など、より具体的に目標を設定します。
このように目標の数値化をおこなうことで、従業員と管理側の双方にあらゆるメリットが期待できます。
1-1. 定量目標と定性目標の違い
目標は、定量目標と定性目標の2つに大きく分類できます。
定量目標とは、具体的な数値を使った目標のことです。たとえば、先ほど紹介した「売り上げを前年よりも○%アップさせる」という目標は定量目標といえるでしょう。
一方の定性目標とは、数値で表現できないような目標のことです。「新しい従業員を採用する」「社内のコミュニケーションを活性化させる」といった目標は、定性目標に該当します。
定量目標と定性目標にはそれぞれメリット・デメリットがありますが、根本的な優劣はありません。どのような目標を設定すべきかは、業種・職種や企業の状況によって異なるため、臨機応変に判断しましょう。
2. 目標を数値化するメリット
目標を数値化することにはどのようなメリットがあるのかチェックしておきましょう。
2-1. 目標を明確にすることで「何をすべきか」が理解しやすい
目標を数値化することで「目標を達成するために必要な行動」を理解しやすくなります。たとえば、ダイエットをする際も「少し痩せたい」という目標と「3カ月以内に5キロ痩せる」という目標では、後者の方が具体的な行動予定を立てられるでしょう。
ビジネスでも同様に、「売り上げを上げる」というような漠然とした目標では、行動する方向性を誤ってしまう恐れもあります。そこで「新規顧客を○件獲得する」「受注継続率を○%にする」など数値を絡めて具体的にすることで、行動に必要なステップを明確にすることが可能です。
2-2. モチベーションアップや維持につながる
日々の仕事が「ただこなすだけの作業」になってしまうと、モチベーションの低下を招きます。目標を数値化すれば、現在の達成度を具体的に把握しやすいため、「目標達成のためにどれくらい頑張ればよいのか」がわかりやすくなり、モチベーションアップや維持につながります。
2-3. 業務の進捗を把握しやすくなる
目標が数値化されることで、目標に対して進捗を具体的に把握できます。また、中間報告などで目標に対しての達成率によって、計画の軌道修正を迅速かつ柔軟に判断できるのもポイントです。
課題・成功点などの洗い出しや明確な指示出しがしやすくなる点も数値化のメリットといえるでしょう。
2-4. 公平・公正な評価がしやすい
目標が数値化されていないと、客観的に公正な評価がしにくいものです。しかし、目標が数値化されていることで、達成・未達成がシンプルに評価できるようになります。また、未達成の場合でも「どれくらい達成できなかったのか」が見えることで、次の目標設定や業務へ生かすことが可能です。
2-5. 方向性を修正しやすい
方向性を修正しやすいことも目標を数値化するメリットのひとつです。市場の変化などにより、当初の目標を変更する必要が出てきた場合でも、数値を増減させることで簡単に方向性を変更できます。スケジュールの遅れや予想外のトラブルが発生した場合でも、柔軟な対応が可能です。
ここまで数値化のメリットを紹介しましたが、具体的な目標をかかげるだけでなく、目標に対して定期的に評価をおこなうことも従業員のモチベーション維持や向上のために欠かせない点です。目標や行動計画の立案と同時に、体系だった人事評価制度の運用は切っても切り離せないものです。しかし、そもそも現状、体系だった人事評価制度がなく導入を検討されている方もいらっしゃるかもしれません。
人事評価制度を整えると言っても何から手をつければ良いか分からずお困りの方へ向けて、本サイトでは「人事評価の手引き」を無料で配布しています。自社にとって適切な人事評価制度を検討するために、まずは人事評価制度について網羅的に理解したいという方は、こちらから資料をダウンロードしてご活用ください。
3. 目標の数値化を効果的に実践するコツ
目標の数値化をうまく実践するために、以下のようなポイントを意識しましょう。
3-1. 目標を具体化する
目標を数値化する際は、目指すべき方向性を具体的に考えることが重要です。たとえば、売上をアップさせたいという目標があった場合、いつまでに達成したいのか、どの程度アップさせたいのか、といったポイントを考えると目標が具体的になります。
また、前年と比較して◯%アップさせる、◯件以上の成約を獲得するなど、指標を明確にすることも重要です。
3-2. 個々の能力に見合った目標を設定する
目標を数値化するといっても、達成ラインが簡単すぎたり困難すぎたりしてはモチベーションアップにつながりません。また、人によって能力も異なるので、それぞれに合わせた目標を設定しましょう。人数が多く個別の設定が難しい場合などは、ランク分けによる目標の数値化をするのも一つの手です。
3-3. 目標達成までのステップを分解する
目標の数値化は「目標達成のために今すべきことは何か」を考えてこそ意味を成します。目標とセットで、必要なアクションも検討しましょう。
仮に、「新規顧客を5件獲得する」という目標を立てたとします。目標達成への道のりを分解すると、「電話をかけて営業する」「企業へ訪問して営業する」「営業メールを送る」などの行動が必要です。この行動にも数値を設定することで「1日に電話を○回かける」「1週間で○社に訪問する」「1カ月に○通のメールを送る」など、取り組む行動が明確になります。
4. 事務職や管理部門の目標を数値化する方法
営業や製造などに携わっている従業員であれば、利益や売り上げなど目標の数値化が比較的簡単です。しかし、行動が売り上げに直結しない管理部門の場合は、どのような目標を設定すればよいのでしょうか。
ここでは、事務職や管理部門の目標を数値化する方法を紹介します。
4-1. どのような状況を達成するか、成果目標を定める
経理や人事、営業支援などの管理部門は「業務の平準化・効率化」や「企業理念の浸透」「従業員の残業削減」などを目標にするケースが多いでしょう。そのとき「どのような変化が起きたか」という点に着目すると、数値化する目標やそれに対する評価に納得感が生まれます。
具体例は以下の通りです。
- 部署の平均残業時間を月〇時間以内にする
- 企業理念の理解度チェックを実施し、○点以上の従業員が%以上
- 新人研修の満足度で「満足」が○%以上
4-2. 活動頻度や回数を数値化する
新人研修などを実施した場合、その成果を数値化し、研修がどの程度役に立ったかを自身で判断するのは困難です。このようなケースでは、企画や実施回数、制作物などの活動に関する部分を目標に設定してみましょう。
たとえば、以下のような目標が挙げられます。
- 半期ごとに一度、研修会を開催する
- 四半期ごとに一度、面談をおこなう
- 社員向けのメルマガを週に1通送る
ただし、活動ばかりに注目すると「とりあえずやればいい」と逆効果になってしまう恐れがあるため、数値化した業務の成果目標と合わせてコントロールする必要があります。
4-3. アンケートを活用する
数値で評価しにくい項目については、アンケートを活用するとよいでしょう。たとえば、アフターサービスやカスタマーサポートの満足度などについて顧客アンケートを実施すれば、顧客満足度を定量的に把握できます。
また、従業員に対するアンケートをおこない、社内研修や説明会についての理解度を測定するのもよいでしょう。
5. 目標を数値化するうえでの注意点
目標の数値化は、個々の従業員が成果を上げるために重要といえます。しかし、数値化のデメリットを理解していないと、逆効果となってしまう恐れもあるため注意が必要です。
5-1. 行動が数値優先になる恐れがある
目標設定した数値を重視するあまり、過剰に数値を優先する考えが広まってしまう恐れがあります。これにより、「数値のために手段を選ばない」「数値だけを見て評価をする」といった事態に陥ると、従業員や取引先からの信頼を失うことにもつながりかねません。
本来であれば成果を上げるための数値による目標設定のはずが、離職率の上昇や顧客離れを引き起こし逆効果となってしまいます。成果を上げて目標を達成することは大切ですが、数値を追い求めた先で何を達成したいのか、経営課題とリンクする目標を掲げることが大切です。
5-2. 数値化していない部分への関心がなくなる
数値化することで目標が明確になるのは大きなメリットですが、一方で数値化されていない部分への関心が薄くなる恐れがあります。たとえば、「1日に○件営業する」という目標を立てた場合、数値化した営業件数に関しては熱心に取り組むでしょう。
しかし、ほかの従業員のフォローや社内の取り組みへの参加など数値化されていない部分に関心が向かなくなることが考えられます。そのため、ただ目標を数値化するだけではなく、日々の業務を広い視点でとらえることも同時に意識することを忘れてはいけません。
5-3. 定期的な振り返りをおこなう
目標を数値化した場合、定期的に振り返りを実施しましょう。設定した数値が絶対に正しいというわけではありません。高すぎたり低すぎたりするケースもあるため、目標の達成状況を確認しながら適切な数値に調整することが大切です。
また、社会状況や市場の変化により、目標を変更すべきケースもあります。一度設定して終わりではなく、定期的に見直しをすることが重要です。
6. 数値化した目標をもとに適切な評価を実施しよう!
今回は、目標を数値化するメリットや注意点について解説しました。目標を数値化して管理すれば、従業員のモチベーションアップや透明性のある評価が可能になり、人材育成の活性化が期待できます。組織力が強化され、売上がアップすることも期待できるでしょう。
しかし、数値を重視しすぎてしまうと数値化されていない部分が疎かになるなど、悪影響を及ぼす恐れもあるため活用には十分な注意が必要です。適切な目標の数値化で、従業員の意欲向上や成長のサポートを図っていきましょう。
人事評価制度は、健全な組織体制を作り上げるうえで必要不可欠なものです。
制度を適切に運用することで、従業員のモチベーションや生産性が向上するため、最終的には企業全体の成長にもつながります。
しかし、「しっかりとした人事評価制度を作りたいが、やり方が分からない…」という方もいらっしゃるでしょう。そのような企業のご担当者にご覧いただきたいのが、「人事評価の手引き」です。
本資料では、制度の種類や導入手順、注意点まで詳しくご紹介しています。
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