課題認識の共有や社員の意欲向上のために、フィードバック面談を取り入れる企業は増えています。しかし、「効果的な方法がわからない」「形だけの取り組みにならないか心配」などの悩みを抱える担当者も多いのではないでしょうか。
本記事では、フィードバック面談の効果や進め方を紹介します。基礎知識や成功させるコツ、注意すべきポイントとあわせて紹介するので、ぜひ参考にしてください。
人事評価制度は、健全な組織体制を作り上げるうえで必要不可欠なものです。
制度を適切に運用することで、従業員のモチベーションや生産性が向上するため、最終的には企業全体の成長にもつながります。
しかし、「しっかりとした人事評価制度を作りたいが、やり方が分からない…」という方もいらっしゃるでしょう。そのような企業のご担当者にご覧いただきたいのが、「人事評価の手引き」です。
本資料では、制度の種類や導入手順、注意点まで詳しくご紹介しています。
組織マネジメントに課題感をお持ちの方は、ぜひこちらから資料をダウンロードしてご確認ください。
目次
1. フィードバック面談とは
フィードバック面談とは、上司と部下が人事評価について話し合うための面談のことです。上司は部下に、評価結果やその理由を詳しく説明します。
部下にとっては評価をふまえたうえで今後のことを一緒に考える機会です。フィードバック面談には、評価への納得感を高めて部下の成長を促す目的があります。課題や求められる役割を把握することで、何をすべきか明確化できるでしょう。
1-1. フィードバック面談を実施するタイミング
フィードバック面談のタイミングについて絶対的なルールはありませんが、短いスパンで実施することは少なく、四半期や半期に1回といった頻度で実施するのが一般的です。ある程度の期間、社員に目標達成に向けて行動してもらい、成果や評価が出揃ったタイミングで実施するとよいでしょう。
行動による結果が見えていない状況では、フィードバック面談で何も伝えることができません。自社が採用している目標管理制度のスパンに合わせるなど、適切なタイミングで実施するようにしましょう。
2. フィードバック面談の5つの効果
フィードバック面談をおこなうことで、以下のような効果を期待できます。
- 評価への納得感を高められる
- モチベーションがアップする
- 成長やスキルアップにつながる
- コミュニケーションを活性化できる
- 上司のマネジメント力を高められる
なぜフィードバック面談をおこなうべきなのか、具体的なメリットをチェックしておきましょう。
2-1. 評価への納得感を高められる
評価結果だけではなく、評価の詳細や理由を上司から直接伝えることで、納得感を高められます。評価された点や課題など、具体的な理由を共有できることがメリットです。
良かった点や悪かった点を詳しく説明すれば、評価に対する不満を解消できるでしょう。
2-2. モチベーションがアップする
「自分の努力や仕事を評価された」と感じることで、モチベーションのアップが期待できます。
フィードバック面談では、良かった行動や評価できる点を直接伝えます。マイナスの評価であっても、よく話し合って目標を明確にすることで、意欲の向上につなげることが可能です。
2-3. 成長やスキルアップにつながる
改善点とアドバイスを伝えることで、部下の成長やスキルアップを促せることもメリットのひとつです。
評価を踏まえたうえで、自身の能力をより向上させるために何をすべきか話し合います。さらに目標や課題を共有することで、部下のサポートがしやすくなるでしょう。
2-4. コミュニケーションを活性化できる
フィードバック面談で密なコミュニケーションをとれば、信頼関係の構築につながります。意思疎通がスムーズになり、業務効率のアップにも役立つでしょう。
また、一対一での話し合いなら上司に相談や提案がしやすくなります。一緒に仕事をするだけでは見えてこない問題を、明らかにできることも利点のひとつです。
2-5. 上司のマネジメント力を高められる
フィードバック面談をおこなう上司の、マネジメント力を向上させるためにも効果的です。部下の納得や意欲を引き出すためには、コミュニケーションスキルが求められるでしょう。
部下と向き合い伝え方を工夫することが、上司としての成長を促します。
3. フィードバック面談の進め方
ここでは、フィードバック面談の具体的な進め方を解説します。以下の手順で進めれば、フィードバック面談の効果を高められるでしょう。
- 準備を整える
- 緊張を緩和する
- 面談の意味や目的を説明する
- 自己評価について質問する
- 評価を共有する
- 課題を共有する
- 目標を設定する
- 前向きな言葉で締めくくる
スムーズに進められるように、基本的な流れをチェックしておきましょう。
3-1. 準備を整える
まずは準備を整えましょう。具体的には、フィードバック面談の対象となる部下の評価を確認します。部下に納得してもらうためには、評価に対する理解を深めておくことが重要です。
想定される質問に答えられるように、準備を整えておきましょう。正確な回答を引き出すために、部下への質問もあわせてリストアップしてください。
3-2. 緊張を緩和する
部下の緊張を緩和するために雑談をおこないます。時事ネタや天候、休日の過ごし方など、簡単な話題を用意しておくのがおすすめです。
ただし、本題を話す時間がなくなるので、雑談が長くなりすぎないように注意しましょう。
3-3. 面談の意味や目的を説明する
評価について話し合う前に、フィードバック面談をおこなう意味や目的を説明しましょう。上司と部下で評価を確認するだけでは、フィードバック面談の効果は高まりません。
今後取り組むべき課題を明確にすること、キャリアアップを支援することなど、フィードバック面談の意味を丁寧に説明することが大切です。
3-4. 自己評価について質問する
部下自身に自己評価をしてもらいましょう。準備しておいた質問をおこない、なぜそう評価したのか詳しい理由を確認します。
部下本人に振り返りをしてもらうことが目的であるため、ここでは聞くことに徹してください。
3-5. 評価を共有する
実際の評価をフィードバックして部下と共有します。なぜその評価になったのか、詳しい理由をあわせて伝えることが重要です。
自己評価と実際の評価に差がある場合は、納得してもらえるようにより丁寧に説明します。自己評価を強く否定しないように注意し、部下の意見にもしっかりと耳を傾けましょう。
3-6. 課題を共有する
今後の課題を明確にして共有します。上司が一方的に押し付けるのではなく、部下が自分自身で考えられるように誘導することが理想です。
課題にどのように取り組むべきか一緒に考えながら、適切なアドバイスをおこなってください。
3-7. 目標を設定する
評価や課題、キャリアプランをふまえて、今後の目標を設定しましょう。具体的で達成が可能な目標にすることがポイントです。
部下自身が達成したいと思える目標を設定することで、モチベーションアップにつながります。
3-8. 前向きな言葉で締めくくる
フィードバック面談は、前向きな言葉で締めくくるようにしましょう。否定的な言葉で面談を終えると、部下がやる気を失ってしまう可能性があります。
目標の設定が終わったら、取り組みへの感謝と今後への期待、支援する姿勢を伝えるとよいでしょう。
このように、フィードバック面談は人事評価の結果を伝える重要な面談です。結果だけでなく、どのようなプロセスで目標が設計され、日々の業務の中でどの行動に対して評価されているのか過程も踏まえて面談することでより信憑性が高まります。一方で、現状、確率された人事評価制度がなく、公平な人事評価が実現できずお困りの方もいらっしゃるのではないでしょうか?
当サイトでは、人事評価制度の一般的な種類から実際に評価を行うときの手順と注意点をまとめた「人事評価の手引き」を無料で配布しています。公平性を保った評価を行うための注意点についても解説していますので、ぜひこちらからダウンロードいただき、従業員の納得感を得られる人事評価制度の構築にお役立てください。
4. フィードバック面談を成功させる6つのコツ
フィードバック面談を成功させるコツを以下にまとめました。
- 部下の話に耳を傾ける
- 客観的な事実を根拠にする
- 良かった点をしっかりと評価する
- 今後の改善点を一緒に模索する
- 面談の目的を設定する
- 普段から部下とコミュニケーションをとる
フィードバック面談を成果につなげるために、ぜひチェックしておきましょう。
4-1. 部下の話に耳を傾ける
フィードバック面談では聞く姿勢を示すことが重要です。相槌をうちながら話を聞き、コミュニケーションをとりつつ面談を進めます。
上司からの一方的なフィードバックにならないように注意しましょう。スムーズに意見を引き出せるように、質問を準備しておくことがおすすめです。
4-2. 客観的な事実を根拠にする
評価は客観的な事実のみを根拠とします。明確な基準を示したうえで、なぜそのように評価されたのか丁寧に伝えましょう。
たとえば、社員が元々掲げていた定量的な目標値を満たせていたかは、客観的な事実といえます。「月間の成約件数20件」が目標だった場合、達成率を評価の根拠とすることは適切です。
とくにマイナスの評価をおこなう場合は、主観が入らないように注意してください。
4-3. 良かった点をしっかりと評価する
評価を伝える際は、良かった点を挙げてしっかり褒めることが重要です。
たとえば、社員の企画案が採用された結果だけでなく、企画を通すために周囲の協力を仰いでデータや意見を集めたことなどを褒めるといいでしょう。具体的な行動を評価することで、社員が今後の業務にも活かすことが可能です。
褒めることで部下の緊張を緩和でき、面談の雰囲気もよくなります。正当に評価されていると感じてもらうことで、モチベーションのアップにつながるでしょう。
4-4. 今後の改善点を一緒に模索する
フィードバック面談を成功させるためには、今後の改善点を模索することが大切です。評価結果についてだけ話し合うのではなく、課題を解決するためにどのような努力をすべきか、どのような点に意識して仕事に取り組めばよいのか、といった未来を見据えたポイントを話し合うとよいでしょう。
ただし、上司から一方的に意見を押し付けることは避けるべきです。あくまでも社員の意見を尊重しながら、一緒に模索するようにしましょう。
4-5. 面談の目的を設定する
フィードバック面談をおこなう前に、上司として達成したい目標を設定します。
たとえば「信頼関係を築く」「キャリアプランを聞き出す」などが良いでしょう。そうすることでより有意義な面談になり、上司としてのマネジメント力アップにつながります。
4-6. 普段から部下とコミュニケーションをとる
信頼関係を構築するために、普段から積極的にコミュニケーションをとりましょう。部下から信用を得られていないと、評価やアドバイスを受け入れてもらえない可能性があります。
日頃からの声がけや雑談で、良好な関係を築いてください。
5. フィードバック面談で役立つ手法
フィードバック面談では以下のような手法が役立ちます。
- サンドイッチ手法
- ペンドルトン手法
- SBI手法
それぞれの手法について詳しく見ていきましょう。
5-1. サンドイッチ手法
サンドイッチ手法とは、マイナス評価をうまく伝えるための手法です。マイナス評価の前後にプラス評価を伝えることで、部下の課題を指摘しつつ、モチベーションアップを図ります。具体的には、評価が高かった部分を一緒に確認する、改善すべき部分を指摘する、努力できた部分を評価する、という順番で話すとよいでしょう。
フィードバック面談の最初にマイナス評価を伝えると、部下が緊張して話しにくくなってしまうかもしれません。また、最後にマイナス評価を伝えると、全体的にネガティブな印象で終わってしまいます。サンドイッチ手法をうまく活用して、お互いに話しやすい雰囲気をつくりましょう。
5-2. ペンドルトン手法
ペンドルトン手法とは、話す内容について事前に共有しておく手法です。心理学者であるペンドルトン博士によって提唱されたため、ペンドルトン手法と名付けられました。
ペンドルトン手法においては、まず上司と部下で話し合いのテーマや目的を共有します。そのテーマに沿って、部下と上司が順番に意見を述べていきます。
部下による自己評価、上司による評価、部下による改善点の提示、上司からの指摘、といった流れで交互に発言していくとよいでしょう。事前にテーマを共有しておくことで、話の軸がぶれにくくなり、効率よく面談を進められます。
5-3. SBI手法
SBI手法とは、状況・行動・影響に注目してフィードバックする手法です。Situation(状況)、Behavior(行動)、Impact(影響)の頭文字を取ってSBI手法と呼ばれています。
SBI手法においては、まず社員が置かれていた状況と、具体的な行動を確認します。さらに行動によってどのような影響があったかを分析し、フィードバックをおこないましょう。
SBI手法の大きな特徴は、具体的な状況と行動をもとに話し合うため、客観的な振り返りができることです。上司の目線からの指摘を加えることで、部下は自分の行動のよかった部分や悪かった部分をより詳しく把握できるでしょう。
6. フィードバック面談で注意すべき4つのポイント
フィードバック面談で注意すべきポイントは以下の通りです。
- 高圧的な態度をとらない
- 会社や制度を批判しない
- 性格に対する否定はしない
- 面談の内容を記録しておく
やってはいけない行動を確認しておくことで、トラブルを防げます。
6-1. 高圧的な態度をとらない
部下に対して高圧的な態度をとると萎縮して、正直な意見や必要な回答を引き出せません。
反発をまねき関係が悪化する可能性もあるので、態度や表現には十分に注意しましょう。マイナスの評価をする際にも、否定的にならないように客観的な事実を伝えてください。
6-2. 会社や制度を批判しない
面接官側である上司は、フィードバック面談での会社や制度への批判はNGです。極端な批判は、会社に対する不満や不信感にもつながるでしょう。
人事評価の基準に従って、客観的な視点から評価を伝えることが重要です。
6-3. 性格に対する否定はしない
フィードバック面談では、性格に対する否定を避けます。
性格は変えることが難しく、場合によっては人格否定ととられるケースもあるでしょう。性格ではなく、成果や行動に対してフィードバックをおこなってください。
6-4. 面談の内容を記録しておく
フィードバック面談の内容は記録しておきましょう。社員が課題を感じている点、今後の目標、上司からアドバイスした内容などを記録しておくことで、人事評価や人材育成に役立ちます。
また、次回のフィードバック面談時に前回の内容を振り返ることで、部下の成長を把握したり、今後のアドバイスにつなげたりすることも可能です。
7. フィードバック面談を通して信頼関係を構築しよう!
今回は、フィードバック面談の効果や進め方について解説しました。フィードバック面談をうまく実施することで、社内のコミュニケーションを活性化させたり、部下の成長を促したりすることが可能です。ただし、高圧的な態度をとる、マイナス評価ばかりを伝えるなど、間違った方法で実施すると逆効果になってしまいます。
フィードバック面談を実施するときは、部下の話をしっかりと聞いたうえで、客観的な事実をもとに評価を伝えることが大切です。適切なフィードバック面談を実施して、上司と部下の信頼関係を強化しましょう。
人事評価制度は、健全な組織体制を作り上げるうえで必要不可欠なものです。
制度を適切に運用することで、従業員のモチベーションや生産性が向上するため、最終的には企業全体の成長にもつながります。
しかし、「しっかりとした人事評価制度を作りたいが、やり方が分からない…」という方もいらっしゃるでしょう。そのような企業のご担当者にご覧いただきたいのが、「人事評価の手引き」です。
本資料では、制度の種類や導入手順、注意点まで詳しくご紹介しています。
組織マネジメントに課題感をお持ちの方は、ぜひこちらから資料をダウンロードしてご確認ください。