近年、多くの企業でDXが進んでいますが、なかにはDXを推進したいが、予算がなくてできないという企業も多いのではないでしょうか。そんな企業をサポートするために、国や自治体では、さまざまな補助金・助成金の制度が用意されています。この記事では、DXに役立つ補助金・助成金の一覧や、申請の方法や注意点について解説します。
目次
DXとは
DX(デジタルトランスフォーメーション)とは、デジタルによって業務やビジネスモデルを変革することです。近年、DXは注目を集めており、DX推進に取り組む企業が増えています。
DXの取り組みのひとつとして、ITツールの導入など、業務プロセスのデジタル化が挙げられますが、これを実行するには、多くの予算を必要とします。そのため、資金を多く持たない企業とってはDXに取り組むハードルが高いと言えるでしょう。そのような場合、補助金や助成金を活用することをおすすめします。
補助金とは
そもそも補助金や助成金とはどのようなものなのでしょうか。DXの補助金・助成金を利用する前に、その意味や両者の違いについて理解しておくことも重要です。まずは補助金について解説していきます。
DX推進のため、企業が申請可能な補助金には2つの特徴があります。
補助金なら原則として返済不要
補助金制度は銀行融資と違い、企業は原則として補助金の返済義務がありません。そのため、自己資金に不安のある企業や、これ以上の借り入れが難しい企業でも、安心して補助金を利用できます。ただし、補助金を受けるには、まず補助金制度の対象事業として認められる必要があります。したがって、DX推進の資金調達手段の大部分を補助金制度に依存するのはおすすめできません。
取り組みの終了後に補助金が支払われるケースが多い
DX関連に限らず、補助金は補助対象の事業が終了して報告や審査を経てから支払われるのが一般的です。
そのため、取り組みを始める前に補助金を受け取り、IT投資の赤字を補填するといった使い方ができないケースがあります。また、補助金を受け取るためには、事業終了後に実績報告をおこない、運営母体による事後審査を通過する必要があります。
各補助金では支給の審査にあたって、決算書類や事業計画書類などの提出書類が定められている場合が多いでしょう。必要な書類が不足していたり書類に不備があったりすると補助金を受給できない可能性もあるということに注意が必要です。
助成金とは
助成金とは、補助金と同様、特定の活動や事業、取り組みを支援するために提供されるお金のことをいいます。補助金とは異なり、要件を満たせば原則給付されるものが多いようです。
補助金と助成金の違い
「補助金」も「助成金」も、国や自治体から支給されるお金やその制度という意味では同じですが、両者の特徴には若干の違いもあります。助成金は、要件を満たせば給付を受けられる場合が多いですが、補助金は件数が決められている場合が多く、申請が必ず通るわけではないという違いがあります。また、補助金は「後払い」の形式になっているケースが多いのが特徴です。
項目 | 補助金 | 助成金 |
---|---|---|
メリット | ・補助金の種類が豊富なため、自社に合ったものを選べる・補助金制度によって高額な補助金を受けられる | ・条件を満たせば、審査なしに受け取れるものが多い・募集期間がなく、いつでも申請できるものが多い |
デメリット | ・募集期間が短い傾向にある・受付件数が限られており、審査が厳しい | ・補助金よりも種類が少ない・人気がある助成金が多く、すぐに枠が埋まってしまうことも |
参考:補助金・助成金の違いや補助金活用における注意点について教えてください。 | ビジネスQ&A | J-Net21[中小企業ビジネス支援サイト]
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読者の皆様の中には、従業員の採用や定着、企業の生産性向上に課題感を感じている方も多いのではないでしょうか。
中には、実際に取り組みをおこなえるだけの十分な資金を保有しておらず、「ヒトへの投資を進めたいと考えているのに、現実は難しい・・・」と考えている方も多いかもしれません。
このような課題解決のために、国(厚生労働省管轄)等から支給される助成金制度を効果的に活用することで、採用強化や職場環境の改善などをおこなうことができることをご存じでしょうか。
- 採用を強化したいが、予算が限られている
- 社員の定着率に課題を感じているが何をすればよいかわからない
- 社員の教育にコストが掛かっているため改善したい
といった方は、ぜひ一度お試しいただければと思います。
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DXに役立つ補助金の種類を紹介
DX推進に役立つ補助金は国、都道府県、各自治体や民間団体など様々なものが存在しますが、ここでは代表的な補助金を紹介します。
IT導入補助金2023(経済産業省・中小企業基盤整備機構)
「IT導入補助金2023」は、中小企業基盤整備機構が採択し、経済産業省の監督のもとサービスデザイン推進協議会が運用している補助金制度です。IT導入補助金の対象は、ITツールを導入する中小企業および小規模事業者です。
IT導入補助金には複数の枠があり、申請を希望する事業者は導入目的や導入ツールによって申請枠を選択します。
「通常枠」は、ITツールの導入にかかる経費を補助することを目的としている補助金です。
「デジタル化基盤導入枠」は、会計ソフトや受発注ソフト、決済ソフトの経費を補助することを目的としています。2023年10月1日から開始されるインボイス制度の対応にも活用できる点が特徴です。
2023年4月以降、あらたに「商流一括型インボイス対応類型」という申請類型が新設されました。商流一括型インボイス対応類型は、大企業を含むあらゆる規模の発注側企業が受発注に関するソフトウェアを導入する際に活用できる申請枠です。
「セキュリティ対策推進枠」は事業継続を脅かすサイバーインシデントの発生を回避するためのITツールを導入を補助しすることを目的としています。
それぞれ、申請の受付開始時期や締め切りが異なるため申請を検討する際は要件を確認しましょう。
各枠の補助対象と補助対象ツール、補助対象額は以下の通りです。
類型 | 補助対象経費区分 | 補助率 | 上限額・下限額 | |
通常枠 | A類型 | ソフトウェア購入費・クラウド利用料(1年分)・導入関連費 | 1/2以内 | 30万円~150万円未満 |
B類型 | ソフトウェア購入費・クラウド利用料(1年分)・導入関連費 | 1/2以内 | 150万円~450万円以下 | |
デジタル化基盤導入枠 | デジタル化基盤導入類型 | ソフトウェア購入費・クラウド利用料(最大2年分)・導入関連費 | 3/4以内 | ※下限なし~50万円以下 |
2/3以内 | 50万円超~350万円 | |||
商流一括インボイス対応類型 | ソフトウェア購入費・クラウド利用料(最大2年分)・導入関連費 | 中小企業・小規模事業者等:2/3以内 | (下限なし)~350万円 | |
その他の事業者等:1/2以内 | ||||
セキュリティ対策推進枠 |
ー |
サービス利用料(最大2年分) | 1/2以内 | 5万円~100万円 |
ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金(中小企業庁・中小企業基盤整備機構)
「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金」は、中小企業庁および中小企業基盤整備機構が実施するIT関連の補助金制度です。ものづくり補助金と呼ばれることが一般的です。
ものづくり補助金の対象は、今後ビジネスの成長が期待される中小企業や小規模事業者です。新たなサービス開発に必要な設備や、事業のグローバル化に必要な設備を対象とし、ビジネスモデルに応じてIT投資費用の一部を支給しています。「一般型」、「グローバル展開型」、「ビジネスモデル構築型」の3つの型が存在します。
一般型のデジタル枠を利用する場合、取り組む事業がものづくり補助金申請に必要な基本要件に加えて、DXに資する革新的な製品・サービスの開発、もしくはデジタル技術を用いた事業フロー改善のいずれかに該当する事業である必要があります。申請要件はしばしば変更になっているため申請する回の要綱をしっかりと確認しましょう。
補助上限額や補助率等の比較は下記の通りです。
一般型(デジタル枠) | グローバル型(デジタル枠) | ビジネスモデル構築型 | |
補助金申請上限額 |
5人以下:100~750万円 |
1,000万円~3,000万円 | 1億円まで |
補助率 | 2/3 |
大企業:1/2 |
大企業:1/2 |
補助対象経費 | 機械装置・システム構築費、技術導入費、専門家経費、運搬費、クラウドサー ビス利用費、原材料費、外注費、知的財産権等関連経費 |
機械装置・システム構築費、技術導入費、専門家経費、運搬費、クラウドサー ビス利用費、原材料費、外注費、知的財産権等関連経費、海外旅費 |
人件費、機械装置・システム構築費、旅費、謝金、会議費、消耗品費、広報費、運搬費、クラウドサービス利用費、知的財産権関連費、外注費 |
令和元年度補正・令和3年度補正ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金公募要領(13次締切分)/令和元年度補正ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金公募要領〔ビジネスモデル構築型〕(4次公募)を基に作成
戦略的基盤技術高度化支援事業
「戦略的基盤技術高度化支援事業」は、DXの全社的な推進を目指す製造業を対象とした補助金制度です。IT導入による効率化や、国際的な競争優位性の確保、新たな産業・サービスの創出を目指す生産工場に対し、補助金の年額支給をおこなっています。
注意が必要なのは、戦略的基盤技術高度化支援事業は企業単独では申請できないという点です。戦略的基盤技術高度化支援事業の申請をおこなうには、中小企業・小規模事業者を中心とした共同体を形成する必要があります。その代わり、戦略的基盤技術高度化支援事業の支給額は、他の補助金制度と比べても高額です。
中小企業 | 大学・公設試等 | 課税所得15億円以上の中小企業等 | |
補助金申請額(年額) | 4,500万円/1年 | 4,500万円/1年 | 4,500万円/1年 |
補助率 | 補助率:2/3以内 | 補助率:定額 | 補助率:1/2以内 |
DXの補助金申請の手順
DX推進に向けて補助金の利用を検討している企業は、次の3つのステップで申請手続きをおこないましょう。
補助金の申請手順
- 補助金制度についての情報収集をおこなう
- 必要書類を確認し、申請をおこなう
- 採択されたら対象事業を実施し、実績報告をおこなう
まずは補助金制度についての情報収集をおこない、自社に補助金を受ける資格があるか確認しましょう。補助金制度によって、事業規模や従業員規模など、さまざまな受給条件が設定されています。DX関連の補助金制度の場合、中小企業・小規模事業者しか受給できないケースがあります。
次に必要書類を確認し、申請を実施しましょう。必要書類の準備には時間がかかるため、前もって準備しておくことが大切です。補助金を受給するには、補助事業に採択されるだけでなく、事業終了後の実績報告を行う必要があります。実績報告の審査により、補助金の金額が変動したり、場合によって補助金が受けられなくなったりする可能性があるため注意が必要です。
DXの補助金を上手に活用してDXを推進しよう!
中小企業やスタートアップ企業を中心として、DX推進の障害となっているのがIT投資コストの問題です。そこで役に立つのが政府の補助金です。銀行融資と違い、企業は原則として補助金を返済する必要がないため、IT投資コストを軽減できます。
DX推進に役立つ補助金には、「IT導入補助金」や「事業再構築補助金」、さらに地方自治体が設けた補助金制度など、さまざまなものがあります。まずはDX推進に役立つ補助金制度についての情報を集め、自社のニーズや事業形態に合ったものを選びましょう。DX導入を後押しする補助金を賢く活用することで、初めての方でもDXをスムーズに推進することが可能です。
HR NOTE×TRIPORT 助成金診断
読者の皆様の中には、従業員の採用や定着、企業の生産性向上に課題感を感じている方も多いのではないでしょうか。
中には、実際に取り組みをおこなえるだけの十分な資金を保有しておらず、「ヒトへの投資を進めたいと考えているのに、現実は難しい・・・」と考えている方も多いかもしれません。
このような課題解決のために、国(厚生労働省管轄)等から支給される助成金制度を効果的に活用することで、採用強化や職場環境の改善などをおこなうことができることをご存じでしょうか。
- 採用を強化したいが、予算が限られている
- 社員の定着率に課題を感じているが何をすればよいかわからない
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