この記事では、DXのメリットやデメリットについて解説します。近年注目を浴びているDX(デジタルトランスフォーメーション)ですが、企業のDX推進には、どのようなメリットがあるのでしょうか。また、逆に、DXを推進することによるデメリットはないのか気になる方も多いのではないでしょうか。
1. DXとは?
DXとは、デジタル技術によって生活などを変化・変容させることです。また、企業活動におけるDXとは、データとデジタル技術を活用して、製品やビジネスモデル、業務プロセスなどを変革し、競争上の優位性を確立することを言います。
激化する企業間同士の競争のなかで、他社よりも一歩前に進むためには、DXの推進が極めて重要になります。これには、身の回りのデジタル化が近年益々進められていることに関係しています。
2. DXのメリットとは
DXの推進は、さまざまなシーンでデジタル化が進む現代において極めて重要な意味を持っています。企業がDXを推進するメリットについて、細かく見ていきましょう。
2-1. 生産性の向上を図ることができる
DXを推進させることで、これまでのシステムを見直し、場合によっては大きくシステム改革を行います。従来の業務を見直していくなかで、無駄な要素を取り除き、効率を改善して生産性の向上が図れるかもしれません。
そのほか、最適なリソースの割き方の見直しなど、現在行っている業務と人材などの範囲内だけでも利益を最大化させることが期待できます。
2-2. これから商品やサービスを新しく開発する際に便利になる
DXの推進によって、これまで以上にデータの収集や分析を進めて、商品やサービスの展開・開発に活用できるようになります。具体的なデータから説得力のある分析を行うことで、より結果が期待できる活用の仕方が見えてくるでしょう。
時代の変化に合わせて顧客のニーズも変わっていきますが、その動きを繊細に汲み取ることも可能です。このことから売上の向上につながるアイデアにつながるかもしれません。
2-3. BCPを策定し、急激な環境の変化に対応することができる
BCPとは、災害やテロなどの危機的状況において、業務が継続できるようにするための計画のことです。日本では、年間を通して地震や台風など自然災害が非常に多く発生します。このほかにも、何らかの事態によってこれまでの環境では止む無く事業を止めざるを得ないケースが想定されていました。
また、現在は新型コロナウイルスへの対策として、リモートワークや在宅勤務などを導入している企業が多いですが、こういった働き方を支える仕組みにもDXが大きく関わっています。
DXの推進によって新たな環境作りを取り入れることで、不足の事態に対する柔軟な対応が可能となります。たとえば、出社が難しくなった場合でも、テレワークによってこれまでとおり業務を進める、といった例が挙げられます。
3. DXのデメリット・注意点とは
DXの推進には多くのメリットがある一方で、見逃せないデメリットもあります。メリットを最大限に活かすためには、デメリットを十分に把握しておくことが大切です。それぞれ見ていきましょう。
3-1. 相応の初期費用やランニングコストが発生する
企業がDXの推進のためにさまざまな部分をシステム化したり、必要な人材を確保したりしようとすると、必然的に相応の費用が発生します。
DXの推進は将来的に大きな利益を生み出す可能性がある一方で、結果が出るまでにどうしても時間がかかってしまう点も覚悟しておかなければいけません。DXの推進によって結果が出るまで、平均して3~5年はかかるとされています。
DXの導入によって十分な結果を出すために、十分な初期費用やランニングコストが必要です。このようにDXの導入は大がかりな計画となりますので、あらかじめ必要な用意をしておきましょう。
3-2. これまでのシステムの見直しがかなりの手間となる
DXの導入は、これまでのシステムを見直してデジタル化を図ります。場合によっては、これまで扱っていたシステムに対して大きくメスを入れることになるかもしれません。規模の大きいシステムを移行する場合、経営層など企業全体で対応していくことが必要です。
DXの推進において課題となるのが、これまで扱っていた技術の老朽化やシステムの複雑化、ブラックボックス化による「レガシー化」です。レガシー化から脱却するためには、相当思い切ったシステム改革が必要となります。作業が大変ばかりか、社内で反対するものまで出てくるかもしれません。その先のビジョンを明確にして、企業全体で取り組んでいくことが大切です。
3-3. すぐには結果が出ない場合もある
DXには確立された手法があるわけではなく、用いられるツールもさまざまです。そのため、当初は会社にとって最適でない戦略をとってしまったり、自社に合わないツールを導入したりといったことも考えられます。
そのような経験を経て試行錯誤しながら推進していかなければならない場合もあるため、すぐには結果が出ないことも多いでしょう。そのため、DXの導入を進めるにあたっては結果が出るまで長い目で見る必要があります。
3-4. 社内全体の協力が必要になる
DXは部分最適ではなく全体最適を目指すことを意識することが重要なので、特定の部署のみに導入するということはあまり望ましくありません。そのため、業務への取り組み方自体が大きく変わることになるDXの導入に関して、社内全体の協力を取り付ける必要があります。
DXの導入に関して抵抗感を示す社員もいるかもしれません。その場合は、DXを導入することの意義やメリットなどをきちんと説明したうえで、納得してもらうことを心がけましょう。
4. DX推進のポイント
DXの推進を成功させるために、重要となる3つのポイントについて見ていきましょう。DXの推進におけるデメリットを軽減して、メリットを最大限に活かすために必要なポイントです。
4-1. 何を目的としてDXの推進をするのか決めておく
DXの推進には、多くの費用や人材、時間を必要とします。そのため、計画を最後まで進めるには具体的な目的が重要です。突き詰めれば企業の成長を目的としている点はどのケースでも同じですが、もっと具体的にどのような課題を解決してどういった方向に進んでいきたいのか明確にしましょう。
4-2. 経営レベルの大きな意識改革を行う
DXの推進には、これまでのシステムを見直し、場合によっては非常に大がかりなシステム改革が必要となります。DXの導入は簡単に叶う話ではなく、経営層が広く関わって企業全体で一丸となって取り組んでいくことが必要です。
4-3. DX推進計画を確実に成功させる体制作り
DXの導入は大がかりな作業となるので、通常の業務と並行して行うのではなく、専門のチームを立ち上げて進めていくことをおすすめします。必要な人材が社内にいないのであれば、外部採用も検討するべきです。必要な予算は、さまざまな要素を踏まえたうえで決定しましょう。
5. DXのメリット・デメリットを理解したうえで推進をおこなおう!
DXの推進によって、大きくデジタル化に対応することは、激化する企業間同士の競争に競り勝つために必要となります。
新たな商品やサービスの展開や開発ばかりでなく、不足の事態への対応など、DXの推進はさまざまな変化に対して柔軟に対応できる環境作りとしての意味合いもあります。DX推進の必要性を踏まえて、益々企業が成長していくために必要な策を講じましょう。