次世代の人材育成とは〜発信と共有の場がもたらす組織変革とモチベーション向上〜 |HR NOTE

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次世代の人材育成とは〜発信と共有の場がもたらす組織変革とモチベーション向上〜

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※本記事は、Beatrust 株式会社の久米 雅人さんより寄稿いただいた記事を掲載しております。

ビジネス環境の変化も早く、人口減少、多様化する価値観など、人事部の方にとってこれほど人材育成が複雑で高度化している時代は今まで類をみないのではないでしょうか?

たとえば、これまでのような画一的な研修、強制的な異動や転勤を前提としたキャリア選択では、優秀な人に入社してもらうことが難しい、あるいは長く活躍し続けてもらうことが難しくなってきていると感じている企業は多くなっているのではないでしょうか。

一口に人材育成といっても、業界やビジネスモデル、何年後の将来を見据えるかによって必要とされる人材像も大きく異なり、これが人材育成のセオリーだ、と定義することも難しくなっています。

今回は人材育成をテーマに、100社以上の日本企業とお話しさせていただく中で見えてきた私なりの考えや、社内の様々な活動を通じて社員の自律性やモチベーションを引き出す取り組みを始めている企業の事例などをご紹介できればと思います。

どうすれば優秀な人材に入社してもらい、活躍し続けてもらうことができるのか、本記事をヒントにお役に立てることができれば幸いです。

執筆者久米 雅人Beatrust株式会社 Co-Founder

株式会社アサツー ディ・ケイを経て、2011 年よりグーグル日本法人入社。日本を代表する大企業へのデジタルマーケティングの実行支援や、2018年からはGoogle Japanの新規事業チームにてスタートアップ投資やパートナーシップ業務、また産学連携プロジェクトを担当後、2020 年にBeatrust を共同創業。慶應義塾大学法学部政治学科卒業。

1.社員に長く活躍し続けてもらうためには?

私は人材育成のゴールは「社員に長く活躍し続けてもらうこと」だと考えています。

職業柄、日本企業の経営層や人事部の方とも多くお話しさせていただきましたが「エンゲージメントを向上させたい」「現場からのアイデア発信やナレッジシェアを加速させたい」など、どれも突き詰めていくと社員に長く活躍し続けてもらい、結果として企業価値を向上させたい、という中長期的な目標に向けた取り組みとなっていました。

そのために多くの企業が現在社員のリスキリングを推奨したり、上司と部下の1on1を実施したり、柔軟な制度設計に取り組んでいらっしゃいます。

以前私は、外資系IT企業に9年勤めていましたが、その職場では社員に長く活躍してもらうための環境整備に非常に力を入れていました。例えば、

1.社員が自ら自分のキャリアを選んで社内の色々なポジションに随時チャレンジできる

2.社内の知らない人同士をランダムに結びつけて一緒にランチを食べる取り組み

3.社内の直接はつながりのない部署や同僚に貢献した人に感謝のボーナスを送り合う仕組み

そして社員が社内で特定のスキルを持っていたり業務に詳しい人を探すためにお互いを検索して繋がることができるデジタルインフラも整っていました。これにより、社員一人ひとりが所属する部を超えてコラボレーションすることが社内風土とあいまって大変重要視されていました。

社員本人の得意なことや関心事項を発信する場を会社が整備したり、社員同士の経験やスキル、パーソナリティも含めて開示、把握するメリットはあるのでしょうか?ここでは社員の関心事項が起点となり、価値創造に繋げていらっしゃる企業さまの事例をご紹介します。

2.部署の垣根を超え、新たな価値提供を行う

先日、JCOM株式会社で家族の健康課題に直面した社員の方が発起人となり、有志社員16名によるボトムアップ型の社員向けフェムテックイベントが開催されました。社員のウェルビーイングの向上はもちろん、フェムテック市場を知り新たな事業を考えるきっかけづくりを目的としたイベントです。

特筆すべきは、「社内外の課題感に対して、みずから行動を起こせた社員がいたこと」また「それに賛同する様々な部署の社員が集まり、新たな価値提供に繋がったこと」です。JCOM株式会社では今回のような事業化も見据えた、社員発案のボトムアップ型のイベントは初めての試みだったそうです。(詳細はこちらのリリースをご覧ください。)

イベントを主催した複数メンバーのコメントとして

「元々フェムテックや新規事業の立ち上げに関心があり、有志を募集した際には真っ先に手をあげた」

「各自の得意な分野を中心に役割分担していくことで、イベント準備も比較的スムーズに進んだ」

「普段の仕事では関われない業務に、モチベーションの高いメンバーと一緒に取り組むことができ、多くの刺激があった」

など意欲のある社員同士が部署を超えて協業したり、得意なことで貢献する経験がモチベーションの向上に繋がっています。

そして、実際に上司の方からも「イベント参加前と比べてもミーティングでの発言回数が増えて周囲のメンバーにも刺激になっている」といったコメントもありました。

3.従業員の「挑戦意欲」を引き出す環境づくりが重要

最近よく耳にするのはエンゲージメントの向上や離職防止のための施策を模索されているお話です。

サーベイを行ったり、それに対するアクションなどを多くの会社が取り組んでいらっしゃいますが、特に重要だと感じていることは、挑戦意欲のある社員を把握し、彼らのモチベーションを引き出し、この組織は自己成長ができる環境だと感じてもらうことです。

挑戦意欲のある社員の把握には、彼らが何を考えているのか自己発信してもらうことができるプラットフォームが必要です。これからは仕事上のスキルだけでなく、社員本人が得意としているソフトスキルであったり、日々関心を抱いていることを会社が引き出していくことも求められていくと考えています。

もちろん、定期的な面談や調査は社員のことを把握するための重要な機会ですが、社員本人の関心事項や特性も含めた多面的な情報が人事部まで共有されるにはいくつも壁があります。

面談回数や時間が限られている、上司とソリが合わない、面談で得た情報をどこまで報告すればいいのか分からない、など個別の事情も多くあります。

得意なことや関心事項は本人からの開示がなければ情報が揃いません。視点を変えて、人事や経営が旗振りをするだけではなく、意欲のある社員がアイデアや情報を発信したり、そうした情報を自由に取りにいくことができる場所を整備してあげることが必要なのではないでしょうか?

そうした環境が整うことで、JCOM株式会社での事例のように、抱えていた課題を具体化できる社員とそれに賛同する有志が集まり、組織全体への価値創造と、参加したメンバー自身のモチベーション向上にも繋げることができます。

4.まとめ

これからは社員のポテンシャルを引き出す新しい「仕掛け作り」が必要ではないでしょうか。そしてそのきっかけは、今いる社員がどんなことを考えていて、何に興味を持っていて、どんなことができるのか(やりたいと思っているのか)をよりカジュアルに発信・共有していけるような仕組みではないかと考えています。

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