ダイレクトリクルーティングに関する採用支援を行っております、VOLLECTの代表取締役中島です。
「ダイレクトリクルーティングに力を入れているのに、なかなか採用決定が生まれない…」
このようなお悩みを持つ企業は、スカウト返信率を上げる努力はできていても、返信を受け取った後の選考歩留まりを意識できていなかったり、カジュアル面談での惹きつけができていなかったりするケースが多いです。
本記事では、ダイレクトリクルーティングの後工程である「返信をもらった後」に着目し、ダイレクトリクルーティングで成果を上げる秘訣をご紹介します。
執筆者中島 大志氏株式会社VOLLECT 代表取締役
新卒でインテリジェンス(現パーソルキャリア株式会社)に入社。その後、企業からの能動的なアプローチにより企業の採用のあり方に変革を与えることができる「ダイレクトリクルーティング」に可能性を感じ、ダイレクトリクルーティング特化の事業展開を決意した。2018年6月にVOLLECTを設立。ダイレクトリクルーティング特化の採用支援のパイオニア的存在として、採用の普及と啓発を行っている。 ▶ダイレクトリクルーティングの実行支援サービス『PRO SCOUT』
- 【第1章】採用の歴史とは?求人広告・人材紹介・ダイレクトリクルーティングの繋がりを紹介
- 【第2章】ダイレクトリクルーティングで成果を上げる秘訣(返信をもらうまで編)
- 【第3章】ダイレクトリクルーティングで成果を上げる秘訣(返信をもらった後編)
- 【第4章】ダイレクトリクルーティングを用いたITエンジニア採用のポイント
- 【第5章】ダイレクトリクルーティングの成功事例
目次
1.ダイレクトリクルーティングで「返信をもらった後」が重要な理由
第2章で返信率について紹介しましたが、返信を受け取るまでには、企業の知名度や採用ポジションの求人倍率、提示できる年収等、企業側が簡単にコントロールできない要素によって影響されてしまう部分も大きいものです。
しかし、返信を受け取った後、すなわちカジュアル面談や面接などの後工程は、前工程と比較して企業側でコントロールしやすいため、改善しやすいです。
ダイレクトリクルーティングで成果を出すためには、返信率に注目しすぎるのではなく、「返信してきた候補者の中からどう採用決定を生み出すのか」を考えることも忘れてはいけません。
2.3~4名の面接で1名の内定を出すのが理想
ダイレクトリクルーティングでは、配信〜返信だけでなく、その後のカジュアル面談、面接、そして内定までの歩留まりを管理することが大切です。
ダイレクトリクルーティングでは、業種や職種によって変わりますが、おおよそ3~4名を面接して1名内定を出せる状態が理想です。これであれば、返信率がそこまで高くなくても採用につなげられます。
中小企業やベンチャー・スタートアップ企業であればまだしも、大企業やメガベンチャー等では現実離れした数値に見えるかもしれません。ただ、実際に弊社がご支援してきた誰もが知る某SaaSを提供しているメガベンチャー企業では、4名面接して1名採用決定のペースでエンジニアを採用できています。
ただ、実際、3~4名面接して1名入社に繋げられる企業は少ないでしょう。特に、人材要件が明確でなかったり、面接官によって判断がバラついてしまう企業だと難しくなります。
自ら選んでスカウトを送っているにも関わらず、「候補者をもっと比較したい」「もっと良い候補者がいるのではないか」「良い人なんだけどこの部分は少し気になる」といった考えが邪魔をして、内定を出せない企業は珍しくありません。
そもそも、スカウトした時点で候補者のハードスペックや職務経歴は基準を満たしているしているため、人材紹介や求人広告経由よりもダイレクトリクルーティング経由の歩留まりは良くなるはずです。
マグロを釣ろうとして、マグロを釣るための餌や海域を選び、マグロを何匹も釣っているのに、全てリリースしてしまっているようなものです。事前に定めた人材要件を満たす人以上のものを求めては、採用できない転職市場であることを理解した方が賢明だと思います。
また、ダイレクトリクルーティングを運用する上で、Excelやスプレッドーシートにポジションごとや媒体ごとに、配信数や返信数、返信率を入れて管理している企業はよくあると思います。
しかし、それに加えて、カジュアル面談数、一次面接数、最終面接数、内定数、入社数まで管理できている企業は少ないのではないでしょうか。採用管理ツール上、それができないことも多いはずです。
スカウト返信後の「後工程」の数値管理・可視化までできると、◯名面接して◯名採用できているということを認識できるため、早期に採用決定が生まれる可能性が高まります。「少ない母集団からどう採用を決め切るのか」を考えることが、ダイレクトリクルーティングで成果を出す近道です。
3.返信後初の接点、カジュアル面談のポイント
ダイレクトリクルーティングにおいて、候補者と初めての接点になるのがカジュアル面談です。
しかし、具体的な進め方や、面接との違いがよくわからないまま、候補者を逃してしまう企業も少なくありません。スカウト返信があってもカジュアル面談で多くの候補者を逃してしまっている会社は非常に多く、「後工程」において最も注意が必要なプロセスです。
カジュアル面談は、誰が面談をするのか、どういった雰囲気で行うかなど、気をつけるべきポイントがいくつもあります。
ポイント①|カジュアル面談の目的を「正式応募」に置く
カジュアル面談の目的は、候補者の見極めではなく、「まずは話を聞いてみたい」と返信した候補者を意向を醸成させ「正式応募」してもらうことです。
そのため、カジュアル面談で目指すべきKPIは、「カジュアル面談後に正式応募してもらう割合」です。中小企業の場合は50%~60%、大手や知名度の高い企業であれば、70~80%を目指すのがよいと思います。
ある企業は、面接官ごとに「カジュアル面談からの正式応募率」ランキングを作っているそうです。
カジュアル面談をした際に、「転職意欲が低かったから口説かなかった」と仰る面接官も多いですが、全く転職意欲もなく、その企業に興味がないのであれば、そもそもカジュアル面談に参加すらしないはずだと考えるべきでしょう。
もちろん、カジュアル面談で相互にコミュニケーションをとった上で、お互いの求めるものとは異なったという結論になるケースもあります。それはそれで1つの解ですので間違いではありません。
しかし、それが続くようであれば、そもそも送るターゲットが間違っているかもしれません。簡単に逃げ道を作らず、どのような方とカジュアル面談をしたとしても正式応募につなげることを目的にして取り組んでいく方が会社全体としての採用力は高まるでしょう。
ポイント②|雰囲気を和らげ、候補者が求めることを引き出す
カジュアル面談では、候補者から意見や質問を引き出し、質問しやすい雰囲気を作ることが必要です。
カジュアル面談の始めに選考要素がないことを伝えてリラックスしてもらいましょう。「何でも聞いて大丈夫なんだ」という雰囲気作りにも繋がります。
また、面談官が自己紹介でオープンに情報提供することも効果的です。新卒からの職歴や、趣味や出身地など、いつもより長めに自己紹介しましょう。
そして、候補者の求めているものを把握すべく、「何で今回のスカウトメールに興味を持ってくれたのか」「今の職場で何か課題に感じていることはあるか」などのヒアリングを行いましょう。
ヒアリングできた内容を踏まえた上で、自社で提供できることを伝えると、より魅力に感じてもらえると思います。セールスが、商談ですぐに自社サービスの説明をするのではなく、お客様の課題を明確にしてから売り込みをかけることと同じ仕組みです。
ポイント③|裁量権を持つ現場社員が担当する
「カジュアル面談を担当するのは誰が良いのか?」その点に関して解説できればと思います。
企業にとっては、最も実施する件数が多い面談であり、初回の面談ということもあり、社内のキーパーソンが担当するということは少ないはずです。
しかし、候補者にとってはカジュアル面談によって、その会社全体の印象が決まってしまうぐらい重要なプロセスであることを企業側も理解しておかなければいけません。
特に多くの会社からスカウトメールを貰っているような市場価値の高い候補者であればあるほど、多くのカジュアル面談に参加しているはずです。そのカジュアル面談で、あまり印象が残らなければその場で選考辞退ということも考えられるわけです。
これらの状況を理解した上で、カジュアル面談に誰をアサインするのかを一度検討していただきたいと思います。
前提として、やはり自社の強みや社風を、熱意を込めて伝えられる人がカジュアル面談に向いているということは間違いありません。会社目線で物事を考えられる人であることが大切です。
その上で、カジュアル面談を担当すべき人の特徴が2つあります。
1つ目は、採用したいポジションにおける仕事の内容や技術や実際の働き方に詳しいこと。2つ目は、裁量権をもち候補者にインパクトを与えられること。この2点を満たす方をアサインできれば理想的です。
先述したように、カジュアル面談は候補者にとってはその会社の印象を決める重要な機会です。その場で、自分が聞きたかったことを聞けなかったり、インターネット等で得られる情報以上のことを知る機会にならなければ、興味は高まりません。
その意味では、現場理解もあり裁量権もあるので、現場責任者クラスの方が最もフィットすると思います。最初から役職のついた社員が出てくることで、候補者としても自分を重要視してくれていることが伝わり、正式応募をしてもらいやすくなるという点もあります。
また、裁量権がある人であれば、候補者の話を聞くうちに、スカウトしたポジションとは異なるポジションに向いていると判断した際に、次回は別の部署の社員と面談するのはどうかと柔軟に提案することができ、候補者の離脱を回避することもできるはずです。
実際に、ダイレクトリクルーティング経由で複数の採用決定を出している弊社クライアントでは、ご経歴が非常にマッチする方は最初から事業責任者が出て、事業に込めた熱い想いを候補者に伝えています。
このように、面談する候補者に合わせて、アサインする人を調整すれば、多忙な事業責任者のような役職の人も有効に活用できるのです。
ポイント④|最後に必ず、本選考へ進むか意思確認をする
「ご興味あれば、連絡してください」「後日、追ってメールします」などと伝えている企業が多いですが、できるだけカジュアル面談の中で本選考に進むかどうか聞かなければいけません。
本選考に進む意思がある場合、その場で日程調整まで行ってしまいましょう。後日に回すと、結局返事が来ず、日程調整できなくなってしまうケースも少なくありません。
「検討します」と言われた場合でも、応募に至らなかった理由や懸念点のヒヤリングや、連絡しても良い時期を聞き、次に繋げられるようにします。
4.最後に
返信率を上げるためにいくら努力しても、返信をもらった後の歩留まりが悪ければ採用決定は出ません。
逆にいえば、返信率が低くても、歩留まりが良ければダイレクトリクルーティング経由で採用決定を出すことは可能です。
「返信してきた候補者の中からどう内定者を出すのか」を追及することが、ダイレクトリクルーティング成功の秘訣と言えるでしょう。
次回は、ダイレクトリクルーティングを用いたITエンジニア採用のポイントをお届けします。
執筆者の中島さんが手掛けるダイレクトリクルーティング支援サービス「PRO SCOUT」
- SONYやラクスル、パーソルキャリアなど大手・メガベンチャーのスカウト実績豊富
- ダイレクトリクルーティング専⽤の体制を構築し「⾼品質」×「低価格」なサービス提供
- ABテストなど返信率向上のためのPDCAを回し、効率的な運⽤を⾏う