新型コロナウイルスによる選考スタイルの変化が進む中で、新卒・中途ともに今後の採用スケジュールは流動的に変化していくことが考えられています。
このような変化の激しい採用マーケットに対応し、継続的に優秀な人材を採用するためには、戦略的な採用計画の立案が必要不可欠です。
また、そもそも少子高齢化が進む中で、人手不足から採用計画の見直しに追われる採用担当者の方も多いのではないでしょうか。
本記事では、採用計画の必要性、採用計画の正しい立て方や手順、採用計画立案を支援するツールやサービスなどをご紹介いたします。
「他社に負けない採用計画」を作る際の参考にしていただければ幸いです。
目次
1. そもそも採用計画とは
採用計画とは、会社の事業計画をもとに、どの部署に、いつ、何人、どのような人を、どのような方法で採用するかなどの計画を立てることです。
事業計画と採用の方向性を合致させ、戦略的な採用計画を立てることは、企業の経営目標を達成するために非常に重要なことです。
また、自社のニーズを明確にして採用計画を緻密に立てることで、採用活動の問題点も明確になり、ミスマッチの少ないスピーディーな採用活動の実現に役立てることができます。
2. 正しい採用計画を立てる際に必要なポイント
「採用計画を立てようと思っているが、どうやって立案すべきかわからない」といった方も多いかもしれません。
まず、採用計画を立てる際には、次の3点に注意して立案していくようにしましょう。
①求職者の動向や採用マーケットの状況を知る
採用マーケットは、毎年大きく変化しています。
厚生労働省から出されている有効求人倍率をもとに、各求人広告社から出ている調査やアンケートなども参考にし、自社が属している業界の状況を把握しましょう。
最新のマーケット状況や、ターゲットの動向を把握することは、戦略的な採用計画立案において大変重要なことです。
②競合他社の状況を把握する
採用活動を自社に有利な状況へ持っていくためには、競合他社の状況を把握し、競合他社との差別化を図り、自社の魅力をピールすることが必要不可欠です。
競合他社というと同業他社を意識することが多いと思いますが、採用市場では同業種だけが競合とは限りません。
業種はもちろんのこと、職種、勤務時間、地域などターゲットの希望する内容によっては、ありとあらゆる企業が競合となる可能性があります。
採用競合になりそうな企業をベンチマークし、どのような手法でどのようなターゲットに絞って採用活動をしているのか、他社の採用人数や賃金などを把握することが、採用計画を作るうえでは大切になってきます。
業界やマーケットの状況によって、求職者の動きが異なりますので、しっかりと情報収集と分析をおこない、採用計画に反映させていきましょう。
また、企業口コミサイトを見ると、現職者や退職者、そしてエントリーを検討している方々の生の声が確認できますので、必要に応じて活用していきましょう。
③客観的な自社の採用力を知る
最後に、求職者の動向、採用マーケットや競合他社の状況を把握するだけでなく、自社の採用力についても把握する必要があります。
自社の採用力に応じて、採用の難易度が大きく変わってきてしまうからです。
採用実績、採用体制、採用コストを再度把握し直すことは、戦略的な採用計画を立てていくために必要不可欠です。
3. 採用計画を立てるために必要な「自社の情報」
以上のように、採用計画を立案する際には採用マーケットや他社の状況から自社の立ち位置を知ることが大事であることがわかります。
ただし、こういった外部からの情報を収集するだけでなく、自社からも適切な情報を収集しておくことが望ましいでしょう。
そこで、本章では採用計画を立てるために必要な要件について見ていきます。
採用計画の立て方に決まりはありませんが、立案していくに当たっては以下の2点について正しく整理しておくことも大事になります。
①会社全体としての「採用ニーズ」は、どれくらいあるのか?
まず会社の経営陣とすり合わせ、中長期的な採用ニーズを確認しましょう。
事業計画と照らし合わせて、今後どの部署に、どのような人材が、いつまでに、何人必要になるのかを、具体的に検討していきます。
また、外部からの人材採用だけでなく、社内での異動や配置転換、能力育成などを通して内部で調達ができないかについても検討します。
会社の要員ニーズと現場の要員ニーズは異なりますので、どういった背景で人員募集するのかを把握し、しっかりとヒアリングをしていきましょう。
②現状抱えている「採用課題」が何か?
続いては、自社の抱えている採用課題を正しく把握することです。
採用課題を明確にするには、過去の採用実績を振り返り、採用目標数に対する採用充足率、スキルや人物面などの満足度などから各選考段階での改善個所を把握することが必要になります。
採用課題を把握するには、入社前後だけでなく、入社後も振り返る必要があります。
入社後のミスマッチを防ぐために、配属先の部署と連携し、希望する人材について足りなかった要件はないか、しっかり活躍できているかなどをヒアリングすることが大切です。
4. 採用計画を立案する具体的な手順
採用計画は、具体的な流れについて理解することで、抜け漏れの無い計画を立てることができるようになると思います。
以下の5つのステップに従って立案してみてください。
①採用目標・採用目的・採用予算の明確化
まず、経営方針や事業計画に基づいて、採用目標、目的の明確化をおこないます。
その後「どの部署・部門・職種で、いつまでに、何人必要か」といったことを、募集元である各部署からヒアリングし、求職者のターゲット像を明確化します。
- スキル (専門知識、保有資格など)
- 経験
- 能力
- 行動特性(配属部署に合う志向、価値観、性格など)
- 勤務条件(処遇、勤務時間、場所など)
といった内容について、各部署が求めている人材について細かく把握するようにしましょう。
また、その際に、全体としての採用予算を把握することも大事になります。
求人広告費や説明会の会場費など外部へかかる費用の他に、応募者対応や面接にかかる人件費、交通費など社内コストについても忘れずに計算しましょう。
過去の採用も参考にしつつ応募単価や採用単価の目標も定めておくと良いでしょう。
②中長期的な採用ニーズの把握
経営方針や事業計画に基づいて、中長期的な採用ニーズを把握しましょう。
少子高齢化が進行している現在、若手の人材採用が以前よりも難しくなってきています。
そろそろ若手の人材を入れたい、と思ったときに手遅れになることがないよう、会社の事業拡大計画などに基づいて、3年、5年、10年程度のスパンで想定される採用ニーズを把握しておきましょう。
③選考方法の検討
どんなに求める人物像を明確にしていても、目の前の応募者を正確に評価できなければ全く意味がありません。
書類選考、就業するための知識や適性を測るための筆記試験、総合的な見極めをおこなう面接、といったステップを組み合わせて選考方法を検討し、各ステップにおける合格基準も明確にしておきます。
選考はターゲット像、採用コストなどを総合的に検討するため、企業によって異なります。
最適な方法を組み合わせて、求めるターゲット像と合致する応募者を見極めていきましょう。
④採用スケジュールを立てる
社内の受け入れ体制の状況と、競合他社の採用開始時期などを考慮し決定します。
近年、新卒、中途問わず採用のスピード化、短期化が進んでいます。過去の採用実績をもとに、各募集媒体の応募率、書類通過率、面接通過率、内定率、採用率を算出し、採用人数から逆算して具体的なスケジュールを立てていきましょう。
採用スケジュールは、優秀な人材と出会い採用を成功させるために非常に重要なポイントになります。
また、新卒の場合はある程度スケジュールが固定されていますが、受け入れが可能であれば、長期インターンを採用し事前に選考をスタートするのも良いでしょう。
⑤募集媒体、採用ツールの選定
社内の採用体制や採用目標のスケジュール、ターゲットの属性、性別、年齢、経験年数などの特性などに合わせて、以下に挙げた募集媒体や採用ツールなどの中から、採用ポジションに合うものを選択しましょう。
- 自社採用サイト、公式SNS
- 求人広告 (就職サイト・転職サイト)
- 求人検索エンジン
- 人材紹介会社、ヘッドハンティング
- ソーシャルリクルーティング
- 転職フェア、合同企業説明会
- ハローワーク
- 学校へのアプローチ(求人票、学内合同企業説明会、推薦など)
- リファラル採用 (社員紹介制度)
新卒、中途採用ともに採用コストを抑える工夫の1つとして、自社の採用ページがあります。
自社の採用ホームページの更新を手軽にできるようにすることで、募集職種の追加情報だけでなく、説明会の日程告知や自社の情報発信などを1つのツールで実施でき、コストだけでなく採用担当の業務効率をあげることにも繋がります。

具体的なイメージが湧くように、とある飲食店の採用計画例を紹介します。(クックビズ株式会社より転載)
こちらのカレンダーでは、求人市場の動向、出店計画、退職予想をもとに立案した、具体的な採用計画を一覧で見ることができます。このように1年の採用計画を見える化することで、いつまでに何をしなければならないかを明確にすることができ、計画的に採用活動を実施することが可能になります。
5. 採用計画の立案を支援するツール・サービスを紹介
上記のように、採用計画を立てる上では様々な準備、手順が必要となります。しかし、使用するツールがバラバラでは管理が煩雑になり、業務効率が下がってしまいます。
そのため、採用計画全体を1つのツールでまとめて管理することが大事になってきます。
ExcelやGoogleスプレッドシートといった無料テンプレートを活用することも可能ですが、今回はより業務効率化を図るために、採用計画の立案を支援するツールやサービスをご紹介します。
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自社の人事課題を把握することができ、採用計画を立てる上で役立つでしょう。
6. まとめ
企業の発展には、継続的に優秀な人材を確保することが不可欠です。
目先の人材ニーズのみならず中長期的な人材ニーズを捉え、戦略的な採用計画を立てることは、少子高齢化が進んでいる日本で勝ち残っていくために非常に重要なことです。
今回紹介した採用計画の立て方を参考に、自社に合った採用計画を立て、運用を試してみてください。