採用活動において、「面接」はとても重要な業務です。
候補者の経験や能力を引き出してミスマッチのない採用をするためだけでなく、候補者と従業員が直接接点を持つことで、募集しているポジションの役割、期待、会社の魅力をもってアトラクトし、候補者から選ばれる会社になるための役割も果たしています。
一方で、現場面接における実際のやりとりまでは具体的に把握しておらず、担当者個人の「判断」をそのまま会社の判断として見極めをおこなっている、もしくは人事が面接同席や評価確認するが手間がかかっている、とお感じになっている採用担当者様もいらっしゃるのではないでしょうか。
そこで今回は、株式会社リブセンスの伊藤さんに、意外と知らない「面接の精度」に関する研究結果についてや、googleも実践する「構造化面接」について寄稿いただきました。
伊藤豪(いとうごう)|株式会社リブセンス batonn 事業開発
2018年東北大学経済学部卒業後、株式会社リブセンスへ入社。転職メディア事業にて法人営業、アルバイト事業部にてプロダクトマネジャーを経験後、2020年6月同社の新規事業部へ異動。ToC, ToB含め複数の事業の立ち上げに携わり、現在のbatonnプロジェクトへジョイン。主にマーケティングとセールスを中心に事業開発を推進。
目次
【豪華ゲスト多数登壇!】変化に負けない「強い組織」を育むためにHRが果たすべき役割を考える大型カンファレンス『HR NOTE CONFERENCE 2024』
「人的資本経営」「ウェルビーイング」「DEI」といったトレンドワードが、HR領域だけでなく社会全体に拡がり始めた昨今。自社組織に漠然と"停滞感"を感じ、「うちは取り残されていないだろうか?」「何かやらないといけないのでは・・・」といった不安や悩みを抱える人事・経営者の皆様も多いのではないでしょうか。
本カンファレンスでは、HR領域の有識者の皆様に、様々な組織課題を解決するためのアプローチ方法について解説いただきます。強い組織を育む企業が実践している事例には、組織強化に必要な考え方や人事が果たすべき役割について学べるポイントが多くあります。ぜひ有識者の皆様と一緒に、組織を強化する「共通原理」について考えてみていただければと思います。
1. 一般的な面接では、14%の職務能力しか知ることができない
実際に現場で行われている「面接の精度」について、どのような印象をお持ちでしょうか。
面接担当者は、体系的に訓練や教育を受ける機会が十分に得られないことが多く、はじめて面接を担当する場合でも”ぶっつけ本番”ということがあるなど、マネジメントや人事評価に近い難しさがあるかもしれません。
また、はじめてでなかったとしても、30〜60分という短い時間で初対面の候補者の経験やスキル、社風とのマッチを見極めるのは実際のところ至難の技です。
Google人事担当上級副社長のラズロ・ボック氏の著書である「ワーク・ルールズ!」で引用された研究論文によると、
『一般的な面談(非構造化面接)は、採用後の職務能力の「14%」しか予測できない。』
※1998年発表の Frank L. Schmidt と John E. Hunter の研究論文から引用(『ワーク・ルールズ!』(ラズロ・ボック著)内で紹介)
とされています。
普段は現場で働く専門職の方が面接担当者としてアサインされ、いきなり候補者の面接と評価をおこなうように求められたとしても、面接担当者としてのスキルや専門性が必ずしも高いわけではありません。
2. 面接の難しさの原因の一つは「引き継ぎ」のあり方
採用手法の変化や終身雇用を前提としない雇用への変化など、働き方にまつわる価値観はますます変化しつつありますが、面接の変化は限定的です。その背景としては、「引き継ぎの難しさ」に原因があるのではないでしょうか。
面接は、個別かつクローズドに実施されるケースがほとんどで、また、面接担当者が自由な形式でおこなう会話となるため、具体的な質問と回答のやりとりを引き継ぐことは難しいです。
そのため結果的に、ある種の伝言ゲームとして、面接担当者の「判断」を引き継いでいる、という側面があります。
実際の面接で「どんな話をしたのか」を後から確認することは難しく、手間がかかります。選考プロセスを進めるにあたって、面接担当者の申し送りが少ないために、人事が面接担当者に詳細を確認する、ということもよくあります。
もし、面接担当者の「判断」だけではなく、面接での「候補者との実際のやりとり」まで含めて引き継ぐことができたら、面接に参加した人以外も個々の面接を後から確認することができるようになるかもしれません。
1回1回の面接で「判断」を繰り返すのではなく、複数回の面接を連鎖させて候補者の情報を集めることができれば、候補者を多面的に評価する選考が実現できるのではないでしょうか。
3.Googleでも実践されている構造化面接
面接や引き継ぎのあり方自体を実際に大きく変化させている例として、Googleでも実践されている「構造化面接」があります。(参考:構造化面接を実施する)
構造化面接とは、事前に評価基準に沿った質問を設計し、面接担当者は設計通りに質問を実施することで、同じ条件のもとに候補者の回答を評価する面接手法です。
先にご紹介した研究論文でも、一般的な面接担当者が自由な形式で質問する面接(非構造化面接)は、候補者が入社後に発揮する能力を14%しか説明しないというデータに対し、
『構造化面接は、26%と比較的精度が高い』
※1998年発表の Frank L. Schmidt と John E. Hunter の研究論文から引用(『ワーク・ルールズ!』(ラズロ・ボック著)内で紹介)
としています。
また、それぞれの面接で自由な形式で質問した場合、結果的に重複した質問をしてしまうことも少なくありません。
質問を事前に設計し、面接担当者の所感ではなく回答自体を評価の対象とすることで、同じ回数の面接よりも、掛かる時間を短縮しながら幅広いエピソードをヒアリングすることができ、候補者との相互理解や動機付けのための時間を増やすことができるかもしれません。
候補者としても、繰り返し同じ話をする体験は決して良いものではないでしょう。
このように「構造化面接」は多くのメリットがありますが、まだ広く普及している手法とは言えません。その原因はとにかく事前準備に手間がかかること、面接担当者の教育に手間がかかることです。
また、これまでの自由な形式での質問に慣れた面接担当者からすると、やや窮屈に感じることもあることでしょう。
4. わかりやすい引き継ぎで「誰もが納得のいく採用判断」を
以上のような課題に対しては、面接自体を録画し文字起こしすることで、面接担当者の「判断」だけでなく「候補者との実際のやりとり」まで引き継ぐことが有効です。
オンラインでの面接が増えたことで、面接を「録画」する企業は近年増えてきています。しかし、録画のみでは内容を確認するのに時間がかかってしまったり、全体を一覧にした上で具体的なやりとりを評価の根拠として関連付けることが難しかったりします。
面接は重要な業務であるとともに、面接中のメモや申し送りの作成など、現場の面接担当者の負担も多い業務です。
弊社で提供する「batonn(バトン)」は、面接の文字起こしを自動でおこなってくれるので、面接担当者がおこなうメモの負担を減らすことができます。また、実際のやりとりを引用しながら申し送りすることで、イチから作文する必要がなくなります。
面接する人にとっては簡単、引き継ぐ人にとってはわかりやすい、引き継ぎを実現することができます。
5.最後に
面接、引き継ぎのあり方を変えることは、面接担当者の「判断」を中心とした選考プロセスから、候補者自体を中心とした選考プロセスへの変化とも言うことができます。
候補者自体を中心とした選考プロセスになれば、面接はそれぞれの担当者が個々に実施する業務ではなく、チーム全体で協力して実施する業務に変わります。
チームで協力して目の前の候補者にフォーカスし、ミスマッチを抑止し、内定承諾率を高めることに取り組むことができるようになるのです。
弊社では、面接を個人戦からチーム戦に変え、いいひとを逃さないための最高のバトンタッチの実現を支援することを目指しています。
batonn(バトン)は、実際のやりとりをもとにエピソードの評価をすることができます。自由な形式で質問する面接を事前設計不要で構造化面接的に取り扱い、徐々に構造化面接に移行していくことが可能です。現在、30日間の無料トライアルを実施中です。
【豪華ゲスト多数登壇!】変化に負けない「強い組織」を育むためにHRが果たすべき役割を考える大型カンファレンス『HR NOTE CONFERENCE 2024』
「人的資本経営」「ウェルビーイング」「DEI」といったトレンドワードが、HR領域だけでなく社会全体に拡がり始めた昨今。自社組織に漠然と"停滞感"を感じ、「うちは取り残されていないだろうか?」「何かやらないといけないのでは・・・」といった不安や悩みを抱える人事・経営者の皆様も多いのではないでしょうか。
本カンファレンスでは、HR領域の有識者の皆様に、様々な組織課題を解決するためのアプローチ方法について解説いただきます。強い組織を育む企業が実践している事例には、組織強化に必要な考え方や人事が果たすべき役割について学べるポイントが多くあります。ぜひ有識者の皆様と一緒に、組織を強化する「共通原理」について考えてみていただければと思います。