採用面接では、入社後に活躍してくれる人材かどうかを見極めたり、自社で働くことを魅力的に感じてもらうための動機形成をおこなったりする必要があります。
しかし、限られた時間内で効率良く「見極め」と「動機形成」を実施することは容易ではありません。
そこで、今回のHR-Studyでは、「面接術」をテーマに各社の手法や失敗事例などを赤裸々に語っていただきました。
- 他社がどのような面接メソッドを活用しているのか知りたい。
- オンラインでも候補者の真意を知りたい。
- 候補者とオンライン面接する中で活躍する人を見極めたい。
といった人事担当者や経営者、マネージャー層の皆様は、ぜひ参考にしていただければと思います。
※本記事は、2021年6月7日(月)13:00~14:30に実施されたイベント内容をもとに再編成したものです。
登壇者紹介
山崎 暁史|ソニーグループ株式会社 採用GP
ソニー入社後、国内放送局システムの営業、デジタルカメラ企画を経てオーディオ商品企画に異動。全世界で展開するヘッドホンの事業をリード。その後社内公募制度にて新規事業の事業開発を担当。現在は採用GPに異動し経験者採用、及びグループ採用の推進を担当。
大原 一峰|ラクスル株式会社 ラクスル事業本部 HRBP
2017年ラクスル入社。人事部門の立ち上げ、HRBP機能の立ち上げを担当。事業経営×組織人事の実現を追求する。ラクスル入社前はそれぞれ3年で20名→250名、7年で500名→1600名の企業規模拡大の中で人事部門の立ち上げや統括を行う。
石黒 紀之|GRASグループ株式会社 コーポーレート推進部 部長
GRASグループ(旧:ウェブリオ株式会社)に人事部長として入社後、人事・総務・広報・インフラの統括と、新領域の事業立上げ責任者を兼務。経営に合わせた人事戦略や企業ブランディングの強化で、組織の成長を加速。16歳でNPOの設立、個人事業などを経て就職。人材ベンチャーのマネージャー、美容メーカー(東証)の人事企画責任者、商業施設・医療法人の立上げに携わった後、現職。
モデレーター
西村 創一朗|株式会社HARES 代表取締役
新卒でリクルートキャリアに入社後、法人営業・新規事業開発・中途採用などを歴任。在職中の2015年に「二兎を追って二兎を得られる世の中を創る」をミッションに株式会社HARES(ヘアーズ)を創業後、2017年に独立。今回のテーマである「オンボーディング」を含め採用・人事領域を中心に多数の企業のアドバイザーを務めるほか、人事系イベントのモデレーター/ファシリテーターとしても活躍。著書に『複業の教科書』(ディスカヴァー・トゥエンティワン刊)がある。
[勉強会の内容をまとめたスケッチノート]
目次
LT1. 企業としての「Purpose(存在意義)」を根幹に|ソニー山崎さん
ソニーの山﨑です。
ソニーは、全世界で11万人いる従業員が同じベクトルで仕事をできるようにPurpose(存在意義)を定義し、全社員に共有しています。
本日のテーマである「面接術」を語る上では、このPurposeがとても重要になると考え、最初にご紹介させていただきました。
私自身、もともと報道記者を志して就活していましたがうまくいかず、就職浪人を考えていたときにソニーと出会い、選考の場で動機形成をされて、ソニーに入社することになりました。
入社後は、BtoCのデジタルカメラ周辺機器の商品企画や、新規事業開発を経て、2016年から人事採用業務に携わっています。
「自分のキャリアは自分で築く」ソニーは新卒領域でも職種別採用をおこなう
面接術の話に入る前に大前提としてお伝えしたいのが、ソニーは「自分のキャリアは自分で築く」という文化が浸透している会社ということです。
近年はジョブ型採用がバズワードとなっていると思いますが、弊社では、2012年から新卒領域においても、職種別採用をスタートしています。
また、入社後は社内募集制度を活用できるなど、自分のキャリアを自らの手で選択できる制度を社内に整えています。
事実、私も合計4回ほど、この社内募集制度を利用して、自分でキャリア形成をしてきました。
面接で見ているポイントは「Purposeに共感してもらえそうか」
このような前提がある中で、面接で大事にしていることは、いかにソニーのPurposeに共感してもらえそうか、候補者の人生感や考え方などから探ることです。
私の視点では、候補者の個性や深み、人生観の広がりや濃度を観察し、これが抽象的であれば、具体的なガクチカ(学生時代に力を入れて取り組んだこと)にどう接続しているか、といったことを見る必要があると考えています。
主に候補者とのスキルマッチや伸びしろについては、新卒・経験者採用ともに、求人募集をした職種の現場社員が確認するため、私は特に人物面にフォーカスを当て「候補者がPurposeに共感してくれているか、くれそうか」という点をひたすら面接で見極めるように心がけています。
ソニーを「働く場」として意味づける動機形成が大事
そして、動機形成については、「ソニーのPurposeに共感し、働く場としてのソニーを選ぶ意味付けをしてもらうこと」ととらえています。
私は、もともとは就活に失敗し、再度報道記者を目指して就職浪人を一度決めていました。
ソニーの面接は、だいぶ時間が空くことで面接の感覚を維持するために受けたのですが、当時の人事部長に「ソニーには映画や音楽、エレクトロニクスなど何でもあるのに就職浪人はもったいない」など話してもらい、ソニーを働く場として意味付けすることができました。
結局振り返ると、ソニーの企業理念に共感しているからこそ、長期間この会社で働くことができているのだと考えています。
LT2. 選考推移率を指標に候補者の意向上げを|GRASグループ石黒さん
GRASグループのコーポレート推進部部長を務める石黒です。
GRASグループは現在17期目でして、オンライン辞書のウェブリオと教育事業などを運営しています。恐らく、本日ご参加されている皆さんも、一度はウェブリオをご利用いただいたことがあるのではないでしょうか。
小さい企業らしく、工夫の凝らした採用活動に取り組む
GRASグループの従業員数は国内約90名ほどで、何か特殊な採用をすることができるわけではありません。しかし、小さい企業だからこそ工夫を凝らして、試行錯誤しながら採用活動に取り組んでいます。
現在、平均年齢は31.9歳ですが、決して全員が若手ではなく、最長年齢は58歳と幅広くなっています。
直近半年では、20代後半から30代の責任者から20代の若手を中心に採用活動をおこなっています。
また、新卒採用では、採用目標人数を10名程度に設定し、早期リーダ候補や起業家クラスの人材を採用するようにしています。
採用チームはミドル社員1~2名程度の人員で回すことができており、いかに少人数の採用チームで効率良く面接をおこなっていくか、に力を入れています。
採用で意識しているポイントは「選考段階の推移率」
採用面接の際に、私たちが意識しているポイントは会社説明会から一次面接、二次面接、最終面接までの推移率です。
会社説明会から一次面接に進む率は低く、その後の面接で進む率は非常に高くなっているのが特徴的だと考えています。
これは、人事の人数が少ないため、候補者にとっても私たちにとってもお互い意味のない時間を作りたくないという想いから意図的におこなっています。
大手や有名企業だと嫌でもエントリーが集中してしまいますが、面接参加率の調整は、私たちの企業規模だからこそできることです。
選考の推移率を調整するために、会社説明会では求める人物像よりも求めない人物像・あわない人物像を具体的に話すようにしています。
そうすると、会社説明会への参加満足度は高いのに志望度が低いという結果が出るようになります。
根幹にあるのは「GVR(Goal/Value/Responsibility)」
そして、このようにな選考推移率を重視する背景としては、私たちが造語として使っているGVRという指標を意識していることが挙げられます。
GRASグループは、まだまだ「どこの会社?」と言われる可能性の高い認知度です。
その中でも「会社説明会は面白いけど、私には合わない」と判断して辞退される人が多い状況は、この3つを大事にした結果となっていると考えています。
LT3. 「正しい情報」を得ることが面接の本質|ラクスル大原さん
ラクスル株式会社の大原です。
ラクスルは、「仕組みを変えれば世界はもっと良くなる」をビジョンに、「印刷のラクスル」「物流のハコベル」「テレビCMのノバセル」という3事業を展開しており、私はラクスル事業のHRBPを担当しています。
面接官がすべき「面接会場からの脱出」
今回のLTのテーマは、「面接会場からの脱出~面接の答えは面接の外にある~」です。
本日のイベントのテーマも「人を見極める面接術」ですが、いわゆる見極めの話は“面接のやり方”にフォーカスがあたりがちで、そのことに違和感があるという話になります。
まず、左右の図をご覧ください。
左は、面接に詳しいベテラン社員が面接をして、その様子を新人が見ているケース。右はその逆です。
それぞれのケースで両名に面接合否を出してもらうとするならば、左のケースはあまり結果にズレが生じません。または、生じたズレは基準の違いなので修正が容易です。
しかし、逆に、右のケースにおいてベテランに何が起こるかというと、「材料が足りなくて判断できない」という状況です。
つまり、面接で判断するために重要なことは、判断そのものよりも、検討のための正しい情報が引き出されていることだと考えています。
どれだけ正しい判断能力を有していても、情報に不足や偏りがあれば判断できません。
- 正しい情報は正しい判断から生まれる。正しい判断軸と面接官適正を持った人間も、正しい情報がなければ判断はできない。
- 正しい情報は正しい質問から一問一答で導き出されず、対話の流れから抽出されるものである。面接スキルとは正しい情報を引き出す技術である。
- 正しい情報さえあれば判断軸が曖昧でも一定正しい判断が可能。ただし、再現性は低い。
候補者から正しい情報を得るためには?
上記のように、面接では「正しい情報」「正しい判断基準」「面接官の適正」の3点が必要です。
正しい情報を得るためには、毎回同じ「正しい質問」を繰り返せば良いわけではありません。
面接ごとに、何を聞くべきか、どこまで話を深掘るべきかなど、考えながら進める必要があります。
面接官は特に「面接で確かめるべきことに気付く力」を磨くことが大切です。これがなければ、判断のための情報不足や偏りが起こってしまいます。
そして、この力の向上を考えるのであれば、実際の面接現場の中では難しいです。
なぜなら、人の評価は面接の中には完結しえません。加えて、不合格となった候補者の選考が正しかったかどうかを把握することは実質不可能なため、判断のPDCAが完全に回ることはありえないからです。
なので私は、普段から関わる社員やあらゆる人を評価する癖を付けるなど、真剣に人を評価し、それを更新し続けるような取り組みをおこなうことをおすすめします。
自分で評価し、それと活躍度合いや上司評価、将来の退職理由などと比べていくことで、自分が評価できていなかった人間の特性や自分の考えの偏りに気付くことができますし、評価や活躍の仕方と普段の思考言動を比べていくことで面談で引き出すべきものも見えていくと思います。
従業員の評価をし続けることで、人を多面的に見ることができるようになる
人の能力・価値観・思考などを詳細に把握するようになると、能力や価値観を表現するための語彙を増やすこともできます。
語彙が増えれば、「この人は評価すべきだ」「この人は合わないかもしれない」といった違和感や状況に気付きやすくなります。
下記の画像にあるように、色の違いに対して意識して名前が付いていなければ「紫」としか表現できません。これは「カルチャーに合う」「地頭が良い」といった語彙に対してよく起こるのではないでしょうか。
人事が他の社員と違う点は、人を多面的に見ることです。
なので、面接の「中」だけでなく、面接の「外」に意識を向けましょう。
採用面接、人事面談、自己評価、上司評価、多面評価、サーベイ、勤怠、退職理由、退職後…。
これらを通して時間軸を持ち多面的に人を考え、いかに面接という短い時間の中で自分が知れていないことが多いか、それらを通して知れることを面接だけで判断するためには何の情報が必要なのか、考え抜くことが必要だと思います。
パネルトーク/視聴者からのQ&A
ここからは、視聴者の皆さんから多くの投票が集まったテーマを中心に、パネルトークを進めさせていただきます。
Q. 候補者の本音を引き出す質問は?
本音を引き出すためには、情報定義をしていくことが大事ではないでしょうか。
たとえば「成長したい」と言われた場合に、「成長?」と合いの手を入れるだけで、その人が考える成長について教えてくれますよね。
また、話の途中で矛盾する点があれば、「先ほどおっしゃっていたことと矛盾があるという解釈もできますね」など、率直に気になる点を伝えることも大事だと思います。
その他には、他者の視点から質問をすることです。
「先ほどの話について、あなたの上司はどう考えていたと思いますか」「あなたは〇〇が大事とおっしゃいましたが、会社の勝ち筋から見たらどうだったのでしょうか」など、視点を変えながら深掘っていくことは多いです。
そうすると、候補者の本音など抽象度の高い話を整理しやすくなりますね。
抽象的な言葉に対して、さまざまな切り口から探っていくのですね!
ソニーさんの場合、多くの学生が理論武装をしてくることもあると思うのですが、彼らのホンネを引き出すためにしていることはありますか?
候補者の人生観や、深さを知るために「自分が心を動かされた経験はありますか?」といった質問を投げます。
そして、心を動かされたシチュエーションを具体的に聞いた後に、今度は「誰かの心を動かした経験はありますか?」と聞くようにしています。
私は以前ある人から聞いた「人間の幸せの総和は、自分が感動した質と量と、人を感動させた質と量の総和である」という考え方を大事にしています。
大抵の人は、「心を動かされた経験やエピソード」は幼少の頃のものも含めてたくさん覚えていることが多いです。
しかし、「誰かを感動させた経験やエピソード」は少なく、意外と直近のものしか思い出せない傾向があるのではないでしょうか。
ソニーは、「クリエイティビティとテクノロジーの力で、世界を感動で満たす」ことをpurposeとしている企業なので、この質問はよく投げかけさせていただいています。
そして、特に誰かを感動させ、行動変容につながったエピソードから、その人の人生感、深さや幅が見えると考えています。
結局人間って、自分が質の高いインプットを受け、それをきちんと咀嚼してアウトプットしていくサイクルが自身の成長や引き出しにつながり、そして成果になっていくのだと思います。
ソニーさんらしい、本音を引き出す質問ですね。
ちなみに最近の学生さんは、とても話が上手で魅力的なストーリーをしっかり作ってくることも多いと思います。それでも、先ほどの質問でホンネはわかりますか?
大抵、わかりますね。
この質問に答えられない学生さんはあまりおらず、皆さん何かしらの答えをしてくれます。
しかし、よくよく聞いていくと「ESとの接続性が薄いな」「抽象的すぎるな」と感じることもあります。
また、この質問に回答いただいた後は必ず質問の意図も伝えるようにしていて、背景とセットで伝えた時の反応においても学生さんの腹落ち度を確認することができると思います。
ありがとうございます。
続いて、石黒さんにお伺いしたいと思います。
本音を引き出す質問は特にありませんが、本音で話しやすいような環境づくりには注力しています。たとえば、面接っぽいピリピリした空間を作らないこと、プレッシャーをかけすぎないことなどです。
「何が聞かれるかわからないピリピリした空気感」をなくすために、私の場合は「今日の面接はこういう目的でやります」と面接の冒頭に必ず伝えるようにしていますし、オンライン上であれば、質問内容をチャット欄に事前に送ってあげるなど、「これが聞かれる内容なんだ」と分かった上で、安心して話せるように工夫しています。
また、会話途中は候補者の話を丁寧に広げてフィードバックすることも意識しています。
相手の回答に対して一つずつ、「なるほど」と受け止めて「だからあなたの人生ってこうだったんですね」「それでこの学部に入ったんですね」と優しいトーンで寄り添って行くと、話しやすいと感じてもらいやすいです。
そして、フィードバックだけでなく、提案とセットにすることも本音を掴むうポイントだと思います。
「先ほどのお話は、見方を変えるとこうだったのではないでしょうか?」「当時嫌だったことは、あなたの上司からするとこんな風に見えていたのではないですか?」といった私自身の見解を切り込んでいくと、本音がポロポロ出てくるんですね。
相手への共感、提案、フィードバックを効果的におこない、少しでも話しやすい環境を作れるよう意識をしています。
Q. 「自社ならでは!」と思うような質問はありますか?
質問ではありませんが、ワークサンプルテストという課題へのアウトプットを出していただき、それに対してディスカッションをおこなう選考があります。実務的なフィットや思考プロセスの確認はそこで見ていますね。
また、採用はより長期視点でおこなうべきと考えているため、「入社時の役職やグレードよりも1、2つ上になった時にどうなるか」という視点で質問をおこなっています。
先々を見据えた質問もされているんですね。石黒さんは自社ならではの鉄板質問はありますか?
弊社では、そもそも新卒も中途も大きく分けて2つずつの質問しかしていません。
新卒は「①なぜ今日来たのか」「②うちで何をしたいのか」の2つ、中途は「①何で前職を辞めるのか」「②うちで何をしたいのか」という2つだけです。
この2つに質問を絞ることで、短い時間の中でも細かい部分まで聞き出すことができると感じています。
いわゆるガクチカや志望動機といったテンプレを聞くのではなく、自分の人生や価値観の推移について、自由に話してもらえるように意識をしています。
もちろん、志望動機を話すことが絶対にNGというわけではありません。志望動機が「なぜ今日来たのか」「うちで何をしたいのか」の回答になるなら、それを話していただいて構わないです。
ただし、もしあなたが用意した志望動機やガクチカが「なぜ今日来ましたか」の質問の答えにならないのであれば、たとえ長くなっても始めから話して欲しいと伝えるようにしています。
Q. 候補者を惹きつけるキラートークはありますか?
3つ目のテーマは候補者の惹きつけです。
各社、どのように候補者のアトラクトをしているか、順にお伺いしていきたいと思います。
キラートークはありませんが、23年前に私がソニーの面接官から受け取ったことと同じメッセージを、私なりの言葉で表現して伝えるようにしています。
自分のキャリアは主体性をもって自分で築くというメッセージを、自身の経験を踏まえて具体的に話すことですね。
私もキラートークはありませんが、強いて言うなら「私たちの会社に入ることは、あなたの人生においてどういう意味があるのか」と尋ねます。
最近は起業希望の学生も多いですが、起業の過程の最初の山を登る位置に弊社があるのか、それとも起業目前のステージにこの会社があるのかを確認します。
その人の求めるステージに、GRASグループが意味あるものかどうかを聞き出せると良いと考えています。
面接を点でとらえるのではなくて、キャリアの線上でとらえて、「この会社はあなたが描いたキャリアの、どの位置にいますか」と問う面接手法なんですね。
はい、おっしゃるです。
また、キラートークを投げることに意識を向けるよりも、なるべく話題を絞って話すことをおすすめしたいです。
一つの話題を10分話すのと、30分話すのでは、後者のほうが圧倒的に惹きつけられるはずです。
つまり、面接で「話さないこと」を決める方法も理にかなっているのではと思っています。
今日の面接ではスキル面は見ない、惹きつけもしない、という風に、「話さないこと」を決めることで、結果的に候補者との対話は濃くなって効果的だと思います。
私もあまりないですが、アトラクトが「自分が何かを伝えること」にならないように気を付けているかもしれません。
相手の求めているものが理解できれば自然と相応しいトークになりますし、理解していることそのものや理解しようとしている姿勢も強いアトラクトではないでしょうか。
95%は相手を知ることに割くべきかなと思いますね。
最後に視聴者の皆さんからリアルタイムで寄せられたQ&Aに、登壇者の皆さんに回答していただきたいと思います。
Q. 「御社で活躍している人はどんな人ですか?」という質問に対して、どのように答えていますか?
リクルートさんの「圧倒的当事者意識」という考えが近いかもしれないと感じていますが、本人の主体性・求めるキャリアパスにあわせて活躍している人の例を伝えています。
「電気、メカ、IT、無線、量産技術」など幅広いテクノロジー、「エレクトロニクス、半導体、ゲーム、映画、音楽、金融」といった事業、そしてそれらを「グローバルに展開する地域軸」を前に、主体的に動いていける人ほど機会が存在する、と話しています。
私は、会社説明会の場で「こんな人は合わない」「こういった方が活躍しています」と具体的に説明をするようにしていますね。
頻出の質問なので、先にスライドで答えを見せてしまうようにしています。
Q.オンライン面接が浸透する中で、候補者の惹きつけが難しくなったと感じています。オンラインならではの工夫はありますか?
私個人としては、あまり難しいと感じていません。そのため、オンラインだから工夫していることも特にありません。
ただし、候補者ご本人が気にする場合は、来社いただくこともあります。
強いて言えば、対面のように待合室にご案内して面接時間まで待機いただくことが難しいので、オンラインのときは時間ぴったりに開始できるよう、気を付けて調整をしています。
私もあまり変わらないですね。
むしろオフラインよりも、オンラインのほうが率直に話しやすくなった側面もあると感じています。
これは、恐らくお互いが対面よりも気を遣わずにリラックスして面接できるからなのではないか、と最近は思っています。
弊社も特段変わったことはありません。
オンラインだと、身振り手振りや雰囲気、身だしなみは見えないからこそ、よりお互いが意識を集中させているため問題ないと受け止めています。
Q.人事担当の教育で意識していることはありますか?
時間軸が長く、曖昧で、正解などわからないのが我々の仕事です。
まだ社内で誰も課題と認識していないことに対して、課題を設定し推進することが私の考えるスーパーな人事です。
その過程では経営や事業部門とハレーションが起こることもあるでしょう。
安きに流れず、たとえ会社と喧嘩してでも、10年後の会社のために何かを為そうとする人が素晴らしいと思うので、その芽を摘まないように気を付けています。