中途採用者のオンボーディングを阻害する構造的要因とは |HR NOTE

中途採用者のオンボーディングを阻害する構造的要因とは |HR NOTE

中途採用者のオンボーディングを阻害する構造的要因とは

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  • 中途採用手法

※本記事は、グロービス経営大学院の「グロービス・ライブラリー」より、語句などを一部修正したものを転載しております。

構造的な人材不足が課題となっている昨今、各社とも中途採用を強化しています。また、その動きに伴い、中途採用者の定着・活躍を促す「オンボーディング」に注目が集まっています。

しかし、新卒一括採用、年功序列、終身雇用が当たり前だった日本企業にとって、中途採用者を受け入れ、定着・即戦力化させるのは未知なる領域です。各社からも、あまりうまくいっていないという声を聞きます。

そこで、さまざまな視点から、中途採用者のオンボーディングを阻害する要因を探ってみました。

太田 昂志| グロービス・マネジメント・スクール 講師

SIerを経てグロービスに参画。法人向け人材育成・組織開発コンサルタント、定額制動画学習サービス「GLOBIS 学び放題」の事業開発担当マネージャーを経験。現在はビジネススクールや法人研修で論理思考・人事組織系科目の教鞭を執る他、教育プログラム開発も担う。また、テックカンパニーの最高人事責任者(CHRO)や公的機関・急成長スタートアップの経営・人事アドバイザーも務める。大阪大学卒業、グロービス経営大学院修了(成績優秀者表彰)

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1.「採用」と「定着・活躍への支援」との分断

まず中途採用者のオンボーディングがうまくいっていない企業に多く見られるのは、現場側に中途採用者を支援する仕組みがないケースです。これは日本の採用システムに原因があります。

日本の採用システムの中心は新卒一括採用。新卒採用者は、毎年4月に一斉に入社し、人事部が主体となった一定期間の研修を受けて現場に送り出されます。

対して中途採用者は、入社時期が通年であり、採用時点で既に配属先も決まっています。そのため中途採用者は、現場主体で定着・活躍の支援が行われることになります。

結果どうなるか。採用した人事としては、入社後、中途採用者の状況が見えにくくなってしまうのです。現場も現場で、即戦力として中途採用者を採用しているため、「育成」という意識を持ちにくい状況が生まれます。

これが中途採用者の定着・活躍を阻害する要因になっていおり、「採用」と「定着・活躍への支援」が分断しやすい構造になっているのです。

本来は、採用→定着→活躍のプロセスを一貫して構築・運用していくことが不可欠です。実際、オンボーディングが成功している事例を見ると、人事と現場が採用→定着→活躍のプロセスを連携して回していることが多いことがわかります。

また、そのプロセス設計も、現場が主体となって行い、それぞれのフェーズにおいて、中途採用者に到達して欲しい状態を定義し、定期的にモニタリングしています。

更に、そのモニタリング自体も、配属先の上司・先輩・同僚だけに任せるのではなく、人事や近しい部門も巻き込んで多面的に捉えられる仕組みが作られています。

大事なのは、人事に全て任せるのではなく、現場側もそのプロセスを担っているという意識を持ち、関与していることです。

2.軽視されるメンターとのマッチング問題

中途採用者に対する定着・活躍の促進において、メンターの果たす役割は非常に大きいですが、ここにも構造的な難しさが存在しています。

この問題を考えるにあたっては、本来、メンターとのマッチングはどうあるべきなのかを考えてみると良いでしょう。

もし中途採用者を即戦力化したいなら、メンターとの相性をしっかり見るべきです。中途採用者本人のコミュニケーションスタイルや強み・弱みなどを分析し、最適なメンターを選ぶことが、その後の成長に直結するからです。

しかし現実は、「メンターとのマッチング」よりも、「人員不足の補充」と「既存社員の育成」という2つの軸が優先されてしまいます。これは、どういうことでしょうか。

3.配属先が決まるとメンターが誰になるかも決まってしまう

指導する男性そもそも中途採用者の多くは、現場で人員が不足しているからこそ採用されることが大半です。

複数人を採用する予定があり、かつ、中途採用者本人も受け入れ部署を選べるなら良いが、そういったケースは決して多くはありません。

多くの場合、受け入れ部署の要望をもとに中途採用者の採用計画が立てられるため、本人が現場を選ぶことはほとんどできないのです。

そして、配属先があらかじめ決まっているなら、誰がメンターになるかも決まってしまいます。

その多くは、次のマネジメント候補である中堅社員がその任を担うことになります。つまり、そもそも「マッチング」という考えはあってないようなものなのです。

この問題の解決にあたっては、中途採用者の入社が決まる前から調整を始め、メンター選定や配置に柔軟性を持たせる余地をつくることが重要です。

というのも、こうした問題が起きる原因は、「中途採用者」「採用担当者」「受け入れ部署」の三者間での認識が揃っていないことにあるからです。

例えば、選考開始前に中途採用者本人と受け入れ部署とのコミュニケーション機会を取るなどし、「自分たちの部署の文化に合うかどうか」「どのメンターのもとにつけるべきか」など、中途採用者本人の性格や特徴など把握し、選考のプロセス中から人事と現場がともに考えていくことが有効です。

結果、配属先の都合などによらない、本人に最適なメンターを選ぶことでマッチング問題を解消できるとともに、入社前から現場に「新しい人材を受け入れる」という責任感を持ってもらうことも期待できます。

4.上司と中途採用者がお互い理解を深められていない

仕事の説明をしている最後の要因は、上司と中途採用者本人との相互理解不足です。

通常、中途採用者は明確に定義された職務記述書に基づき採用されます。したがって、記述書に記載された知識やスキルは満たしているという前提が敷かれています。

ところが、実際はそれらの知識やスキルにも濃淡があり、また新しい環境では以前の環境と同じように能力を発揮できるとも限りません。ここに、中途採用者本人と、受け入れ側の上司との認識のずれが生じます。

その認識のずれを更に拡大させるのが、両者の意識の問題です。中途採用者本人で言えば、前職での成功体験に囚われた状態で入社することがあります。前職の経験をアンラーニングしていれば良いですが、実際は難しいでしょう。

また、受け入れ側の現場にも問題があります。中途採用者は即戦力として周囲に認識されるため、「この職場においては”未経験者”」という意識を持たれることはあまりありません。

こうした意識が、中途採用者に対する「お手並み拝見」的な関わり方を生んでしまう構造になっています。

解決の第一歩は、相互に理解を深めることです。中途採用者本人は、今の職場で仕事をする上で足りない知識やスキルを自覚し、それを学んでいくことが重要になります。そして、上司にそうした悩みを打ち明け、ともに知識やスキルを得ていくことが必要です。

上司も中途採用者の能力開発をサポートしていくのはもちろん、組織で求められている振る舞いを伝えることが重要になります。

その職場の風土を作るのは上司であり、上司が率先して取り組むことで、中途採用者を受け入れる「中途文化」が醸成されるはずです。

5.中途採用者が活躍する組織になるためには構造転換が必要

日本のトップカンパニーが次々と終身雇用の限界を明言し、新卒入社した会社で一生働くという常識は崩壊しています。それに伴い、今後各社とも中途採用者の割合が増えていくのは間違いありません。

他方で、従来の仕組みのまま中途採用者に入社してもらっても、本人の努力に頼るだけになってしまい、なかなか根付きません。

中途採用者が転職後も活躍してもらうには、人事だけでなく、その企業で働くすべての社員からの働きかけが必要になります。

あなた自身も、中途採用者が活躍できるかどうかに関わっているのです。

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