新卒の即戦力化を目指す仕掛けとは?FANTAS technologyの目指すニューノーマルな採用手法と育成プログラムの裏側

コロナ禍でも積極的な新卒採用を続ける企業は多いと思います。

しかし、オフラインからオンライン中心の選考手法に切り替わる中で、オンラインでの選考活動における課題も見え始めているのではないでしょうか。

今回、PropTech(不動産テック)領域において事業を展開するFANTAS technologyに、オンラインでの採用選考におけるFANTASならではの取組事例についてお話を伺いました。

FANTAS technologyは、「人」と「テクノロジー」の力を最大限に活用するOMO戦略(※Online Merges with Offline:オンラインとオフラインの融合)によって、不動産の購入、売却、投資、賃貸ユーザーに対して、DXで効率的なマッチングをおこなうプラットフォームを運営しています。

創業12年目を迎える同社は、今年の4月に16名の新卒社員が入社し総勢150名超となるなど、事業・組織共に拡大しています。

昨年からは採用選考を全てオンラインに切り替え、リアルなコミュニケーションが不足する中でも、入社までのサポートを含めた「新卒の即戦力化」に力をいれています。

ニューノーマルに対応した新たな選考手法や教育プログラムなど、社員のエンゲージメント向上に力を入れるFANTASの取組について、詳しくお話を伺いました。

■取材対象者

家入 洋|FANTAS technology株式会社 コーポレート本部 HRチーム サブリーダー

国内アパレルメーカーに新卒入社後、日本国内の販促事業会社に転職しブライダル領域での広告営業、人事、営業企画に従事。2020年6月にFANTAS technologyへ入社。新卒、中途採用を担当し、人事制度改革やHRテック化に向けた人事管理、運用システム導入に携わる。新婚の明るいA型です。

松本 聡実|FANTAS technology株式会社 コーポレート本部 HRチーム チーフ

2014年に人材系広告代理店に入社。法人営業部に所属し、アルバイト領域における大学生と企業のマッチングを支援。チームリーダーを経て、営業部と事業推進室を兼任し新卒採用を担当。自身のキャリアアップの為、2018年FANTAS technologyへ入社。新卒採用のメインに、会社説明会や面接、内定後のフォローアップまで幅広く担当。新卒メンバーのお姉さん的存在であり相談役。

1. 新卒採用に力を入れるFANTASがコロナ禍で感じた学生の変化

ーコロナ禍によって各社の新卒採用が大きく変化していると思います。貴社ではどのように採用活動を進めていますか?

家入さん

FANTASでは、エージェントを活用し母集団形成をした後に会社説明会をおこなうという流れで新卒採用を進めています。

「若手の労働力の確保」「FANTASの文化の継承」「将来のリーダー・コア人材の獲得」などを大きな理由として、新卒採用に力を入れています。

コロナ禍以前の20卒採用までは、当社のセミナールームで説明会をリアル開催していました。

しかし、21卒採用からは全ての説明会や選考活動をオンライン開催にしています。

採用人数は、コロナ禍前後で大きな変動はなく、20卒13名、21卒16名、来年22卒も例年並の入社を予定しています。

ー応募する学生側の動向や意識の変化はありますか?

家入さん

オンライン上での説明会開催になったことで、学生の方々は今までよりも参加のハードルが低くなった印象です。

リアルで開催していた頃(20新卒)の参加者が1,600名だったのに対して、現在は2,500名と約1.5倍の学生に参加していただいております。

松本さん

リアルで説明会を開催していた時は、1回あたり20〜30名が限界でした。

しかし、オンライン開催だと1回あたり平均100名程度参加いただけるようになり、学生さんと接点を持つ機会は格段に増えていると感じています。

地方の学生さんとも接点を持てるようになったことが、オンラインに切り替えた中で感じていることです。

家入さん

ただし、その一方で、説明会後の選考応募率は下がりました。

オンラインで説明会を開催する企業が多くなる中で、学生側が企業間を移動する時間は無くなり、効率的に企業を回ることができるようになりました。

これまでは説明会への参加は多くても1日に2・3社が限界でしたが、1日4・5社に参加することが可能になったことが要因だと考えています。

松本さん

採用活動をオンラインに切り替えたことで、これまでよりも、学生さんとの面接の日程調整がしやすくなったことは良かったと感じています。

学生側も大学やアルバイト、遊びに割く時間などが以前より減り、比較的時間に余裕ができているのだと考えています。

オンライン上だと、1人を面接した後すぐに画面を切り替えて次の面接に対応することもできるので、効率良く進めることができています。

反対に、オンラインになったことによって、学生さんのリアクションや志望度合いは掴みにくくなっているので、質問項目を増やし、場合によっては1度リアルでの面接を実施するなどの柔軟な対応をおこなっています。

2. どのようにして「新卒の即戦力化」をおこなっているのか?

FANTASさんが「新卒の即戦力化」に力を入れるようになった背景について教えてください。

松本さん

当社は創業から12年目を迎えますが、ベンチャーマインドを持ちながら事業を加速する中で、「成長機会の提供」を採用ブランディングで押し出しています。

そのため、当社の選考では「成長スピード」を魅力に感じて応募いただく学生が非常に多いです。

年功序列制度ではなく、努力・実力次第でポジションと役割が与えられる点は、弊社としても強みだと考えています。

早く成長したい、少しでも早くお客様の前に立ちたい、という新入社員の思いを叶え、新入社員の市場価値向上につなげたいと考えています。

また、そもそも現場で成果を残し、会社に貢献できる人材をより早く生み出すことは人事のミッションであると考えています。

そのため、採用活動の段階から「新卒の即戦力化」に取り組んでいることを形として示しながら、学生の方々には弊社のカルチャーをしっかりと伝えること、その中で弊社を理解し納得いただいた上で入社してもらいたいと考えています。

家入さん

新卒の即戦力化のためのPDCAを回すことは、入社後の成長スピードを加速させるための育成の土台を作る意味でも重要だと思います。

そのため、人事側のサポート業務として「新卒の即戦力化」に取り組むのではなく、「自身の主担当業務を持てるレベルまで引き上げる」ために早い段階からできることはないか、常に考えるようにしています。

そして、入社前から成功体験や会社への貢献実感を持ってもらうことで、新卒社員の早期離職防止にもつなげたいと考えています。

当社では、半期に1度、社内表彰式を実施しているのですが、その中で、1年間の営業成績TOPの社員には新人賞が贈られます。

1年間、自分の限界に挑み続けながら、勝ち取ったその栄光の先には、これまで見えなかった様々な世界が見えてくるでしょう。

「即戦力化」によって、社内でより高次なレベルで競争がおこなわれることで、新卒の成長につながり、弊社にとっても大きな成長が期待できると思っています。

ー新卒の即戦力化のために、採用活動の中で具体的に実施している取組はありますか?

松本さん

今回からオンラインでの選考に切り替えたため、「会社の雰囲気や環境、社員の人柄が伝わりにくいのではないか」という課題を感じていました。

そこで、よりリアルな情報に触れることができるように、オンラインでの説明会のコンテンツの中に「オフィスLIVEツアー」を組み込みました。

これは、あらかじめ撮影した動画を流すのではなく、LIVE中継の形式でおこないました。

そのため、かなりリアルにオフィスの雰囲気や社員の姿を伝えることができたと考えており、参加した学生さん達のアンケートからも好評だったことがわかりました。

家入さん

このような取組の他にも、弊社では選考過程でのフィードバックを丁寧におこなうことを心掛けています。

FANTASは、1次〜最終まで計4回の面接があるのですが、2次面接以降は、選考結果を全て電話でお伝えしています。そして、その際に、良かった点、あと一歩だった点を、学生にフィードバックするようにしています。

また、最終面接では、代表の國師に向けて、自己紹介プレゼンをしてもらっており、その際に用意していただくパワーポイントの資料についても作成段階からアドバイスをおこなっています。

学生にしっかりとフィードバックをおこなうことは、学生にとっても自己分析を深める機会となりますし、企業としても入社後のミスマッチを無くすことにつながればと考えています。

弊社の選考において、次の段階に進んでいただけなかった場合でも、採用選考を通じて学生の皆さんの成長をサポートしたい、そしてFANTASのFANになっていただきたい、という想いから実施しています。

松本さん

選考過程で、学生から「よりリアルな現場の声が聞きたい」といった声があった場合は、選考とは別に、人事以外の社員との面談の機会を設けたりもしています。

OB・OG訪問のような形式で、よりフランクに会話していただけるような雰囲気づくりをこころがけていますね。

女性の場合は特に、これからのキャリアステップや働き方のイメージを持つことができるかが重要なポイントになると考えています。

そのため、女性限定の懇親会なども実施しており、女性社員と交流していただきながら、入社後の活躍のイメージを持っていただけるようなコンテンツづくりに注力しています。

3. 入社前から独自コンテンツを活用した研修を実施

新卒の即戦力化のために、内定を出した学生にはどのようなことをされているのでしょうか?

家入さん

当社のコンサルタントは、入社後すぐに資産運用から不動産まで幅広い領域でお客様のサポートをしていくことになります。

今年の新入社員16名の中で13名はコンサルタント(営業職)でした。そこで、入社前からコンサルタントの職種理解を深められるような研修が必要だと考え、オンライン上で学ぶことのできる研修コンテンツを制作し、Eラーニング形式で配信することにしました。

研修コンテンツは、1つ10~20分程度/合計で30以上にもなります。また、それぞれに学科⇒実技⇒テストという段階を設け、テストに合格すると次のステップに進むことができる仕組みです。

学科では資料の内容、実技では話し方を含めた顧客コミュニケーション、テストではWEB商談を想定したオンライン上でのロールプレイングといった内容を、入社前にインプットしていただけるようにしました。

実は、この研修コンテンツは、内定者からの「コロナ禍によって持て余している時間を、少しでも即戦力となれるように有効活用したい」という自発的な声をきっかけにして作成したものです。

2月から動画コンテンツの作成に着手し、2月下旬から開始するというかなりハードなスケジュールでしたが、入社前のタイミングから多くの学ぶ機会を提供していこうと実行に移しました。

資料作成・動画撮影・講師役・動画編集などの工程を全て内製しており、進捗管理やテスト問題の作成含めて、講師役以外はほぼ全て人事側で作って運営しています。

<学科の動画イメージ>

<実技の動画イメージ>

ー研修を制作する上で大変だったことや課題はありましたか?

家入さん

限られた時間でコンサルタントとして必要な要素を洗い出し、レベルに応じて段階分けすることが難しかったです。

最終的に、50個ほどのコンテンツの要素として絞り込み、30個程度の動画に仕上げました。

動画作成でこだわった部分は以下の4つです。

  • 現場での活かしやすさ
    :お客様にお見せするものと同様の資料を使用することで、研修後も活用できるようにする。
  • 飽きさせない
    :動画は基本10〜15分以内に収めることで、気軽に見れるものにする。
  • WEB商談を前提とした対応
    :オンライン商談を想定し、テキストの内容にフォーカスした講義や、実際の商談に必要な表情や仕草も学べる実技パートを提供。
  • 研修をレベル分けし、達成感を与える
    :膨大な量のコンテンツを一度に覚えるのは困難なので、段階に分けてテストをおこなう形を採用。

学生が自分のペースで好きなタイミング・場所で、ゲーム感覚で取り組めるという点を意識して作成しています。

松本さん

新入社員からは、「入社前から弊社の社員として働くために必要な知識を学べたことが良かった」という声が上がっています。

ネット上の情報は断片的なものが多く、入社前に必要な知識を得るには限界がありました。

内容が学科・実技・テストに分けられ、さらにステップを段階分けしたことや、進捗を見える化することで、入社前から、切磋琢磨しながら主体的にゲーム感覚で楽しく学べたとのことでした。

家入さん

昨年度も入社後に新卒研修は実施していましたが、社会人としてのマナーや運用商品の知識を一通り詰め込んだレベルでした。

しかし、今年の研修では、不動産についての理解を深め、商談ができる状態まで育成することができました。

実技を入れていたことによって、入社後の受け入れ側の社員からも、より実践的な知識が身についていて良かったと言っていただけました。

ー来年に向けた改善ポイントはありますか?

家入さん

3つあります。

1つ目は、マナー研修の導入です。今回はコンサルタントに必要な知識に限定し、マナー研修は入社後に実施しましたが、来年はどちらも内定者研修に組み込みたいと考えています。

2つ目は、コンテンツの質の改善です。入社前の研修で自主性を重んじたことにより、学生によってスタートダッシュにバラツキがありました。コンテンツ質を上げることで、全員がより積極的に学べるように改善していきます。

3つ目は、より実務に近いインターンのようなコンテンツを用意することです。実際に実務を体験していただくことで、入社後のイメージを持っていただくことや、モチベーションの向上を図りたいと考えています。

実際に、入社後に即戦力として活躍する社員と活躍できない社員の根本的な違いは、「早期での成長へコミットする覚悟の違い」だと考えています。

新入社員の心に火を灯し、熱量に応えられる育成環境を、更に充実させ続けていく事も我々のミッションだと思います。

松本さん

また、このような機会を設けることで入社前からその新卒社員の「吸収力の差」も感じることができます。

先輩からのアドバイスを素直に受け入れる人なのか、それとも自分には合わないと受け入れない人なのか、など内定前から新卒社員のことを深く知ることのできるチャンスだと思っています。

研修の機会を通して、新卒社員に足りない部分をフォローしつつ、強みを伸ばすようなアドバイスをしていきたいと考えています。

4. 最後に

―これからの新卒採用や人材育成について、意気込みを教えてください。

松本さん

FANTASに入社した方には、自分の限界を超えるくらいの意気込みで成長に貪欲になってほしいと思っています。

新卒採用では、一度にまとまった人数の同期が入社するので、同期同士で切磋琢磨することで、1+1が3にも4にもなっていると感じています。

実際に、現在の営業部を引っ張っている管理職の半数近くが2016年に入社した新卒社員であり、メンバーの成長による会社へのインパクトは大きいと考えています。

そして、この成長への意気込みを土台とした上で、誠実さや相手への想いやりである「FAN」の部分を大切に、社内外から信頼される人材になってほしいです。

家入さん

人材育成において、FANを増やせるような人事でありたいと考えています。「FANになっていただける企業になる」という理念を体現できる人達を増やしていくということです。

また、人材輩出企業と思っていただける会社にしていきたいです。例えば、コンサルタント職の場合は、「FANTASの営業ってめっちゃいいよね」という声が他の企業から聞こえてくるのが理想です。

採用活動においては、学生の方々の人生を真剣に考える会社、人事であり続けたいと思っています。FANTASに応募してくれた学生さん達が、本当に活躍できるのが当社ではなく他の会社だと感じれば、そちらを勧めます。

自分のキャリアを考えるきっかけになって、FANTASに出会えたことで人生がちょっと変わったといってもらえるような組織となれるよう、今後も取り組んでまいります。

また、再来年からは新卒は総合職採用になるので、「人材輩出企業+α」で、テクノロジーの部分など、弊社の新規事業における原動力となる人材、起業家精神をもった人材を採用していきたいです。

―読者である、人事担当者や経営者の方へのメッセージをお願いします。

松本さん

コロナ禍での採用も3年目を迎えます。学生もよりニューノーマルな生活様式に慣れてきていますし、今後新卒採用においてもよりアクティブに、様々なチャレンジを求められるタイミングかと思っております。

情報の最先端にいる大学生と対峙する新卒採用担当に求められるのは、ニューノーマルをどのように受け入れるかという点なのではないでしょうか。

今までの固定概念にとらわれず、学生から得た新たな発見や価値観を柔軟に取り入れていただけたらと思います。

FANTASは「FANになっていただける企業になる」という理念を一番大事にしています。そして、それを人事が一番体現していかなければいけないと考えています。社内外に「FAN」の連鎖を広げていきたいですね。

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