VUCA時代に対応する「社員だけじゃない人事組織」のつくりかた|株式会社コーナー 門馬 貴裕 |HR NOTE

VUCA時代に対応する「社員だけじゃない人事組織」のつくりかた|株式会社コーナー 門馬 貴裕 |HR NOTE

VUCA時代に対応する「社員だけじゃない人事組織」のつくりかた|株式会社コーナー 門馬 貴裕

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※本記事は、株式会社コーナーの門馬さんより寄稿いただいた記事を掲載しております。

HR NOTEの読者の皆様、こんにちは。株式会社コーナーの門馬と申します。

昨今の働き方改革、新型コロナウイルスの影響、続く人材採用難……私自身も長く人材業界に身を置いていますが、これほど変化を求められる時代はありませんでした。

そうなると大変なのが人事の方々です。日々やるべきことに追われながらも、新たなことにチャレンジしなければいけない状況が続いているのではないでしょうか。

そこで1つ提案したいのが、「パラレルワーカーの活用」です。それがどうして多忙な現状の解決につながるのか、具体的な事例も含めてお話したいと思います。

人事業務は限界に近いほど「多様化」している

「働き方が大きく変わり始めている」ということは、誰もが感じていることだと思います。特に顕著なのがリモートワークへの対応です。

東京に本社を構える当社でも、最近では福岡在住の方を正社員として迎え、フルリモートで業務を進めてもらっています。

リモートワークと一括りに言っても、その変化に対応するためには多くを検討しなくてはいけません。セキュリティ、コミュニケーション方法、評価など、変えなければいけないことは山ほどあります。

しかもそれは「これまでやったことがない」ことの連続のはず。当然社内に前例はなく、手探りで新しい仕組みや制度を導入していくしかありません。

この変化への対応を真っ先に求められるのが、まさに人事担当者です。

しかし、これらの状態は今に始まったことではありません。元々多岐に渡る業務を担当していたところに、昨今の変化を受けてより複雑化したという方が的確でしょう。

人事制度、労務、採用、組織・人材開発……人事業務にはそれぞれに専門知識が必要な領域がいくつもあります。それらすべてを昨今の変化に対応させるのは、容易なことではないのです。

特にマンパワーで多くの業務に対応していた企業や、それぞれのスキルや経験に担保して属人化した業務の進め方をしていた企業は、さらに膨れ上がる人事業務に対応しきれなくなっている印象です。

これまでの延長線上では解決できないところまで、世の中が変化してきているのだと感じます。

解決策は「採用」だけではない

既存の体制ではいよいよ人事業務が回らなくなってきた時、まず考えるのが「人材採用」だと思います。

しかし、最近は即戦力人材の採用は非常に難しく、希望する領域の経験やスキルを持ったピンポイントな人材を採用することは簡単ではありません。

また、仮に必要なスキルを持った人材を採用できたとしても、そのスキルが継続的に必要になるかどうかはわかりません。「必要なときに必要なだけ」といった感覚でその人材の力を活用しにくいことも往々にしてあります。

会社への帰属意識や文化醸成など、社員としてジョインいただくメリットは当然多くあります。

一方で、そもそも必要なスキルを持った人材を採用できなかったり、採用できても現状にマッチしきらなかったりというリスクは表裏一体です。

そう考えた時に、「本当にこのポジションは社員である必要があるのか」という観点で解決策を検討することも重要だと思います。

その解決策の1つになりうるのが、「パラレルワーカーの活用」です。

パラレルワーカーを活用するメリット

パラレルワーカー活用のメリットは大きく3つあり、それぞれについて詳しく説明していきます。

①社内にはない知識・経験・視点をインプットできる

フリーランスとして活躍する人事スペシャリストの方の多くは、複数企業にて人事業務を担っている方が大半です。

もちろん経験分野にそれぞれ違いはありますが、そこで得た成功体験やノウハウを多く持っています。

そういった人材にプロジェクトに参画してもらうことができれば、他社や他業界で得た知見やノウハウを自社に合う形で転用することもできるはずです。

また前述したように、特に最近は前例のないことにも取り組まざるを得ないことが多々あります。

しかし、その領域ですでに経験のある外部人材の力を借りることができれば、比較的スムーズに新しい制度や体制を構築することができます。

しかもその取り組みを通じて、これまで社内になかった知見やノウハウを蓄積することも可能です。

②業務量・予算・フェーズに合わせて人材を活用できる

例えば採用業務は、年間を通じて繁閑の波があるものです。中小企業やスタートアップなどでは尚更そうかもしれません。

そこに1人社員として担当を置いてしまうと、忙しい時には人手が足りず、逆にそうでない時には持て余してしまうことも十分にあり得ます。

しかしパラレルワーカーあれば、「必要な時に、必要なだけ」といった形でその専門性を借りることができます。

その会社が抱える課題や目的に合わせて、期間や予算を定め運用することができるので、無駄なく業務を進めることができます。

③転職市場に出てきにくい優秀な人材を見つけられる

最近は副業解禁の流れもあり、1社に留まることなく、フリーランスとして複数企業の人事業務を担っている方が多くなりました。

実際に人事スペシャリストと企業をマッチングしている当社にも2,200名(2020年9月時点)を超える人事スペシャリストの方の登録があり、パラレルワーカーの活用を検討する企業とのマッチングを日々おこなっています。

転職市場にもスキルを持った人材は当然いますが、有効求人倍率が高止まりを続けていることに加え、この副業解禁・フリーランス人材の増加が背景となり、ひと昔前と比べて採用が難しくなっていることは確実だと思います。

実際の活用事例(スタートアップ・大手の2例)

ここでは2つほど、企業規模が異なる事例をご紹介します。

①スタートアップへ「1人目人事」として参画し、半年で採用数を4倍に伸ばした事例

<導入背景>

代表自らが採用業務を兼務し、リファーラルで年間3~4名を採用していた社員20名規模のスタートアップ企業。

さらなる採用拡大を見据えた際、これ以上代表の工数を割けないこと、またリファーラル以外の採用手法のノウハウがないことなどから、コーナーにお声がけをいただき、人事スペシャリストの活用を決定。

<構築体制・期間>

人材紹介、求人広告の営業経験を豊富に持ち、組織マネジメントの経験もある30代の方が参画。

採用業務を中心に複数社の採用支援をおこなっていた方。期間は約半年。

<成果>
  • ダイレクトリクルーティング、人材紹介などの手法を新たに運用し、わずか半年で公認会計士を11名採用成功
  • 採用ターゲット人材に刺さる自社魅力の整理、発見(採用ノウハウの獲得)
  • 「即戦力人材がうちの会社を選んでくれた」という自信が、現場社員のさらなるモチベーションに。
  • 「即戦力人材を採用できる」という自信が、積極的な経営戦略立案にポジティブな影響を与える。

②上場企業の採用支援・人事ポリシー策定/新人事制度設計を進めた事例

<導入背景>

中途採用を活発化させるにあたり、新しい採用チャネルを確立させる必要があったある上場企業。

コーナーへ相談いただき、ダイレクトソーシングのチャネル確立・運用を目的に人事スペシャリストの活用を決定。

同時に採用スピードを早めるために採用オペレーションを担う人事スペシャリストも参画。

また、各部署の縦割化による組織・人材統治面の課題、多様化に対応する人事評価制度への改変などを目的として、その領域の人事スペシャリスト活用も決定。

<構築体制・期間>
  • ダイレクトソーシング体制の構築と運用・・・求人広告の営業経験、のちフリーランス歴8年の人材。ベンチャーから大手企業まで数十社の採用支援経験を持つ人材が参画。
  • 採用オペレーション・・・大手人材紹介企業の法人営業部署にてリーダー経験のある人材が参画。フルリモートにて書類選考〜日程調整などをスピーディーに対応。
  • 人事制度構築・・・組織人事コンサルティング企業2社にてシニアマネージャー、アソシエイトプリンシパルなど要職を務めた人材が参画。現在は独立し、組織人事の変革やコーポレートガバナンスに特化したコンサルティング会社を運営している。
<成果>
  • ダイレクトリクルーティングの体制構築や使用チャネルの決定などから始め、スタートから2ヶ月目にて主要ポジションにて採用決定。また、運用方法の確立もでき、同社の新しい採用チャネルとして定着。
  • 組織・人材統治の面では、同社の根幹となる人事ポリシー策定から実行し、制度策定、人材配置の仕組みまでの構築を実行中。

最大限の成果を出す、パラレルワーカーの活用方法

ここまで「パラレルワーカーを活用するべき」的な話を続けてきましたが、それには1つ条件があります。

それは、「受け入れ企業が、パラレルワーカーにとって動きやすいような環境を用意すること」です。

前述した事例では、いずれも参画してもらった外部人材に社員同等以上の権限を与え、できる限りすべての情報アクセスと決裁権限に近い裁量を渡していたようです。

人事は会社のコア領域であるという考え方から、情報開示に積極的になれない企業も少なくありませんが、ここが覚悟の見せ所。

信頼して任せることができるかどうかが、成功のカギになります。

しかし、だからといって「あとはよろしく」的に丸投げにしてもダメ。自社の課題を整理した上で、パラレルワーカーの方に何を実現してもらうのかといった目的を明確にすることが大切です。

この要件定義がしっかりできていればいるほどマッチング精度も高まり、課題解決・成果創出につながります。

他にも「そのパラレルワーカーが得意な領域に合わせて、仕事を任せていく」というやり方もあります。

一般的なアウトソーシングでは任せる仕事が決まった上で人材がアサインされますが、コーナーのサービスにおいては「誰がやるか」まで決めた上でプロジェクトがスタートします。

当初の目的に沿った課題解決はもちろんですが、そのパラレルワーカーが持つ専門性やアイデアを活用して、当初は想像もしなかった成果が生まれることもあるのです。

「人事は社員が対応するもの」という考えは、今後もっと薄まっていくと考えています。

この変化の激しい時代を乗り切り、生産性の高い組織を作っていくためにも、パラレルワーカーの活用は有効な手段です。

ぜひ組織運営に悩むときには、活用を検討してみてください。

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