「AIにジャッジされたくない」採用担当者が知るべきZ世代の本音と対策|アレスグッド半井 |HR NOTE

「AIにジャッジされたくない」採用担当者が知るべきZ世代の本音と対策|アレスグッド半井 |HR NOTE

「AIにジャッジされたくない」採用担当者が知るべきZ世代の本音と対策|アレスグッド半井

  • 採用
  • 新卒採用手法

※本記事は、株式会社アレスグッド様より寄稿いただいたものになります。

AIの登場により、Z世代の就職活動に、かつてない大きな変化が起こりつつあります。AIを活用した自己分析やエントリーシート(ES)作成はすでに常識となり、今後さらに多様な変化が予想されます。

新卒採用の現場では、Z世代就活生の動向やインサイトを的確に把握し、時代に即した採用施策を講じることが欠かせません。

本記事では、「BaseMe」を運営する株式会社アレスグッドが実施した【Z世代就活生調査】の結果をもとに、企業が取り入れるべき新たな採用プロセスや成功事例を紹介し、AI時代における本質的な採用のあり方を探ります。

執筆者半井 翔汰株式会社アレスグッド 事業統括

新卒で株式会社リクルートに入社し、中小零細〜上場大手企業まで多岐にわたって採用コンサルタントを務めた後、事業戦略企画室に異動し、indeed plusなど主力商品の戦略設計・推進業務に従事。その後、2号社員としてアレスグッドに参画し、次世代型キャリア支援プラットフォーム「BaseMe」の立ち上げを牽引。学生含む求職者対応、採用企業双方の課題解決に奔走し、最新のキャリア・採用トレンドに精通。

Z世代の就活におけるAI活用実態

調査から、約6割の就活生が何らかの形でAIを就職活動に活用していることがわかりました。

Z世代にとってAIツールがすでに就活の「当たり前」となりつつあります。「ESの作成・添削」や「自己分析」にAIを活用している人が多く、現状は就活の準備段階で広く活用されているようです。

一方で、118人と3分の1以上が「AIは活用していない」と回答しており、デジタル世代と称されるZ世代内部においても格差が開いていることがうかがえました。

続いて、就活でAIを使うことに対してどう感じるかを聞きました。

 

「効率的で助かる」と感じている人が128人と最も多く、次に「新しい視点が得られて面白い」(83人)という回答が支持されました。

一方で、「AIを使ったことがバレないか心配」と答えた人も63人と多く、AIの活用に後ろめたさを感じたり、企業からの見られ方を心配する人が一定数いることもわかりました。

ところが、AIによる合否判断については強い拒否感を示します。

「AIにジャッジされるのは嫌だ」(88人)、「AIに判定されても納得感がない」(86人)という否定的な意見が圧倒的多数を占めました。同時に「AIよりも人に自分を理解してもらいたい」(77人)という回答も多く、選考の合否は人に判定してほしいと考える傾向が明らかになっています。

この矛盾こそが、Z世代を理解する鍵です。彼らは、効率化のためにAIを使いこなしつつも、自分という人間の価値を判断するのは人間であってほしいと願っているのです。

採用担当者にとって、AIで作られたESをどう評価すべきかは難しい問題といえます。重要なのは、ESの内容だけでなく、面接などで本人の思考や人間性を直接確認するプロセスを設けることでしょう。

人事担当者は非常に多忙です。だからこそ、AIを活用して採用プロセスの効率化を積極的に進めるべきです。

一方で、深い対話や価値観のマッチングといった「人間にしかできない判断」は人事が担う。こうした役割分担を明確にすることが、これからの採用活動では不可欠だと私たちは考えます。

AIネイティブ世代の採用。重要なのは透明性の高い選考プロセスの設計

続いて、就活生が最も嫌だと感じる企業の対応についても調査したところ、「高圧的・否定的など、コミュニケーションの姿勢」という回答が圧倒的でした。

「学歴や外見でレッテルを貼られるなど、個人評価が不公平」や「採用基準が不明確・選考結果が遅いなど選考プロセスの不透明さ」にも支持が集まっており、Z世代が公平性と透明性を重視していることがわかります。

「どうして落ちたのか分からない」「評価基準が見えない」といった不透明さは、企業への不信につながってしまいます。だからこそ、選考の各段階で「何を評価しているか」「なぜそれが大切なのか」をはっきりと伝えることが重要です。

結果だけでなく、その理由や今後のアドバイスも含めて丁寧にフィードバックする。そうすれば、たとえ不採用になった学生も「この会社は誠実だな」と感じてくれるでしょう。

具体的には

  • 面接で見ているポイントを最初に説明する
  • 面接後に必ずフィードバックの時間を設ける
  • スケジュールの変更があれば、理由とともにすぐに連絡する
  • 不採用の場合も、今後に活かせるアドバイスを添える

こうした小さな配慮の積み重ねが、企業の信頼度を大きく左右します。

一人ひとりの価値観を大切にする

Z世代の学生たちを、画一的な評価基準で判断するのではなく、その人らしさを引き出せるような面接を心がけたいものです。そのためには、まず面接官自身が変わる必要があります。相手の話をしっかり聞くスキルを身につけたり、無意識の偏見に気づいたりするための研修は欠かせません。また、大勢が集まる説明会よりも、少人数での座談会や個別面談の機会を増やすことで、より深い対話が生まれます。学生のバックグラウンドや興味に合わせて選考プロセスをカスタマイズできれば、「この会社は私を一人の人間として見てくれている」と感じてもらえるでしょう。

BaseMeにおける成功事例

実際に「BaseMe」上で起こった、株式会社Schoo様における価値観マッチングの成功事例をご紹介します。

株式会社Schoo様の事例
同社は初めての事業開発職採用を実施する中で、「教育業界」というカテゴリーではなく「学びを起点とした社会変革」というミッションに共感する人材を求めていました。しかし、従来の採用媒体では、学生の価値観を見極めることが難しいと感じていたそうです。
一方で、最終的に同社に入社した学生は、当初「社会課題の解決」「グローバルな視点」「自己成長」を軸に就活を進めていました。「やりたいことがはっきりしないなら、まずは幅広い経験を積める環境に身を置こう」と考え、大手コンサルファームを志望していたそうです。
採用担当者は、学生のBaseMeプロフィールを見て、一目で学生の掲げるビジョンや強みが自社の求める人物像とマッチしていると感じ、スカウトを実施しました。学生が投稿していた日常の活動の写真や、テキスト情報から、「心豊かな社会を実現したい」という想いが伝わってきたからです。
志望業界外だった学生も、自身の活動に興味を持ってくれたことに好意を持ち、面談がスタート。その後、面談やインターンを通じて、お互いの価値観やミッションが深く重なることが分かったそうです。
その学生は最終的にはコンサルファームの内定を辞退して同社を選択することになりました。

このように、業種業界を軸にとしたプロセスでは出会えなかった企業と学生の出会いが、価値観を軸にすることで新たな出会いに繋がり、双方の大事にする考えやビジョンを丁寧に擦り合わせることが結果として満足度の高い出会いにつながっています。

また、本音部分で共感し合えるからこそ高い内定承諾率や入社後の早期活躍に繋がるケースも生まれており、結果として効果的で効率的な採用活動の実現にもつながっていることが分かります。

AI時代だからこそ求められる「人間らしさ」

今の学生たちはAIを使いこなすのが当たり前の世代です。だからこそ、機械的な対応や表面的な評価には敏感で、本当の意味での人間同士のつながりを求めています。

よくZ世代は『会社の飲み会を嫌がる』『オンラインでのやり取りを好む』といった理由で、人間関係を避ける世代だと思われがちです。でも実際に調査してみると結果は大きく異なり、彼らが求めているのは形式的な付き合いではなく、本当に”共感”し合える人間らしいつながりなのです。

採用においても、AIが定型作業を担うこれからの時代においては、AIの効率性と人間の温かさをうまく組み合わせることが鍵になります。人事担当者は一人ひとりの価値観にじっくり寄り添うことに時間を使う「価値観重視のアプローチ」を取ることで、業界の枠を超えた「価値観マッチング」を実現でき、思わぬ場所から自社にぴったりな人材との出会いを生み出すことができるのではないかと考えています。

だからこそ、BaseMeではまさに、求職者の多様化した価値観に応じた質の高いマッチングを届ける「価値観マッチング」をコンセプトにプラットフォームを築き上げてきました。人間にしかできない「共感」「対話」「価値観の共有」をテクノロジーと掛け合わせて有効活用することが、これからの採用活動のスタンダードになると確信しています。

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